【インタビュー】和楽器バンド、「音楽ができている“今”を大切に」

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■できない可能性があることも、まずはやってみる

──エイミー・リーさんとのコラボ曲「Sakura Rising with Amy Lee of EVANESCENCE」にも驚きました。

鈴華ゆう子:この曲は、このアルバムの中でも一番時間がかかっています。

──2月に行われた<Premium Symphonic Night Vol.2 〜ライブ&オーケストラ in 大阪城ホール~>にもエイミー・リーさんが出演されていましたが、それがきっかけになったのでしょうか。

鈴華ゆう子:もともとエイミーが昔の<Premium Symphonic Night>の映像を見て和楽器バンドに興味を持ってくれて、私とまっちーで一昨年に会いに行ったんです。そこで「いつか一緒にやれたらいいね」って話があって。そこで、二回目の<Premium Symphonic Night>にゲストに来てくれないか、と声をかけたのが始まりでした。ステージではEVANESCENCEの代表曲「Bring Me To Life」と「千本桜」を披露させてもらったんですけど、実はその前日にエイミーが「旋律思いついた」ってボイスメモに声を入れたものを送ってきてくれたんです。



──へえ!

鈴華ゆう子:それを元に、明日本番だというのに、まっちーが夜通しかけてトラックと大枠のアレンジを作ってくれて。エイミーは「日本人働くね!すごいねー!」ってびっくりしたのと感動したのとでテンションも上がって、<Premium Symphonic Night>が終わった後に3人でスタジオに入ったんですよ。

──そこでこの曲ができたんですか?

鈴華ゆう子:まっちーとエイミーで作った曲の土台に、私がピアノ弾き語りでサビのフレーズやコード進行に意見を出して。エイミーもボーカルブースで声を録って重ねて、時間をかけてフィーリングで作っていった感じです。私たちが普段しない作り方だったので、とても刺激的でしたね。歌詞は私とエイミーで書きましたが、コロナ禍にあっても「花びらがつなぐ世界、歌の人たちが繋がれたらいいね」と話し合って出来上がっていきました。

町屋:この曲は楽器を極限まで重ねています。和楽器バンド8人にエイミーの声、そしてオーケストラも入っている。それでいてシンセギミックも多分に入れているのでミックスが大変でしたね。

──みなさんの推し曲も教えてください。

山葵:「ゲルニカ」です。この曲はすごく難しいので気持ちいいに至るまでが長い曲なんですが、これから練習して馴染んでいけば、演奏しててとても楽しい曲になるんじゃないかなと。

鈴華ゆう子:「ゲルニカ」はサビで転調するので、歌うのも難しくて。慣れたら逆に面白くなってくるんですけど、「おっ!」と思わせることができるんじゃないかな。私だったら絶対に書けなかった曲です。

──そう、「ゲルニカ」は何度も聴いているうちにクセになるんですよね。

鈴華ゆう子:自分で作った曲はすごく歌いやすいし、自分の声を活かしやすいし、想像がしやすいんですけど、人が書く曲って自分だったらやらないことに挑戦させてくれるので歌ってて面白いですね。ちなみに今回一番ピッチが低い曲「日輪」と高い曲「Eclipse」が続くんですけど、ここの対比も歌っていて面白いです。「日輪」はすごく低くて、こんなにサビも低いまま歌うのはバンド始まって以来初。周りの音がバーって鳴っている中で、テンション上げずに歌っています。「Eclipse」は逆に高いので裏声で歌ってて。レコーディングの時、まっちーにも「これでいいの!?」って相談したんですが、彼としては裏声の美しさを聞かせる意図があったみたい。


──ゆう子さんの推し曲は?

鈴華ゆう子:個人的にすごく力を入れたのは、「宛名のない手紙」です。

──あぁ、これは心にずっしりくる名バラードですね。

鈴華ゆう子:私も心にズシンときながら書きました。これまでバラードもいろいろ書いてきたけど、似たものは出したくなくて。最近で言うと「IZANA」や「砂漠の子守唄」っぽくならないようなバラードを心がけました。気に入ってるのは、だんだんと「皺を撫で合う夢」に近づいていくところ。そこの色っぽさっていうのはすごく一つの憧れというか、そういうのっていいよなって……。そこまで分かち合える人と出会って生きていく人生の愛しさを、どの年代から見ても違う写り方が楽しめるように描きました。

──それ、すごく伝わります。

鈴華ゆう子:嬉しいです。(蜷川)べにもアレンジしてる時に「ズシンときてしんどくなっちゃって……」って言ってたんですよ。10年後、この曲を自分で聞き返すのも楽しみです。

──「月下美人」もいいバラードですよね。

鈴華ゆう子:アルバムの「TOKYO」ってテーマとは違うと思われるかもしれませんが、花を擬人化して、「自分自身と向き合ってどう感銘を受けていくか」という少年の心の移り変わりというものを表現しているので、自分と向き合う時間というものが増えたこの時期だからこそ聞いてほしい歌詞になっています。



──町屋さんがこだわった曲は?

