RADWIMPS、横浜アリーナでメジャーデビュー15周年公演開催

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RADWIMPSのメジャーデビュー15周年を記念した<15th Anniversary Special Concert>が11月22日(日)、23日(月・祝)の2日間、神奈川・横浜アリーナで開催された。以下、記念日当日の23日(月・祝)に行われた公演のオフィシャルレポートをお届けする。

◆RADWIMPS画像

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配信開始と同時に、映像に映し出される夜の都会を行き交う人々。そこにいる誰しもの口元がマスクに覆われている。それは、今現在の市井の風景。観覧車に設置された時計は18時59分を表示している。歩みを進めていた女性が一瞬、立ち止まる。19時00分、RADWIMPSのライブが幕を開ける。

2020年11月23日(月・祝)。この日はちょうどRADWIMPSのメジャーデビュー15周年記念日にあたる。15周年の今年、彼らは3月から初のドーム公演を含む<こんにちは日本 〜KONNICHIWA NIPPON〜 TOUR 2020>、さらには北米、ヨーロッパ、アジアを回る予定だったワールドツアーを開催する予定だった。しかし、言うまでもなく新型コロナウイルスの影響によりそのすべてが中止となってしまった。コロナの時代によってかかった負荷により消滅してしまったさまざまな周年のトピックスと出来事。それらを受け止めながらしかし、RADWIMPSはそれでも今やれること、やるべきことに最大限の熱意と創造性を注ぎ、また新型コロナウイルスに細心の注意を払うことで横浜アリーナにて有観客と配信のハイブリッド方式の特別公演<15th Anniversary Special Concert>の開催を決意した。11月21日(土)には同会場でボクンチ会員(有料サイト会員)の中から抽選で当選したオーディエンスを公開ゲネプロ公演に招き、翌11月22日(日)に本番初日を迎えた。そして、2日目を迎えた15周年記念日のこの日──。

前述のオープニングを経て、ライブは2009年3月にリリースされたアルバム『アルトコロニーの定理』の1曲目に収録されている「タユタ」からスタートした。薄明かりに照らされた野田洋次郎、桑原彰、武田祐介、サポートドラマーとして迎えた森瑞希と繪野匡史のツインドラムから成る5人が立っているのは、通常のステージではなく、アリーナのど真ん中だった。つまり、フロアライブ仕様である。丁寧なアンサンブルで静謐なサウンドを紡ぐ5人。揺れ動く心情をありのままに表現するような野田のボーカルが耳に染み渡るように響く。続いて、野田がピアノの定位置へ移動し「グランドエスケープ」へ。今回のライブではメンバーの立つアリーナの床がビジョン代わりになり、そこに実写の映像やモーショングラフィック、色彩豊かなライトが投射されていった。「グランドエスケープ」の少しずつ光量が増していくサウンドとスタンド席からのクラップとともに星が瞬くようなライティング演出が施される。野田はピアノから離れ、ワイヤレスマイクを持ちステージ中央へ移動し、歌いながらライブ全体の昂揚感を高めていく。映画『天気の子』のために生まれたこの曲が、まるで今の世界の有様に対してRADWIMPSが物語の続きを提示するように迫ってくる。3曲目「DARMA GRAND PRIX」ではポジティブな心の動きとしての闘争心や反骨精神に火をつけるようにして、バンドサウンドを一気にドライヴさせてみせた。野田がスタンド席にいる観客と画面の向こう側にいる国内外の配信視聴者たちに挨拶し、そのすべてのオーディエンスに語りかける。

「1年ちょっとぶりのライブで、やっとこうして面と向かって会えて。その喜びとともに大きな声を出して、愛し合って、叫び合って、確認し合って、そういうことができないもどかしい気持ちでいっぱいです。だけど、僕らが音楽を共有し合う空間を今日持てたということを何より誇りに思いたいし、これを一つのステップとして未来に向かっていくきっかけになったらいいなと思います。RADWIMPSのライブではあなたたちの声が世界で一番だと思っていて、それがRADWIMPSのライブの半分くらいを占めてると思うから。それがないのはもどかしいけど、普段はできないライブを表現したいと思います。コロナでできないことがいっぱいあってもどかしいけど、そこでうしろばかり向いてるとコロナの思うつぼで腹が立ってしょうがないから、コロナがイラッとするくらい、ムカつくらい思う存分、みんなで楽しみましょう!」

