【インタビュー】秦 基博、NHK朝ドラ『おちょやん』主題歌に込めた人生観

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■これまでと変わらず

──で、今回のカップリング曲では「カサナル」が新曲ですね。前回、夏に秦くんにお話を聞いた時に、今は曲を書いているところだと言ってましたが。

秦:「カサナル」を作ったのは、まさに夏ぐらいですね。KANさんが書かれるストリングスのアレンジがすごく好きだったし、僕、KANさんの「キセキ」という曲(2019年発表のアルバム『23歳』に収録)にエレキソロでなぜか参加してるんですけど、そのお返しというか、お互いにちょっと参加するという形でストリングスを書いてもらいました。

──そうですか。前回の取材からもう半年経つんですけど、曲は増えました?

秦:いや、そんなに増えてないです(笑)。ここ数ヵ月は弾き語りアルバムの『evergreen2』を作っていて、それにかかりっ切りだったので、新曲制作というよりはそっちのほうがメインでしたね。で、ようやくひと段落というか、終わりが見えてきたので、また新曲制作にシフトしていってる感じではあります。だからここから本腰を入れて作るつもりでいるんですけど。

──その『evergreen2』はどんな内容になってるんですか?

秦:ディスク2枚組で、1枚目は『evergreen』(2014年)以降のシングルの弾き語りになると思います。で、2枚目に関してはリクエストを募って、その結果の曲たちを順次録っていってる感じなので、そういう2枚組になります。これは春頃に出ると思います。

──では巣ごもり状態だった2020年の成果がここから出てくるわけですね。

秦:そうですね。あとは状況を見ながらにはなりますけど、またツアーができたらいいなと思っています。15周年なので、そのライヴももちろんしたいですし。

──そのデビュー15周年についても聞きたいのですが、今どんな感慨があります?

秦:15年を迎えてですか? そうですね、感慨……うーん……自分も40歳になって、しかも15年というのが重なってるので、ある程度キャリアがある感じが出てきたな、と(笑)。10年ぐらいだと、そこまで思ってなかったんですけどね。そういう意味で、ここからまた新しくやっていくというか、いろんな人に曲をどんどん聴いてもらえるように、という気持ちはあります。

──今の音楽シーンはキャリアの長い人が多くなったので、10年やってもまだ中堅ぐらいの感じはあるんですが。15周年となると、ね。

秦:そうですね(笑)、先輩たちがたくさんいらっしゃるんで、15年と言ってもまだまだだと思うんですけど。ただ、そういう意味では新しいアーティストもたくさん出てきてるし。自分の音楽はこれまでと変わらず、みなさんのところに届けていけたらいいなと思います。



──そうですか。あの、ちょっと脱線しますけど……今、たまたま新しいアーティストという話が出ましたが、秦くんが最近とくに刺激を受けたアーティストや作品ってどんな人がいます?

秦:刺激を受けた……えーと、そうですね。最近の人というわけではないんですけど、この前シーアを聴いて「やっぱりカッコいいな、この人」と思いました。歌声の強さとか、さすがだなと。テイラー・スウィフトもサム・スミスもそうですけど、向こうのヒットチャートをにぎわしている人の音楽のクオリティの高さはすごいなと思います。最近の洋楽のいわゆるポップスという世界はやっぱりカッコいいんですよね。テイラー・スウィフトもボン・イヴェールをフィーチャリングしたりしていて、それもすごくいいなと思いましたし……デュア・リパもそうですけど、やっぱり音楽がしっかりしているというか。

──そうですね。いま名前が出たようなアーティストたちは、新しいことにチャレンジしながら、大衆的なところにもしっかり着地してますしね。

秦:で、アレンジもカッコいいし。サウンドのプロダクツとしても、力がすごく強いなと思うし。それには刺激を受けるというか……音楽のクオリティに対してスキがないな、と感じますね。

──たしかに。そして秦くんの音楽にも、そういうところから吸収している何かがありそうですね。

秦:そうですね。さっき言ったような人たちは、やってることが非常に大人だなと思うんです。プロがやっている感じがすごくするし、でもアーティスト性もしっかりと出ているし。それはポップスとしてすごく必要なことなのかなと思います。

──でも秦くんも、この日本で一級品の音楽を作り続けている存在だと思いますよ。その上で自分なりの世界をしっかりと広げてきているじゃないですか。

秦:ありがとうございます。僕はシンプルで、簡単そうに聴こえて、でも実はそうじゃないという音の構築とか、メロディとか、歌……そういうものを目指してますね。なるべくシンプルに聴こえたほうがいいと思うんですけど、でも実はいっぱい、いろいろなものが入っている、というほうがいいなと。それは今日お話した曲の作り方と近しいことなんですけど。シンプルだけど奥深いものがいい、と思うんですよね。

──ああ、なるほど! この「泣き笑いのエピソード」は、まさにそういう歌ですよね。

秦:そうだといいですね。歌詞もすごくシンプルな言葉で書けたと思うんですけど、聴く方の中で色々と広がっていったらいいなと思います。

──わかりました。では最後に、2021年の抱負をお願いします!

秦:やっぱり「ライヴで会いましょう」というのが、目標というか、実現させたいことですね。なかなか難しい状況ではあると思いますけど。もちろん配信ライヴという形もあるとは思うんですけど……(お客さんを入れてのライヴが)2021年に実現するといいな、と思います。

取材・文◎青木 優
撮影◎野村雄治

24th Single「泣き笑いのエピソード」

2021年1月27日(水)発売
■通常盤(CD)
UMCA-50059 ¥1,200(税別)
■初回限定盤(CD+DVD)
UMCA-59060 ¥2,900(税別) 三方背スリーブケース仕様

[CD]
1.泣き笑いのエピソード
2.LOVE LETTER(コペルニクス AT HOME)
3.アース・コレクション(コペルニクス AT HOME)
4.カサナル
5.泣き笑いのエピソード(backing track)

[DVD]
Hata Motohiro Live at F.A.D YOKOHAMA 2020
・シンクロ
・フォーエバーソング
・色彩
・恋の奴隷
・Lost
・在る
・Raspberry Lover
・9inch Space Ship
・スミレ
・ひまわりの約束
・鱗(うろこ)
・朝が来る前に
・Interview & Bonus Track「トラノコ」

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