【連載】Vol.098「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」

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2020年夏、人に寄り添ったアルバムを完成させた!世界にその名を知られるスーパー・ギタリスト 山本恭司インタビュー!!



1976年ジャパニーズ・ロック・シーンに衝撃的に登場したBOWWOW。


▲デビュー時のBOWWOW

そのパワフルでエキサイティングかつヘヴィーなサウンドは日本ばかりでなく世界中の音楽ファンの注目も集めた。BOWWOWはデビュー直後にKISS、エアロスミスのサポーティング・アクトを務め音楽界に大きな話題を巻き起こす。


▲with KISS


▲with スティーヴン・タイラー

僕の業界先輩であり、海外アーティスト司会に初めて抜てきしてくれた上野義美がモンキーズ手法で新たなグループを作り上げようとした。ギターに卓越している実力者、凄腕のドラムの若者、堅実なベース・プレイヤー…、各方面からから才能溢れる若者を集め合宿を行い一つのグループを作り上げデビューさせたのだ。それがBOWWOWだった。

Mike:あれはデビュー前年の1975年、僕が当時週末DJしてた新宿・歌舞伎町のディスコ“キティ・ホーク”で恭司と初めて会ったんだ。
Kyoji:或日、上野さんにこの人にも会っておきなさい、と“キティ・ホーク”へ連れて行かれた。それから45年、ずっとお付き合いさせて頂いてます。
M:大泉・東映撮影所でのトラック荷台でのBOWWOWお披露目ライヴはマスコミの注目を集めたネ。これは75年ニューヨークでのローリング・ストーンズ“USツアー発表/トラック上でのBrown Sugar”にインスパイアされたものだったんだ。
K:MikeさんはストーンズのFC会長していて、73年にハワイで彼らのライヴを体験していましたよね。



M:ところで77年7月には高橋廣行さん(当時アダン音楽事務所 現在はアイドルジャパンレコード社長)や永田友純さん(78年にホットスタッフ・プロモーション設立。会社名由来は勿論ローリング・ストーンズの代表作から)のプロデュースで日光霧降高原に10000人以上のオーディアンスを集めて“NEW WAVE CONCERT”開催されたんだけど憶えてる?
K:出演はChar、BOWWOW、紫。そしてMCがMikeさんでしたネ。


▲NEW WAVE CONCERT告知チラシ 提供:高橋廣行さん

M:そこでちょっとしたトラブルが起こった。
K:二番バッターとしてステージに上がった僕らの1曲目は「天国行超特急」。3小節目のところでマグネシウムを飛ばす予定だったけど、それが原因で電源が落ちてしまった。
M:サァ大変、まだ1曲目。メンバーは怒り狂ってアンプを蹴りまくる。
K:それは僕じゃないですよ(笑)。
M:高橋氏からだか上野氏からだか忘れたけど、とにかくステージでMCして繋げという命令が出たんだ。アドリブ得意のMikeは“凄い、パワフルな演奏ですね~アンプも吃驚してぶっ飛んでしまった、大きな拍手をBOWWOW!!”なんていう軽いMC(冷汗)、でもそこからは気心の知れた恭司に頑張って貰って二人でトーク・ショーだった(笑)。
K:10分くらいでしたネ。何を話したのか憶えていません。


▲BOWWOW 霧降高原LIVE

M:ハプニングのことはしっかり記憶してるけど、トークの内容は…。その時の映像とか音源は残ってないのかな。その後も機会ある毎に恭司とはいろんな話をしているネ。俳優でミュージシャンの佐野史郎さんを紹介して貰ったりね。何度か僕のイベントなどにもジョイン。THX!