町屋:う〜ん、「日輪」ですかね、「ゲルニカ」と迷いますけど。僕、最初に曲名を決めるんですよ。曲名で世界観が決まるので、その世界観で何曲も曲を書いて。「日輪」は6曲書きましたね。この曲は、わりかし励ましてるんですよ。そこがいいところかなと。歌って、そういうのが大事だと思ってるんで。

──黒流さん作詞作曲の「オリガミイズム」なんかは、明確に励ましてますよね。

町屋:黒流さんは明るい曲が多いですよね。黒流さんの曲ってAメロが暗くて、サビでパーンと明るくなる感じ。

鈴華ゆう子:黒流さん、「自分を励ましてるみたいでちょっと面白い」って自分でも言ってた(笑)。やっぱり、バンドとしての役割というか、「自分はこういう曲を書こう」というのも明確になってきたんですよね。「オリガミイズム」は励ましているのもそうだし、和楽器が生きている曲を作ろう、というところも考えてくれたんだと思います。

──山葵さんがプレイしていて気持ちいい楽曲は?

山葵:普通に演奏してて楽しいなって思うのは、「Sakura Rising with Amy Lee of EVANESCENCE」ですね。洋楽色の強い楽曲なんでアプローチもすごく悩んだんですけど、僕はアメリカンなロックが好きなんで、そういうイメージで演奏しました。で、筋トレの気持ち良さに近いのは「日輪」ですね。「腕が動かねえ!くそぅ!でももうあとワンテイク!」みたいな(笑)。

鈴華ゆう子:「Ignite」の始まりのところのスネアもいいよね!

山葵:あれ、すごい緊張感なんだよね……。

──また、本作ではイラストが使われているジャケットや、現代的な衣装も注目ポイントだと思います。

鈴華ゆう子:ジャケットのイラスト、お気に入りなんです。これも今まで自分たちがやりたくてもできなかったことのひとつで。私たちはメンバーひとりひとりのキャラクターがはっきりしてるから、イラストやアニメーションで表現するのも面白いんじゃないかってずっと思っていたんですよ。今回スタッフさんから提案していただいて、嬉しかったですね。

──みなさんのキャラクターがしっかり表現されていますよね。

鈴華ゆう子:そう。「まっちーのタトゥーはもっと見えたほうがいいよね」とか「舞扇子じゃなくて、あおぎ扇子のように見えているのを修正してほしいです」という風なやり取りをしながら作れたので、メンバーみんな喜んでいます。

▲通常盤 ジャケット

──それに対して衣装は前作「Ignite」に続いて洋風寄りになったなと。

山葵:カジュアル寄りですよね。

鈴華ゆう子:ユニバーサルに移籍してから、変化を感じる方がいるかもしれませんね。

──そうですね、以前はもっと「和」の要素が強かったように思います。

鈴華ゆう子:それは多分新しいチームになって、チームの方から提案をもらって話し合っているから、というのが大きいと思うんです。せっかく移籍したのなら、意味のあることをやれたらいいなって。今回は「TOKYO」がテーマなので、ビルや東京を表現する色としてグレーを使ってみたり。スポーティーな部分を入れていこうというのも話しました。

町屋:東京らしさの一つに、ミクスチャー文化が挙げられると思うんですね。そういう意味で重ね着も一つの東京らしい要素で、今回の衣装はレイヤードになっているんですよ。

──あぁ、なるほど。「和」を排除したというわけではなく、「TOKYO」に添ったイメージなんですね。

鈴華ゆう子:そうそう、和と洋の比率というのはチームでもよく話します。実は「Singin’ for...」以外にも他の収録曲のミュージックビデオも公開されますが、これはこれでまた違った印象になる予定です。楽しみにしていてください。


