【直撃取材】<オーガスタキャンプ2020>は、初の配信でどう変わる?

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2020年は、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るう歴史的な年となったが、ミュージシャン/アーティストはその歩みを止めず、気持ちの切り替えと新たな発想とともに、様々な創意工夫と深く強固な音楽愛をもって、新しいエンターテイメントを生み続けてきた。9月26日(土)&27日(日)に開催される<オーガスタキャンプ2020>も、初のオンラインフェスという新たな形を持って開催となる。

特別なコラボレーションやここでしか見られないパフォーマンスなど、アーティストとマネージメントが一体となって深い絆のもとに開催を重ねてきた<オーガスタキャンプ>だけに、彼らにしか成し得ないエンターテイメントをたっぷりと提供してくれるだろうが、野外フェスの醍醐味を追求し続けてきた彼らだけに、オンライン開催までの道のりは、様々な苦難と苦渋の決断の連続だったことは想像に難くない。



▲<オーガスタキャンプ2019>

たかがフェス、されどフェス。たかがオンライン、されどオンライン。<オーガスタキャンプ>をここまで導いてきた、山崎まさよし/岡本定義/さかいゆうを担当するマネージャーであり<オーガスタキャンプ>開催プロジェクトの責任者を務める向井康太郎氏をキャッチ、開催直前の慌ただしい中、話を聞いてみた。

   ◆   ◆   ◆

──これまで様々な工夫を重ねてきた<オーガスタキャンプ>ですが、2020年はどんな<オーガスタキャンプ>になりそうですか?

向井康太郎:例年、屋外で1万~1万5千人/日ほどの規模で開催される野外フェスなんですけど、今年はオンラインなのでどれくらいのお客さんが入場してくれるのかもわからないという状況でスタートしています。例年でしたら2~3月くらいに告知しているものが、新型コロナウイルスの状況が全くわからず先が読めなかったので、やっと6月末に告知できるようなタイミングでしたし、主催側も出演側も初めてのことなので、本当に探り探りで「どうやったら成功するのかな」という感じです。不安はありますけど精一杯準備はしてきているので、<オーガスタキャンプ>22年目の新しい挑戦という状況ですね。例年通りのものではなく、また来年にも続く<オーガスタキャンプ>になるんじゃないかと思っています。


▲オフィスオーガスタ 向井康太郎氏

──出演アーティストの思いと、ファン/来場者の期待という両者のバランスは、どのように意識していますか?

向井康太郎:当初は、当然ながらギリギリまで屋外でやれないかどうかを探っていました。だから発表が6月末になってしまったんですけど、特に山崎まさよしや秦 基博のツアーが延期・中止になったりしていたので、お客さんからの問い合わせもたくさんあり「<オーガスタキャンプ>はどうなるんだろうね」という声が大きくなってきていたんです。なので、完全にゼロはないなとは思っていました。

──<オーガスタキャンプ>を開催しないということはない、ということですね。

向井康太郎:そうです。野外での開催を検討していたんですが、コロナ禍にあって大人数のところに「来て来て」と言うのも違うよねという意見もあり、アーティストと話し合って安心して開催できるオンラインとしました。


──そもそもオンラインというものに関し、抵抗感や可能性など様々な思いが交差したと思うのですが。

向井康太郎:例年<オーガスタキャンプ>では、スタッフとアーティスト全員が集まって「今年はこのようにしましょう」と話をする機会を設けるんです。そこでスタッフの考えやアーティストの意見やアイディアなどが交わされるんですね。でも今年は集まれない。

──そもそも誰もがステイホームでしたから。

向井康太郎:そうなんです。それぞれがどうなるかも見えなかったし、Zoomで集まることすらなかなか難しかったんです。でいよいよ集まらなくちゃと数日に分けてアーティストへの説明をし、オンライン開催を伝えていったんですね。

