【レポート】<THE SOLAR BUDOKAN>DAY2、武藤昭平 with ウエノコウジ「100点の天気だね」

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2日目を迎えた<THE SOLAR BUDOKAN>。「はい、こちら中津川、非常に快晴でございます。今日もやるよ!」と、会場の中津川公園内特設ステージ前にまず登場したのは、オーガナイザーである佐藤タイジだ。そして2日目の一番手となる武藤昭平 with ウエノコウジを紹介しようとするが、ステージにふたりの姿はなし。

◆武藤昭平 with ウエノコウジ 画像

ここで映像はドローンによる空撮に切り替わり、公園内の建物施設から、武藤とウエノが肩を並べステージへと歩いてくる映像となった。ステージまでの長いストロークを悠々と闊歩し、スタッフの拍手や「待ってました!」の声に迎えられたふたり。ドキュメンタリー映画のように、映像を駆使した配信だからこその演出が心ニクイ。



ステージ前で佐藤とこぶしを合わせ、一番手のステージを任された武藤昭平 with ウエノコウジだが、そのライブはいたってマイペース。楽器を手に取るより前に、ウエノはステージに設置されたビールサーバーより自らビールを注ぎ、武藤の「サルー!」という乾杯の掛け声でグラスを合わせる。このビールサーバーも、またドローンに撮影されながらの壮大な登場も、ふたりの案だという。「そろそろ楽器持った方がいいよね」と言いながらも青空を肴にビールをあおり、「<THE SOLAR BUDOKAN>の前途を祝したようなこの青空、よし、飲もう」と早くもお代わりをするウエノ。「天気いいなあ」と武藤ものんびりムードだ。

そして今のムードを表わすように「飲めや歌えやの曲からやってみよう」というウエノの声でスタートしたのが「レッツ・ブーズ・イット」だ。軽快にギターをかき鳴らし、声を上げる武藤。程よくしゃがれた声が色っぽく、そしていいスピードに乗ったところで晴れ渡る空を見上げて歓喜の声を上げると、「お茶の間でご覧の皆さん、さあ、飲みませんか? 飲めるかーい?」と呼びかけ、ウエノと共に高らかに“レッツ・ブーズ・イット”とシンガロングする。



続く「エグジット」も息ぴったりのアンサンブルを奏で、ギターやベースのボディを叩きながらパーカッシヴなサウンドで躍動する。ぐっと、ふたりの手先をクローズアップして、そのスリリングで白熱したプレイに肉薄できるのは、映像配信ならでは。思わず画面に近寄ってしまう感覚だ。

目の前にある照明をも跳ね返す眩しい太陽に、暑いねと声をあげながらも、「でも、これ太陽光でやっているんだから、100点の天気だね。昨日の怒髪天はなんだったんだろう(笑)」(ウエノ)と、昨日のトリで雨をもドラマティックな舞台装置に変えた怒髪天のライブのことを語る。昨夜は終演後のトークライブにも参加した武藤とウエノだが、その饒舌なトークライブ同様、このステージでもトークがノンストップ。各アーティストが熱いステージを見せてくれるのはもちろんだが、この武藤昭平 with ウエノコウジのように、彼らならではの気ままな、まるで酒場で杯を交わして、その時を慈しむように人生の悲喜交々を語り明かすような親密さがあるステージもまた、<THE SOLAR BUDOKAN>というフェスが持つ空気感だ。



止まらない会話に、「配信初のカットアウトになるかも」と笑いながらも、ウエノは「俺はカットアウトされても、お客さんがスタッフオンリーでも、最後までやるからね」と胸を張る。毎年、この中津川に来ることを楽しみにしている、と語るふたり。武藤は、病気療養からの復帰のステージがこの<THE SOLAR BUDOKAN>だったこともあり、「いろんな思い出が詰まっていますね。世界的に大変なことになってるなか、こうしてフェスを開催してくれて、呼んでいただいてありがとうございます」と語った。コロナ禍で、長くライブができなかったアーティストたちにとって、こうして馴染みある場所へ足を運びライブができることの喜びは、無上のことだろう。

