【インタビュー】vistlip、初のベストアルバム発売「強さを感じてもらえたら嬉しい」

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vistlipが2008年のデビュー以来、初となる全32曲収録の2枚組ベストアルバム『MEMENTO ICE』を12月23日にリリースする。

新たに録音した曲やブラッシュアップしたヴァージョンを含む本作は「解散までベストは出さない」と公言してきた彼らにとって、コロナ禍に見舞われた日々だったからこそ実現した作品とも言える。通常通りのライブが困難な中、サポートし続けてきたファンやオンラインでの配信を通じて新たにvistlipに触れた人たちの想いに応える形でファンから募った投票を軸にメンバー自身がセレクトしたナンバーも収録されているからだ。

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なお、vister盤にはメンバープロデュースによるDVD「MEMENTO ICE TV」をパッケージ。現在、YouTubeでダイジェスト映像が公開されているが、ファンやスタッフ、メンバーがどんな曲を選んだのかがカウントダウン形式で明らかにされ、5人のアニメーションも楽しい仕上がりになっている。初のベストアルバムについて、2020年振り返りエピソードも交えつつ智(Vo)とTohya(Dr)にメールインタビューを試みた。

  ◆  ◆  ◆

■vistlipの音楽はなくならないし、大きな力であり大きな財産

──2020年は誰もが想像もしていなかった大変な1年になりましたが、コロナ渦の中、どんなことを考え、どんな日々を過ごしていましたか?

智:コロナの存在を知ってからすぐに今のような未来を想像していましたが、予想以上に長引いちゃったなと。まだまだ、こんな状況が続くならもっと出来る活動もあったかな、と悔いる部分もありますが、5人で出来る事を話し合いながらやって来た感じですかね。メンバーとは数回しか会っていませんが、連絡はよく取ってます。

Tohya:最初は現実的ではないというか、こんな一年になるとは思わず、そのうち落ち着くだろうと特に大きな心配をすることなく過ごしていました。途中から感染者が増えたことにより事態は大きく変わって、それこそ想像もできなかった状態になったので、日々、無に近い気持ちでいました。いつ何がどうなるかわからない状況に戸惑い、不安を通り越して、現実をあまりまともに考えられていなかったと思います。

──そんな日常の中、へこたれそうになったことはありましたか? また思うような活動ができなかったからこそ時間ができてプラスになったことがあったら教えてください。

智:恐らくこんな時間は老後まで訪れないなと思いましたね(笑)。プラスの面は良い感じのフルアルバムが出せそうですね。ゆっくり曲作り出来ましたから。

Tohya:へこたれそうになったのはやはり音楽活動ができなくなったことと、表舞台に立てなくなったことです。ライヴもそうですが、握手会などのファンのみんなと触れ合える機会がなくなってしまい、自分を保つことが難しかったですね。プラスになったことは、触れることのなかったであろう映像編集のスキルを学んだり、前からやりたかったキッチンカーでの出店(結成記念日のライブに必ず持っていってメンバーやスタッフに振る舞う手作りカレーを下北沢で限定出店)ができたこと。今までの日常ではできなかったことができました。

▲智(Vo)

──日常の生活に溶け込んでいたであろうファンについて改めて思ったことや励まされたこともあったのではないでしょうか?

智:「絶対俺たちの事忘れんなよ?ふざけんなよ?」って思ってましたね(笑)。現にそういう部分もあるとは思うけれど、vistlipへの気持ちが薄れても、それはまた音楽の力で引き戻すだけなんで。もちろん、ファンメールやYouTubeへのメッセージ、コメント、お便りには励まされていましたよ。

Tohya:とにかく忘れられてしまうのではないかと不安でした。配信番組などを通じて、なんとか気持ちを保ってもらえてたらいいのですが、やはりライヴや握手会など直接触れ合える機会がなかったのはとても辛かったです。

──Yuhさん、海さん、瑠伊さんはどんな様子で過ごしていましたか?