──色んな意見が出てきたでしょうね。

向井康太郎:それぞれのツアーもできない状況でしたから、オンライン開催は納得だったと思うんですけど、ではどういうことを演るのか、普通でいいのか?何時間もPCやケータイの前で見続けるのか?いや、疲れるよね、休憩も入れなくちゃいけないし、トークも必要だろうし、ならばいっそコントでもやるか、みたいなお客さんに楽しんでもらえるようなライブ以外のコンテンツも作らなくちゃねと、前向きな意見も飛び出しましたよ。

──素晴らしい。

向井康太郎:でもやっぱりライブがみたいよな…というところもあって、今年は初のオンラインとして短い時間にきっちりとライブを伝える形にまとめていきました

──フェス会場に行きたくても行けなかった人にとっては、配信こそ救いの神ですから、喜んでくれる人も多いでしょうね。


向井康太郎:すでに配信ライブをやっているアーティストも随分いるのでイメージはできていますし慣れてきてはいるんですけど、やっぱり目の前にお客さんがいない状況というのは独特ですよね。カメラに向かってでしか歌えないもどかしさというのは感じます。オーディエンスの反応もなく拍手もないし、リアルタイムチャットを見たところで文字でしかないので。コール&レスポンス…お客さんと反応しあえるのがライブの醍醐味なんですけどね。

──そういうライブを行ってきたのが<オーガスタキャンプ>ですものね。

向井康太郎:そこはちょっと寂しいですよね。アーティストにとってはやりにくさみたいなものも当然あるんじゃないかと思います。リハは順調ですし、あとは演るだけという状態ですけどね。

──楽しみですね。

向井康太郎:楽しみですよ。配信なので事故があったらどうしようとかドキドキですけど、ライブが始まっちゃえばスムーズに行くだろうなとは思っています。

──百戦錬磨のアーティストだらけですから。

向井康太郎:ステージスタッフも素晴らしい人達ですし、オンステージするアーティストも気合いが入っているので、そういったトラブルさえなければ間違いなく素晴らしいフェスになります。オーガスタのアーティストはみんな前向きでやれることを演るしかないと思っているんで、コロナ禍でもそれぞれにいろんなチャレンジをしてましたから、悪いことばっかりじゃないなとも感じました。それを見ている人もいるし、それを見続けられてよかったと言ってくれるファンもいたし。

──ミュージシャンは音楽を作り素敵なパフォーマンスをしてくれるのが一番ですが、マネージメント/音楽事務所は彼らの生活を支える立場ですよね。スタッフが受けたコロナの影響というのはどのようなものでしたか?

向井康太郎:アーティストと話しイベンターと密に連絡をとって感染対策をきっちり取りながらツアーを行ったりもできたので、そこは良かったですよ。今では配信ライブで投げ銭とかもありますけど、否定はないものの見え方を気にするアーティストもいますよね。3~4月頃、オーガスタのアーティストが何人か集まって投げ銭ライブをやろうかという案もあったんですけど、オーガスタという事務所主催で投げ銭はどうなんだ?という意見もあったり。それはアーティストもだけどスタッフも思うことで、そういうアーティストとの意見交換/コミュニケーションというのは、このコロナ禍でとても濃くなったと思います。

──新たに得たもの、コロナ禍じゃないとなかったであろう会話もあったでしょうね。

向井康太郎:リモート慣れみたいなものも、悪い意味でありますよね。TV局に行かなくてもプロモーションできちゃうことになっちゃったので「これリモートで良くない?」「対面じゃなくてもできるよね」みたいな場面も出てきたし、取材もZoomでいいよね?ということにもなってきた。便利だけど人と接することが減ってきましたよね。

──人と接触してはいけない状況下、リモートは社会構造そのものに大きな影響を与えましたね。

向井康太郎:先が見えなかったから、アーティストもどこに向かっていけばいいのか困惑したと思います。ギターの練習していればいいの?とか、曲作っていればいいのかな?とか。我々の事務所は、2月末までツアーをやっていたんですけど、3月以降はホールクラスのライブはすべてやめようという判断をしましたから、ツアーを失ったアーティストもたくさんいて、それはほんとに残酷でしたよ。