そして2020年、世界中の誰もが普通の生活を送れなくなった。ミュージシャンはLIVEが殆ど出来なくなった。そして先もなかなか見えてこない。そうした中で、ニュー・アルバムを制作!その意図と背景からまず教えてくれる。
K:ソロとして3年ぶりの新作です、『KYOJI YAMAMOTO/2020』!昨年の夏頃からニュー・アルバムを制作したいという気持ちに駆られてました。というのも自分の中で音楽を作りたいというインスピレーションを呼び起こすことが多々あって、それを形にしたのが本作です。1月からレコーディンに入ったんですが、当初はもっと外に広がっていく大きなテーマで始めたんです。ところが2月から3月にコロナ禍となり自粛を余儀なくされ、予定していたLIVEがどんどん出来なくなった。当然だけど家からも殆ど出られない。そうなるといろいろな考えが自分の中へ中へと入っていく。これまでのアルバムは、宇宙、TIME(時)、海がテーマとか想像力の中で大きく拡げ、イマジネーションの中で音を生み出して行ったんだけど、ニュー・アルバムは身の回りの出来事が音になっていったんです。これまでとは全く異なる考え方で、それはよりパーソナルなんだけど、皆さんにも通じる共通の感情をこの曲たちから感じ取ってもらえるんじゃないかと思っています。
こんなに時間が出来たことは初めてのこと。常に僕は物事をポジティヴに考える方なんですが、ここぞとばかりにとことん集中しての創作モードとなったんです。まさにこれは神から与えられた時間と解釈しました。



M:タイトルがズバリ『KYOJI YAMAMOTO/2020』。全曲作曲。プロデュースは勿論エンジニア、マスタリングも自身でやっている。GTR、ベース、キーボード、ヴォイシズ、プログラミングも独りで頑張る。まさにワンマン・アルバムですね。
K:今年1月から自宅の“仕事部屋”でレコーディングを始めたんです。マイクのセッティング、演奏、エンジニア、マスタリング。ドラムだって単なる打ち込みではなく、フィンガー・ドラム・ビートとでもいうか人間的打ち込み。ベースも殆ど生で演りました。こうしたワンマンのスタイルは実は1998年以来ずっと続けています。



M:LIVEは“弾き語り・弾きまくり三昧”が浸透しています。ところでこのアルバムは楽曲名が英語に統一されている、世界に向けての発信という意図もあるのかな?
K:SNSが日常化した現在の社会の中で音楽はボーダレス。多くの海外からのファンが僕のアルバムをオーダーしてくれています。


▲CD『KYOJI YAMAMOTO/2020』

M:ではここからは恭司自身によるセルフ・ライナーノーツといきましょう。「ADVENTURER 2020」 、まさにオープニングといったドラマティックで壮大な雰囲気溢れるイントロから~ヘヴィーでタイトなミディアム・テンポのサウンドが僕らに迫る。早くも恭司のあのGTRが響き渡るネ。
K:だいぶ前からLIVEで演奏していた「ADVENTURE」。DVD『ソロ・コンサート 21 July 2007』にも収録されています。今回ソロ・アルバムできちんとした形の楽曲として残したいという意思の下、僕の中では新曲として完成させ“2020”を付けたのです。ジミー・ペイジじゃないけど、今年購入したヴァイオリンの弓も使ったりしているんですよ。


▲DVD『ソロ・コンサート 21 July 2007』

M:2曲目は「BLUE MOON」、サッド・フィーリングを感じさせるような展開…。ここにも素晴らしい恭司のGTRが心打つ。Blue Moonは不吉な予感、一方でブルー・ムーンを見ると幸せになれるとも言われている。
K:そして“Once in a Blue Moon”とはめったに起きないことを表しているんですよ。僕がこんなにもジャジーな楽曲を書いたのは初めてのこと。僕はセッションが大好きなので、GTRを録り終えた後、それを聴きながら自分がベーシストだったらこう反応するだろうなみたいな感じで弾いていったんです。ここではドラムはシンプルなスタイルに止めGTR & BSのセッションを楽しみました。そう、僕の中ではジャコ・パストリアスと山本恭司の共演をイメージして完成させたのです。なんかとても新鮮なアプローチが出来るので僕自身も最近一番はまっている作品です。7月から少しづつLIVEを始めたんだけど、この曲のタイトルをコールすると多くの拍手を貰うんです。



