国立科学博物館の未来技術遺産に、DTMバンドルの元祖 ローランド『ミュージくん』や『カシオトーン201』などが登録

ツイート

▲ローランド『ミュージくん』。パソコンPC-9801とのセットアップ・イメージ。

国立科学館が2020年度「重要科学技術史資料」(愛称:未来技術遺産)の登録を発表。ローランドの『ミュージくん』やカシオの電子楽器1号機『カシオトーン201』などが登録された。

国立科学博物館の産業技術史資料情報センターでは、日本国内の科学技術史において「科学技術の発達上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つもの」や「国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えたもの」に該当する資料を選定し、「重要科学技術史資料」として登録を行っている。2008年度から毎年登録が実施され、今年は16件が登録された。「重要科学技術史資料」の登録証・記念盾授与式は、2020年9月15日(火)に国立科学博物館・日本館で開催予定。9月15日(火)~9月27日(日)には、国立科学博物館日本館1階中央ホールで重要科学技術史資料を紹介するパネル展示が行われる。

■パソコンでの音楽制作を広く普及させた『ミュージくん』

▲『ミュージくん』は、MIDI音源「MT-32」とPC-9801用のMIDIインターフェイス、MIDIシーケンスソフトをバンドルしたDTMパッケージ製品。

『ミュージくん』は、ローランドが1988年に発売した、パソコンを使った音楽制作を広く普及させたデスクトップ・ミュージック・システム。ローランド製品では、2019年度のリズムマシン「TR-808」に続いて今回が2度目の登録となる。

『ミュージくん』は、それまで楽器の演奏技術や音楽知識が必要とされた作曲をパソコンの画面上で容易に行うことを実現した、音源などのハードウェアと音楽制作用ソフトウェアをセットにしたバンドリング商品としての第一号モデル。音楽の演奏情報をデータ化し、電子楽器やパソコン間で演奏情報を送受信できる「MIDI(Musical Instrument Digital Interface)」信号を活用して作曲や自動演奏を可能とし、現在では一般的となったパソコンでの音楽制作の世界を、プロの音楽家からアマチュアまで幅広く普及させたことが評価された。「デスクトップ・ミュージック(DTM)」は、音楽制作用語として今日まで広く認知されている。

その後、ローランドは1989年に『ミュージ郎』をリリース。90年代には数多くのバリエーションが発売された。そして現在は、さらに気軽に本格的な曲作りを行えるアプリ「Zenbeats」(2019年発表)を提供。スマートフォン、タブレットやパソコンなど、場所を選ばず、さまざまな環境でシームレスに音楽制作を楽しめるようになっている。

■電子楽器1号機『カシオトーン 201』

▲カシオ計算機が楽器分野への新規参入を果たしたポータブルキーボード『カシオトーン 201』。49鍵の標準鍵盤とスピーカーを搭載。同時発音数は8音。29種類の楽器音を搭載する。

1980年に発売された『カシオトーン 201』は、「全ての人に音楽を奏でる喜びを」という思いから開発された電子キーボード。音の立ち上がりの部分となる「子音」と、持続・減衰部分となる「母音」に相当する別々の音を微妙に変化させながら合成し、1つの音として創りだす独自の発音システム「子音・母音システム」により、従来とは一線を画す自然で味わいのある音色を奏でられるほか、シンプルなインターフェースやコンパクトサイズを実現。当時、楽器に触れる機会のなかった人でも手軽にさまざまな美しい音色を楽しめる電子楽器として、多くの方に楽器演奏の機会を提供し、市場に大きな影響を与えたことが評価された。

カシオ製品の登録は、「電子式卓上計算機 カシオミニ」(2008年)、「デジタルカメラ試作機 DC-90」(2009年)、「液晶デジタルカメラ QV-10」(2012年)、「カード型電卓 SL-800」(2013年)、「科学技術用計算機 AL-1」(2014年)、「初代G-SHOCK DW-5000C」(2019年)に続き、7回目。


▲『ドンカマチック DA-20』、『MIDI 1.0 企画書』

このほか2020年度の未来技術遺産の楽器関連では、国産初のリズムボックス市販機であり「ドンカマ」の愛称で知られる京王技術研究所(現・コルグ)の『ドンカマチック DA-20』、電子楽器間の接続を統一し世界的普及をもたらした標準規格『MIDI 1.0 規格書』の1984年日本語翻訳版が登録されている。なお、『MIDI 1.0 規格書』はソフトウェアとしては初めての未来技術遺産登録となる。
この記事をツイート

この記事の関連情報