【インタビュー】GRANRODEO、絶妙な距離感で15年を駆け抜けるKISHOWとe-ZUKA「たかが15年、されど15年」

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■GRANRODEOらしさって自分たちが一番わかっていないかも
■逆に言うと何をやってもいいぐらいの感じがあるんです


──Disc 2のほうはTVアニメ『黒子のバスケ』のヒット曲が数多く収録されていますね。

KISHOW:“黒子”と“文スト(『文豪ストレイドッグス』”の歴史ですよね。

──タイアップ曲には先方のリクエストがあることが多いと思うんですが、その要望に応えつつ、ハードロックをベースにさまざまな音楽を取り入れて突き抜けているGRANRODEOの軸は変わらないのが魅力です。シングルで切り取った場合、自分たちのカラーをどう感じていますか?

e-ZUKA:タイアップの場合、「こんな感じの曲で…」っていうのはあるんですけど、アニメサイドの方から「ああしてほしい、こうしてほしい」っていうのはそんなになかったんですよね。

──そうなんですか?

e-ZUKA:ええ。最初のシングル「Go For It!」のときは「ハードロック、ヘヴィメタル系のユニットやろうぜ。一発目の曲だ」って感じだったんですけど、アニメの監督と打ち合わせしたときにスタッフが「サンボマスターみたいな感じの曲がいい」って言われたらしくて、そのときは「ええ!? ハードロックやってるのに。どうしよう」って苦労しましたけどね。ちょうどドラマ『電車男』が流行っていた時期だったので、サンボマスターのあのエネルギーっていうことだろうと思って作った記憶があります。でも、ほかの曲は「アップテンポでお願いします」とか「シリアスな内容なのでちょっと暗めの曲にしてください」っていうリクエストがあるぐらいで、もちろん作品ありきですけど、基本的にはGRANRODEOの新曲として、どういう新しいことをやろうかっていう感じで臨んでいます。そういう姿勢でいられるのはスタッフサイドのおかげだと思っていますし、だからこそ身近なスタッフからの注文のハードルは高いですけどね。タイアップのTVサイズは90秒なので、似たようなものにならないようにって。だんだんといろんなタイプの曲を増やしていったので、よく「GRANRODEOらしいね」って言われるんですけど、「どのへんが?」って思ったりしますね。

──実はそこを聞きたかったんです。2人が曲を作るとき、GRANRODEOらしいっていうジャッジのポイントってどこにあるんでしょう?

KISHOW:実はGRANRODEOらしさって自分たちがいちばんわかってないかもしれないですね。逆に言うと、何やってもいいぐらいの感じはあるんです。何なら演歌でもいいし、ディスコでもいいっていう。声色もあるんでしょうし、e-ZUKAさんのフレーズや特徴的なギターソロなのかもしれないし、e-ZUKAさんがギター弾いて僕が歌えばGRANRODEOっていう。意図してやっていないので逆に教えてほしいですね。例えば僕らがメタルをやってもメタル一筋のバンドみたいにはならないし、「情熱は覚えている」のC/W「Scorn」もL.A.メタルっぽいみたいな。特定のジャンルに特化した曲にならないっていうのがGRANRODEOなんですね。

──それは自由度が高いということでもありますよね。自分たちでGRANRODEOらしさを限定していないというか。

KISHOW:何やったっていいっていうね。と言っても作るのはこの方(e-ZUKA)なんですけど(笑)。

e-ZUKA:(笑)。

KISHOW:僕は自分のことをプレーヤー的な気質のボーカリストだと思っているから「この曲ならきーやん(KISHOW)歌えるだろう」と思ってくれるなら自分の中で正解だし、近年は「何だって歌いますよ」っていう気持ちでいるので、そこは在り方として面白いですね。僕とe-ZUKAさんは対等じゃないんですよ。e-ZUKAさんがどういうタイプの楽曲を作ってきても歌いこなしてやろうって。「Scorn」なんか今はキーを半音下げてもよかったかもしれないってちょっと思っていますけどね。ライブで歌ったら血管切れちゃうかもしれないって(笑)。

