the telephones、ワンマンライブで新作全曲披露「心の中でDISCO!!!と叫ぼう!」

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photo by TAKAHIRO TAKINAMI

the telephonesが9月25日、神奈川・1000 CLUBにてワンマンライブ<Do the LIVE!!!>を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けする。

◆the telephones画像

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音楽が、ライブが作り上げる興奮。そして、この場に流れていたあたたかい空気。とても素敵な横浜の夜だった。

9月25日、the telephonesが横浜1000CLUBにてライブ<Do the LIVE!!!>を行った。彼らにとっては2019年12月のZepp Tokyo以来の有観客でのワンマンライブで、しかもこの日は11月4日にリリースするニューアルバム『NEW!』の全曲お披露目というスペシャルな構成。およそ1時間半に及んだその空間は、オーディエンスとの熱い信頼関係と、バンド自身の好調ぶりを感じさせてくれる素晴らしいものだった。

開演は19時を少しだけ過ぎた頃。SEが流れ、ステージの後方に設営されたミラーボールが回る中、4人はそれぞれがカラフルなアフロをかぶって登場した。ステージも客席も、早くも笑顔だ。アフロをすぐに投げ捨てた石毛はマイクに向かって叫んだ。「埼玉県北浦和から横浜1000CLUBまでやって来ました、the telephonesです! みんな! 今日は叫びたいと思うけど、全部、心の中で叫んでくれー!」。そう、この夜はバンドもスタッフも観客も新型コロナウイルス対策をしっかり遵守してのライブ。4人はまずは1曲目「Here We Go」の演奏に突入していった。手を挙げ、ジャンプを促すこの曲は、じつに5年ぶりとなるオリジナルアルバム『NEW!』の1曲目を飾るナンバーだ。会場は一気に興奮状態である。

2曲目は「Changes!!!」。石毛のギターが興奮を煽り、ノブこと岡本伸明の手拍子がそれをさらに加速させる。いつものようにステージ狭しと先読み不能の動きをくり広げるノブは、曲終わりでエキセントリックなシャウトをしたかと思うと、そのまま次の「Tequila,Tequila,Tequila」のイントロにつなげるキーボードをプレイ。今年の初夏、ライブの延期が続く状況下でバンドが急遽リリースした曲だ。ダンサブルなナンバーの連続に、オーディエンスは両手を揺らし、腰を振ってリアクションをしている。そして石毛が「みんな! 心に音楽の灯をともそう!」と言った直後に始まったのは昨年リリースの「Light Your Fire」。今夜はアルバムの全曲演奏を掲げたライブで、前半のセットリストはその曲順通りに進行している。

「今日はみんな、来てくれてありがとう。自分たちに拍手を!」。4曲目が終わったところで石毛が言った。構成としてはここまでが最初のブロックで、バンドもオーディエンスも小ブレイクだ。そして場内の換気をするタイミングでもあり、4人はそのことを口にしはじめる。ドラムの松本誠治は「俺らって換気系バンド?」、ノブは「横浜まで換気にしに来たぜ!」とネタにするが、こうして間をつなぐやり取りに長島涼平は「ただでさえMCが下手なバンドなのに……」と苦笑。もっとも石毛も言っていたとおり、この夜は換気のみならず、すべてがイス席で観客同士の間隔をとったり、その場でのスタンディングはOKだけど声は出さないように促したりと、感染防止のガイドラインを慎重に守ってのライブだったことは間違いない。そして付け加えるなら、このインターバルの間、場内にゆるい笑いが起きた「100人アンケート」(ハマるのが1人なら勝ちというもの)など、4人がお互いをツッコミながらその場の雰囲気を楽しんでいた様子は、今のバンドのいい状態が垣間見れるものだったと思う。

やがて石毛が「今日は11月に出るニューアルバムの曲しかやらないんですよ。潔いでしょ? ほんとに自信があるんです! これまで4曲やったんですが、さらに新境地に入った曲もあるので、最後まで楽しんでください!」と言ったところから次のブロックへ。その言葉そのものの「New Phase」からの流れはthe telephonesの新モードがとくにグルーヴに反映されていて、さらに次の「涼平が作った曲をやります」と紹介された「Sleep Walk」は浮遊感がさらに膨らんでいく感覚があった。

一転して、疾走感あふれる「Get Away」では、キャッチ―なフレーズに合わせて観客側からいくつもの手が振られる。間奏ではノブがフェイスシールドを装着し、その姿で客席へ突入。かと思うと、ほんの一瞬だけ踊りまくったらステージへ帰還し、また演奏に戻っていった。なんという慌ただしさ。「Route17」ではその石毛のハイトーンヴォイスとノブのシャウトが合体。東京から埼玉、そして新潟まで続く国道17号についてのこの歌は、後半にテンポアップしてカオスティックになっていくのが快感だ。




photo by TAKAHIRO TAKINAMI

「換気します!」。再びのブレイクで、このペースに慣れたオーディエンスはイスに腰を下ろし、トイレに行く人もチラホラ。このバンドのライブにしては、じつにレアな光景である。ここで石毛はアルバムについて、バリエーションに富んだ作品になったこと、ほんとは5月に出そうと思っていたこと、リモートでレコーディングを進めたことなどを触れた。ほかに語られたのは延期になっているライブのこと、結成15周年は来年の5月20日まで時間があるということ……等々。さらに時間があったので「100人アンケート」の後半が行われ、松本が不意に言った「今日の昼にお寿司を食べた人」が見事1人だけの一致となり、その場でスタッフからグッズとして販売している唇サングラスが贈呈され、フロアには拍手が沸き起こった。

「換気タイム、終わり!」のひとことから再び総スタンディング状態に戻ると、今度はカバー曲「Physical」からスタート。オリビア・ニュートン・ジョンの1981年のヒットソングで、これはアルバムのデジタル・ダウンロード版のみに収録されるとのことだ。ディスコ時代の名残を持つオリジナル曲にニューウェイヴやポストパンクといったこのバンドならではの要素が混ぜ込まれた秀逸な出来である。

ライブはここから「Broken Government」、さらに「次の曲で飛びはねよう!」と前置きされた「Clumsy」と、アルバムのクライマックスと同じ流れになっていく。そしてエモーションが頂点に達したのは「Small Town Dreams」だった。この曲の前に石毛が語った「俺たちは北浦和という小さな街からやってきて、でも今は(コロナ禍で)ライブハウスがすごく減っていて……そのライブハウスに向けて作った曲をやります」という言葉と、そして何よりも熱いパフォーマンスからは、彼らの音楽とライブハウスへの愛情が強く感じられた。

残るはいよいよ最後のブロック。石毛は「やっぱライブって、必要よね」と、しみじみと話した。そして「またいつか(ライブハウスで以前のように)やるためにね。“あいつらガイドラインを守ってた、最高”って(SNSに)書いといてください(笑)。お互いに耐えれば、なんとかなりますよ」と前向きな言葉を続けた。「心の中でDISCO!!!と叫ぼう! We are? (DISCO!!!)  We are? (DISCO!!!)」という客席との(心の)やり取りを経て、最後の曲「Do the DISCO」へ。まさにthe telephonesらしさ全開のアッパーなこの曲によって、ライブは大団円を迎えた。

アンコールでは、石毛が関東以外から来ているお客さんがいるかを訊くと結構な人数の手が挙がる。それを受けて「ありがとうございます! なるべく地方にも行けるようにしたいので」と話し、今後もライブは精力的に行っていく旨を表明。そして「みんなに捧げるぜ!」と言って演奏されたのが、この夜で唯一、新作以外からのチョイスとなった「Love&DISCO」だった。オーディエンスの反応ともども、多幸感でいっぱいの空間。そこにはthe telephonesというバンドだからこそ起こしうる音楽のエクスタシーが満ちあふれていた。

会心のライブを終えた4人は、スマイルいっぱいでステージを去っていく。そして石毛は最後にもうひとこと言った。

「またライブハウスで会おうぜ! DISCO!!!で踊って、笑って会おうぜ!」

文◎青木優

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8thオリジナルフルアルバム『NEW!』

2020年11月4日(水)発売
■初回盤(CD+DVD):TYCT-69183 ¥3,500+税
■通常盤(CDのみ):TYCT-60165 ¥2,800+税
※ジャケットは初回盤、通常版共通

【CD】全12曲 初回盤、通常盤共通
1. Here We Go
2. Changes!!!
3. Tequila,Tequila,Tequila
4. Light Your Fire(モンスト プロツアー 2019-2020"イメージ・ソング)
5. New Phase
6. Get Away
7. Sleep Walk
8. Route17
9. Do the DISCO
10. Broken Government
11. Clumsy
12. Small Town Dreams

【DVD】
Last Party ~We are DISCO!!!~@さいたまスーパーアリーナ・the telephonesパートを含むバンド活動15周年を振り返るLIVEダイジェスト(収録時間:約60分予定)を収録

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