【インタビュー】アイビーカラー、イメージ覆す新作で目指す「もうひとつ上のステージ」

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大阪発ノスタルジックピアノロックバンドとして、2016年から活動を始めたアイビーカラー。何気ない日常の中でふと芽生えたり消えかけたりするピュアな愛の行方を丁寧に描いた歌詞と、思わず口ずさみたくなる美しくもキャッチーなメロディーを武器に、自分たちが信じる音楽を誠実に発信し続けてきた4人組だ。そんな彼らが、4枚目となるミニアルバム『WHITE』をリリース。アイビーカラーの代名詞でもある切ないラブソングだけでなく、新たな一面もしっかりと刻まれた意欲作となっている。メンバーを代表して佐竹惇(Vo&G)、酒田吉博(Dr)に話を聞いた。

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■何事もプラスに

──今年はいろんなライブが中止や延期になっていますが、アイビーカラーも、バンドにとって最大規模となる大阪・BIGCATでの自主企画を予定していたそうですね。

酒田吉博:そうなんですよ。でも、情報解禁すらできないままでした。

佐竹惇:去年から始めた<夏色音楽祭>というイベントで、年に1回、これから毎年やっていこうって思っていたんですが、2年目にしてこんな躓き方をするとは(笑)。僕らからすればBIGCATはすごく大きな会場で、挑戦の意味もあったから気合いが入っていただけに、ショックも大きかったですね。他にもいろんなライブが飛んでしまって戸惑いはあったんですが、もう仕方がないので、気持ちを切り替えて制作に打ち込むことにしました。

──5月には有料配信ライブもありました。

佐竹:初の試みでしたが、画面越しであっても久しぶりに僕らのライブを見られるということで、たくさんの方が喜んでくれたのかなという印象はあります。僕らは全国をツアーで回るようなバンドではないので、遠くの方にも見てもらえるいい機会にもなったかなと。

──その時に、今回のミニアルバムにも収録されている「夏空」を新曲として初披露されたんですよね。これまでとはちょっと違った、明るくて力強い印象の1曲です。

佐竹:「夏空」は、コロナの期間になってから急遽作り出した曲なんです。僕らは別れの曲とか切ないラブソングが多いんですが、こういう時期だからこそ前向きにっていう歌詞になっています。僕、前向きな歌詞は普段あまり書かないんですよ。好きじゃないわけではないんですが、なんかこう、自分が書いていいものかみたいなところがあって。でもファンの皆さんに会えないこういう時期なので、ちょっとでも元気を出してもらえたらなと思って書かせてもらいました。



酒田:今回は柴山慧さんにギターアレンジと演奏で参加していただいて。アレンジャーさんと一緒に作るのは初めてだったので探り探りの部分もありましたが、すごくいいものが出来上がりました。

佐竹:今までとはまた違う壮大さがあるし、ちょっとエッジの効いた部分もあったりしてね。制作は結構キツキツだったけど、コロナがなかったらこの曲の配信リリースはできていなかったと思うので、何事もプラスに変えていこうということで頑張りました。

──MVは、酒田さんが撮影も行っているそうですね。

酒田:これも、コロナじゃなかったら僕は撮影してなかったんですよ。というのも、ちょうど県を跨いでの移動がダメな時期だったので、もともと予定していた東京のチームが来られなくなり、急遽(大阪で)カメラマンを探そうということになったんです。その時に僕が頼めるカメラマンが1人しかいなくて、じゃあ僕と2人でやりましょうっていう流れで。

佐竹:(酒田は)これまでも、同じ事務所のバンドのMVの撮影とかもやってるんですよ。

──酒田さん、インスタの写真なんかもすごくこだわっていますよね。女子力高い感じで(笑)。

酒田:そうですか(笑)?最近、ちょっと更新できてないですけど。

佐竹:“更新できてない”って、その発言が女子やねん(笑)。

──(笑)。でもすごくいいMVに仕上がっていましたね。ちょっと感動しました。

佐竹:そうなんですよ。実は今回初めて、写真や動画を募集したんです。これは僕らのわがままだったんですが、募集の時に「MVで使うから」とは言わず、コロナになる前の夏の思い出の写真や動画をなんでもいいから僕らにくれませんかって。

酒田:それを、僕たちが何かの表現として返しますからってね。

佐竹:中には「これ、夏!?」みたいなのもあったけど(笑)、みんなとにかく自由で。1000通以上送っていただいて、すごく嬉しかったです。コロナやからこそみんなで前を向くっていうテーマの曲でもあるし、こうやってみんなでMVも作れたし、いろいろ込み込みでこの時期に出せて本当に良かったなって思っています。

▲酒田吉博(Dr)

──先ほど「何事もプラスに」という言葉もありましたが、これが例えばバンド結成してすぐだったりすると、動こうにも動けないとか、どうしていいかわからないとか、あたふたしてしまっていた部分もあるかもしれないですね。

