思い立ったら、いつでも、どこでも。ヤマハのショルダーキーボード「sonogenic SHS-300」は“楽器未経験で誰でも弾ける”だけじゃなかった

ツイート

いつでも、どこでも、思い立ったらすぐに楽しめるショルダースタイルのキーボード。ヤマハ「SHS-300」は、経験や知識がなくてもキーボード演奏が楽しめる「JAM機能」を搭載した「sonogenic(ソノジェニック)」シリーズのエントリーモデルだ。2019年11月に発売され、ポップでスタイリッシュなデザイン、そしてそのルックスとは裏腹に“使える”キーボードとしても注目を集めている。今回は改めてその魅力に迫ってみた。


「SHS-300」は、軽量&コンパクトなキーボード。ストラップで肩から掛けて演奏できる「ショルダーキーボード」のカテゴリに属し、1987年に初代モデルが登場したヤマハ「ショルキー」の系譜に連なるモデルとなる(ちなみに初代モデル「SHS-10」のTV CMには、ヤマハの大人のバイオリン教室を舞台にした昨年放送のTVドラマ『G線上のあなたと私』で話題となった松下由樹が出演していた)。

■いつでもすぐに手に取れる軽量ボディ

そんなショルキー最新モデル「SHS-300」の重量はたったの1.2kg(電池除く)。とにかく軽い。肩掛けで負担が少ないのはもちろん、片手でひょいっと持ち上げられ、「ちょっと弾きたい」と思ったらすぐに手に取れる軽さだ。


▲37鍵のHQ(High Quality)Mini鍵盤搭載の軽量・コンパクトボディに、大口径の8cmスピーカーを上向きに配置。アンプにつながず本体だけでも迫力のある音を楽しめる。

カラーは鍵盤が際立つ“ホワイト”と、鍵盤楽器としては珍しい”ブルー”の2色をラインナップ。スクエアな上部(鍵盤奥側)とラウンドした下部(鍵盤手前側)、異なったフォルムを組み合わせることで、カチッとして見た目と優しく体にフィットする感じを両立させたデザインもこれまでの楽器にはないユニークなもの。またネック(持ち手)の操作部は、音色や設定がひと目でわかるLEDを内蔵したボタンを含む円形のボタンを中心に構成。本体表面はマットな仕上げでリビングに置いても主張しすぎず、インテリアになじむなデザインとなっている。


▲sonogenicの開発にあたっては、弾きやすさや持ちやすさ、ポータビリティ、そしてカジュアルなデザイン性を重視して試作が行われたという。

■こだわりのミニ鍵盤&音色

鍵盤はミニサイズながら打鍵の強さで音量が変化するタッチレスポンス付き37鍵のHQ(High Quality)Mini鍵盤。ミニサイズながら表現力のある演奏ができることで定評のあるヤマハのコンパクトシンセサイザー「reface」と同じ鍵盤を採用している。タッチの強弱をカンタンに弾き分けられるし、低価格なミニ鍵盤でよくみられるガタツキとも無縁。弾きやすくしっかりした鍵盤という印象だ。


内蔵音源はピアノやシンセをはじめ以下の4カテゴリ計12音色を厳選。打鍵の強さで音量が変わるだけでなく、音の色合いが変化するのもポイント。弱く弾けば丸みのあるやさしい音になるし、強く叩けばエッジの立った明るい色になる。特にエレクトリックピアノを弱く弾いた時の甘い響きは絶品。音色を切り替えつついくつか弾いてみれば、鍵盤演奏の経験がある人ほど「ミニ鍵盤でこんなに幅広い表現ができるのか!」と驚くはず。

<音色リスト>
SYNTH(シンセ):鋸波リード、矩形波リード、シンセブラス
PIANO(ピアノ):ピアノ、エレクトリックピアノ、オルガン
GUITAR(ギター):エレクトリックギター、アコースティックギター、エレクトリックベース
OTHER(その他):ストリングス、シンセベース、ダンスキット

メロディ、コード楽器だけでなく、「ダンスキット」というドラム音色が含まれるのも楽しいところ。バスドラム、スネア、ハイハットといったドラムキットの音が各鍵盤に割り当てられているので、最近静かなブームとなっているフィンガードラムも気軽に楽しめる。