智:海はやはりリーダーなので、緊急時でいつもよりゆったりとはいえ忙しくしていましたよ。Yuhと瑠伊はごめんなさい。知りません(笑)。

Tohya:色々なことが中止や延期になったばかりの頃は、みんなもここまで長びくとは思ってなかったような気がしますが、活動の仕方を変えないといけないとシフトした時にはほぼ毎週リモートでは話ができていたので、わりと通常に近い感じで過ごせてたのかなと思います。

──2007年の結成以来、5人で集まることがいちばん少なかった1年かもしれませんが、あらためてvistlipについて再確認したこと、俯瞰で見れたからこそ感じたことを教えてください。

智:んー、少なかったからこそ感じたのは(vistlipは)楽しいですね。良くも悪くも楽しいです。

Tohya:今回のことだけではなく、vistlipは結成してから色々な壁があり、その都度乗り越えてきました。再確認したのはvistlipの音楽はなくならないし、大きな力であり大きな財産であることです。今後作っていく音楽を、より意味のある、強い気持ちを込めて作っていこうと思いました。

──『MEMENTO ICE』はvistlipにとって初のベストアルバムとなりますが、今までベストアルバムを出さなかった理由を教えてください。

智:だいぶ前にはなるんですが、僕らインタビューを受けた際に「ベストを出すのは解散する時」と公言しているんですよね。実際、最近までそう思っていましたし、今はもうサブスクも解禁しているので昔とはまた感覚は違いますが、同じ音源を詰め込んでリリースする事に嫌なビジネス感を感じてしまったので、「結局、最後のタイミングじゃないと本当のベストにはならないよな」って話していたんです。

──では、今回ベストアルバムを出そうと思ったキッカケになったことは? 具体的にいつ頃から取りかかったのでしょうか? 

智:今年の夏にはYouTubeでファンに「こんなオファーが(会社から)来てる」と話しているんです。わざわざ話した理由はベストは解散のときと言っていたのでファンや自分達に筋を通したかったから。伝えた時のファンの感触や会社の熱意や愛情、リリースに当たっての条件、コロナ禍の現状が噛み合ったからこそ決めました。

──ファンからリクエストをとろうと考えたのは、どなたの発案ですか?その根底にある想いについても教えてください。

智:形態や内容、DVDのコンセプトなど全体のアイディアを出したのは僕だったかもしれません。メンバーやスタッフに提案して決めていきました。元々は メンバーベスト、ファンベスト、スタッフベストの3枚組なんていうのも考えてたんです。ただ、曲がかぶってしまって外したりするならそれぞれのベストにならないよなって。だったらファンファーストで選曲した後に、かぶらなかったメンバーのセレクト曲を足そうということになりました。リクエストにした理由はベストは自分達で選曲すべきではないと思うからです。オリジナルアルバムと違って結果が出ているものだし、ファンは僕らより僕らをわかってる。そんな信頼の形でもあります。最終的に2枚組になった理由は新規の方たちも手に取りやすい値段設定になるようにしたいという会社からの提案があったから。確かに納得しました。

──タイトル『MEMENTO ICE』にはどんな意味、メッセージが込められているんでしょうか?

智:「alo[n]e」(2009年)の歌詞に“memory氷”という言葉が出てくるんですが、自分にしかわからないですけど、そのときに思い描いていた情景というかイメージと結び付いたんですよね。一つ一つ の想いが凍ってガラガラ音をたててどんどん作り続けられてるような……。“ICE”には他にもドラッグやダイヤモンドといった意味もあるので、それ込みで付けました。“MEMENTO”に関してはメモリーと被りますが、めちゃくちゃ重たくしたくてこの言葉を選んだんです。重くしたかったのは、単純にそれだけ大切な作品であるのと、リリースすること自体が待望だったこと。そして僕らの人生そのものだから。別のタイトル候補も多数あったんですが、メンバーと話し合って2つのワードをくっつけて、このタイトルになりました。

──2枚組32曲の大ヴォリュームとなっていますが、選曲、曲順について、どんな話し合いが行われましたか? 基準になったことは?

