【レポート】MICHAEL、有観客ライブ<Lunatic>で「よくぞみんな、一歩を踏み出してくれた」+感染者ゼロ報告も

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MICHAELが8月22日および23日、ヒューリックホール東京にて昼夜合わせて2日間4公演の<MICHAEL TOUR 2020 Lunatic>を開催した。

◆MICHAEL 画像

本来ならば8月から全国ツアー<MICHAEL TOUR 2020 Lunatic >を開催する予定だったが、地方公演 (8/1および8/2の福岡公演、8/7および8/8の大阪公演、8/16の愛知公演)は新型コロナウイルスの影響で中止を余儀なくされた。そんな状況下でツアーファイナルとなる東京公演は、最後の最後まで検討を続け、その結果、有観客でのライブ開催へと踏み切った。

まだまだ感染拡大に対して不安が拭い去れないこの時期でのこの決断は、MICHAELにとっても制作スタッフにとっても大きなプレッシャーであったに違いない。だが、先の見えない状況下だからこそ、それでも新しい有観客ライブの在り方や、可能性がまだまだあることを誰かが指し示さなければならない……それが今後の音楽ライブの未来を切り開いていくひとつつのきっかけになる。そんなチームMICHAELの強い気概がうかがえる渾身のライブだった。ここでは、ニコニコ生放送を通して生配信も行われたツアーファイナルの模様をお伝えする。



ヒューリックホール東京では会場への入場段階から、間隔を保った整列、非接触による検温、マスク着用とアプリ(COCOA)の入手確認、手指の消毒、フェイスガード配布など、徹底した感染症対策が行われ、入場に要する時間を最小限に抑えるためにスタッフを増員。場内の座席もソーシャルディスタンスを保つため、人が座る席の前後左右が空席になるように配慮されていた。

いつものSE「What a wonderful world」が流れると、サポートメンバーに続いて豊田和貴(G)、松岡充(Vo)がステージに登場した。昨年のクリスマスライブ以来、約250日ぶりにステージに立つ二人。新曲「Luna」で大きな月の映像を背負い、ライブが幕開けすると、ステージに立つメンバーは全員マスクを着用したままのパフォーマンスだ。観客は自発的に着席状態のまま、任意だったがほぼ全員がフェイスシールドを着用している。規定として大声を出すことが禁止されていたため、歓声を上げることはなく、静かにペンライトを振り、ステージ上のパフォーマンスに応える。


「new world satisfaction」はいつもなら会場全体で踊る楽しいナンバーなのだが、今日は「踊りたい気持ちも歌いたい気持ちも、胸の中で叫んでくれ」と松岡が伝え、オーディエンスは胸の前で小さく手を動かし、精一杯手の振りで気持ちを伝えていった。なにもかもが、制限があるなかで生まれた新しい様式、新しいライブの光景だ。けれども、自分たちにとって、みんなにとって“ライブ”がどれだけ人生において大切なものなのかを、「趣味なんかじゃない。これがあったから自分はここまで踏ん張れた、頑張れた。そういうものをSOPHIAの頃から会場に集まってくれる皆と一緒に積み上げてきた」と松岡が代弁。その言葉に、オーディエンスは深く頷く。このツアーファイナル東京公演の成功に向けて、観客も一丸となっていた。

「世界中が慄くなか、よくぞみんな、一歩を踏み出してくれたと思います。このライブで音楽業界に一石を投じます。感染者が出ないことが条件ですけど」

松岡が集まった観客をこう讃えたあとは、「ここからは換気タイム」と言い残し、メンバーは一旦舞台から姿を消した。すると、場内のドアが一斉に開き、空気の入れ替えが行われる。ライブはこのあとも3〜4曲演奏が終わるたびに、約10分間の換気タイムを設けて進行していった。



そんな新しいMICHAELのライブに少し慣れてきた中盤には、松岡が「センパイから許可をもらったので歌いたいと思います。今日も観てくれてる思います。さっちゃーん!」と生中継のカメラに向かって呼びかけ、先ごろ『ニコニコネット超会議2020夏』で初披露したばかりの「しろくろましろ」へ。同楽曲は松岡充が書き下ろした“小林幸子×松岡充”による新ユニット“シロクマ”のデュエット曲であり、そのMICHAELヴァージョンの披露が観客を驚かせた。また、“この声は誰にも消せない“ ”君に幸あれ“という歌詞がいまの状況とリンクして、この曲がオーディエンスみんなへのエールソングとして届いていった。

