【インタビュー】カイリー・ミノーグ「歓喜の微笑みが、さらなる喜びを呼び込むわ」

ツイート

1980年代の「ラッキー・ラヴ」から始まり、2000年代の「熱く胸を焦がして」、2010年代の「オール・ザ・ラヴァーズ」…と時代をときめかせる多様なダンス・アンセムを生み出してきたカイリー・ミノーグの最新作『DISCO』が2020年11月6日に発売となる。

2020年代の幕開けに完成した通算15作目となるアルバム『DISCO』は、その名の通り思わず踊り出したくなるようなダンス・トラックばかりが揃った作品となった。閉塞している現代に輝きを与える作品として生を受けた『DISCO』は、どのようなアルバムなのか。カイリー・ミノーグがこのアルバムにこめた思いとともに、デビューから30年以上にわたって美しいきらめきを放ち続けられる秘訣にも迫った。


──最新アルバム『DISCO』…このタイトルやコンセプトはどういうきっかけで生まれたのでしょうか。

カイリー・ミノーグ:まずひとつに、私が元々ディスコが大好きだったいうのがあるわ。もうひとつは、2018年に開催した前作『ゴールデン』のツアーの中で「Studio 54」というディスコセクションを設けていたんだけれど、その時に「これこそ至福の境地(happy place)だわ」と実感させられたの。これを土台に、ディスコの美学を再現できないかしらと思った。だからすぐにアルバムのタイトルは『DISCO』にしようと決まったわ。とてもあからさまで直球なタイトルなんだけど、一方でディスコといっても様々な解釈があるわよね。生まれた年代が1970年代か1980年代か、はたまた2000年代かによっても全然違うでしょ?このアルバムで体現したかったのは、そういうディスコなの。

──本作を制作するうえでのキー・ソングはありましたか?

カイリー・ミノーグ:そうね、(2ndシングルである)「マジック」は2019年にレコーディングした曲だけど、アルバムのしっかりとした土台を作ってくれた感じだわ。完成しても最終的にアルバムに収録されない曲ってあるけれど、この曲に関しては必ず入ると確信できた。そういうマジックな曲だったの。あとロックダウンしてからも多くの曲を制作したけれど、特に思い入れの強いのが「ダンス・フロア・ダーリン」ね。途中からスピードアップするなんて他の曲とは違っているから、変わってていいと思うの。


──ディスコで踊れるグルーヴがあると同時に、全体的に「愛」に溢れた世界を感じます。

カイリー・ミノーグ:アルバムには様々なメッセージが託されている。でも、ひとつ大きなテーマを挙げるとすれば、それは人生ってことかしら。とても波乱万丈なテーマだし簡単には説明できないけれど、たとえば「ダンス・フロア・ダーリン」という曲は、とても自由な空気や開放感に溢れている。楽しい時間を過ごして、それをみんなと分かち合うことができるのよ。一方で「セイ・サムシング」のような曲は、恋人たちに向かって少し感傷的でノスタルジックなムードよね。とても現実的な視点で人生について歌っているわ。感傷的だけど、とても優しい思いやりに溢れているの。つまり希望や繋がりが大きなテーマってことだと思う。ただ、多様性って大切だと思うから、箱の中に自分を閉じ込めて限定したくはないというのもある。ひとつ言えるのは、全ての曲がある種の”愛”やそれにまつわる事柄を歌っていることことね。”愛”の対象は、恋人かもしれないし、一緒にその場にいることかもしれないし、コミュニティかもしれないし、はたまた逃避願望かもしれないけれど。


──あなたにとってディスコはどんな存在ですか?

カイリー・ミノーグ:すごく難しい質問だわ(笑)。気分によって違うでしょ?でもそうね…ディスコとは「とても安心して身を委ねることのできる世界」かしら。素の自分になれる場所であると同時に、まったく異なる自分になれる場所でもある。その時々の気分によって選択した自分になれるの。音楽やダンスも選べるし、照明をどうするなど、自分で決めればいいわ。

──だからいつまでも輝きを保ち続けることができるんですね。

カイリー・ミノーグ:そんなこと全然ないわ…でもありがとう。輝いていると思われる秘訣は、常にそういうわけじゃないってことかしら(笑)。たとえば曲作りにしても、どこかから輝きが湧いてくるわけじゃない。だって人生ってそんな簡単なものじゃないでしょ?できる限り楽しむべきだし、楽しいものであるべき。けれども、誰にでも壁にぶち当たったり、大変だったりすることがあるし、悲しみに暮れることもある。それは私も同じよ。私だけが特別に回避できる魔法のカードを持っているわけじゃない。もちろん上手く回避できたこともあるけれど、それはとても幸運だったと思っているわ。だからこそ私もできるだけ「グラスが満たされていない」と考えるのではなく「水が半分も入っている」とポジティヴに考えようにしているの。もちろん正直言って、実際にはそんなふうには考えられないことの方が多いくらいでね…まだまだ未熟なの。でも私がこの仕事を通してみんなに広めたいと思っているのは、みんなに喜びを伝えること。歓喜の微笑みが、さらなる喜びを呼び込むわ。そして私もそこに幸せを見出せるの。涙や苦痛を伴わずに全てが実行できるわけではないけれど、そうやって乗り越えて、人生は歩んでいくもの。これが私の仕事じゃないかと思っているから。

──ありがとうございます。今後、ツアーなどは考えていますか?

カイリー・ミノーグ:世界の現状を鑑みると、今の状況では考えられないわ。でも好転したとなれば、すぐさま機会を見つけて、日本にも舞い戻りたいと考えているのよ。日本が大好きなの。みんなのことをとても愛しているわ。日本の皆さんにまた新しい音楽を届けることができてとても幸せだし、できるだけ早くまた会える日がくることを願っているの。

写真:Darenote Ltd. 2020
通訳:Hisashi Murakami
文:Takahisa Matsunaga
編集:BARKS編集部

カイリー・ミノーグ『DISCO』


11月6日
デジタル配信開始
https://silentrade.lnk.to/disco
11月25日発売
ワーナーミュージック・ジャパンより国内盤発売
※ボーナストラック2曲追加
https://wmg.jp/kylie-minogue/discography/23714/

オンライン・ライヴ<INFINITE DISCO>

11月7日 日本時間18時~
http://kylie.lnk.to/ticketsTW

この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス