【ライブレポート】ARP、次元の壁を越えて“最高を越える旅へ”

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“会えるARダンスボーカルグループ”として2016年に始動して以来、積極的なライヴ活動と今年からは地上波でのアニメ放送も開始して、注目を集めてきた4人組ダンス&ボーカルグループ・ARP。

◆ライブ画像(12枚)

新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、すべてのアーティストが“会える”場所を奪われるなか、彼らはARアーティストの強みを最大限に活かして、画面越しに“会いに”来てくれた。

アニメ放送の終了を記念して、4月に予定されながら延期が余儀なくされたイベントの代わりに、8月15・16日にオンライン開催された<アニメ ARP Backstage Pass 後夜祭 "Celebrate Good Time" -EXTEND->。そこには最強の顔面とスタイル、更に超一流の歌とダンスと表現力を併せ持った究極のパフォーマーが、オンラインで実際にリアルタイムでファンと言葉を交わす、そんな夢舞台があった。ここでは、その最終公演の模様をレポートしたい。

  ◆  ◆  ◆

画面の中にステージが広がり、暗がりのなかで気合を入れるメンバーが微かに浮かぶと、袖から登場したダイヤが「最終公演、突っ走るぞ!」とワイルドなアクションで攻め立て、レオンが「忘れられないライヴにしよう!」と元気に飛び出す。さらにレイジが「この公演も出し切って終わるぞ」とクールな表情でキメれば、「最後まで全力で行きます。共に輝きましょう」とシンジが加わって、アニメ『ARP Backstage Pass』のオープニングテーマ「Burn it up」でライヴは開幕した。

レーベルメイトであるDA PUMP のKENZOが振り付けた都会的ダンスチューンで見せる4人の動きは、恐ろしくなめらかでレベルが高いながらも画一的ではなく、シンジがバレエ的所作を見せたりと、しっかり個性が現れたもの。また、ワイルドなラップを轟かせるダイヤ、クリアなボーカルがクセになるレイジ、若さ弾けるレオンと、歌声にもパーソナリティがハッキリと現れており、生身の人間とまったく変わらぬバラエティ──今言い換えるならば“人間味”に、まずは度肝を抜かれてしまう。


バーチャルにもかかわらず、ここまでリアルなパフォーマンスが可能なのは、モーションキャプチャーを使ってダンスや動きを作るD(Dance)キャスト、歌や会話を担当するV(Voice)キャスト、表情を操作する技術スタッフと、1キャラクターを3人のスタッフで創り上げているから。今回のイベントは2日間で4公演が行われたが、あらかじめ作られたCG映像を流しているのではなく、全スタッフが毎公演ごとに歌い、踊って、リアルタイムでキャラクターを創造しているのである。

となれば、ライヴ中のパフォーマンスが毎回異なってくるのも当然で、「最終公演、アゲてくぞ!」とダイヤが号令をかけた「The Show Must Go On」では、レオンがカメラにアピールしたり、ブチ上がるテンションのままレイジがハイトーンを響かせる場面も。加えて、そこから「ライヴ初参加の皆さんもついてきてください。バトルスタート!」と、間髪入れずシンジが誘った“バトル・フォー・センター”こそが、ARPライヴ最大の見どころであり、彼らの武器でもある。


これは次作新曲のセンターの座を賭けて、メンバー4人がパフォーマンスバトルするものだが、なんと勝敗を決めるのは観客自身。専用アプリ『ふれフレ』をライヴと連動させ、推しメンバーが持ち歌を披露する際にリズムゲームの要領で携帯を振り、応援ポイントを送るという、完全オーディエンス参加型の企画なのだ。

トップバッターのレオンがソウルフルな「Dive into Love」で最年少に似合わぬセクシーさを醸し出すと、ステージ上のモニターには“最高の夏をありがとう!”、“また逢える日を信じて”等のメッセージが次々に浮かび上がるが、これも『ふれフレ』を通じてファンがリアルタイムにメッセージを送ったもの。


次に、爽快なバンドサウンドが懐かしさをかき立てる「Dahlia」でシンジが一途な愛を謳い上げ、「君のためなら戦える」と告げるや、“貴方が私の生きる理由”、“華麗なる愛をキミに”とロマンティックなメッセージが続々届く。

さらに、反抗心を剥き出しにしたロックチューン「運命論」で、レイジが「センター! さぁ、奪い取れ!」とアグレッシヴに歌い替えれば、ハイタッチで入れ替わったダイヤは「一緒に旗、立てようぜ!」と、ハードな「Raise Your Flag」で攻撃的なアクションを展開。このバトルの結果は、ライヴ終盤で発表されることとなる。



そしてパフォーマンスから垣間見えた、それぞれのキャラクターやパーソナリティを、しっかり補完したのがトークパート。「I wanna be your Prince」とシンジが王子然として囁けば、レオンは「ARPのファンタジスタ!」と甘えん坊の素振りも見せつつ、神戸出身らしく関西弁交じりで自己紹介。

ちなみに「アニメでも現実でも愛と美貌の伝道師」と言い放ったレイジと、「お前ら、盛り上がってんのか! アニメでも現実でも感じさせてやんよ」とキザったダイヤは、REBEL CROSSなるデュオの一員でもあり、幼馴染みならではの息の合ったトークでも楽しませてくれた。アニメの1シーンを切り取っての生アフレココーナーでも、それぞれ役どころを入れ替えて、全く違うストーリーをアドリブで作ったり、突然レイジが老後の資産運用の話を始める一幕も。ファンからすれば、これは毎公演見逃せないだろう。


