【インタビュー】WANDS、21年ぶりのニューアルバムを語る「ちゃんと前に進めている」

■いちばん上杉さんを意識しなかったのは
■「Burning Free」かもしれないですね

──ジャジーなテイストの「賞味期限切れ I love you 」は歌詞が赤裸々ですが、曲を作ったときのイメージは？

柴崎：メロディ構成が、Aメロがあって間奏が入ってもう一回Aメロがきてからサビに移行するので、飽きさせずに曲を進行させていくことを考えながら作った曲ですね。サビは二回だけというサイズになったんですが、演奏だけのセクションが多いアレンジの曲が、1曲ぐらいあってもいいかなって。

──柴崎さんの中で「賞味期限切れ I love you 」のサウンドについて思い描いていたことは？

柴崎：初期のWANDSに通じる横ノリのナンバーで自分が好きなタイプの曲調でもありますね。

木村：僕の中のWANDSはライブでセッションできるような曲というイメージがあまりなかったので、この曲は新鮮でしたね。特に第3期はライブハウスで楽器陣がやりとりするような曲はなかったと思うし。

柴崎：そうなんだ。

▲木村真也(Key)

──まさにライブでアドリブも楽しめそうな曲ですものね。歌詞は彼女に醒めてしまった男子の気持ちがリアルに描かれています。

上原：そうですね。生々しいというか、毒があるというか、聴く人が“そこまで歌って大丈夫？”って冷やっとする内容かもしれない（笑）。これまでの僕のイメージってもう少しカッコつけてる感じで、人間味はあまり感じられないかもしれないですけど、「賞味期限切れ I love you 」は“性格悪いんじゃないの？”って思われそうな歌詞ですよね。こういうのも面白いなと思って、歌詞はサラッと書けました。

──デートしている最中にほかの女子が気になっちゃったり、見たいドラマのこと考えちゃったり、まさに賞味期限切れの恋の男性心理だと思いますけど、踏み込んで書いてるなって。

上原：はははは。“別れ際あるある”じゃないけど、男性も女性もこういう気持ちって経験したことがあるんじゃないかなって。WANDSには「世界が終るまでは…」みたいな男っぽいイメージがあるかもしれないですけど、こういう面も上原大史ということで。

──刺激的です。ライブが思い浮かぶ熱いロックナンバー「Burning Free」はどうでしょう？

柴崎：実は、第5期WANDSとして一番最初に作った曲が「Burning Free」なんですよ。なので、やっと発表できて嬉しいですね。

──ハンドクラップで会場が盛り上がりそうな。

木村：確か、柴崎と久しぶりに会ったときに話した曲だよね。「クラップ、どんな音色がいいかな？」とか。

柴崎：そうそう。「クラップじゃないとしたら、ほかに何かないかな？」みたいに。

木村：第5期になって、初めて話し合ったオリジナル曲ですね。

柴崎：曲の構成自体もどんどん変わっていった曲なので、その都度、歌詞を書いてもらったんだよね。


──タイトルどおり勢いがある歌詞になっています。

上原：いろいろと葛藤があったゆえに開き直った歌詞というか（笑）。

──いろいろ重圧があったゆえに？

上原：そうですね。“バーンと言ったれ！”っていうのがあって、バーニングフリーしました（笑）。

柴崎：つまり『BURN THE SECRET』な感じでしょ？（笑）。

上原：そうですね。この曲にこんな歌詞ふさわしくないよねっていう意見があったとしても厭わず、やりたいようにやって。気に入ってくれたら嬉しいし、そうじゃないなら、それでいいよっていう。

──そんなふうには感じないですが、例えば、どのあたりの歌詞がふさわしくないと思ったんですか？

上原：例えば“ぴょんと跳ねりゃ 飛んでイって そんでもって 壺中の天”の“イって”がカタカナになっていたりとか。“気焔の華 咲き散らそう 燃え尽きて カラッポになりましょう”も完全に下ネタなんですよね（笑）。そういう言葉を人生と重ね合わせているというか。

──ダブルミーニングですね。

上原：そう！ そういうことです。

木村：ははは。

上原：人生、楽しんで行こうぜっていう。ポイントポイントで見ると、カッコいい言葉を使っていないんですよね。

──確かに。“人生ごと 火だるまへ”っていう表現も男っぽいというか。

上原：あまり細かいことを気にしないで書きましたね。

──シャウトしてるし、歌も振り切れてますものね。

柴崎：最初のテイクからそうでしたね。

上原：いちばん上杉(昇)さんを意識しなかったのは、この曲かもしれないですね。

──そうだったんですか？

上原：そうですね。上杉さんを求められるっていうプレッシャーはすごく自分の中にあったので、それに疲れた曲かもしれないですね。

柴崎＆木村：ははははは。

柴崎：日々、いろんなことを考えるわけじゃないですか？ その過程で何かが噴き出したんじゃないでしょうか（笑）。

上原：それはあるかもしれないですね。

──それでマグマのようにスカッとする熱いナンバーが？

木村：上原くんらしい感じが出てきて嬉しいです。

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