【レポート】<Tokyo Music Evening Yube>、2回目となる「⻄本智実&イルミナートフィルハーモニーオーケストラ(特別出演:佐久間良子)」開催

ツイート

2020年11月1日(日)、池袋GLOBAL RINGにて<Tokyo Music Evening Yube>が開催された。

◆<Tokyo Music Evening Yube> 関連動画&画像

<Tokyo Music Evening Yube>は、「誰もが主役になれる劇場都市」豊島区において、劇場での観劇鑑賞後の余韻とともに池袋でのナイトライフを満喫できる“アフター・ザ・シアター“を推進するため、そのきっかけとして本格的なクラシック音楽を堪能できるプログラム。新型コロナウイルス感染防止対策のため休止を余儀なくされ、無観客でのライブ配信という形を取っていた同プログラムが、ソーシャルディスタンスを保つ形で入場人数を制限しつつ、9月より本来の場である池袋GLOBAL RINGでの公演を再開している。

この日登場したのは9月26日(土)以来、2回目の登場となる⻄本智実&イルミナートフィルハーモニーオーケストラだ。雨混じりの前回に比べ、この日はほぼ快晴。14時からはチケット応募抽選式で公開リハも行われ、ソーシャルディスタンスを保ちつつも多くの観客が訪れた。

この日11月1日(日)は「としま文化の日」。これまで区が進めてきた“文化によるまちづくり”を次世代に継承するため、国際アート・カルチャー都市のシンボル「Hareza池袋」のオープン日を記念し、11月1日を「としま文化の日」とする「としま文化の日条例」を制定したというもの。<Tokyo Music Evening Yube>はもちろん、イケ・サンパークでの大道芸、大塚駅南北自由通路にストリートピアノを期間限定で設置するなど、公園や屋外で楽しめるイベントを多く実施している(11月30日まで)。コンサート前には、これら取り組みについての説明、および豊島区区長の高野之夫からの挨拶も行われた。


17時から始まった本番一曲目は「新しい時代 新しい世界に前進」という西本からのメッセージが添えられた、ワーグナーが1880年代に作曲した行進曲「双頭の鷲の旗の下に(イルミナートフィル版)」だ。ヴァイオリンをはじめとした弦楽器、オーボエなど木管楽器、トランペットなど金管楽器、ティンパニなど打楽器に加え、この日はハープやパーカッションなど同会場の二階バルコニーも合わせ、総勢59名で編成されたイルミナートフィルの演奏を思う存分体験できるオープニングだ。チャイコフスキー「バレエ“くるみ割り人形”より“行進曲”」、ハープによるオープニングが美しい「バレエ“くるみ割り人形”より“花のワルツ”」と耳馴染みのいい曲が続く。

「国境を超えて、時代を超えて」というメッセージとともに披露されたのは黎錦光が作詞作曲し、1944年に李香蘭(山口淑子)の歌唱により上海の百代唱片公司から発売された中国の歌謡曲「夜来香」。「ご存知の方は一緒に口ずさんでください」とスタート。コンガのリズミカルなリズムと、オリエンタルなメロディーが印象的な一曲だ。


西本曰く、本日の演奏はファンからリクエストにより構成されたものだそうだ。そんな中、最もリクエストが多かった曲が次に披露される、ドヴォルザーク「交響曲第9番“新世界”より第4楽章」である。だれもが一度は耳にしたことがある作品であり、ドヴォルザークがアメリカに渡り、音楽院院長として音楽教育に貢献した体験に基づいた曲だ。ニュー・スタンダード=新しい生活様式が求められる昨今、この演奏が観客たちに何某かの影響・思いを与えるだろう、荘厳な演奏を魅せてくれた。

この日のハイライトとなったのが、マスカーニ「“カヴァレリア・ルスティカーナ”間奏曲」をバックに、女優である佐久間良子が相田みつを 「こんな顔で 山田寺の仏頭によせて」を朗読する次曲だ。「カヴァレリア・ルスティカーナ」はイタリアの小説家、ジョヴァンニ・ヴェルガによる小説(1880年出版)、同人による戯曲(1884年初演)、およびピエトロ・マスカーニが同戯曲に基づいて作曲した1幕物のオペラ(1890年初演)で、今日、特にイタリア語圏以外では最後のオペラ作品が有名となっている小品だ。そんな「カヴァレリア・ルスティカーナ」=「田舎の騎士道」に載せるのは、奈良興福寺宝物殿にある山田寺の仏頭を見た相田みつをが描いた詩である。こちらの作品は後日公開されるアーカイヴ映像から、各々でこの意味を感じ取ってほしい。


最後の曲は「この瞬間を共に刻もう」というメッセージが添えられた、作曲者の最高作といわれ、クラシック音楽全体でみても有数の人気曲、ヨハン・シュトラウス「ラデツキー行進曲」だ。軽快なドラムロールからお馴染みのメロディが始まると、会場中は手拍子に包まれ、たとえクラシックに馴染みのない通りすがりの観客たちも多幸感を味わえたに違いない。

天気もよく盛況の中、大団円を迎えたこの日の<Tokyo Music Evening Yube>。野外という開放感、オーケストラの迫力など、まさに“まち全体が舞台のコンサート”を体験できたはずだ。今後は11月11日(水)にマシュー・ロー、11月18日(水)に朝岡周の通常公演(だれでも入場可能)、そして11月26日(木)には小林研一郎&コバケンとその仲間たちオーケストラの特別公演(応募抽選)が行われる。詳しくはホームページを確認していただきたい。

<Tokyo Music Evening Yube>11月公演スケジュール

<特別公演>
■2020年11月26日(木)
出演:小林研一郎
時間:18時〜19時 ※公式YouTubeにて同時ライブ配信
応募期間:10月30日(金)14時〜11月13日(金)14時 / 当選発表:11月14日(土)

<通常公演>
■2020年11月11日(水)  出演:マシュー・ロー
■2020年11月18日(水)  出演:朝岡周
時間:19時〜19時30分/20時30分〜21時予定 ※公式YouTubeにてライブ及びアーカイブ配信

◆<Tokyo Music Evening Yube> オフィシャルサイト
◆<Tokyo Music Evening Yube> オフィシャルYouTube
この記事をツイート

この記事の関連情報