【レポート】<THE SOLAR BUDOKAN>DAY3、THE BAWDIES「星たちが次の道に導いてくれる」

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DAY3のトリを務めるのは、ロックンロールの申し子たるこの4人、THE BAWDIESだ。これまでの<中津川ソーラー>でも白熱した、そしてエンターテイナーたるステージで観客を踊らせてきた彼らだが、今回の<THE SOLAR BUDOKAN 2020>はいつもとは違ったアコースティックセットでのオンステージである。

◆THE BAWDIES 画像

バリッと決めたスーツ姿ではあるが、全員椅子に座り、フロントマンのROYはベース無しで歌に専念する形。ステージ前には焚き火があって、パチパチと火の爆ぜる音とともにキャンプの夜のようにまったりとしたムードが“多摩あきがわライブフォレスト”に漂う。その締めくくりはしっとりとアコースティックで──と思っていたのだが、これがまったく予想外の展開になっていく。


普段のライブではお客さんも立って見ていることがほとんどだが、今日は配信ということで画面の向こうでは座って見ているはず。それならゆっくり話せるじゃないか。ということで、THE BAWDIESを初めて観る人にもやさしい、バンドの自己紹介的な“ドキュメンタリー形式”でやっていくという宣言をしたROY。曲に入る前から、とにかくトークが絶好調である。

小学生のときからの幼なじみのROY、JIM、MARCY。そして高校で出会ったTAXMAN。バスケ部を引退した後、レコード店で1960年代のガレージバンド“ザ・ソニックス”に衝撃を受け、そこからリトル・リチャードへと連なり、最高のロックンロールに出会えた感動を伝えるべくバンドを組んだ……というTHE BAWDIESの生い立ちをいつも以上の早口で語ると、彼らの物語のはじまりとなったインディーズでの第1弾シングル「 I BEG YOU」でライブの幕を開けた。アコースティックセットだが、ライブのボルテージは普段と変わらず。それ以上に、ライブができない状況が続いたこともあり、いつもに増して温度が高い。その音だけで無条件に体も心も踊らせるロックンロールそのものを鳴らしていく。



導入部分で饒舌に語ったROYに、「喋ったねえ…」とか「お客さんもいないのに、よく喋るな」とメンバーも感心していたが、間髪入れずに次の章へとROYはどんどん話を進めていく。ロックンロールを伝えるべく結成した第一章から、次はロックンロールを根付かせるべくメジャーデビューをした第二章へ。「遅れないでくださいね、遅れるとこうなりますよ」とデビュー曲「IT'S TOO LATE」に突入。どっしりとしたMARCYのドラムに、JIMはギターを膝の上に寝かせてスティールギターのように響かせる。エレキでもそうだが、アコースティックでもまたJIMとTAXMANそれぞれの味を持ったツインギターでサウンドスケープを広げ、シンプルだが奥深いものになっている。ROYのシャウトも、いっそう高らかに森に響きわたっていくようだ。

続いては最新のTHE BAWDIES。昨年デビュー10周年を迎え、アルバム『Section #11』を携えて全国ツアーを回っていたが、コロナ禍で延期を余儀なくされている現在。その鬱憤を晴らすかのように、アルバムからの最新曲「LET'S GO BACK」をここでお見舞いした。「皆さんもぜひ参加してもらいたい。見てますよ、私は。一緒に声を出して」というROYの声から、ハイカロリーで汗のほとばしるような演奏がスタートし、陽のコーラスをシンガロングする。魂で歌う表情豊かなボーカルと、気持ちよいグルーヴ感で加速していくサウンドが最高で、ステージが一気に華やぐ。そのノリのまま「KEEP YOU HAPPY」でさらに多幸感を上昇させていった。


「キャンプファイアー感がいいよね。なかなかこんな雰囲気の中でできないから楽しい」と、パチパチと音を立てる焚き火を見ながらTAXMANが語る。ショーが中盤となったところで、「そろそろお腹がすいてきたのでは」(ROY)とおなじみ「HOT DOG」を繰り出した。もはや中盤では、最初に言っていたドキュメンタリー形式からは外れてきているが、メンバーが最高に楽しそうなので、よしとしよう。

「こういう世の中になってしまって、答えが見つからないこともたくさんある。次の曲は、どうしたらいいかわからなくなった時は、頑張るというよりもまず肩の力を抜いて、夜空を見上げてごらんよと。きれいな星を見て空気を吸った時に、何か答えが見つかるんじゃないか、星たちが次の道に導いてくれるんじゃないかという楽曲です。……ここだけ切り取ると“ライオンキング”のワンシーンと同じです」というROYの「STARS」の曲紹介に、「余計なこと言わなきゃいいのに、なんでふざけちゃうんだろうね」、「いい雰囲気だったのに!」とJIMやTAXMANに鋭く突っ込まれる感じもまた、THE BAWDIES。子どもの頃から一緒の経験をし、同じものに興奮し、笑い、そのまま大人になってきた彼らの間合いが、やりとりからも見える。そのコンビネーションがアンサンブルにも生きているから、マニアックなものもキャッチーに聴かせられるのだろう。


終盤は「こんな素晴らしい場所でライブをやらせてもらってありがたく思ってます」というMARCYの言葉から、ROYが「また再会できることを祈って、それまでキープ・オン・ロッキンの気持ちで終わりたい」と続ける。そしてラストに贈ったのは、今年5月に亡くなった、偉大な先駆者リトル・リチャードへのリスペクトを込めて作った「TWISTIN' ANNIE」。ロックンロールの痺れるようなリフとシャウトが体温を上げ続け、宴は最高潮だ。テンション上がりっぱなしのまま、スタッフも巻き込んで最後はおなじみの“わっしょい”の掛け声で締めくくったTHE BAWDIES。人を笑顔にする音楽は不変だが、この空間だったからこそのレアなやり方で魅せてくれた4人だった。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎柴田恵理

【THE BAWDIES (ACOUSTIC SET)@多摩あきがわライブフォレスト セットリスト】

01. I BEG YOU
02. IT'S TOO LATE
03. LET'S GO BACK
04. KEEP YOU HAPPY
05. HOT DOG
06. SKIPPIN' STONES
07. STARS
08. TWISTIN' ANNIE

【配信第二週目タイムテーブル】

■ハイブリッド型オンラインフェス<THE SOLAR BUDOKAN 2020>

▼DAY3
10月3日(土) 15:00〜21:00
※アーカイブ期間:10月9日(金)23:59まで
出演者:Anly / THE BAWDIES / ComplianS (佐藤タイジ・KenKen) / 藤原さくら / NakamuraEmi / 四星球 / ストレイテナー / Major in Body Bear (Taiwan) / ヤバイTシャツ屋さん
▼DAY4
10月4日(日) 15:00〜21:00
※アーカイブ期間:10月9日(金)23:59まで
出演者:Afro Begue feat. ComplianS / THE BACK HORN / Char / 民謡クルセイダーズ / 仲井戸“CHABO”麗市 / OAU / ROTH BART BARON / 竹原ピストル / 10-FEET
※仲井戸“CHABO”麗市はコメント出演と<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2017>でのSPECIAL SESSIONを配信予定

【チケット】
販売開始:9月9日(水)18:00〜イープラスにて
・1日券:3,000円 (税込)
・1日券 [サポート1000]:4,000円 (税込)
・1日券 [サポート2000]:5,000円 (税込)
https://eplus.jp/sf/live/festival/ntsb


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