智:選曲はカテゴリー別ランキングの上位曲から選んで、それを一つのランキングにまとめてそこから優先的にだったかな? シングル曲ばかりにならないように多少、調整しましたけどね。そこにメンバー側がどうしても入れておききたい曲を加えた形です。曲順は単純に時系列にしたかったんです。ベストに抑揚や世界観は僕はあまり求めなかった。良い意味で淡々と聞いて欲しいと思ったんです。

Tohya:本当はもっと収録したい曲がたくさんあったのですが、現実問題としてCDの限界があったので、ファンからの投票ランキングを基準に、バンドとして入れるべき曲などを織り混ぜてほぼリリースの順番通りに組んであります。


──公開されているダイジェスト映像でファンのリクエストのランキングを少し見ることができますが、ファンのリクエストについてあらためて感じたこと、嬉しかったことや意外だったことも含めて教えてください。

智:新しい曲からもしっかり選ばれているのが嬉しかったです。それって今の自分達に自信を持っていいって事ですからね。

Tohya:意外な曲が入っていたり、入っていなかったりは結構あったんですが、新しめのシングルがランクインしてたのは嬉しかったですね。「-OZONE-」(2009年)と「SINDRA」(2011年)は本当に僅かな差だったのも驚きつつも嬉しかったです。基本的に自分が入れたかった楽曲はほぼ収録されたので、ファンのみんなと近い感覚でいられてるのかと嬉しく思いました。

──新たにトラックダウンした(MEMENTO ICE ver.)も収録されています。いくつか楽曲をピックアップして原曲をこんなふうにブラッシュアップしたなど、エピソードをお願いします。

智:リリース後に「もっとこうしたかった」っていう点は出てきますからね。特に思い通りに行かなかった曲たちを今回の機会にやらせて貰おうと。リマスタリンク作業をしたこと込みで自分もいっきに引き込まれたので、今回のベストがただのベストにならなくて良かった。ボーカルテイクに関しては当時のテイクを使ってやり直してもらっていますが、それで良かったと思います。当時の声だからこそ、その楽曲が成立してると思っているので。

Tohya:「CLASSIC OPERA」(2009年)は制作当時かなりタイトなスケジュールで、まだまだ未熟な部分もあってドラムのトラック自体かなり特殊な録り方をしていたんです。要は打ち込みだったんですが、せっかく良い曲なのにミックスも音も完全に納得がいっていない状態だったので、シンセの音、ドラムの音をフレーズはそのままに現代の音に近づけましたので、かなり印象は変わったと思います。他にもリミックスしたい曲は後々出てきてしまいましたが、またそういう機会があったらいいなと思います。

──個人的にはvistlipの原点とも思える「EDY」の2020 Ver.や「chapter.ask」、「CLASSIC OPERA 」(MEMENTO ICE ver.)、「Dr.Teddy」、「Underworld」が収録されているのが嬉しかったです。智さん、Tohyaさんが、この曲たちが入って嬉しかったという楽曲があれば、思い出とともに教えてください。

智:「EDY」はずっと再録したかったんですよ。大切な始まりの曲だし、何か特別な時にと思っていたので、その機会をくれたことに本当に感謝です。僕的に嬉しかったのは「Legacy」(2008年)や「CRACK & MARBLE CITY」(2019年)ですかね。きっと自分の(療養後の)12周年の復帰を思ってくれたのかな?って。

Tohya:嬉しかったのは意外性も含めて「想い出CG」(2010年)ですね。「BLACK MATRIX」(2018年)や「CRACK & MARBLE CITY」など、新しいシングルもランクインしていて嬉しかったです。

──DISC1の始まりを「EDY」の2020 Ver、DISC2の最後を「July VIth〔Re:Birth〕」で締めた理由は?