アニメ『ARP Backstage Pass』の劇中で流れた楽曲を繋いだメドレーでは、さらに多彩な音楽性とパフォーマンス性を披露。フューチャーベースも交えたエレクトロチューン「威信傳心」をシンジとレイジでスタイリッシュに魅せれば、REBEL CROSSの二人で「D.O.A」に「THE KISS」をスピード感いっぱいに届けてゆく。

一転、シンジが「The World Is Mine」をブルーのセットアップでロマンティックに贈ると、レオンは「Logical Dreamer」「Fantasista」で軽快にステップ。そしてTシャツ&ジーンズに着替えたシンジ+REBEL CROSSの3人で、「Tender Blue」をパッションいっぱいに放ち、ステージに残ったダイヤとレイジが「BlacK Sapphire」でメドレーを締めくくる。この曲は二人がARPの一員となる前、インディーズバンドCROSS BONEのメンバーだった時代の曲で、ギターをかき鳴らすダイヤにハンドマイクを持ったレイジが迫るという、完全バンドスタイルで進行。後のMCでダイヤが触れた通り、サビのハモリも聴きどころで、レイジいわく「(ダイヤは)めっちゃ練習してた!」とのことだ。


ここで衣装チェンジして、1年前に行われたライヴのバトルソング(個人戦)で勝者となったダイヤとレイジが、リワードとしてそれぞれ選んだカバー曲を歌唱。ダイヤは感覚ピエロの「ハルカミライ」を、持ち前の熱さを活かしてエモーショナルに叩きつけ、対照的にレイジは女性キーの「三日月」(絢香)を見事に歌いこなし、遠くに在る人への想いを今、この状況だからこそ感情移入たっぷりに届けて涙を誘った。

そこに続いた4人の新曲「Neo World」はヒットメーカーとして知られるJazzin’parkの栗原暁と作曲家の前田佑による楽曲で、シンジによると「多くの変化が求められていて不安だらけの今、特別な意味を持つ歌」であり、ダイヤいわく「厳しい状況でも必ず光はあって、それを追いかけて乗り越えようぜ!っていう希望の歌」。“痛みを強さに変えて”“明けない夜はない”といった歌詞も印象的で、4人が歌声を揃えるサビの迫力にも圧倒されてしまう。壮大でスケール感たっぷりの楽曲を締めくくるレイジのハイトーンも鳥肌モノで、レオンの「それぞれの場所にいてもみんな繋がってるで!って感じられる歌にしたい」という願いが叶ったことは、ファンからの“最高!”のコメントの嵐が証明していた。


感動の嵐のあとは、序盤に行われた“バトル・フォー・センター”の結果発表が為され、本公演のトップパフォーマーはレイジに決定。より多くの応援ポイントを彼に送った上位サポーターとZoomを通しての生トークもあり、普段は素直に感謝を表せないレイジも思わず“ありがとう”と発してしまって、「機材トラブルだ!」と苦しい言い訳をする場面もあった。また、全4公演すべてのポイントを集計した結果、新曲のセンターポジションもレイジが獲得したことが発表されると、「本当に本当にくるしゅうない……を含めた意味を込めた、ありがとう!」と、まわりくどすぎる表現でファンに感謝。そんな彼をセンターに据えた楽曲がどんなものになるのか、次のライヴへの期待も高まる。


そしてアップテンポな「Paradise」を皮切りに、ラストスパートに4人で贈ったメドレーは夏感満載なものに。「夏、一番燃えてこうぜ!」とダイヤが煽ったレイブ感いっぱいの「rrRrride On!!」や、早口言葉を披露するレオンがあざと可愛い「Shake!!」ではコール&レスポンスもあり、続く「It’s Show Time!」でパッショネイトに躍動。最後にアニメ『ARP Backstage Pass』のエンディング曲でレオンがセンターを務めるディスコ曲「Celebrate Good Time」では、ソウルステップを踏みながら“最高を越える旅へ”と再会を約束する。


「皆さんがそれぞれの場所から変わらない、もしかしたらいつも以上に熱い声援を送ってくださって、こうして最終公演まで来ることができました。離れていてもライヴで一つになれることを皆さんから教えていただきました。ありがとうございました」と息を切らしながらシンジが頭を下げると、ラストソング「最高のGood-bye」へ。共に充実した時間を過ごせた喜びと寂しさ、再会を待ちわびる気持ち、そんなライヴが終わったときの想いを全て詰め込んだナンバーで、感情移入しすぎたシンジが涙ぐむシーンも。たとえARでも、彼らは間違いなく“生きている”のだ。


「今度はきっと会場で会いましょう!」とシンジが告げ、光の中へとメンバーが消えた最後には、4人からの直筆メッセージも映し出されて、ファンへの強い愛情を感じさせてくれた。寂しい気持ちもあるが、ライヴ中のレイジの言葉を借りれば「ライヴの終わりは次のライヴまでの休憩時間」。ライヴ中、彼らがたびたび発した“感じる”というワードからも、次元という物理的な壁を越えて通じ合う力への強い信頼を感じ取ることができた。そんな彼らとこれからも感じ合い、そして、また“会える”日を心待ちにしたい。

文◎清水素子

ARP 最新情報

■「New World」配信リンク
https://avex.lnk.to/NeoWorld

■New Release
『Amazing Radio Performers on the WEB vol.1』
2020.9.9 on sale

■アニメARP Backstage Pass 後夜祭 and "Celebrate Good Time"-EXTEND-
アーカイブ放送決定。詳細は後日発表

◆ARP オフィシャルサイト
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