【対談】一聖(BugLug) ×ダイナマイト・トミー「やりたければやる。それがロック」

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BugLugが11月24日に“Fuck The CORONA Collection”という冠をつけたアルバム『Rock Band Is Not Dead』をリリースした。

◆撮り下ろし画像(9枚)

本作は新型コロナウイルスに対して「この苦境に抗っていく!」というBugLugのメッセージが込められた作品だ。既発曲の中から「V.S」「KILLER×KILLER×KILLER」「THE DEAD MAN’S WALKING」など、「逆境に立ち向かっていく」メッセージが色濃く打ち出された作品を集め、さらにコロナ禍下で制作された「絆・創・幸」「人間へと帰りたい」をCD初収録。新ドラマー・悠介が加入した新体制での正式な初音源でもある。

このアルバムの発売を期して、一聖(Vo)が「一度じっくりと話を聞いてみたい」と望んでいた相手、BugLugが所属するフリーウィルの代表であるダイナマイト・トミーとの対談が実現。両者が今の時代に対して思うことを語ってもらった。

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■こんな状況だからこそ自分を超えていけるんじゃないか(一聖)

──まずはアルバム『Rock Band Is Not Dead』を出すことになった経緯をお願いします。

一聖:4月に“絆プロジェクト”という企画を始めて、そこで生配信やグッズ制作などを行いつつ、8月9日にも毎年恒例だった主催フェス<バグサミ>をオンラインで開催して、あとは新メンバーとして悠介(Dr)の加入もあったんですけど、そこからバンドとしてこれから何をすべきか考えたときに、“今”っていう状況に対して思うことをテーマにした作品を出そうと思って。つまりコロナっていうみんなが辛い思いをしてる状況に対して、BugLugからのメッセージというか。それが“Fuck The CORONA”で。

──“Fuck The CORONA Collection”というタタキにあるとおり、新曲を含んだベスト盤という形態ですが。

一聖:新曲3曲と、過去の楽曲の中からテーマに沿ったものをセレクトして一枚にしたんですけど、どの曲にも共通してるのは「自分自身を超えないと何も変わらないんだ」っていう思いで。

──それは、今のコロナ禍を受けての思いですか?

一聖:今ならそうだし、過去の楽曲はそのときに思った「自分を超えていこう」っていうメッセージなんですけど。つまり世の中に対しても自分に対しても、上手くいかないこととか嫌なことっていっぱいあるじゃないですか。でもそれって結局、自分自身の力で乗り越えていくしかないなって俺は思ってて。で、それって実はBugLugっていうバンドが10年やってきた中での一つのテーマでもあって。


──そういう思いが、より今のこの状況によって強くなったと。

一聖:そうですね。こんな状況だからこそ、考え方ひとつで変われるんじゃないか、自分を超えていけるんじゃないか、って。もちろんそれは自分自身に対しても思うことでもあるんですけど。

──ということは、一聖くんもコロナ禍の中でネガティブな気持ちになったと?

一聖:なりましたね。でも緊急事態宣言が4月に出たときはそんなことなくて。むしろ「何にもしなくていいんだ、ラッキー」ぐらいに思ったんです(笑)。もちろんライブが出来ないのは残念だったけど、そのぶんバンド以外のことに時間が使えることができたんで。で、BugLugとしてもライブが出来なくてこれからどうしよう?とかじゃなくて、やれることをやろうって発想で配信を毎日やったり、前向きでいたんですけど、しばらくして「あれ、これってもしかして負のスパイラルかも」って思い始めて。本来俺らがやるべきことって見失ってないか?って。

──どうしてそう思ったんでしょう。

一聖:毎日配信とかやってるうちに、これってバンドとしての表現としてどうなの?って思い始めて。ファンに支えられてるって実感を持てたことはすごくやって良かったけど、本来であれば俺は配信とかじゃなくてライブで自分の言いたいことを表現したい人間なんで。でもそれがいつになったら出来るのかわかんない状態が続いたままだったんで、だんだん負の気持ちが強くなって。

──トミーさんに聞きますが、BugLugが早い段階で“絆プロジェクト”を立ち上げたとき、レーベルの代表としてどう思われました?

トミー:やることはいいと思いますよ。何でもやろうと思ったことはやってみればいい。一番ダメなのは「失敗するんじゃないかな」とか、やる前から結果を心配してやらないことなので。結果がどうあれ、まずはやろうと思ったことをそのままやったのは大事だったと思いますよ。

一聖:それは俺も思います。最初は前向きだったし、新曲だって配信のおかげで作れたし。でもやっぱり俺は配信じゃなくてライブがしたいなって思ったし、そういう「モヤモヤしている自分をどうにかしなきゃ」という思いも、このアルバムに詰め込まれているかもしれないです。


──アルバムタイトルにもなっている「Rock Band Is Not Dead」は、まさにモヤモヤを吐き出しているような曲で。

一聖:これは今言いたいことを全部詰め込んだ曲ですね。タイトルのまんまですけど「ロックバンドは死なねえんだよ」ってことが今一番言いたいことで。やっぱ今ってこの状況に苦しんでたり、耐えてたりする人が多いじゃないですか。それはバンドだってそうだし、さっき言ったみたいに最初はコロナでライブができなくなっても前向きでいたけど、そうじゃない自分っていうのがだんだんデカくなってって、自分自身のことすら否定しそうになったりして。でも歌詞の中で“人間合格なんてねぇーじゃん!”って歌ってるんですけど、それって負のオーラをまとってる自分に言い聞かせる言葉でもあって。



──どういうことですか?

一聖:100点満点で毎日生きられている人間なんていないと思うんですよ。しかもこんな状況で。つまり完璧な人間なんていないんだから、今こういう大変な目にあってるけど、自分をダメだと思わず、音楽の力を信じていこうっていう。

トミー:それはいいと思うけど、全体的にはもうちょっと新曲があってもいいんじゃないかな、とは思ったな。“Fuck The CORONA”って言ってるし、コロナっていう時代を反映した作品っていうのはわかるけど、だったらもっと新しく書き下ろした歌詞をもっと読みたいっていうか。でも、過去の曲の歌詞も改めて読んでみたら、今の状況とすごく重なってるものもあって。預言者みたいだと思ったりもしたし。

──個人的には「TIME MACHINE」が以前とは違う聴こえ方がしました。前に聴いたときは、正直そこまでピンとこないというか、こういう歌を歌おうと思った背景が見えなかったんですけど。

一聖:俺はそのとき思ったことをそのままでしか書けない人間なんで、当時ピンと来てもらえなかったのも仕方ないかなと。でも時を経て感じ方が変わるってことは、やっぱ音楽の力って無限大だなって思う。

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