【対談】Rhythmic Toy World×小島梨里杏、音楽と演技で描く「幸せ」

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■MVがあって「犀日」という曲が完成した

──彼女役を演じる上で、こだわったところはどんなところだったのでしょうか。

小島:先ほどの内田さんのお話を聞いて、わかってくださっていたんだなって思ったんですけど、2人がどれぐらい月日を重ねたのかというのは、結構意識していましたね。監督に、「この2人はどれぐらい付き合ってるの?」とか「年上?年下?」とか、そういうことを聞きました。それと、仲が良いからこそできる、愛情のある雑な態度とか適当な対応ってあるじゃないですか?そういうところはかなり意識しました。同棲して毎日過ごしている日常の中というのを表現したかったです。

岸:すごい……今、感動して泣きそうになりました。

磯村:僕らも、MVで恥ずかしながら演技をしたことあるんですけど、そこまで考えるなんてなかったですよ。比べるのもめちゃくちゃ失礼な話なんですけど(笑)。

内田:うちらの場合は演技というか、マジックというかエンタメみたいなね。次元が違うから(笑)。

岸:そんなにたくさん考えて演技ができるなんてすごいですよね。

小島:いえいえ(笑)。

内田:すごく細かい話なんですけど、オムライスが出てくるところで、一瞬こっちを見たまま、口の中のものを咀嚼するというシーンがあるんですけど、そこなんですよ!

一同:(笑)。

内田:僕はそこがすごいなと思ったんですよ。だって、普通は隠すかもしれないじゃないですか?

小島:ああ〜、たしかに。一回後ろを向いて食べてから、振り向くというか。

内田:そうなんですよ。でも、それだと2人の付き合ってる期間が浅いというか。そうじゃなくて、一番先に気持ちを届けたいのはこの人だっていうのを決めてる人の仕草だなと思って。そのシーンを見て、これは疑似的に見ている人も彼氏の気持ちになれるという……ちょっと大丈夫ですか?引いてないですか?

一同:ははははは(笑)。

小島:自分としては「私、そんなことやってたっけ!?」みたいな感覚なんですよ。狙ってやってたわけじゃなくて。監督が持っているカメラに向かってお芝居している中で、咀嚼しながらこうやって(右手で「OK」)やった覚えもないんです(笑)。

──ちゃんとそこをチェックしてくれてましたね。

小島:そうですね、嬉しい!

内田:よかった!「気持ち悪い!」って言われなくて(笑)。

一同:(笑)。

磯村:僕は個人的に、誕生日を祝うシーンが好きですね。

須藤:ああ〜それね!

内田:ちょっと滑るんだよね、靴下が。いいよねえ。

小島:あはははは(笑)。

磯村:怒ってるシーンから、誕生日のシーンにつながるという流れもよかったです。そこもやっぱり月日を重ねた2人の関係が出ているのかなって、ほっこりしちゃいましたね。喧嘩しても仲直りして、誕生日を祝ってくれるんだなって。

小島:最初に台本を見たときに、割と幸せな描写が多かったんですよ。私はそれが「どうなんだろう?」って思ったんです。これは、お互いの波みたいなものを乗り越えて幸せになっていくんだろうなって思ったんですけど、このMVが完成してから思ったのは、彼目線で歌われているから、「こういう波があって辛いこともあった」っていう「辛いこと」を、そこまで重く描いてないじゃないですか?それって彼の解釈なんだなって思ったら、めっちゃ幸せになったんですよ。

内田:今の話ヤバい……。そうなんだ。

小島:「病めるときも、健やかなるときも」っていう、「病めるとき」を重く描いていないのは、彼がそれを愛おしい思い出として捉えているからで。だから、彼女の笑顔がめちゃくちゃ多いMVになっているんですね。それが最高じゃんって思って。素敵ですよね。

内田:その通りですね。同じ空間にいても同じ経験をしても、それぞれに全然違うものが見えている。今回、僕が作った【「幸せ」ってきっと瞳に映るものなんだと思う】っていうキャッチコピーがあるんですけど、自分が落ち込んだり暗くなったりしてても、そんなことよりも先にあるのは相手の楽しそうな笑顔で。それが、自分の中での「君が幸せをくれる」っていうところに集約されているんだなって、改めて感じました。

岸:自分も好きなシーンめっちゃあるんですけど、特にプロポーズのところが好きです。小島さんが撮影のときに泣いて、現場にいたスタイリストさんがもらい泣きしたっていう話を聞いてから見たんですけど、めちゃくちゃ感動しました。なんか、嬉しいけど涙が出てきちゃってる感じで。あれは、どういう心境だったんですか?