──KISHOWさんもe-ZUKAさんもスキルが高く、プロフェッショナルだと思う反面、ギターを聴くと初めてロックを聴いたときのワクワク感が蘇るし、KISHOWさんの歌詞も肉体的な面と文学的な面が同居していて珍しいスタイルだなと思うんですよね、

e-ZUKA:うん、うん。

KISHOW:(笑)そうですかね。


▲『GRANRODEO Singles Collection "RODEO BEAT SHAKE"』【完全生産限定】


▲『GRANRODEO Singles Collection "RODEO BEAT SHAKE"』【通常盤】

──熱いのかシニカルなのかよくわからないところもGRANRODEOのひとつの特色というか(笑)。

e-ZUKA:(うなづく)なるほどね。ストレートじゃないですもんね。

KISHOW:まぁ、そうですね。照れが入っちゃいますから。昔は「Infinite Love」みたいなラブソングも書いてたんですけど、今見ると恥ずかしいですね。e-ZUKAさんも今はあんなにストレートなメロディ書かないでしょ?

e-ZUKA:作ろうと思えばね(笑)。でも、GRANRODEOらしさって究極、声じゃないかなって。やっぱり、声の力ってすごいと思うんですよ。ギターも印象的だったら嬉しいですけどね。だって今思ったけど、「エアロスミスいいよね」って言ってもジョー・ペリーのギターのことを語る人が何人いるかなって。もっと言うと必ずしもメンバーが曲作ってなかったりするんですよ。デスモンド・チャイルドが書いてたりするから。でも、スティーヴン・タイラーが歌っているから「エアロ、カッコいいよね」って。KISSにしても『Dynasty』っていうアルバムでは、あるメンバーはスタジオに来られないようなボロボロの状態になってスタジオミュージシャンが参加していたんだけど、「KISSいいよね」ってなるんですよ。そこは僕ら、今のところ外注を使わずに作曲、アレンジ、全部僕がやっていますけどね(笑)。「コラボとかどうですか?」って提案されることもあるけど、全部、自分でやりたくなっちゃうんですよね。例え、ちょっといびつでも稚拙でも、やっている内にできなかったことができるようになったり、楽しいじゃないですか。だから、作曲だったら「あっちの方向に行けばセンスが光るのに」って思うところを行かないセンスが“らしさ”かもしれないし、歌のクセの強さが“らしさ”かもしれないし、やたらにギターが主張してくるのが“らしさ”かもしれない。

──では、ベストの1曲目に収録されている書き下ろしの新曲「welcome to THE WORLD」について教えてください。スケール感たっぷりのゴージャスさで奥からエネルギーが湧いてくる曲ですね。

e-ZUKA:10周年のベスト盤には「バラライ」と「今より先を」という新曲を入れたんですけど、今回は今までやったことがないテイストを入れたいと思ったんですよ。で、EDMのフィーチャーベースを取り入れたんですが、フィーチャー=未来でもあるし、このカオスな時代の中、未来に向かう意味もあるし、15年の節目もあって作った曲ですね。

──これまでとアレンジする過程も違ったんですか?

e-ZUKA:最初はもっと変えたくてリズムを全部、打ち込みにしようと思っていたんですけど、生にしたんです。「せっかくだから、いつものメンバーで15周年を祝おうよ」って。結果、ゴージャスになりましたね。

──“カオスな世界だけど まだ枯らすな”と歌っていますが、今思うことを落とし込んだ歌詞ですか?

KISHOW:そうですね。年々カオスになっていると思うし、特に今年は世界的にパンデミックなので、そういう中で書くと意図しなくてもこういうふうになるんだなって。ただ15周年の記念碑的な楽曲だから「GRANRODEOの世界にようこそ!16年目もよろしく!」っていうのもあるし、コロナに負けるな的な想いもありますね。e-ZUKAさんの曲もそういうテーマを含んでいて仮歌のサビで“welcome to the new world”って歌っていたので、その気持ちを僕が汲み取ってですね。

e-ZUKA:ははははは。

KISHOW:で、パレードのような曲調だったから、世知辛い世の中を踏まえて、あくまで前向きに。人間が生きている限りは新世界だろうし、それがリアルな世界だろうし、次の世界っていう言い方もできるし。

──そんな前向きさの中、“みんな笑って暮らしていけるならいいのになあ お花畑でキスをしましょう 唇がふやけるほど 逆立ちして僕の願いが叶うなら いくらでも逆立ちするぜ”って歌っている力の抜け具合がKISHOWさんだなとも思いました。

KISHOW:いろいろ考えるものの脳みそハッピーセットじゃないですけど、“お花畑で蝶々でも追っかけてましょう。しょせん、それしかできないんだから“っていう皮肉もありつつですね。世の中を嘆いているわけでもなく、シニカルに斬りたかったわけでもなく、ちょうど、このへんじゃない? っていう。