後半は、(たっぷり話しすぎたおかげで)駆け足にはなったが「ローリン・サーカス」にはじまり、そして次々とビールを飲み干しながら、おなじみの曲を連投する。まずは武藤の高らかな声とスパニッシュなギターが情熱的な「サルー」。画面越しの全国の観客と杯を掲げるように、立ち上がって「サルー!」とビールをあおると、続く曲は「アミーガ・アミーゴ」。“なぜだか急に君と飲みたくなる / 友達ならそれを判ってくれるだろ”とはじまるこの曲は、配信という画面越しだからこそ、より深く語りかけるように響く。武藤が立ち上がり、ギターのボディをリズミカルに叩くと、ウエノは「全国の皆さん、これはドラムソロですからね」と言いながら、楽しそうに何杯目かのビールをあおった。



最後は改めて、「配信もものすごくいいんだけど、やっぱりいろんな街に行って、その街でお世話になっている人と飲んだり、待っている人たちの前で演奏したいと思う。だから、本当は今回“中野サンプラザのほうに出てもいいよ”って言われたけど、即答で“中津川に行く”って。必ず来年、この中津川にまた戻って来ます。ぜひ来年、お会いしましょう」(ウエノ)と宣言し、贈ったのは「凡人賛歌」。“転んで起きて這いつくばって / 瓦礫の中から華を咲かすのさ”。かけがえのない人生、哀しみのなかでも生き抜いていく、泥臭くも美しい日々を祝福するように歌い上げ、ラストの“ラララ”のシンガロングを、温かく強く会場に轟かせた武藤昭平 with ウエノコウジ。極上の笑顔を見せるふたりと一緒に、とても贅沢な時間を過ごした。


取材・文◎吉羽さおり
撮影◎柴田恵理

【武藤昭平 with ウエノコウジ@中津川公園内特設ステージ セットリスト】

01. レッツ・ブーズ・イット
02. エグジット
03. ウェイブ
04. ローリン・サーカス
05. サルー
06. アミーガ・アミーゴ
07. 凡人讃歌

【配信第一週目タイムテーブル】

■ハイブリッド型オンラインフェス<THE SOLAR BUDOKAN 2020>

▼DAY1
9月26日(土) 15:00〜21:00
※アーカイブ期間:10月2日(金)23:59まで
出演者:シアターブルック / a flood of circle / 怒髪天 / 奥田民生 / 田島貴男 (ORIGINAL LOVE) / PUSHIM with HOME GROWN / 小坂忠 with SOLAR JAM (佐藤タイジ・KenKen・Dr.kyOn・沼澤尚) / NOTHING BUT THE FUNK (US)
▼DAY2
9月27日(日) 15:00〜21:00
※アーカイブ期間:10月2日(金)23:59まで
出演者:ACIDMAN / the band apart / LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS / 武藤昭平with ウエノコウジ / Nothing’s Carved In Stone / ROVO / The Sunpaulo / Cian Ciaran from Super Furry Animals (UK)
▼DAY3
10月3日(土) 15:00〜21:00
※アーカイブ期間:10月9日(金)23:59まで
出演者:Anly / THE BAWDIES / ComplianS (佐藤タイジ・KenKen) / 藤原さくら / NakamuraEmi / 四星球 / ストレイテナー / Major in Body Bear (Taiwan) / ヤバイTシャツ屋さん
▼DAY4
10月4日(日) 15:00〜21:00
※アーカイブ期間:10月9日(金)23:59まで
出演者:Afro Begue feat. ComplianS / THE BACK HORN / Char / 民謡クルセイダーズ / 仲井戸“CHABO”麗市 / OAU / ROTH BART BARON / 竹原ピストル / 10-FEET
※仲井戸“CHABO”麗市はコメント出演と<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2017>でのSPECIAL SESSIONを配信予定

【チケット】
販売開始:9月9日(水)18:00〜イープラスにて
・1日券:3,000円 (税込)
・1日券 [サポート1000]:4,000円 (税込)
・1日券 [サポート2000]:5,000円 (税込)
https://eplus.jp/tsb20-st/


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