【インタビュー】Mary's Blood、初のカバー盤『Re>Animator』完成「コスプレと近しいところがある」

■配信ライヴっていうものを
■選択できる時代で良かったなと

──アルバム完成後というのはそれに伴うツアーをどんなものにするかという話になるのが常ですよね。ただ、今回はこうした性質のアルバムであるうえに、ライヴ活動が思うようにできない状況。この、『Re>Animator』のライヴをやる計画というのは実際あるんですか？

MARI：もちろん考えてはいますし、やりたいなと思ってます。たとえば結果的にそれが配信ライヴになることも考えられるし、どういう形になるかはまだわかりませんけど、生で演奏して皆さんに聴いていただく機会を設けたいという気持ちはすごくあります。だから今のうちから、ライヴでやる時にはどうしようかなとか、こんなふうにしたらカッコいいかなとか、いろいろ考えたりはしてます。

▲MARI (Dr)

──加えて、今作を作ったことによってこれから先に作るもの、作りたいものに向けての影響が出てきそうな予感はありますか？　それこそ“これができたんだから次はオリジナルでこんなことをやってもいいんじゃないか？”みたいな。

SAKI：たとえば「INVOKE」とか「Exterminate」とかって、元々シンセとかキーボードのイメージがすごく強い曲じゃないですか。そういう曲をキーボード不在のバンドがカヴァーするっていうのはすごく難しいですよね。誤解を恐れずに言うと、あんまりバンドでライヴ演奏するってことが想定されてないところがあるというか。ただ、今回そういった曲を自分たちなりにやってみて、実際、原曲っぽくシンセとかの比率が高めの音になってはいるんですけど、それでもちゃんとバンド・サウンドにまとめられたな、という自負はあって。そこで、こういうアプローチの曲をオリジナルでもやってみたいな、という気持ちは出てきましたね。今後はそういう幅の拡げ方もあっていいのかなって。

──面白そうですね。ところで、これまで肝心のアルバム・タイトルのことを聞かずにいました。実際、作品の性質にも合った、すごくいい言葉を選んでるなと思ったんですけど。

SAKI：ゾンビ映画のタイトル(『死霊のしたたり（Re-Animator）』)と同じなんですけどね（笑）。個人的には、何か英単語がいいんじゃないかと思っていろいろ書き出していって……。映画も好きで、ゾンビ系もわりと好みなんで（笑）、「これはどう？」って言って。アニメと関わりのあるアルバムだから、“re-animate”みたいな、“anime”という音が入ってる単語がいいんじゃないかという話になって、これに落ち着きました。

▲SAKI (G)

──この言葉はアニメ用語というわけではなくて、蘇生させる、命を吹き込む、活性化させる、奮起させる、みたいな意味なんですよね。思い入れ深い曲を新たに蘇らせるという意味での合致もあるし、アニメ・ソングにもヘヴィ・メタルにも、実際、聴き手を奮起させたり気持ちを高揚させたりするところがあると思うんです。死霊云々はともかく（笑）。そうした意味でも完璧なタイトルだと思えます。そして今現在、ライヴ活動をやりにい状況についてはどのように考えていますか？　いろいろと調整や判断待ちをしなければならないもどかしさ、モチヴェーションの保ちにくさといったものもあるんじゃないかと思うんですが。

MARI：そうですね。でも最近ひとつ思うのは、配信ライヴっていうものを選択できる時代で良かったな、ということで。6月に初めて自分たちでもやってみたんですけど、これから先も、定期的にというか、積極的にやっていければな、と思っていて。配信ならではの難しさもありますけど、たとえばお客さんがリアルタイムでコメントできる機能があったりするじゃないですか。あくまでテキスト上のエントリーではありますけど、今までそういったお客さんのリアルタイムでの声というのをライヴ中に見たりすることというのはできなかったわけで。もちろん歓声とかでも反応は感じられますけど、実際にライヴに来られない人たちも、ああやってストレートに感想を送ることができる。そういう意味では、これまで以上に近く感じられる部分というのもあるのかもしれないし、こうやってたくさんの人に観てもらえる機会、お互いの繋がりみたいなものを感じられる機会というのを自分たちで作ることができるんだな、ということもわかったので。だから当たり前のようにライヴができるようになるまでの間は、そうしたことにも積極的に取り組んでいけたらな、と思ってます。

取材・文◎増田勇一
撮影◎緒車寿一







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