──そういう意味でも<オーガスタキャンプ2020>は、集積した様々な思いが一気に爆発する忘れられない2日間になりますね。

向井康太郎:みんな活き活きしていますよ。演れる楽しさ、ですよね。個々ではそれぞれに演っていますけど、オーガスタのメンバーが集まると、みんな「やってやろう」というか「こんだけ集まれるのっていいね」って改めて思ったり。今まで当然のようにやってきたものができなくなって、それがちょっとずつできるようになってきたことで、スタッフも活き活きしていますし、とにかくアーティスト本人が楽しんでいますよね。演出も考えたりしているので、アーティストそれぞれの特性が出るような<オーガスタキャンプ>になっていますよ。

──オンラインだとしても、アーティストの個性はしっかり出てくるんですね。

向井康太郎:<オーガスタキャンプ2020>は山崎まさよしの25周年でもあるんですけど、山崎いわく「このオンラインの開催が自分の周年で良かった」と言っていました。「もしこれが後輩の周年のときだったらいたたまれない」って(笑)。

──自分で背負うという男気ですね。

向井康太郎:一回やっておけばその成功例とか直すべきところとか課題も見えますから、来年はお客さんを入れてハイブリッドでやろうとなるかもしれませんしね。とにかく今は新しいことへの第一歩としてアーティストも取り組んでいます。

──<オーガスタキャンプ2020>の開催が待ち遠しいです。

向井康太郎:たくさんの客さんに観てもらえたらそれが一番嬉しいですね。

──楽しすぎて「毎月やろう」ってなったら?


向井康太郎:毎月だったら…僕ね、もう無理です(笑)。でも皆さんは配信にも慣れてしまっていて、もしかしたら「これじゃない。配信はつまらない」と思っている人もいるかも知れないですよね。であればこそ、<オーガスタキャンプ>というオムニバスのイベントでぜひともこの配信を楽しんでほしいんです。我々の想いは絶対に伝わるはずですから。

──配信ライブ未経験の方はもちろん、配信はつまらないと思っているのであれば、是非とも<オーガスタキャンプ>を見てみて欲しい、と。

向井康太郎:そうなんです。当然好きなアーティストのライブばかりを観ていると思いますけど、「1回見てみてよ」という思いです。毎年足を運んでくださる方ももちろんですし、ちょっとでも興味を持っていただけたら是非見てみてほしいです。普段のライブでは見れないセッションやカバー、みたことのないセットリストとか、僕らも知らないサプライズを用意しているアーティストいるかも知れないし(笑)。

──スタッフも知らない飛び道具?

向井康太郎:過去にはアフロをかぶって常田真太郎の格好で出てくるとか、こっそり仕込んでいましたからね(笑)。

──楽しそうですね。

向井康太郎:ライブばっかりだとどうしても一方向になってしまうので、MCコーナを作って双方向で楽しめる企画もいろいろ考えていますし、2日とも編成もラインナップも違いますから。

──無事終わったら、スタッフは泣いちゃいそうですね。

向井康太郎:例年、<オーガスタキャンプ>って最後に花火が上がるんです。僕はね、花火が上がるとそれまでの辛かったことも忘れて「また来年もやりたいな」と思えるんです。ただ今年はオンラインで花火を打ち上げるわけにはいかないので…ちょっとばかり何かしら考えています。僕が感動できる何かを(笑)。

──また楽しみが増えた(笑)。

向井康太郎:これで感動します(笑)。でもね、うまくいくはずです。次の<オーガスタキャンプ>にも繋がりますし、配信になれるということもとても大事。ドキドキハラハラしながらですけど、楽しんでいます。僕らは必死にやりますんで、皆さんは飲みながらでも横になりながらでも、好きなシチュエーションで見てもらえれば嬉しいです。22年目でコロナの影響を受けオンラインでの開催ということにしましたが、<オーガスタキャンプ>の新しい挑戦に期待して観てください。

取材・文◎烏丸哲也(JNM統括編集長)


<Augusta Camp 2020 supported by いいちこ>

2020年9月26日(土)、27日(日)
出演者:杏子、山崎まさよし、岡本定義(COIL)、あらきゆうこ、元ちとせ、スキマスイッチ、長澤知之、秦 基博、さかいゆう、浜端ヨウヘイ、竹原ピストル、松室政哉、DedachiKenta
Newcomer Act:FAITH(9月26日(土)のみ。16:20頃~出演予定)
Newcomer Act. from Caloline International:Okayuka(9月27日(日)のみ。15:20頃~出演予定)