──いよいよアルバムがリリースされ、ツアーも発表され。楽しみなことがたくさん待っていますが、今後の展望や目標を教えてください。

鈴華ゆう子:バンドって目標があったほうが動きやすい。昔だったら「海外公演したいね」とか「ドームでライブできたらいいね」とか。でもこんな状況になって、みんな「どうしよう」って思っていると思います。でも私は今、「できない可能性があることも、まずはやってみよう」と思っていて。今を大事にひとつひとつ積み重ねていこうと思うんです。極端にいうと明日命がなくなったとしても「幸せだった」と言えることを積み重ねて、メンバーともファンとも共有していきたいと強く思っています。もしかしたらツアーも中止になるかもしれないし延期になるかもしれない。でもツアーに向けてリハーサルはやるんですよ。そのリハを一個一個楽しんで、音楽ができている今を大切に生きていこうというのが今の目標です。

町屋:僕が思うのはですね、今回新型コロナウイルスという今までなかった未曾有の出来事が起こり、いろいろなところで打撃があって……貯金って大事だなって思いました。貯金できる男になろうって思ってます。来年こそは貯金するぞ!

一同:(笑)

山葵:たぶん町屋さんは余裕ができたらいい曲作れなくなっちゃうからダメです(笑)!

取材・文◎服部容子(BARKS)
写真◎釘野孝宏

『TOKYO SINGING』

発売日:2020年10月14日(水)

・CD収録曲(全13曲収録)※全5形態共通
M1. Calling
M2. Ignite
M3. reload dead
M4. 生きとしいける花
M5. 月下美人M6. Sakura Rising with Amy Lee of EVANESCENCE
M7. ゲルニカ
M8. Tokyo Sensation
M9. オリガミイズム
M10. 宛名のない手紙
M11. 日輪 M12. Eclipse
M13. Singin’ for...

■真・⼋重流盤(CD+フィギュア+Blu-ray付)】※オフィシャルファンクラブ真・八重流会員限定販売
PDCS-1915 ¥15,000(税抜)
・CD:全13曲収録
・フィギュア:和楽器バンド mini brokker8体セット
・Blu-ray(※プレイパス対応):REACT TOUR FINAL @横須賀芸術劇場 をフルサイズ収録(全17曲)
【Blu-ray収録曲】
和楽器バンド Japan Tour 2019 REACT-新章- FINAL
1. Overture~ReAct~
2. 雨のち感情論
3. 天樂
4. 吉原ラメント
5. 蜉蝣
6. Strong Fate
7. 細雪
8. 鏡花水月
9. 月に叫ぶ夜
10. なでしこ桜
11. シンクロニシティ
12. 極限双打
13. 雪影ぼうし
14. 暁ノ糸
15. あっぱれが正義。
EN1. Ignite
EN2. 千本桜
※完全数量限定生産
*プレイパス対応Blu-ray
Blu-rayについているプレイパスコードを入力するだけで、スマホで曲や映像を、簡単に再生することができます
▲真・⼋重流盤 ジャケット


■初回限定映像盤(CD+Blu-ray付or CD+DVD付)
(CD+Blu-ray付)UMCK-7073 ¥6,000(税抜)
(CD+DVD付)UMCK-7085 ¥5,000(税抜)
CD:全13曲収録
Blu-ray/DVD共通
Premium Symphonic Night Vol.2 ~ライブ&オーケストラ~ in 大阪城ホールをフルサイズ収録(全16曲)
【Blu-ray/DVD収録曲】
Premium Symphonic Night Vol.2 ~ライブ&オーケストラ~ in 大阪城ホール
1. Overture
2. オキノタユウ
3. 細雪
4. 儚くも美しいのは
5. 砂漠の子守唄
6. 独歩
7. 雨のち感情論
8. 花一匁
9. Ignite
10. 戦 –ikusa–
11. 吉原ラメント
12. 蛍火
13. Bring Me To Life with Amy Lee of EVANESCENCE
14. 千本桜 with Amy Lee of EVANESCENCE
EN1. IZANA
EN2. 流星
▲初回限定映像盤 ジャケット

■初回限定ブック盤(CD+書籍)
UMCK-7074 ¥5,000(税抜)
CD:全13曲収録
書籍:Quick Japanプロデュース和楽器バンド“解体新書”(全144ページ予定)付き
▲初回盤 ジャケット

■CD Only盤
UMCK-1668/9 ¥3,500(税抜)
CD1:全13曲収録
CD2:全曲の Instrumental をDisc 2として収録
▲通常盤 ジャケット

■デジタル配信盤
CD収録全曲に加え、「ロキ」をボーナストラックとして追加収録。
(全ダウンロード/ 全ストリーミングサービス配信)

