【レポート】B'z、5週連続無観客配信ライブ<-5 ERAS 8820- Day1>に大いなる感動「みなさんの胸に届くように」

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またB'zの新たな挑戦が始まった。周知の通り、32年間を5つの時代にわけ5回のライブで各時代を再現/表現するという、かつて想像だにしなかったスペシャルすぎるライブイベントの誕生だ。Zepp Haneda (TOKYO)というライブハウスからの配信であり、新作を引っさげたツアーではないことから、<LIVE-GYM>ではなく<SHOWCASE>の冠がつけられているが、5つの時代に特化した<Pleasure>シリーズと考えれば、<B'z SHOWCASE Pleasure 2020 -5 ERAS 8820- Day1>と言い換えることもできそうだ。初期からの濃密ファンならば、このタイトルだけで武者震いが止まらないことだろう。

◆B'z 画像 / 動画

B'zの活動の歴史を5つの時代に分けたとあれば、ゴールデンエラはいつだったのかと邪推してはみるものの、もちろん自ずと答えはわかっている。ファンの数だけ答えはあり、いつの時代もがゴールデンエラになり得るところにB'zの真価があるからだ。どの作品でB'zを知り、どのアルバムでB'zを聴き込み、いつの<LIVE-GYM>で感銘を受けたのか……B'zと歩んだその人の人生にB'zサウンドが寄り添い、あるときには強く深く刻まれていたりもするだろう。すなわちその人にとってのB'zゴールデンエラはそこにある。


B'zは、正しく進化と成長を遂げ続けてきた。謙虚であり実直であり、純粋であり堅実でありながら冒険を楽しみ、変化を恐れなかった。そんなアーティスト活動を重ね続けた彼らだが、B'zの32年間を振り返ってもメンバーの不仲やモチベーション低下といった不毛の時期は見当たらない。それ自体が驚異でもあるのだけれど、サウンドライブラリーのどこを切り取ってもゴールデンエラになり得てしまうという規格外の奇跡は、そのままB'zの傑出した存在自体を言い表している。

最新作『NEW LOVE』のインタビューにおいて、稲葉浩志は「改めてオリジナルを聴くと“あれ、こんな感じだったっけ”ってこともあったりしてね」と、自らの身に積み重なる変化・成長から生まれるオリジナル音源へのギャップを指摘していた。これは長年寄り添ったシェーン(Dr)&バリー(B)布陣から新たなバンドメンバーに刷新した際に出てきた発言で、「同じメンバーで何年も演っているうちに、オリジナルとも変わってきたりしていて、そのバンドメンバーのカラーが強くなってくるんです。曲によって、特に古い曲などは違う聴こえ方がしたりする。そういう意味では、出発地点に戻ってオリジナルから新しいメンバーのテイストで始める作業が、新鮮で面白い」といった意の発言を残している。同様に松本孝弘も「新しいアプローチで過去の曲に臨むというのは面白いし、すごくいい機会」と、無邪気さすら漂わせていた。



<B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day1〜5>の初日となった10月31日のDay1は、増田隆宣(Key)、大賀好修(G)、田中一光(Dr)、徳永暁人(B)というメンバーを引き連れ、1988年から1993年に発表された作品だけを選びだすライブイベントとなった。誤解を恐れずに言えば、あの頃のB'zサウンドと今のB'zサウンドは肌触りが大きく違う。ビートの捉え方もギターサウンドも、メロディと言葉の載せ方も、耳に残るべく組み立てられた戦略的なサウンド構築も、今よりもずっと硬質で理知的なものだった。当初からハードなバンドサウンドは根っこに据えていたものの、スタイリッシュなデジタルビートとハードエッジなロックテイストが融合を見せるというポイントに力点が置かれ、今のような野太さや転がるような鼓動は持ち得ていなかった。

そんな初期のサウンドもロックバンドがピュアにプレイすれば、デジタルビートの香りは消えて波立つようなグルーブが陰影を描き出していく。同じ曲ながら全く違ううねり方。全く違う色彩ながら全く変わらぬ心地よさ。そんな音楽が持つ芳醇な芳烈を、B'zは色んな角度から放ち続けた。記念すべき1stシングル「だからその手を離して」からライブはスタートしたが、照明と巨大なスクリーン映像がセットされバンドメンバーがプレイしているステージには上らず、あえて観客フロアでパフォーマンスし続けた。スモークとバックライトでシルエットを描くふたりだけの映像は、「だからその手を離して」の1stミュージックビデオを模したものだ。32年もの年月を今に重ねるB'zならではのエンターテインは、初っ端からファン心をガッチリと掴んで離さない。


過去を否定せず、未来を楽観せず、現状の自分たちの足元を確かめ、信じる道をただただ愚直に突き進むというB'zスピリットは、自らの過去作品までをも新鮮で斬新な2020年製ロック&ロールに刷新するという、あるべきバンドマジックで証明し続けた。<B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day1〜5>はそういうライブなのだ。