▲ネック先端からピッチベンドホイール、ビブラート、サスティン、音色選択ボタン。音色は4つのボタンでカテゴリ選択、音色ボタンを押すたびにVAR(バリエーション)ランプが赤・ピンク・白・赤と順に変わり、音色も切り替わる。トランスポーズ(半音単位での移調)やオクターブ変更はFUNCTIONボタン+鍵盤で指定。

また、タッチ感度の調整も可能だ。「ソフト」なら弱く弾いても大きな音が鳴るし、「ハード」ならその逆。「フィックス」にすれば常に最大で固定となる。初期設定の「ミディアム」でしっくりこない場合は調整してみよう。

演奏表現を広げるコントローラーはネック側に用意。ギターのチョーキングのように音程をなめらかに変化させるピッチベンドホイールと、音を揺らすビブラートボタン、音を持続させるサスティンボタンが、使用頻度が高い順にネック先端から並べられている。楽器経験のない人にはピンとこないかもしれないが、次に紹介する「JAM機能」ではこれらのボタンで、さらに演奏が楽しくなる。

■練習なしで誰でも鍵盤演奏が楽しめる「JAM機能」

sonogenicシリーズ最大の特徴とも言える「JAM機能」は、無料のスマホアプリ「Chord Tracker」(iOS/Android対応)と連携して、誰でもカンタンに鍵盤演奏が楽しめるというもの。まずは以下の動画をチェックしてもらうのが手っ取り早い。


「JAM機能」は、これまでの楽器演奏の概念を変える、ある意味“魔法”のような機能だ。「Chord Tracker」が曲のコードを自動的に解析して、その結果を「SHS-300」にワイヤレスで送信。曲の進行に合わせて「SHS-300」のそれぞれの鍵盤から出る音が自動的に切り替わる。

同じ鍵盤だけを弾き続けても、コード進行に合わせて出る音は変わるし、曲の再生中はいつどの鍵盤を弾いても音を外すことはない。一方、鍵盤の左側は低い音で、右側は高い音という原則は守られているので、鍵盤上を指が移動している姿と、実際に出る音との違和感が生じることもない。まさに曲のリズムに合わせて手を叩いたり、合いの手を入れる感覚で、驚くほどカンタンに伴奏やソロが弾けるのだ。“誰でも鍵盤演奏が楽しめる”というのは決して大げさではない。


▲アプリの操作でSHS-300を選択してBluetooth MIDI接続(左)、スマホ/タブレット内の曲を選べばすぐにコードの解析がスタート(右)。

▲数秒の解析処理の後、コード進行を表示。再生スタートですぐに演奏が楽しめる。曲の進行に合わせてコード情報が楽器へ送られ、鍵盤に割り当てられる音が決まる。コードの押さえ方を覚えたい鍵盤ビギナーなら、JAM機能をOFFにして画面下の鍵盤を見ながら練習すればOK。コード解析機能はアプリ単体でも使えるし、ギターの弦の押さえ方も表示できるので、ギタリストも要チェックのアプリだ。

演奏のバリエーションを広げてくれる、3つのJAMモードが用意されるのもうれしいところ。「1フィンガーモード」は指1本で弾けるモードで、押さえた鍵盤の音にハーモニーが付く。「バッキングモード」では伴奏に適した和音が弾けるし、「メロディモード」は名前のとおりメロディ演奏用のモードで、どの鍵盤を弾いてもコードに合う音が鳴る。

たとえば壮大な曲に合わせて弾くなら、イントロはバッキングモード&ピアノで音数少なめでおごそかに、サビはストリングスに音色を切り替えて盛り上げ、間奏はメロディモードでギターソロ。ホイールを動かしてチョーキングすればさらに気分が高揚すること間違いなし。ちょっと練習すれば、見栄えのする演奏がどんどんできるようになる。魔法の力で“ギター・ヒーロー”ならぬ“キーボード・ヒーロー”になれるのだ。

■ショルダースタイルだけでなく卓上でも

▲テーブルの上でも安定して設置できるので、両手で弾くのもカンタン。ピアノ練習も気軽にできる。

その形状とストラップが標準で付属することから、ライヴでのショルダースタイルの使用がフィーチャーされることの多い「SHS-300」だが、実はテーブルの上に置いて両手で弾くこともしっかり考慮されている。これも見逃せないポイントだ。裏面には4つの突起が設けられ、鍵盤面はちゃんと平らになるよう設置が可能。ぐらつくことはない。