──その絶妙な温度感がいいです。

KISHOW:ありがとうございます。

──サウンドにもピッタリだし、やはり最強のコンビですね。

KISHOW:僕、千原ジュニアさんのコンビ論が好きなんですよ。コンビって掛け算していちばん大きな数字になるのがいいっておっしゃっていて、2人合わせて10だとすると5×5=25がいちばんなんですって。さっきe-ZUKAさんと僕は均等じゃないっていう話をしましたが、GRANRODEOとしてのトータルバランスが5対5だったら最強の数字を叩き出せるよねって。まぁ、残念ながら7対3で、僕が3なんですけど(笑)。

──(笑)そんなことはないです。豪華ボックス仕様の初回限定盤はCD 3枚組にBlu-rayディスクも付いているのでアピールポイントを。

KISHOW:特典として僕らのフィギュアが入ったスノードームが付いているんですが、これが絶妙で愛せるんですよ(笑)。

e-ZUKA:似てないけど、かわいいですよ(笑)。

KISHOW:ぜひ、熊の木彫りのように玄関に飾っていただけたら(笑)。あとは7月の無観客生配信ライブも映像で見られます。Disc 3はライブ音源なんですが、それも聴き応えのあるものになっていると思います。

e-ZUKA:僕らってシングルのカップリングが好きっていう人が意外と多いんですよ。なので、そういう曲たちをライブCDで聴いたり、ライブ映像で見ていただきたく、なるべく曲が重ならないように選んでいます。


▲オリジナルスノードーム

──盛りだくさんですね。最後にGRANRODEOのライブ欠乏症になっている人も多いと思うのでBARKS読者にメッセージをお願いします。

KISHOW:いろいろあったけど、僕たちは元気に生きています。だから、みんなも生きようねって。人間は環境に適応していける生き物だから、どんなに大変な世の中でも変に悲観して絶望するより、“Let it be”というか“色即是空”というか、ありのままにいられればいいねって。音楽は人を元気にするし、こういうときだからこそGRANRODEOに存在価値があるような気がするし、カッコつけた言い方すると今こそ僕らの出番じゃないかなって、密になるような環境でライブをやることに恋焦がれてますし、実現にどれだけ時間がかかるか想像はつかないんだけど、以上のような心持ちで頑張る所存です。

e-ZUKA:オールスタンディングのライブはまだ先になると思うし、世界が変わったんだから今は変わったなりの楽しみ方を発見していくのがいいんじゃないかなと思いますよね。これまで何度もツアーをやって旅先でお酒飲んでいたけど、すごく幸せな日々だったなって思ったし、やれない分、ライブへの想いは募っていくので、再開したら相当な意気込みで臨むし、今まで以上のライブをやる自信もあるので期待していてほしいですね。