酒田:そうなんですよね。

佐竹:僕らは今ありがたいことに事務所などチームがあるので助かっていますけど、これが全部自分たちでって考えると正直ゾッとするよな。

酒田:うん、ちょっと怖い。

──今、バンドがスタートして4年半。酒田さんが加入されて今のメンバーになって2年ですか。

佐竹:はい。最初は高校の軽音楽部で一緒だったドラムと僕だけで始めたんですが、キーボードの(川口)彩が初ライブから参加してくれていて。彼女はバンド経験もない、ただピアノを習っていた普通の女子大生だったのに、その後「やってみたい」って言ってくれて2回目からは正式メンバーになりました。そこからベースの(碩)奈緒が入って、サポートしてくれていた酒田が正式に入りました。

──どんなメンバーが加入するかによっても、バンドの方向性って変わってきたりしますよね。

佐竹:変わると思います。場合によっては解散とかあると思うし。その点僕は不満なくやれているので、もう運が良かったとしか言いようがないです。前のバンドはちょこちょこ地元のライブハウスでやるレベルだったけど、(アイビーカラーでは)とにかく自分の好きなようにやってみたい、大阪でいっぱいライブがしたいって、ただがむしゃらにやってましたね。だから、ビジョンとかそんなのもなく。

酒田:でも楽曲の方向性としてのビジョンはあったんじゃない?

佐竹:あ、確かに始めた時からそんなに大きく変わってはないかも。

──今年2月に配信リリースされた「春風」は、前のバンドの時からやっていた曲なんですよね。

佐竹:はい。僕はめっちゃいい曲だと思っていたけど、前のバンドでは全然メンバーに好かれていなくて。今でも仲はいいけど、結果そういう音楽性の違いというか、じゃあ各々違うところでやってみようかってことで解散したので、消化不良だったんですよね。もうちょっと自分の好きなやつでバンドやりたいなと思って始めたのがこのアイビーカラーだったので、その「春風」みたいな切ない恋愛系の曲とかをベースに、ピアノも入った綺麗な音でやっていけたらいいなと。ざっくりですけど、当時はそれくらいの感じでした。



──アイビーカラーは「ノスタルジックピアノロック」と称されるように、ピアノはアレンジの面などでも重要な役割を担っていますよね。

酒田:楽曲としてもそうですが、ピアノがいることによって専門的な面で助けられることがめちゃくちゃありますね。コーラスとか、僕らはめちゃめちゃ複雑な感じで作るので。

──酒田さんの加入で、アレンジの面などもより自分たち主導でできるようになったと伺ったのですが。

酒田:たぶんこれまでは、曲を作ったらボイスメモで録って「こういう感じ」って流れで作っていたと思うんですが、僕が入ってからはパソコンでの作業が中心になりましたね。例えばまず惇くんが声とギターを家で録って、送ってもらったものを僕が編集してみんなに投げて、それに合わせて僕がパソコン内でドラムを打ち込んで、それに重ねてみんな録っていくみたいな流れを構築し始めました。

──作詞・作曲は、今のところ佐竹さんおひとりで。

佐竹:はい。歌詞、メロディー、コード進行は僕がやっています。

──先ほど「前向きな歌詞はあまり書かない」とおっしゃっていて、結果的にはそこがアイビーカラーの個性にもなってきたと思うのですが、書かなかった理由は何かあったんですか?

佐竹:それを歌いたくない日のライブとかもあるじゃないですか。そのライブに乗り気じゃないとかではなく、今日はお客さんを泣かせたいとか、何か心に響かせたいとか、感動させたいとか──まぁ、それはずっと共通してあるんですが、そういう意味で言うと「元気にいこう!」みたいなのは俺あまり思わないんですよ。でも、最近ファンクラブを作って、コロナもあって、今更ですけどアイビーカラーをずっと応援してくれる人の存在を実感しているところなので、そういう人たちのためにもポジティブな作品があっても面白いんかなって思うようになったんです。

──アイビーカラーの曲はすごく「1対1」の距離感にあると思うんです。どの曲も、言葉がまるで自分のことのように響いてくる。こんな歌詞を書いている佐竹さんは、一体どんな恋愛をしてきたんだろうという点にも興味津々なのですが(笑)。

佐竹:それ、よく聞かれます(笑)。でも恋愛は別に普通やと思いますよ。そんなどぎついこともなかったし、スタンダードなほう。

──今作には、男女間のダークサイドを全面に押し出した「L」みたいな曲もありましたが(笑)。

佐竹:(笑)。

酒田:でも実体験はあまり書いてないよね?ちょくちょくあったりするみたいだけど。

佐竹:うん。その「L」は、みんなの共感が特にすごかったですよ。「みんなどんだけ不幸やねん!」って思うくらい(笑)。

酒田:初めてライブでやった時はお客さんもびっくりしていたみたいだけど、後でTwitterとか見ると結構反応が良かったりして。

佐竹:ホッとしたな。

酒田:正直「大丈夫かな!?」って思いながらやっていました。

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