M:3曲目「PRAYERS」物悲しさを強烈に感じさせるミディアム・スローな作品…。
K:2月に母が逝去。このことがなかったらあのような演奏も出来なかったろうし、この曲も生まれてないですね。サビの部分は穏やかに安らかに天に召されて行って欲しいという僕の祈りの気持も込められています。最後の別れの時、母は僕の手を握って“バイバイ”と口に出して挨拶してくれたんです。自宅に戻ったその夜すぐにレコーディングしたのがこのナンバー。その3日後に母は亡くなりました。このアルバムはある意味僕に起きた出来事を刻んだフォト・アルバムとも言えるんです。
M:続いては恭司GTR本領発揮のエキサイティングなアップ・テンポのナンバー「SPIRAL DIVE」。
K:ちょっと切ない曲、重めの楽曲が多い本作にもっとハードなサウンドのナンバーも入れようという気持ちで書いたんです。今年もLIVE100本演ろうと張り切っていたら、それがどんどん中止、キャンセルとなっていく状況の中で…。まさに急降下だけど、負けるものか!という強いメッセージも込められていますね。



M:5曲目は「A BILLION YEARS」、10億年というタイトル。映画のサウンドトラック楽曲かと思わせるヴァリエーションに富んだ、まさにBOWWOW恭司がプログレッシヴな世界を構築している。宇宙との交信を思わせるようなパートも僕らをはっとさせる。
K:昨年9月、釧路湿原を2時間かけてカヌーで下ったのです。元レッド・ウォリアーズの小川清史君は現在釧路でペンションを経営しながらカヌー体験の案内人もやってます。彼の案内で北海道LIVEツアーを一緒にした下山武徳君と人工音の全くない世界を2時間かけてひたすらカヌーで下ったんです。これには凄い衝撃を受けた。つまり自然の偉大さを知らしめられたんです。そこには何億年もの間手つかずの大自然が横たわっていて僕に話しかけて来る。この時に人間とは、自分とは、音楽とは、ミュージシャンとは…、哲学の世界に入っていったんですよ。何のために生きて、何のために音楽をやっているのだろうか。そんないろんなことを考えてしまい、その日の夜のステージはボロボロ、ごめんなさいでした。こんな素晴らしい世界を知ることが出来たことを曲にしてみようと心に決め、今年に入ってすぐ1月2日からアルバムの最初の楽曲としてレコーディンしたのがこのナンバーです。自分の感じた全ての情景を音にして表現。テープを逆回転にしているところは、何億年も前に溯ってしまうような…タイムスリップしていく感じを表現しています。釧路の大自然の中で人間の小ささを考えさせられた、そう、マクロの視点でいろいろと考えるというのもとても大切ですよね。個人的なことや小さな世界での心配事や悩み事なんか吹き飛ばしてくれたりします



M:「HYMN OF MUSIC LOVERS」は、音楽大好きな僕らが1日も早く正常な日々に戻ってその音楽を楽しみたいという願いを切々と“歌い上げる”祈りの作品。
K:まさにその通りです!!音楽を愛する人々への讃歌。自粛ムードが高まった時にこの楽曲をすぐ書いたんです。絶対に正常な世界に戻る、レコーディングしている時に何度も涙した…。早く皆で肩を組みながらコーラスを口ずさみたい。現在徐々に開始したLIVEに参加して下さっている方々がここでコーラスにジョイン、またまた涙してしまう、La La La…♪♪♪