そして「Distopia」から後半戦へ突入。ヒリヒリするような感情の瀬戸際まで迫り、生きている意味を問いかける「東京」、豊田のアコギとともに、“世界がどうなろうが君の笑顔を守りたい”と歌う「shining」。後半に入っても、松岡の歌唱力、声量はマスク越しとは思えないほど生命力に溢れていて、オーディエンスは着席だからこそ、歌のメッセージがいつも以上に深くまで刺さって心がギュッと締め付けられ、癒されていく様子が手に取るように伝わってくる。「かの青きグレイスフルデイズ」「こころ」と鉄壁のアップチューンでオーディエンスを奮い立たせた場面では、曲中で“つかめ、未来を” “その手で”と何度も何度も力強い声で叫び、松岡はオーディエンスにエールを贈り続けた。


そうして最後は聴き手の体の奥底から希望を呼び起こすように壮大なバラード「WHITE」「Amazing Grace」を全身全霊で歌い切った。「とにかく強く生きていこう。自分の人生を。それで、また逢おう。絶対に」と約束を交わしてステージを後にした松岡は、オープニングからラストまでマスク着用のままで歌い切った。

本ツアーのチケット販売は、今年1月のこと。当時、このコロナ感染拡大状況を誰が予測できただろうか。チケットは本来のキャパシティで完売していたため、購入者全員が会場に来る権利があった。しかし、ガイドラインに沿ったライブ実施のためには、キャパシティの50%に減らした客席数にしなければならない。すべての来場希望者を受け入れるためにMICHAELがやれることはライブ回数を増やすことだった。結果、東京2日間2公演を昼夜2公演ずつに増やし、2日間計4公演に再設定して実行したのが、<MICHAEL TOUR 2020 Lunatic>だ。

ライブを大切に思う気持ちは一緒、だからこそ彼らは、オーディエンスだけではなく、ステージ上の演者までマスクをつけるという、他では類を見ない制限まで自らに課し、お互い新しいルールのもと、徹底した感染対策を施して今回の有観客ライブに挑んだ。これは決して容易なことではない。


「コロナが拡大して嫌なことだけではないと思う。これがあったからこそ気づけたこともある。そうやって、いまの状況を否定するんじゃなく、ここから貰える“宝物”を見つけていく。そんな人生のほうが素敵なんだ」ということを小林幸子にも教わったと、ライブ中に話していた松岡。この新しいライブが“宝物”となって、有観客ライブが再び活性化していくことを願ってやまない。

※東京公演2日間昼夜2公演ずつ計4公演の規模で行われた<MICHAEL TOUR 2020 Lunatic>は結果、経過観察期間となる終演から2週間以上が経った現在まで、感染者が発生していない“感染者ゼロ”を成し遂げた。以下、メンバーおよびスタッフから届いた報告と、今後のライブ実施のための参考として、同公演でMICHAELが実際に行った“MICHAELガイドライン・感染拡大防止策”を公開したい。

取材・文◎東條祥恵
撮影◎宮脇進

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【ご報告】

日頃より、MICHAELを温かくご支援頂いております皆様
そして、今夏開催<MICHAEL TOUR 2020 Lunatic>にご期待頂きました皆様

8/1福岡公演より開催を予定しておりました全国ツアーでしたが、コロナ感染拡大の影響により、8/1&2福岡公演・8/7&8大阪公演・8/16愛知公演を中止とし、ツアーファイナルとなる8/22&23東京公演のみ有観客で開催致しました。最終公演8/23(日)より2週間強が経過致しまして、本公演のご来場様およびMICHAELメンバー・バンドメンバー・スタッフ一同において新型コロナウイルスによる感染者が発生していない旨を本日9/10(木)付けにてご報告させて頂きます。

