【インタビュー】DarkestoRy、ストーリー性のある歌と朗読で世界を表現する朗読アーティスト

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昨年8月に活動を開始したDarkestoRy。木暮晃石、折原秋良、馬場惇平、有隅融という4人の声優からなるこのグループは、ストーリー性のある歌と朗読を軸に、オリジナルなスタイルで楽曲の世界観を表現している“朗読アーティスト”だ。これまでに奏音69が楽曲、sakiyamaがMVを手掛けた「マリスの晩餐」「革命のダルカ」「パンドラの牢獄」という三部作を発表し、国内外の熱狂的なファンを獲得。今回は、その三部作の楽曲をつめこんだ待望のデビューシングル「マリスの晩餐 Music Selection」について、また、これまでのライブや作品に対する4人の思いなどを聞いた。

■キャラクターの生き方や性格などを深く考える時間が持てた
■貴重な経験だし大事な時間を積んでいるんだと思います


――まずDarkestoRyとはどんなグループなのか、教えていただけますか。

折原秋良(以下、折原):歌と朗読を中心に、朗読劇ではなく朗読ライブを行なっています。より暗く深い、コアな物語を届けていきたいという思いからdarkestとstoryをつなぎ合わせたDarkestoRyというグループ名になりました。

馬場惇平(以下、馬場):朗読するだけではなく、歌もダンスも一緒に楽しんでいただくというのが僕らのスタイルになります。


▲木暮晃石

――基本は4人それぞれ声優として活動されているわけですが、DarkestoRyにはどういう経緯で参加されることになったんですか?

折原:僕は声優としてマイク前の活動をするだけではなく、ダンスや歌といったパフォーマンスでも表現をしていきたいと思っていたので、DarkestoRyのオーディションに参加することにしました。

木暮晃石(以下、木暮):僕は右も左も分からない立ち位置からスタートしているので、オーディション自体が初めてだったんです。声優のお仕事でさえ何ひとつ経験がない中、応援してくれている両親に頑張っている姿を見せたいという気持ちもあって受けることにしました。

有隅融(以下、有隅):僕も木暮くんと同じような状態だったので、このオーディションを受けることで、何か自分の中の可能性や方向性みたいなものを見出したいなというのがきっかけでしたね。

馬場:こういうスタイルで活動するって、僕はまず面白そうだなと思ったんですが、同時にやっぱり難しそうだなと(笑)。朗読と歌とダンスがシームレスな状態で披露できないと、お客さんに良いものは提供できないですからね。普段の歌や朗読以上に準備をして臨まないといけないし、中途半端なことは絶対にしてはいけないなと思いました。


▲折原秋良

――確かにそうですね。実際、最初のレッスンはどんな感じで行われたんですか?

折原:いやいや、もう四苦八苦で(笑)。「ここのステップはどうすればいいんだっけ?」「あ、ここは歌うのか!」って、最初は本当に大変でした。意識の仕方がとても難しかったですね。動きの中でメンバー同士がぶつかったりして、これを本番でやったら危なかったなって思うこともたくさんありましたし。

木暮:やっぱり、不安は結構ありましたね。

――DarkestoRyの朗読ライブは、個々の実力だけでなく、チームワークがとても重要な要素だなと感じました。コミュニケーションなど、何か意識してきたことはありますか。

馬場:やっていくうちに、自然と出来上がってきた感じかなと思います。やっぱり稽古を重ねていく中で見えてくる部分がたくさんあったし、培ってきた部分もたくさんあって。どうしても覚えることが多かったりするので、4人で助け合いながら完成に向かってきた感じでしたね。もちろん、演出家の方やスタッフの皆さんに助けられながらですけど。


▲馬場惇平

――最初の朗読ライブ「マリスの晩餐」の時はどうでした?

馬場:たぶん、一番悩んで一番大変だったのは木暮くんじゃないかと(笑)。

有隅:役柄的にも。

木暮:プレッシャーもありました。無我夢中でした。僕は演技面などで劣っている部分がありましたから、とにかくこんな新米を優しく受け入れてくれる先輩方に迷惑をかけないようにというのもありまして。

折原・有隅:いやいやいや(笑)。

馬場:そんな変わらないでしょ(笑)。

木暮:僕の反省点としては、例えば「どうしてここで歌が入ってくるのか」という理由を理解しないままやっていたことです。まずお芝居をします、次は歌です、ここからは朗読ですという感じで、流れ作業的にやってしまっていたところがありました。マリスのどういう心情の変化があって歌が流れるのか、どうしてここではこういう向きで椅子に座ることになっているのかなど、ちゃんと理解できた上でステージに立てていなかった。なのに(3人は)引っ張って行ってくれて、本当に感謝しています。(深々と頭を下げながら)ありがとうございます。


▲有隅融

――(一同爆笑)。いいチームワークですね(笑)。では改めてご紹介をしておきたいのですが、DarkestoRyはこれまでに「マリスの晩餐」「革命のダルカ」「パンドラの牢獄」というストーリー性のあるオリジナル楽曲を制作し、アニメーションによるMVをYouTubeで発表。朗読アーティストとして、それぞれの曲の世界観をもとに朗読ライブ(※)を展開してこられました(※「パンドラの牢獄」は今後開催予定)。作品に向き合い、演じてくる中で変化してきた心境などはありましたか?