M:「VERMILION KINGDOM」 、この“朱色の王国”とは“首里城公園”のことかな?! サウンドはダイレクトに沖縄ミュージックを感じさせてくれます。
K:そう、初めて琉球音階を使って作曲しました。実はメロディーはかなり前から書いていて、元々は歌もの楽曲だったんです。昨年10月に首里城が燃えた時はホント悲しかった。僕は沖縄の人々からとっても優しくして貰っています。今回、改めてインスト楽曲としてこの曲を完成させました。個人的意見だけど沖縄は未だにある力を持った人から迫害されていると思ったりします。でも沖縄の人たちはとても優しく、再建に向かう力は実に頼もしい。沖縄は戦争とも深い関わりを持ち続けて来ました。これは平和願望のピース・ソングでもあるのです。そして沖縄の自然の素晴らしさも鏤めました。波音の調、そこに子供の弾くトイ・ピアノ。大自然は何が起きようが淡々とその時を刻み続けている…そんなことも。
M:三線も沖縄らしさを表現していますね!10年くらい前だったか、COTTON CLUBで貴方と津軽三味線の共演を味わったけど、ぜひ三線との“競演”も2021年には実現してください!実は僕、沖縄音楽大好きで、何度も那覇などを訪れてます。また東京のライヴ・ハウスで我如古より子さんのMCを何度か務めさせてもらいました。
そしてアルバム・ラスト・チューンは「AFTER RAIN COMES SHINE」。悪いことの後にはきっと良いことが待っているという、まさに今の世界中の人々の気持ちを表現した曲だと思います。
K:止まない雨はない、やがてコロナ禍も終結するだろう。正しくそのことを曲にしたのです。雨が降っているけど、ついに晴れ日がやって来る。そこから一歩一歩進み、曲は大団円を迎えていくんです。



M:『KYOJI YAMAMOTO/2020』は8つの小ドラマが一つの大きな作品になっています。改めて称賛させてもらうけど素晴らしいアルバムです。
K:“希望”もテーマにあります。人に寄り添ったアルバムだと思います。8短編小説と称してくださった方も…。9月以降はより積極的に本作をメインにしたLIVEを展開していきます。
M:僕たちは山本恭司の今後のさらなる活躍を期待しています。そして恭司は世界中のアーティストとも交流があります…。
K:45年の間にいろんな出会いがありました。ポール・ロジャース、僕がギターを弾くきっかけともなったアルヴィン・リー、3年前にMikeさんのアレンジで再会の出来たポール・スタンレー、ジョン・ウェットン、BOWWOWの「Silver Lightning」をカバーしてくれたというメタリカ、エアロスミス…。


▲with メタリカ


▲with エディ・ヴァン・ヘイレン


▲with アルヴィン・リー


▲with ヌーノ・ベッテンコート


▲with イアン・ペイス


▲with エイドリアン・スミス


▲with スコーピオンズ


▲with ウリ・ジョン・ロート


▲with ポール・スタンレー


▲with Mike

そして最近ではYouTubeでレイ・チャールズ二世エリス・ホールと共演してます。


また日本のミュージシャンでは最近Welcome To Our Living Roomで話題になったMikeさんも大好きなジャズ・ピアニスト、小曽根真さんともYouTubeで共演してます。彼とは阪神・淡路大震災チャリティー・ライヴで一緒になって以来の友人、まさに敏腕ピアニスト。彼との「Moon River」も聴いてもらえたらと思います。


僕は音楽に壁を作らない。いつも自由でいたいんです。これからも色んなアーティスト達とのセッションを楽しみたいですし、活動の場もどんどん広げていこうと思っています。
このインタビューを読んで下さった方ともまた近くの街のLIVEでお会いできることを願っていますよ。
今日はありがとうございました。

◆CD『KYOJI YAMAMOTO/2020』(Timeless-0006)はこちらから…↓
https://kyoji.theshop.jp/items/32396763

*インタビュー・ショット:Pic. by K.SATO
*そのほかの写真 提供:山本恭司さん
◆MR. KYOJI YAMAMOTOはマイ・ブック「ジャパニーズ・ロック・インタビュー集」(TOブックス)にも登場する!



▲「ジャパニーズ・ロック・インタビュー集」 from Mike's Library
◆協力:所沢/音楽喫茶MOJO



http://mojo-m.com/
◆「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」まとめページ
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