Augusta Camp 2020 Nice Band
Day1:Dr・あらきゆうこ、G・福田真一朗、B・種子田健、Key・浦清英、Per・高橋結子
Day2:Dr・江川ゲンタ、B・中村キタロー、1st Vn・室屋光一郎、2nd Vn・伊藤彩、Va・榎戸崇浩、Vc・堀沢真巳
視聴サイト:ライブ配信サービス「Thumva」https://thumva.com/
・Augusta Camp 2020 #Day1
2020年9月26日(土) 15:00 OPEN / 17:00 START
・Augusta Camp 2020 #Day2
2020年9月27日(日) 14:00 OPEN / 16:00 START
※両日、OPEN時より視聴者同士のグループビデオ通話やコメント機能をご利用いただけます。
※アーカイブ公開:2020年9月29日(火)18:00~10月1日(木)17:59
※27日(日)#DAY2はJOYSOUND「みるハコ」でも配信(チケットは受付終了)。

チケット販売:
チケットデリ:https://ticket.deli-a.jp/
2020年8月24日(月)10:00~9月30日(木)23:59
Thumva:https://thumva.com/
2020年8月24日(月)10:00~9月30日(木)23:59

視聴チケット ¥3,900(税込)

※「9月26日(土)#Day1」「9月27日(日)#Day2」個別でのチケット販売となります。2日通しチケットの販売はありません。
※視聴チケット1枚につきシステム利用料として440円(税込)が別途かかります。
※イープラスにてチケットご購入の方には、視聴に必要な「視聴方法・チケットコード」に関するメールが、イープラスより9月24日(木)に順次配信されます。予め【@eplus.co.jp】のドメインを受信できるようにご準備ください。

チケット・視聴についての注意事項等詳細はイベントサイトをご覧ください:
https://www.office-augusta.com/ac2020/ 

『Augusta Camp 2019 + SHORT FILM『ボクと君』』

2020年8月5日(水)発売
※UNIVERSAL MUSIC STORE限定商品
■通常盤2Blu-ray(PDXA-1004/5):¥8,700+税
■通常盤3DVD(PDBA-1006/8):¥7,700+税
▼封入特典
(1) 「シリアルナンバー入り福引券」(初回プレス分のみ)
豪華商品が当たるシリアルナンバー入り福引券を1枚封入
商品内容:
特賞:AC2020 [MICHAEL LINNELL×Augusta Camp 2020] SPコラボ ショルダーバッグ 2名
1等:AC2020 バスタオル 5名
2等:AC2020 ロゴマフラータオル/ブルー 10名
抽選方法:<Augusta Camp 2020 supported by いいちこ>DAY1(9月26日(土))公演MCコーナーにて抽選会実施

(2) 「特製ブックレット」
・「Augusta Camp 2019」出演アーティスト紹介(ライブ写真など)
・『ボクと君』作品紹介(松室政哉による作品解説・イベントレポートなど)

<お家(うち)でオーガスタ食堂>

簡単でおいしく作れるアーティストメニューを「クラシル」とコラボレーション
https://www.kurashiru.com/features/617

山崎まさよし「ありが丼選手権」
https://www.office-augusta.com/ac2020/service/food/kurashiru/

<お店(みせ)でオーガスタ食堂>

<「Augusta Camp2020」POP UP SHOP @JINNAN HOUSE>
開催期間:2020年9月19日(土)〜2020年9月28日(月)
営業時間:(平日・土日祝)11:30~20:00
※JINNAN HOUSEでは現金でのお支払いができませんのでご注意ください。

ご利用可能:各種クレジットカード、交通系電子マネー、PayPay他
会場:東京・JINNAN HOUSE
オフィシャルサイト:https://jinnan.house
メニュー等詳細: https://www.office-augusta.com/ac2020/service/food/jinnanhouse/

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