・全形態共通封入特典
トレーディングカード全10種類のうち1枚ランダム封⼊
※初回プレス分のみ

・チェーン別オリジナル特典
“TOKYO SOUVENIR”(東京土産)
・タワーレコード:“TOKYO SOUVENIR”キーホルダー
・HMV:“TOKYO SOUVENIR”ペナント型マグネット
・Amazon:“TOKYO SOUVENIR”ポストカード
・楽天:“TOKYO SOUVENIR”ボールペン
・TSUTAYA:“TOKYO SOUVENIR”ポスター
・UNIVERSAL MUSIC STORE:メンバー写真/メンバーイラストクリアカード全16種から1種ランダム(PET製 B5サイズ)
(初回限定映像盤/初回限定ブック盤/CD Only盤の3形態セット購入で全16枚セット進呈)
・その他店舗・ECサイト:“TOKYO SOUVENIR”ロゴステッカー

※特典は先着となり数に限りがあります。無くなり次第終了となりますので予めご了承ください。
※一部取扱いのない店舗・オンランインショップもございます。詳しくは各CDショップにてご確認ください。
※それぞれのデザインは後日発表させて頂きます。

<和楽器バンド JAPAN TOUR 2020 TOKYO SINGING>

■日時 / 開場
10月24日(土)東京・ガーデンシアター開場16:00 / 開演17:00
10月25日(日)東京・ガーデンシアター開場15:00 / 開演16:00
11月14日(土)大阪・大阪城ホール開場16:00 / 開演17:00
11月28日(土)愛知・日本ガイシホール開場16:00 / 開演17:00

■チケット料金
前売 ¥10,000(消費税込み)
当日 ¥11,000(消費税込み)

■注意事項 / 申し込み同意条項
※政府の要請に基づき、ソーシャルディスタンスを確保した上で実施いたします。
※入場時、ご来場者の氏名、所在地、連絡先のご記入をお願い致します。身分証明書の確認も行います。
上記ご記入いただいた情報を公的機関の要請により提出する場合がございます。
※入場口にて検温を実施いたします。
また、以下の事項に該当するお客様につきましては、ご来場をご遠慮ください。
・37.5度以上の発熱(平熱より1度以上高い発熱)がある方 (会場に向かう前に検温をお願いいたします。)
・公演日より起算し、2週間以内に発熱や感冒症状で受診や投薬をした方
・公演日より起算し、2週間以内に嗅覚異常、味覚異常、咳、鼻水、発熱があった方
※マスクを着用してのご来場をお願いいたします。マスクを着用していない方のご入場はお断りさせていただきます。
※ご入場後に体調を崩された場合は、速やかにスタッフにお申し出ください。
(症状によりご退場をお願いさせていただく場合もございます。)

【その他注意事項】
※場内、ロビーなどでのご歓談は⾃粛をお願いいたします。
※⼊場⼝に⼿指⽤のアルコール消毒液をご⽤意いたします。消毒の徹底をお願いいたします。
※厚生労働省よりリリースされました、新型コロナウィルス接触確認アプリ(COCOA)のダウンロードにご協力をお願い致します。
※スタッフに体調不良の者がいないか、検温により確認いたします。体調に異常(特に出勤前の検温で37.5度以上)が認められた場合は速やかに⾃宅待機とし、代⾏のスタッフが対応いたします。
※公演時間は2時間を予定しております。公演中、場内は常に換気状態を保ち、場内ドアを全開放する換気時間を設ける予定です。
※終演後、規制退場とさせていただく場合がございます。
※プレゼント及びスタンド花・お祝い花は、感染リスク低減のためご辞退させていただきます。
※会場周辺でのアーティストの入り待ち・出待ち行為はお止めください。

<和楽器バンド JAPAN TOUR 2020 TOKYO SINGING>東京公演 有料配信詳細

配信日時:10月25日(日)17:00〜
配信チケット料金:3,680円(税込)
チケット販売期間:10月9日(金)18:00〜10月27日(火)16:00まで
アーカイブ:10月27日(火)18:00まで(48時間)

配信プラットフォーム:
【e+Streaming+】
国内・国外:国内のみ
手数料:220円 ※カード決済以外は別途振込手数料220円必要
チケット販売ページ:https://eplus.jp/wagakkiband-st1025/

【PIA LIVE STREAM】
国内・国外:国内のみ
手数料:220円 ※220円(コンビニ決済のみ)
チケット販売ページ:https://w.pia.jp/t/wagakkiband-pls/

【ZAIKO】
国内・国外:国内・国外ともに配信
手数料:396円
チケット販売ページ:https://wagakkiband.zaiko.io/_item/331434

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