取材・文:山本弘子


リリース情報

『GRANRODEO Singles Collection "RODEO BEAT SHAKE"』』
2020.11.4 on sale
【完全生産限定 Anniversary Box (3CD+BD)】LACA-39790~2 / 9,000円 (税抜)
CD Disc 1~3 (UHQCD) / Blu-ray / オリジナルスノードーム / GRANRODEO狩歌スペシャルカード1枚(全1種)
【通常盤 (2CD)】LACA-9790~1 / 3,200円 (税抜)
CD Disc 1~2 (UHQCD) / GRANRODEO狩歌スペシャルカード1枚(全1種) ※通常盤に同梱される狩歌カードは初回生産分のみとなります[ Disc 1 (UHQCD) ] ※全形態共通
welcome to THE WORLD (新曲)
Go For It!
(TVアニメ『IGPX』OP主題歌)
Infinite Love
(TVアニメ『恋する天使アンジェリーク~心のめざめる時~』OP主題歌)
DECADENCE
(OVA『鬼公子炎魔』ED主題歌)
慟哭ノ雨
(TVアニメ『恋する天使アンジェリーク~かがやきの明日~』OP主題歌)
HEAVEN
(TVアニメ『鋼鉄神ジーグ』ED主題歌)
delight song
NOT for SALE
(ニンテンドーDSソフト『DUEL LOVE 恋する乙女は勝利の女神』OP主題歌)
デタラメな残像
(TVアニメ『ブラスレイター』OP主題歌)
Darlin'
tRANCE
(TVアニメ『黒神 The Animation』OP主題歌)
modern strange cowboy
(TVアニメ『NEEDLESS』OP主題歌)
恋音
We wanna R&R SHOW
ROSE HIP-BULLET
(TVアニメ『咎狗の血』OP主題歌)
愛のWarrior
(PSPゲーム『アンジェリーク 魔恋の六騎士』OP主題歌)
[ Disc 2 (UHQCD) ] ※全形態共通
Can Do
(TVアニメ『黒子のバスケ』OP主題歌)
RIMFIRE
(TVアニメ『黒子のバスケ』2クール目OP主題歌)
DARK SHAME
(TVアニメ『CODE:BREAKER』OP主題歌)
偏愛の輪舞曲
(TVアニメ『カーニヴァル』OP主題歌)
The Other self
(TVアニメ『黒子のバスケ』第2期OP主題歌)
変幻自在のマジカルスター
(TVアニメ『黒子のバスケ』第2期新OP主題歌)
Punky Funky Love
(TVアニメ『黒子のバスケ』第3期1クール目OP主題歌)
メモリーズ
(TVアニメ『黒子のバスケ』第3期2クール目 誠凛VS洛山編OP主題歌)
TRASH CANDY
(TVアニメ『文豪ストレイドッグス』OP主題歌)
少年の果て
(TVアニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』第2期エンディング主題歌)
Glorious days
(『劇場版 黒子のバスケ LAST GAME』主題歌)
move on! イバラミチ
(TVアニメ『最遊記RELOAD BLAST』OP主題歌)
Deadly Drive
(映画『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE(デッドアップル)』OP主題歌)
BEASTFUL
(アニメ『バキ』第1クールOPテーマ)
セツナの愛
(TVアニメ『文豪ストレイドッグス』第3シーズンOP主題歌)
情熱は覚えている
(アニメ『バキ』大擂台賽編OPテーマ)
[ Disc 3 (UHQCD) ] ※Anniversary Boxのみ同梱
RIDE ON THE EDGE
[GRANRODEO FIRST LIVE 2007 "RIDE ON THE EDGE" at 横浜BLITZ]
Snow Pallet
[GRANRODEO LIVE TOUR 2008 "RODEO DELIGHT" at Zepp Tokyo]
サマーGT09
[東西 都乱巣 雷武 夏ノ陣 at 日比谷公園大音楽堂]
We wanna R&R SHOW
[GRANRODEO 5TH ANNIVERSARY LIVE AT 武道館~G5 ROCK★SHOW~ at 日本武道館]
カナリヤ
[GRANRODEO LIVE 2011 G6 ROCK☆SHOW ~SUPERNOVA FEVER~ at 日本武道館]
CRACK STAR FLASH
[GRANRODEO "39" LIVE at YOKOHAMA BLITZ ~CRACK STAR FLASH 発売記念ライヴ~ at 横浜BLITZ]
SEA OF STARS
[GRANRODEO LIVE 2013 Y・W・F /(^o^)\ ヤッホー ワンダホー FUJIYAMA!! at 富士急ハイランド・コニファーフォレスト]
Beautiful world
[GRANRODEO LIVE 2014 G9 ROCK☆SHOW at さいたまスーパーアリーナ]
Once & Forever
[GRANRODEO LIVE TOUR 2015 カルマとラビリンス at さいたまスーパーアリーナ]
バラライ
[GRANRODEO LIVE TOUR 2016 TREASURE CANDY at 日比谷公園大音楽堂]
21st CENTURY LOVERS
[GRANRODEO LIVE 2017 G7 ROCK☆SHOW 忘れ歌を、届けにきました。 at ミュージックタウン音市場]
背徳の鼓動
[GRANRODEO LIVE 2018 KISHOW 宇部凱旋 ロデオぶるとっぴん ~暑ぅてわやになりそうじゃけえ皆でぶち盛り上がろうや~ at 渡辺翁記念会館]
ラクガキMOON
[GRANRODEO limited SHOW supported by MTV at Zepp DiverCity (TOKYO)]
[ Blu-ray ] ※Anniversary Boxのみ同梱
「welcome to THE WORLD」 Music Clip
「Y・W・F」 Music Clip
GRANRODEO 15th ANNIVERSARY Startup Live ~たかが15年~
2020.7.31 (fri)
情熱は覚えている
フォルテ
Deadly Drive
ナミダバナ
TRASH CANDY
日常ホライズン
silence
Y・W・F
NO PLACE LIKE A STAGE
Beat it, Love!
ROSE HIP-BULLET
tRANCE
甘い痛みは幻想の果てに
慟哭ノ雨
紫炎
Go For It!

ライブ・イベント情報

<GRANRODEO Live Session “Rodeo Note” vol.1>
日時:2020年11月29日(日)20:00~ 完全生中継
出演者:GRANRODEO、瀧田イサム[Bass]、SHiN[Drums/Percussion]、Mao[Keyboards]
放送局:フジテレビTWO/TWOsmart
https://otn.fujitv.co.jp/rodeonote1/

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