まずは、ご来場頂きました皆様の有観客公演実施へのご理解と、感染拡大防止への多大なるご協力に、深く御礼申し上げます。会場に向かうまで、公演実施中、終演後から2週間が経過するに至る本日まで、並々ならぬ緊張感をもって過ごされたと察しております。また、チケットを手にしながらも苦渋の決断でご来場を控え、それぞれの場所で本公演の成功をを祈って下さっていた皆様、ニコニコ生放送によるライブ生配信を通して、熱くご声援をお贈り頂いた皆様におかれましても、心より感謝申し上げます。

「ここに集まってくれた皆、(ここにはいなくとも)このライブに思いを寄せてくれた皆が、僕の誇りです」──8/22公演より
皆様への感謝の気持ちは、公演当日の松岡のこの言葉にすべて詰まっています。

本公演独自のガイドラインにのっとり、感染防止対策を整え、公演当日をむかえ、体調のすぐれない方がいらっしゃらない状態で2日間4公演は終了しましたが、『万が一…』という場合を想定し過ごす日々は正直不安ではありましたので、ライブエンターテイメントを生業とする我々には、<感染者ゼロ>というこの結果は大きな大きな勇気となりました。日本のエンターテインメント業界の未来を切り開く、小さいながらもひとつのきっかけになればと願っております。

新型コロナウイルスに関しましては、日々変動し注視し続けなければいけない状況ですが、この結果を糧に、今回の感染対策経験を生かし、MICHAELをご支援頂く皆様がよりいっそう安心してご来場頂けるライブ空間を創るべく、次回の有観客ライブ実現に向けて、気を緩めず進んでいきたいと考えております。MICHAEL恒例のクリスマス公演の実施に向けて、前向きに検討を重ねております。

最後になりましたが、感染者ゼロを目標に掲げ、一丸となって本公演実施にご尽力頂いた関係者の皆様に、MICHAELメンバー・スタッフ一同、心より感謝申し上げます。

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【MICHAELガイドライン・感染拡大防止策】

▼メンバー・スタッフ
1). リハーサル開始前のメンバー&スタッフ全員の抗体検査実施による体調確認
2). リハーサル直前のMICHAELメンバー&バンドメンバー&マネージャーのPCR検査実施(全員陰性の結果をもってリハーサル開始)
3). リハーサルスタジオ入場時の体温チェック
4). リハーサルスタジオでの換気徹底
5). 公演当日の体温チェック・手指用消毒液の設置と利用促進
6). 楽屋の少人数利用と換気徹底
7). 楽屋挨拶時など外部からの入退出の管理・制限
8). 来場者との対面があるスタッフや客席内入場の場合はフェイスシールド着用必須
9). 楽器や機材の取り扱い、受け渡し時の消毒・管理徹底

▼来場者の入場時必須事項(1点でも欠けると入場不可)
1). 開場時間前の集合禁止
2). 会場規定の間隔を空けての整列
3). 電子チケット入場
4). 接触確認アプリ導入・マスク着用
5). 非接触型検温 (37.5℃以上はいかなる場合でも入場不可)
6). フェイスシールド受取(着用は任意)
7). 手指消毒
※アプリ使用不可などの場合は別途個別対応

▼来場者への推進事項・注意事項
1). 飲み物の持参(会場内自動販売機利用停止のため)
2). ハンカチなどの持参(お手洗いでのエアタオル停止のため)
3). 全員配布のフェイスシールドの着用推進(ほぼ全員が着用協力)
4). 入り待ち出待ち禁止の徹底
5). 大声での会話や歌唱や声援の禁止(公演中、待機中ともに)
6). 換気時間での不要不急の出入りを控える
7). 飲酒や運動など体温上昇行為を控えてのご来場

▼グッズなど会場内販売
1). 事前の通信販売で対応(約15アイテム)
2). 会場での金銭授受行為は一切行わない
3). 自動販売機の利用停止

▼客席内・演出
1). 定員の50%以下での実施
2). 完売公演のため、1日2公演にわけて実施
3). ステージから最前列までの距離の確保(2m以上)
4). 前後左右を空け、隣席との距離を確保した配席
5). 1席分を超えた範囲での行動の制限
6). 約15分に1回約10分の換気時間の設置(客席扉を全開放)
7). ステージ上のMICHAELメンバーとバンドメンバーもマスク必須での歌唱と演奏

▼退場時
1). 密集を避けるために規制退場を実施
2). 退場後も密集を避けるアナウンス

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