馬場:ありましたね。最初はちょっと自分とは遠い世界の話のように感じていたんですが、3作やっていく中で、愛というものにフォーカスすることができたんです。友情や恋慕の気持ちも含めた、愛というものが一貫して描かれている。そういう視点を持てたことによって、自分にとってすごく身近に感じられるものになったんですよね。ある意味、人生訓みたいなものも入っているんじゃないかと思える作品になったんです。

有隅:毎回、奏音69さんの曲が来るたびに「すごい!」。もうこのひと言に尽きるインパクトがありましたし、1曲の中に詰め込まれているストーリーというか、情報量の多さにも驚きでした。その上でsakiyamaさんによるMVが生まれて、僕らも朗読ライブという形で表現をしていくわけじゃないですか。ここまでやってみて、改めてものすごく厚みのあるコンテンツなんだなということを感じるようになりましたね。

――なるほど。

有隅:あと、この作品は言葉というのも重要なテーマなんですね。言葉があるから伝えられるもの、言葉がなくても伝わるもの。いろんなものが絡み合っていくんですが、そういう作品に向き合っていく中で、自分が普段発している言葉というものについても考え直すきっかけになりました。

――声優としても、言葉は常に共にあるものでしょうからね。では折原さん、木暮さんはどうですか?

折原:作品はただ関わるだけではなくて、作り上げていくものなんだなということを実感しました。これまでは役をいただいて、じゃあこんな感じで演じてみようというところでやっていましたが、自分だけではなく、メンバーだけでもなく、奏音69さんやsakiyamaさん、たくさんの方と一緒に1から作り上げているんですよね。今回はすべてのことに関わらせていただきながら、作品を作り上げるということの大事さや楽しさを改めて感じるようになりました。

木暮:僕は、リハーサルや本番以外でも登場人物の気持ちを考えるようになってきました。マリスは髪の毛を指でクルクルする癖があるんですが、ふとした時にどうしてそういう仕草になるんだろうと考えてみたり、おじいさんを演じるにあたっては、しゃがれた声を出すからおじいさんになるのではなく、腰が曲がった状態で歩くとこうなるんだって体で感じることを心がけてみたりして。

――どの役もキャラクター設定が濃いですから、役に入り込んで抜けなくなっちゃうこともありそうですね。

木暮:僕の場合はむしろ、急になりきるとか入り込んでくるみたいなことはできない方だと思ったので、普段からずっと考えるようにしたんですよね。マリスのことを。そうしたら、僕もマリスになれるかなと思って。


▲『マリスの晩餐 Music Selection』【マリス盤】


▲『マリスの晩餐 Music Selection』【ダルカ盤】


▲『マリスの晩餐 Music Selection』【パンドラ盤】】

――役作りに対するその思いは、きっとライブでも映像でも伝わっていると思います。この作品での経験は、きっと今後のキャリアにとっても大きな財産になるのではないでしょうか。

折原:そうですね。ここまで3作やらせていただいていますが、いろんなキャラクターを演じて、いろんなジャンルの歌に挑戦して、今までやってこなかったダンスにも挑戦するという、本当にいろんな経験を積ませていただいているんですね。この先どんな役が来ても全然大丈夫とまでは言えませんが(笑)、歌もダンスも、そして役に対する向き合い方も、ちゃんと生かされていくとは思っています。

馬場:でも、どんな役であってもいただいたからにはやるんだっていう気持ちは、本当の意味で、以前よりもしっかりと持てるようになったと思います。

折原:たぶん今回の作品は、みんなそのキャラクターの生き方や性格などを深く考える時間が持てたと思うので、そういった意味でも、貴重な経験だし大事な時間を積んでいるんだなと思いますね。

――しかし活動を始めて1年ちょっとでこれだけの作品を作り上げるって、他ではあまりないスピード感じゃないかなと思うのですが。

有隅:確かに、そうかもしれないです。1年ですよね(笑)。

馬場:まだ1年かって、今思いました(笑)。でも個人的には、素晴らしいクリエイターの方々が作り上げたあのMVの世界観に押し上げていただいたなと思っていて。それがあのYouTubeの再生回数にも繋がっていますし、海外の方に知っていただくきっかけにもなりましたからね。改めて、ありがたいことだなと思っています。

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