そして、「新世界」へ。まさに新型コロナウイルスがなかった世界と新型コロナウイルスが蔓延する世界を対比させながら、未来の扉を開けようとする楽曲だ。以降、ライブのあり方は、ロックバンドの枠組みに束縛されないヒップホップやEDM、シンセポップのフィーリング、縦と横のグルーヴを十二分に満たしたグルーヴを誇る音楽像を体現しながら、この世界と生命の実相を浮き彫りにし、マイノリティの側に立っている人々の心の叫びを代弁するような楽曲を連ねていった。さらに「G行為」では大所帯のダンサーが登場。ライブはミュージカルのような様相になり、ステージチェンジのインタールードとして流れた「花火大会」ではダンサーたちがコンテンポラリーダンス然とした身体表現で大輪を咲かせる花火を描いた。







配信画面が会場内に設置された洋風の瀟洒な小部屋に切り替わる。ここで野田、桑原、武田の3人はアコースティックライブを披露。まずは「お風呂あがりの」でケルト/アイリッシュ風のアレンジが耳に心地いいサウンドを奏で、そこからシームレスに続けた「やどかり」の終盤で3人は再びアリーナへ。この2曲のために小部屋のセットを造ったと思うとなんとも贅沢だが、これも間違いなく普段とは異なる今回の特別なライブだからこそできる演出だ。

ピアノの前に座った野田が鍵盤を優しくタッチしながら再びオーディエンスに語りかける。新型コロナウイルスによって一変した世界、失われた自身のワールドツアー、魑魅魍魎が跋扈するように言葉の暴力が飛び交うインターネット社会への違和感、自ら命を絶ってしまう人たちへの思いを口にし、最後にこう付け加えた。

「人の言葉のイチを10にも30にも受け取ってしまうような優しい心がどうか、どうか、生き続けられるような世界であってほしいと心から願ってます。僕は15年前から世界は優しい人でできてると思ってます。そして、今を生きる人たちがそういう空気を、世界を作っていけると思います。優しい魂であふれることを、きれいごとと言われようが僕は信じてるし、みなさんと作っていきたいです。そんな、できそこないかもしれない僕ら人間の歌を歌わせてください」

鳴らされたのは、「棒人間」。冒頭から〈僕は人間じゃないんです ほんとにごめんなさい〉と歌われる、しかしそれでも真人間になることをあきらめない存在を活写するワルツだ。そこから「螢」、「告白」とバラードを繋ぎ、本編ラストへ向かっていった。

まず尊い個があり、個と個はいかにして互いに理解し、ときに親密に重なり合いながら、この世界と対峙できるのか。本編ラストブロックに放たれた「トレモロ」、「有心論」、「ます。」、そして、野田が今回のライブを実現させるために動いてくれた全スタッフへの感謝とそれをオーディエンスと分かち合えた喜びを表明したのちに奏でられた「バグッバイ」には、RADWIMPSがその音楽表現において最初から向き合ってきた命題をあらためて掲げるような趣があった。




前日はAimerをゲストに迎えたアンコールの1曲目。この日はハナレグミこと永積崇が登場した。披露されたのは、2015年8月にリリースされたハナレグミのアルバム『What are you looking for』に野田が楽曲提供した「おあいこ」だ。切実でセンチメンタルなムードの中で、凛としたタッチでピアノを弾きながら歌う野田と永積の声が、兄弟のように一つの歌を形作っていたのがとても印象的だった。野田は言った。「15年前の今日まさにデビューしたんですけど、15年後の今日、彼とここで歌えたことは本当に幸せなことです」と。次の刹那、彼は小躍りしながら「楽しくてしょうがないからもうちょうとやりますか、今日は!」と叫び、初期からライブの定番曲であり続けている「いいんですか?」へ。

さらに、「スパークル」前のMCで野田はこう言った。

「僕らはそのときどきの時代、人間に、空気に反応しながらこれからも音楽を作っていくと思います。たまには耳に痛いことを言うかもしれないし、でも優しい心を持って、この世界にはまだない新しいメッセージを残していきます」

そして、ダイナミックに響かせたオーラスの「DADA」の前には、彼はこうも咆哮した。RADWIMPSはこの世界に絶望しない。いや、たとえ絶望したとしても、そこからまた新しい音楽をもって新しい物語を生み出し、この世界とやりあっていく。彼らはそうやって生きているバンドであるからこそ──。

「次会うときまで必ず生きて、生き抜いて、どんなにしんどいことがあっても必ず再会して、デッカい声で叫び合いましょう。そして、僕たちがこの日までがんばってこれたんだということを確認し合って、称え合って、喜びを噛み締め合いましょう。その日まで必ず、生きて、生きて、生き抜いてください」

text by三宅正一
photo by Takeshi Yao

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