途中、20年ぶり以上となる“フォークソング同好会”の復活や、サックス、トロンボーン、トランペット×2というブラス隊とのパフォーマンス、歌詞と同期した美しいスクリーン映像など見どころも満載だったが、やはり「恋心 (KOI-GOKORO)」の一体感は格別だった。老若男女様々なファンが踊る映像シーンもシンクロし、僕らが会場にいようといなかろうと、音楽は距離を超えて一体感を作り出すことをまざまざと見せつけ続けた。『快楽の部屋』では稲葉浩志の「皆さん聞こえてますか?」の一言で、一気に心の距離を詰めていく。普通のコンサートであればステージと観客というエリアが存在するのだけれど、どうやら配信ライブというものは、気持ちを掴まれると距離を飛び越えステージ上で彼らのパフォーマンスを身体で浴びる感覚が得られるようだ。「裸足の女神」ではスタジアムの光景が重なり、数万人との心の交流が染め上げられて、リアルライブでは経験できない没入感に浸り続けた。心はすでにライブ会場、B'zサウンドに乗って羽田にひとっ飛びだ。


2020年10月31日、全国各地でB'z Tシャツに身を包み、大いなる感動ととっておきの笑顔でたくさんのB'zファンがハロウィンナイトを楽しんだことだろう。コロナ禍によって世の中は様々なダメージを受けてしまったけれど、こんなロックンロール・ハロウィンならば大歓迎だ。「せーの」「お疲れー!」。

なお、ライブ終了後に「さよならなんかは言わせない」をバックに流されたエンディング映像が終わった後、松本孝弘のアコギをバックに稲葉浩志が「HOME」を歌う練習風景がちらっと流された。次回はDay2、2つ目のゴールデンエラは、どういう香りを放つだろうか。

取材・文◎烏丸哲也 (JMN統括編集長)

■<B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day1>2020年10月31日(土)@Zepp Haneda セットリスト

01. だからその手を離して
02. BLOWIN'
03. 星降る夜に騒ごう
04. BE THERE
05. 太陽のKomachi Angel
06. Easy Come, Easy Go!
07. GIMME YOUR LOVE -不屈のLOVE DRIVER-
08. ALONE
09. あいかわらずなボクら
10. Baby, You're My Home
11. TONIGHT (Is The Night)
12. どうしても君を失いたくない
13. 恋心 (KOI-GOKORO)
14.『快楽の部屋』
15. ZERO
16. RUN
17. 裸足の女神




■5週連続無観客配信ライブ<B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day1〜5>

▼Day1
10月31日(土) open18:00 / start19:00
▼Day2
11月07日(土) open18:00 / start19:00
▼Day3
11月14日(土) open18:00 / start19:00
▼Day4
11月21日(土) open18:00 / start19:00
▼Day5
11月28日(土) open18:00 / start19:00
※開場は各配信チャンネルのオープン時刻です。ライブ配信開始は19:00からとなります。
※B'z PARTY会員限定チャンネルは、17:30開場 / 18:30特典映像配信開始となります。

【サポートメンバー】
▶Day1, Day2, Day5:増田隆宣(Key)、大賀好修(G)、田中一光(Dr)、徳永暁人(B)
▶Day3, Day4:増田隆宣(Key)、大賀好修(G)、黒瀬蛙一(Dr)、満園庄太郎(B)

【チケット代金】※全配信メディア共通
¥ 3,500(税込)
※アーカイブ配信も同額となります。
※別途、配信メディアごとに手数料が必要です。

【配信メディア / 各チケット購入先】
・PIA LIVE STREAM https://w.pia.jp/t/bz-pls/
・ローチケ LIVE STREAMING https://l-tike.com/bz/
・Streaming + https://eplus.jp/Bz2020-st/
・LINE LIVE-VIEWING https://lineblog.me/livepress/archives/13263474.html
・新体感ライブ CONNECT https://shintaikan.live/info/bz2020
・GYAO! https://yahoo.jp/Lx3XPQ
・uP!!! https://up.auone.jp/articles/id/81232?ref=os
・U-NEXT https://t.unext.jp/bz_hyvh1xht
・B'z PARTY (PIA LIVE STREAM・B'z PARTY会員専用版 / 特典映像配信付き) http://bz-party.com/

【チケット発売日】
一斉発売開始:9月11日(金)12:00〜
※購入期限は各配信日翌日22:00まで
※視聴方法、チケット購入に関するご不明点は、各配信メディアへお問い合わせください。
※B'z PARTY会員専用版プラットフォームPIA LIVE STREAMのみ、各配信日当日の18:00〜21:00の間はチケット販売が停止となりますのでご注意ください。

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