小島:私も、指輪を差し出された経験がなくて初めてだったので、すごく嬉しかったんですよね。嬉しいと共に、湧き上がってくるものがあって。あれはなんだったんだろう?言葉にできないですけど……。

岸:入り込んでた感じですか?

小島:そうですね。嬉しかったなあ(笑)。

岸:あと、公園の遊具のシーンとか。衣装がすごくかわいい。

内田:ただの趣味の話になってきた(笑)。

須藤:もう数えきれないですね、良いシーンが多すぎて。たまねぎを切ってるシーンで涙が出ちゃったりとか、あるよね〜って。あと、普通に綺麗な格好をして一緒に街を歩いて笑いあってるとか、あるよね〜って。随所で「それあるよね〜」っていうちっちゃな幸せが散りばめられていて、最後にプロポーズが「キター!」ってなって、名演技をされているっていう。

内田:須藤君がこれだけ言うっていうことは、これから見てくれる人がみんなそういう気持ちになってくれるっていうことかもね。

須藤:うん、間違いないです。

内田:時期的にも、もうすぐクリスマスですし。

小島:ベストですよね。

磯村:最後のプロポーズシーンのロケーションの画像が、マネージャーからメンバーに送られてきたんですよ。「今から本番始まります」って。それがプロポーズのシーンって、わかってるじゃないですか?だから勝手にドキドキしちゃって(笑)。結末がわかってるのに、「どうだった?」って聞いたら「成功しました!」「やったー!おめでとうー!」みたいな。勝手に盛り上がってました(笑)。

内田:成功しないとストーリーとしてダメだからね(笑)。

小島:リアルタイムでそんなやり取りしていたんですね! そこまで盛り上がってるとは知らなかった(笑)。すごいなあ。


──小島さんの「ここを是非見てほしい」というシーンを挙げてもらうとどの場面でしょうか。

小島:出来上がった映像を見て「こんな顔してたんだ」って気づいたシーンがあって。喋りながらアッカンベーしようとして白目をむいているような、ちょっと変な顔なんですけど(笑)。そういうのも、自分を繕ってるときには見せられない表情だろうから、思い出の1ページに入れてくれた彼の愛みたいなものを感じ取れると思います。

──メンバーのみなさんに聞きたいことはありますか?

小島:曲の一番最後のドラムが好きでした。

内田:一番最後のドラムロールの部分ですかね?

小島:そうです。曲の最初で、内田さんのボーカルの後にピアノの音が入ってくることで物語の始まりを感じたんですけど、最後にドラムロールが入ることで、終わったんじゃなくて行進していくんだなっていうイメージがわきました。「幸せな日々をこれからも一緒に」っていう感じがして、すごく素敵だなと思います。

磯村:今、ものすごく冷静にしていますけど、すごく嬉しいです(笑)。マネージャーの結婚式のときから、行進みたいなところは入れていたんです。当時はアコースティック編成でやったんですけど、バンド編成でもあれはやりたいよねっていうことは作った本人から言われていたので。今言ってくれたみたいに、ここからまだ続くストーリーのイメージにしました。

──小島さんは、俳優としてバンドに感じる共通点みたいなものはありますか。

小島:映像と舞台でもまた違いますけど、私が舞台に立つときの感覚やお客さんとの距離感って、バンドのライブと近いのかなと思います。

──舞台に立つ怖さみたいなものを感じることはないですか?

小島:めちゃめちゃありますけど、幕が開くと、全然大丈夫になっちゃうんですよ。

内田:それについて、コツがないか聞こうと思ってたんですよ。僕は結構ガチあがりするタイプで、最後の最後まで、あがりが取れなかったなっていうときは、すごくへこんじゃうんです。好きな歌を満足に歌えなかったみたいな気持ちで。はたからそう見えなかったとしても、そのステージにすごい罪悪感、嫌悪感みたいなものを残してしまうときもたまにあって。

小島:うん、うん。

内田:役者さんの現場ってバンドよりも人数が多いじゃないですか?今日、僕らもテレビの収録があったんですけど、自分1人のミスで大勢が動くから、僕だったらそのプレッシャーで自分を押しつぶしちゃいそうな気がして。そういうときにどうやって抜け出せばいいんだろうって教えていただきたかったんですよね。

小島:ああ〜、なるほど。私は、逆の立場のとき、例えばほかの演者の方がセリフを間違えたり、タイミングが早いときとかがあると、楽しくなっちゃうんですよ(笑)。信頼関係があるからそう感じるんだと思うんですけど、自分がミスしたときに相手がそうあってくれたら楽ですよね。

