【レポート】<THE SOLAR BUDOKAN>DAY2、ACIDMAN「きっと大丈夫、あなたは大丈夫」

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毎年のように出演し、2019年は大トリを務めたACIDMANが<THE SOLAR BUDOKAN 2020>DAY2を締めくくる。会場は中津川公園内特設ステージ。美しく暮れゆく中津川の景色を背景にライブをスタートした。

◆ACIDMAN 画像

1曲目に選んだのは、2020年6月発表のシングル「灰色の街」。原型は3年前に作られ、昨年の自身のライブで披露された後にリリースへ向けてアレンジを煮詰めていったというこのナンバーは、コロナ禍の世界を歌うために作られたものではない。が、緊急事態宣言が開けて間もない街の空気や、人々の気持ちに静かに寄り添う楽曲だ。リリースから時を経て、こうして野外のフェスのステージから響きわたる「灰色の街」は、曲のよりポジティヴな面に光が当たっている。大木伸夫(Vo, G)がギターを弾きながら歌いはじめる単色の景色から、浦山一悟(Dr)、佐藤雅俊(B)の音が重なって音が色づき動き出していく、この3人のアンサンブルが強く美しい。“こうしてまた僕らは生きてゆくんだよ”──大事に歌われるこのフレーズは、灰色でない、色彩の溢れる中津川の景色のなかで際立って聞こえてくるものになった。演奏のボリュームが上がるラストの“世界は色に染まり / 世界は歌に成ってゆく”というフレーズで、すでにこの日のハイライトを迎えた充実感すらある。


しかし、まだまだライブは序盤。強靭なビートを生み続ける浦山のドラムに合わせて佐藤が大きく手拍子をしながら「FREE STAR」に突入すると、前のめりな勢いで突き進んでいく。大木はステージを飛び出し、前方のカメラに迫るようにギターを奏でた。普段のライブよりも自由なステージングが楽しい。2曲終えて改めて挨拶をした大木は、開催を迎えた<THE SOLAR BUDOKAN 2020>への思いを口にした。

「コロナという状況のなか、こうして火を消さずに灯し続けてくれたことは、本当にすごいことだと思います。配信という形にはなりましたが、毎年フェスが行われているこの場所で、ソーラーのエネルギーを使って、基本の軸はブレずに、昨日からミュージシャンが熱い想いで頑張っておりますので。画面の前のみなさんもどうか同じ気持ちで、ポジティヴな未来のために最後まで楽しんでください」──大木伸夫




その後には、9月4日にリリースされたばかりの新曲「Rebirth」を披露。徐々に陽が沈んで周囲が薄闇に包まれようとするなか、「赤橙」へとつなげていく。セットリストと陽の傾きを計算したかのようで、「赤橙」で迎えた美しいマジックアワーは、次の「世界が終わる夜」ですっかり暗くなっていた。じっくりと描いていくようなアンサンブルが、燃えるような生命のきらめきを壮大なスケールで紡ぎ、感情を何度も爆発させて3人の音以上のダイナミズムを生み出していった様は圧巻だった。

「配信だろうがなんだろうが、伝わるものは伝わると思っています。みんなで前を向いて、ポジティヴな気持ちで、明るい未来を目指していきましょう」──大木伸夫


大木のこの言葉に続けて、佐藤がステージ前へと躍り出てコブシを振り、両手を高く突き上げてその場のボルテージを上げると、画面の向こうにまで乗り込んでいくようなパワーで暴れまわる。いつも以上にエネルギッシュで、迸る音のしぶきが画面で見ているこちらにも飛んできそうな「ある証明」から、ラストはフェスで大きな一体感を生み出すメロディックチューン「Your Song」へ。

デビューアルバム『創』(2002年)に収録された同曲は、ライブのアンコールやイベントでのラストに据えられることが多い。しかし、今回は演奏前に「来年はこの場所で、<中津川 THE SOLAR BUDOKAN>がみんなの力で取り戻せますように。なんの根拠もないけれど、きっと大丈夫、あなたは大丈夫、俺らも大丈夫、みんなも大丈夫、ラストはそんな歌」という言葉が添えられた。何度もシンガロングされた“You are OK”というシンプルなフレーズは画面の向こうの観客の胸に、いつも以上にずっしりと深く打ち込まれたはずだ。

そして「来年、みんなでこの場所で会いましょう」という大木の言葉で、<THE SOLAR BUDOKAN 2020>DAY2を締めくくった。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎柴田恵理

【ACIDMAN@中津川公園内特設ステージ セットリスト】

01. 灰色の街
02. FREE STAR
03. Rebirth
04. 赤橙
05. 世界が終わる夜
06. ある証明
07. Your Song

【配信第一週目タイムテーブル】

■ハイブリッド型オンラインフェス<THE SOLAR BUDOKAN 2020>

▼DAY1
9月26日(土) 15:00〜21:00
※アーカイブ期間:10月2日(金)23:59まで
出演者:シアターブルック / a flood of circle / 怒髪天 / 奥田民生 / 田島貴男 (ORIGINAL LOVE) / PUSHIM with HOME GROWN / 小坂忠 with SOLAR JAM (佐藤タイジ・KenKen・Dr.kyOn・沼澤尚) / NOTHING BUT THE FUNK (US)
▼DAY2
9月27日(日) 15:00〜21:00
※アーカイブ期間:10月2日(金)23:59まで
出演者:ACIDMAN / the band apart / LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS / 武藤昭平with ウエノコウジ / Nothing’s Carved In Stone / ROVO / The Sunpaulo / Cian Ciaran from Super Furry Animals (UK)
▼DAY3
10月3日(土) 15:00〜21:00
※アーカイブ期間:10月9日(金)23:59まで
出演者:Anly / THE BAWDIES / ComplianS (佐藤タイジ・KenKen) / 藤原さくら / NakamuraEmi / 四星球 / ストレイテナー / Major in Body Bear (Taiwan) / ヤバイTシャツ屋さん
▼DAY4
10月4日(日) 15:00〜21:00
※アーカイブ期間:10月9日(金)23:59まで
出演者:Afro Begue feat. ComplianS / THE BACK HORN / Char / 民謡クルセイダーズ / 仲井戸“CHABO”麗市 / OAU / ROTH BART BARON / 竹原ピストル / 10-FEET
※仲井戸“CHABO”麗市はコメント出演と<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2017>でのSPECIAL SESSIONを配信予定

【チケット】
販売開始:9月9日(水)18:00〜イープラスにて
・1日券:3,000円 (税込)
・1日券 [サポート1000]:4,000円 (税込)
・1日券 [サポート2000]:5,000円 (税込)
https://eplus.jp/tsb20-st/


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