智:メンバー全員一致でこうなりました。「EDY」はvistlipの始まり、「July VIth」は毎年の周年ライブの大切なエンディング曲ですからね。ここだけは時系列からあえて外したんです。気づけばデビューミニアルバム『Revolver』の頭とケツの曲です。しかも両方新しい形でね。それも何か良いですよね。

▲Tohya(Dr)

──それとvister盤に収録されるメンバープロデュースのDVD「MEMENTO ICE TV」について楽しみにしてほしいこと、どんな内容になっているのか予告をお願いします。

Tohya:CDには収録しきれなかった曲達が短くはありますがランキング形式でたくさん聴けるようになっています。「自分の推してた曲が入らなかった!」という声も多く届いていたので、是非DVDの方でも確認して欲しいです。メンバーセレクトの曲、スタッフセレクトの曲とそれぞれCDに入らなかった曲が長めに聴けたり、過去作で映像のあるもの、ライヴ映像やミュージックビデオは全て使用しているので、かなり見応えがあると思います。個人的には過去一番くらい良いDVDになったと思っています。

──最後に配信の映像を通じて新たにvistlipを好きになった人、ずっとvistlipを応援している人に、本作について伝えたいことなどのメッセージをお願いします。

Tohya:僕たちの歴史を感じられる大作になったと思います。この作品を手にしてもらうことで、vistlipの音楽の魅力、そして強さを感じてもらえたら嬉しいです。もちろん収録しきれなかった曲の方が多いので、これを機に様々な作品にも触れてもらいたいですし、通常のライブを行えるような日常に戻ったら、生でvistlipの音楽を感じて欲しいです。

智:新規の皆さんにもずっと応援してくれてるファンにも俺達にも楽しめるベストかが出来ちゃいました。是非、というか絶対、『MEMENTO ICE』は手に取って欲しいですね。だって細かい事抜きにして昔より全然音が良いから。よろしくお願いします。

取材・文◎山本弘子


vistlip 限定サポートパス プレゼントキャンペーン概要

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2020年12月23日(水)~2021年1月22日(金)23:59まで
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vistlip BEST ALBUM 『MEMENTO ICE』

2020年12月23日 ON SALE

■vister盤
(2CD+DVD)
MJSA-01305~7 ¥3,800+Tax

■lipper盤
(2CD)
MJSA-01308~9 ¥3,000+Tax


[CD DISC1]
1.EDY[2020ver.]
2.偽善MASTER
3.alo[n]e[MEMENTO ICEver.] 
4.LIFE[MEMENTO ICEver.]
5.Legacy
6.EVE
7.Princess Dizzy[MEMENTO ICEver.]
8.影鬼
9.-OZONE-
10.TWISTER[MEMENTO ICEver.]
11.THEATER OF ENVY
12.FIVE BARKIN ANIMALS[MEMENTO ICEver.]
13.Dead Cherry
14.CLASSIC OPERA[MEMENTO ICEver.]
15.STRAWBERRY BUTTERFLY[MEMENTO ICEver.]
16.NEXT
[CD DISC2]
1.Hameln[MEMENTO ICEver.]
2.想い出CG
3.SINDRA
4.chapter:ask
5.GLOSTER IMAGE[MEMENTO ICEver.]
6.夜
7.HEART ch.
8.Recipe
9.Dr.Teddy
10.MONOGRAM
11.Underworld
12.Timer
13.BLACK MATRIX
14.CRACK & MARBLE CITY
15.DANCE IN THE DARK
16.July Ⅶth[Re:birth]

[DVD]※visterのみ
DVD MEMENTOICETV
1.ALBUM RANKING
2.MINI ALBUM RANKING
3.STAFF SELECTION
4.COUPLING RANKING
5.MEMBER SELECTION
6.SINGLE RANKING

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