内田:何かしら背負うものが多いなっていう気分のときってそうなりがちなんですよね。僕らの場合、昨日は30分だったけど今日は2時間のステージっていう状況がざらにあって。演奏時間が短いと、「30分で心に残るものを届けなくちゃいけない」みたいなことを1人で背負っちゃってるんだろうなと思うんです。でも2時間だと余裕なんですよ。ちゃんと信頼しているメンバーもいるし。あんまり背負いすぎないようにもっと気楽にステージに臨めるようになれば、もっと素敵なものをファンに届けられるかもしれないなって思いました。この話題についてお話しできてよかったです。

小島:委ねることって、なかなか勇気がいることですからね。気持ちがあればあるだけ、自分で頑張ろうって思うと、ちょっと背負いすぎちゃうことはあると思います。


──小島さんはバンドをやってみたいという気持ちはあります?

小島:あります。音楽がすごく好きなので、憧れてます。

内田:めちゃくちゃ素敵な声ですもんね。

小島:ありがとうございます。歌が大好きなので、1人で部屋で歌ってます。

──「犀日」はカラオケでも歌われそうな曲ですよね。

小島:そうですよね。

岸:是非、歌ってください。

磯村:お願いします!

──では最後にそれぞれ今後の活動へのエールを送りあってもらえればと。

小島:今年が結成11年目なんですか?

内田:11月9日で丸々11年です。12年目に突入しました。

小島:全然関係ないかもしれないですけど、「犀日」リリース日の11月28日が、たまたまうちの姉の誕生日なんです。

内田:ですよねー!

一同:(爆笑)。

小島:(笑)「犀日」は、結婚している姉に送りたい曲です。夫婦を見ていると、良いことも悪いことも色んな出来事があるので、それを経てこの曲を改めて聴いて、一緒に歩んでほしいなって思います。Rhythmic Toy Worldのファンの方や新しく入ってくるファンの方も、これから12年目になって、歩んでくれる仲間が増えるといいなって、勝手に応援しています。

須藤:今日は久しぶりにお会いして、人柄の良さとか優しさとかがすごく伝わってきました。僕って、本当にMVを見て泣かないタイプなんですけど、「犀日」のMVでめちゃ泣いたんですよ。これはすごいですよ(笑)。僕に涙をくれたのは、小島さんなんです。本当に演技が自然で、そこが僕の感情をツンと突いて涙腺が壊れてしまいました。僕らも頑張りますし、恐縮ですがお互いもっともっと頑張れたら嬉しいなと思います!

磯村:今回のMVがあって「犀日」という曲が完成したような気がします。僕らのことを知らない人もたくさんいるので、このMVをきっかけに小島さんのファンの方にも見て聴いてもらえたらすごく嬉しいです。小島さんのご活躍もすごく期待してます。今後ともRhythmic Toy Worldをよろしくお願いします。

岸:小島さんのお話を聞いていて、すごく似てるなと思ったんです。演技って、台本があるじゃないですか?それを自分流にアレンジするところが、僕らと一緒だなと。楽器も、曲があって自分が思ったようにアレンジするので。ピアノやストリングスのアレンジは僕が担当したんですが、恋愛はただ幸せなだけじゃなくて、ちょっと悲しいところもあるということを感じていたので、コードとかで悲しさをちょっと出しつつ、全体的には力強く作ったんです。そういうところが、小島さんがMVに対して考えて演技してくれたところと似ているなって。自分ももっともっと、プロ意識を持ってやろうと思いました。今日はすごく勉強になりました。

内田:今年、未来に予定があるっていうことの大事さ、ありがたさ、素敵な力みたいなものに改めて気付くことができたんです。未来に待ち合わせ場所を作っていくことってすごく力になるなっていうことを感じました。小島さんがこれからご活躍されて、主演ドラマがあったときに、僕たちが主題歌をできるように頑張りますので、小島さんも主演が決まった際には僕らを呼んでください(笑)。ファンのみなさんには、作品を見てもらえればわかると思うんですけど、本当にエネルギーもある、思いもしっかりと具現化できてる映像になっているので、「またこのタッグが見たい」って思ってもらえたら嬉しいです。

──本日はお2組ともありがとうございました!

RTW&小島:ありがとうございました!

取材・文◎岡本貴之

Digital Single「犀日」

2020年11月28日(土)配信リリース
[発売元]
STROKE RECORDS
株式会社 BIG HIT COMPANY

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