また、ストラップを固定するピンは裏面と側面の2カ所に付いているのだが、裏面のピンの部分がくぼんでいるので、ストラップを取り外すことなくテーブルに置けるようになっている。これは上位モデルの「SHS-500」よりも便利な点だ。


▲ストラップピンが取り付けられている部分がくぼんでいるので、ストラップを付けたままで平らに置くことが可能。写真左がストラップピン、右が付属のストラップを取り付けた状態。

▲ストラップを付けたままもでテーブル上での演奏が可能。

ショルダースタイルと両手弾き、どちらも対応する「SHS-300」は、使う場所も選ばない。電源は単三乾電池×4本またはUSB端子からの給電で動作。アルカリ電池なら15時間、ニッケル水素充電池なら12時間も連続使用できる。アウトドアに持ち出して楽しむにも十分なスタミナを備えていると言っていいだろう。


▲電池ボックスは裏面に配置。単三乾電池×4本で駆動。一昔前の電子楽器は6本で動作するものが多かったので、充電に手間のかからない4本構成はありがたい限り。

出先であいにく電池の予備がないという場合でも、スマホの充電用USB電源アダプターやUSBモバイルバッテリーを付属のUSBケーブルでつないで電源供給が可能。製品キャッチフレーズの「いつでも、どこでも」は、電源に関しても当てはまるというわけだ。

■DAWの入力用キーボードとしても活躍

「SHS-300」は、USB-MIDIに対応しているので、MIDIキーボードとしてパソコンでの音楽制作にも活躍してくれる。パソコンとの接続は、「SHS-300」に電池が入っているなら付属のUSBケーブル1本でOK。電池がない場合は、セルフパワーUSBハブ経由でつなげばよい(出力電流1.0A以上が必要)。

USB-MIDI接続の際は本体のボタン操作が必要となる(FUNCTIONボタン+鍵盤C5)ものの、ドライバーソフトのインストールは不要。接続すればすぐMIDIデバイスとしてOSから認識されるので、さほど手間なくDAWの入力用キーボードとして使えるようになる。鍵盤からのノート情報はもちろん、ピッチベンドやサスティンの情報も送れるので、MIDIコントローラーとしても十分実用になるはず。

必要になったらさっと取り出して、音の確認やリアルタイムレコーディングに使用。本体の奥行きはわずか12.5cmなのでデスクトップでも置き場所に困ることはない。そして、使い終わったら躊躇なくそのへんの壁にかけておける。場所を選ばずカジュアルに使えるのも、「SHS-300」ならではだ。

     ◆     ◆     ◆

リビングでくつろぎながら楽器演奏を気軽に楽しむ。そんなシーンに合う楽器と言えば、ミニギターやウクレレが思い浮かぶが、軽量&コンパクトな「SHS-300」もその用途にぴったりハマる楽器だ。音楽制作のパートナーとしても重宝するし、「JAM機能」を使えば、これまでにない演奏体験が、練習なしで誰でもすぐに味わえる。

また、これからの年末年始の時期はパーティーなど「SHS-300」の「JAM機能」が活躍するシーンは多くなりそうだ。お気に入りの曲をそれぞれが持ち寄って演奏すれば、カラオケとはまた違った盛り上がりになるはず(今年はなんといってもカラオケがやりにくい)。「SHS-300」は8cmの大口径のスピーカーを搭載しており、少人数で集まる部屋で演奏するには十分な音量を出してくれる。物足りない場合は、ヘッドホン出力兼用のステレオミニジャック出力を家庭のオーディオ機器につなげばいいだろう。オプションとして専用ケース「SC-KB350」が用意されているので、持ち運ぶ機会が多そうな人は、こちらもあわせてチェックしてほしい。


▲専用ソフトケース「SC-KB350」は、上位モデルの「SHS-500」と兼用。内部には位置を変えられる仕切りが用意され、ケーブルやオプションのACアダプターなども一緒に収納できるようになっている。

▲専用ソフトケースは手提げ用のハンドルに加え、肩掛けできるバックストラップも備える(ストラップは収納可能)。両手がフリーになるので、荷物が多い際の移動も安心。

製品情報

◆sonogenic SHS-300(本体)
カラー:ブルー、ホワイト
価格:オープン(市場想定価格 19,000円前後 税別)
発売中
◆ソフトケース SC-KB350
価格:5,500円(税別)
発売中
この記事をツイート

この記事の関連情報