【インタビュー】The Biscats feat. TeddyLoid コラボ作で見せた“継承と革新”

■ロカビリーを知らない人に届けたい

──「Hot and Cool」もTeddyLoidさんアレンジとバンドアレンジの2曲が収録されていますが、また「Teddy Boy」とは異なるアプローチになっています。TeddyLoidさんアレンジはかなりJ-POP感も強くて。

Misaki：TeddyLoidさんも思いっきりポップに振り切ったとおっしゃっていました。歌詞を一緒に制作させていただいて、“なかなか明るいニュースが少ない世の中だけど楽しんでいこうよ！”や、“スマホに縛られがちだけど、もっとリアルを楽しもう”というメッセージを込めたいと相談した結果、こういう仕上がりになりました。“くらくらり”とか“ふわふわり”とか、ロカビリーにはない譜割りで斬新だなと思いましたね。

Ikuo：「Teddy Boy」以上にTeddyLoidさんらしさが全開になったアレンジやし、若い子たちが入ってきやすい新しいロカビリーやなと感じましたね。

Kenji：ここまでポップにするんや！って衝撃はあったなあ。TeddyLoidさん的には「Teddy Boy」とのギャップを狙ったところもあったらしいです。間奏はギターソロと鍵盤で一緒に遊んでる感じを演出できたかなと思ってますね。

Misaki：イントロのキーボードのインパクトはすごいよね。頭にこびりつくし、あれを聴いただけで踊りたくなっちゃう。

Suke：自分たちの引き出しには絶対に入ってない要素を入れてもらいました。ベースとのバランスが絶妙で、疾走感もあるし、ポップな曲なのに転がっていってる感じも新しいなと思います。

▲Suke（W.B）

──バンドアレンジも、The Biscatsのロカビリーの香りがふんだんに香りつつ、懐古的ではない感覚が発揮されたドライブソングになっています。

Misaki：そういう部分は、音楽だけでなく衣装でも気を付けているところですね。

Kenji：やっぱりロカビリーを追求しすぎると1950年代になっちゃうからね（笑）。

Suke：それはそれで大好きなんだけど、The Biscatsでやるなら新しさを加えたいというか。

Kenji：“ロカビリーを知らない人に届けたい”というのが一番の原動力なので。それを重要視していくと、いい塩梅のものが出来上がっていくのかな。あまりにも自分たちの“好き”だけを突き詰めると、自己満足で終わっちゃう。そこを表現しつつ、さらに枠を広げていきたくて。メンバー全員でThe Biscatsに取り入れられるものはないか、常にアンテナを張ってますね。

──The Biscatsの活動はすべて、ロカビリーへの強い想いが突き動かしているんですね。

Suke：そうですね。“50sの文化はすごくかっこいいから、みんな取り入れようよ！”って思うんです。

Misaki：こんなに同じ想いを持てるメンバーに出会えたことは本当に奇跡で。これもロカビリーがつなげてくれた縁ですね。

Ikuo：おっ、それかっこええなあ〜！（笑）

──シングル『Teddy Boy feat. TeddyLoid』は、TeddyLoidさんとタッグを組んだ楽曲2曲とそのバンドアレンジを収録するだけでなく、バンドにとって新機軸となるロマンチックなミディアムナンバー「magic hour」も収録され、かなりボリュームのある作品になりました。

Ikuo：跳ねたリズムの「Teddy Boy」、8ビートの「Hot and Cool」、スローバラードの「magic hour」とまったく違う3曲だけれど、ロカビリー好きの人とThe Biscatsが制作すれば、どうしたってロカビリーになるという発見がありました。この先もロカビリーが好きでほかの音楽性にも精通している人と制作をしたら、新しいロカビリーができると思うので、こういう制作は続けていきたいですね。

Misaki：TeddyLoidさんが今まで見せていない一面を見せているし、海外でご活躍されているのもあって、海外の方々から反応をいただくことも多いんです。TeddyLoidさんファンの方々からもThe Biscatsファンの方々からも面白がってもらえるシングルになりました。今後もTeddyLoidさんとタッグを組んでいろいろやっていけたらと思ってますね。今作でThe Biscatsのやれる幅を広げられたので、いろんな挑戦がしやすくなったなと感じています。今後はラップを乗せたりもしたいし。

──『Cat’s Style』でちょっとKenjiさんがラップしてらっしゃいましたものね。

Kenji：ちょっとだけ（笑）。でも本物の人は全然違いますよね。自然体で、型にはまらないラップができるから。

Misaki：そういう本格的なラップをさらにがっつり入れてみたいなあ……。国内外問わず、ロカビリー好きのラッパーさんを探さなきゃ！

Suke：そうなるとライブも面白いよね。ロカビリー好き、EDM好き、ヒップホップ好きの人が集まったらどんなライブが出来るだろう？と考えるとわくわくします。この秋から冬にかけて、やっとThe Biscatsとして初のツアーを回れるので、ライブをやれなかった期間でバンドのグルーヴも数段レベルアップしたので、それをお客さんたちに観てもらえるのも楽しみですね。

Ikuo：ツアーはThe Biscatsになってから蓄えてきたことを試せるチャンスだと思ってますね。新しいThe Biscatsを観ていただけるという自信があるんです。だから自分たちもすごく楽しみですし、お客さんたちにも楽しみにしていただきたいですね。

▲Ikuo（Dr）

──最後に、The Biscatsは音楽しかりファッションしかり、Misakiさんの得意分野や詳しいものが生かされてると思うんです。となると今後ホラー映画の要素も入ってくるのかな……？と思っているのですが、いかがでしょう？

Misaki：ふふふ！（笑）　じつはずーっと前からハロウィンのロカビリーを作りたいんですけど、なかなか周りから賛同を得られないんです。どうにかこうにか実現にこじつけていきたいですね……！

Kenji：そのコンセプトでやるとしたら、みんなで仮装してサイコビリーかなあ（笑）。

Misaki：サイコビリーいいね。歌詞もハロウィンの要素を取り入れて、MVもみんなでゾンビに変身したい！　でも髪型はリーゼント（笑）。

Suke：あ、いいかも。初めてやりたいと思った（笑）。

Misaki：やった！　この先もまだまだやりたいこといっぱい出てくると思うので、一つひとつ実現していきたいですね。

取材・文◎沖さやこ