【インタビュー】仲村宗悟「3曲の高低差がエグい(笑) でもそこも楽しんでもらえると思います」

ツイート

コロナ禍の鬱屈を吹き飛ばすポジティブなメッセージを、強力ファンキーなサウンドに乗せて解き放ったデジタルシングル「Oh No!!」を経て、CDとしておよそ1年ぶりとなる仲村宗悟の3rdシングル「JUMP」が届いた。1月10日からTV放送&配信スタートしたオリジナルアニメ『スケートリーディング☆スターズ』エンディング主題歌のこの曲は、痛快なピアノロックサウンドにキャッチーなメロディ、夢に向かって“苦しくても走り続ける”決意を綴ったパワーあふれる1曲。真逆のメランコリックでナイーブな歌詞とサウンドにトライしたカップリング2曲も含め、アーティスト仲村宗悟の引き出しの多さと深さを見せる、大注目のシングルだ。

■僕が一番書きたかったのは“夢に指先が触れた気がした”というフレーズ
■初めてスタートラインに立った時の曲にしたかった


――『スケートリーディング☆スターズ』は、フィギュアスケートの団体競技「スケートリーディング」という架空のスポーツをテーマにした作品になっていますね。

仲村宗悟(以下、仲村):面白い設定ですよね。アニメタイアップで僕が初めて作詞で関わらせていただく楽曲なので、自分から全部出したというよりは、設定資料を読んで、そこにフォーカスを当てながら作った作品なので、新しい挑戦になりました。

――アニメの内容は、フィギュアで挫折を経験した主人公が、新しい競技に出会って再び夢を追い始める。いわゆるグローイングアップストーリーですか。

仲村:まさに、そういう部分を歌詞に落とし込みました。多かれ少なかれ、挫折したことのない人間はいないと思うんですよ。スポーツでも何でも、常にトップを取り続ける人生はなかなかないと思うし、何度も悔しい思いをした人はいくらでもいるだろうし。“どうしてもこれがやりたいんだよ”と思うものほど、ぶつかる壁は大きくなるんじゃないか? ということをAメロで歌っています。僕が一番書きたかったのは、サビの終わりの“夢に指先が触れた気がした”という部分です。確実じゃないけど“触れた気がしたんだよね”と思う瞬間があると、そこからは見える景色が変わって、さらに伸びてゆくと思うし、初めてスタートラインに立った時の曲にしたかったんですよね。

――それは自分の人生とも、照らし合わせた部分はありますか。

仲村:そうですね。自分の思いが特に強く出ているなと思うのは“子供の頃に描いてた未来が/今は全然違ってたとしても”のところで、“それは逃げじゃない/特別な何かを新しく見つけたんだよ”という部分は、僕の経験を経て書いた言葉です。子供の頃は、たとえば花屋さんになりたい、仮面ライダーになりたいとか、いろんな夢があって、でも次の日には別の夢に変わっていたりするじゃないですか。それはフラフラしてるということじゃなくて、自分自身が日々アップデートされていて、また次の楽しいことを見つけていくことだと思うんです。僕は今もそうだし、常に今が最新で、それがすべてだと思うから。夢がいくつあってもいいし、人生の中で特別なものをいっぱい手にするのはいいことだと思うので、“変わることは、逃げることじゃない”という思いを込めて書きました。

――宗悟くん自身も、いくつかの挫折を経て、10代から追いかけてきた音楽という夢を今は掴んだわけで。

仲村:まあ、今考えるとあれは挫折なのかな? と思いますけどね。ずっとフリーターで、ライブもできなくなって、悩んでいた時期を経て声優の道を見つけて…でも隣にはずっと音楽があったから、やめたことは一回もなかったんですよ。モヤモヤしていた時期はあったけど、音楽を長く続けていたおかげで、今新しく僕の中の音楽が転がり始めていますよね。道が違えば書く曲も違っただろうし、今の人生だったからこそこういう曲が書けてるなとは思います。

――そのへんのニュアンスって、難しいじゃないですか。一歩間違えると、成功者の説教くさくなっちゃう。

仲村:そうなんですよ。あんまり押し付けたくない、そこもテーマになっています。無理やり引っ張っていくぜ、というパワーのある楽曲が好きな人もいると思うのですが、この曲に関しては泥臭さをあんまり込めなかったんです。曲自体のイメージもありますけど、鼻息の荒い感じは乗せたくなくて。曲ですべてが左右されることはないかもしれないけど、添え木にはなれるものだなと思うんです。連れて行ってはくれないけど、倒れそうな時にそばにあって、「これがあったから倒れずに済んだ」ぐらいの、そういうものであったらいいなと思います。


▲3rd Single『JUMP』【初回限定盤】


▲3rd Single『JUMP』【通常盤】

――こういうロックテイストの楽曲は、歌い手としてはどうですか。

仲村:今までのシングルで一番BPMが速い曲なので、新鮮でしたね。練習し始めた頃は「口が回んねーな」という感じでしたけど(笑)。イントロからキラッとしてるし、きっとライブで盛り上がる曲になると思います。

――そしてカップリング2曲は、どちらも作詞作曲が仲村宗悟のオリジナル。これが「JUMP」とはまったく違う、仲村宗悟の新たな一面を見せる曲になっています。

仲村:今までとは違う角度からボールを投げたかったんですよね。

――2曲目「てこと」は、60年代のUKロックを思わせるような、メロディアスでメランコリックなムードがたまらないです。

仲村:まさに、そういうものを意識しました。派手じゃなくて、展開もそんなになくて、でも胸にぐっと来るものを作りたかったんです。アレンジャーの村山☆潤さんと何度もやりとりをして良いアレンジになったと思うし、音のイメージもばっちりですね。あれは何て言ったっけ、テープが回るピアノで、ビートルズが使っていたような…。

――メロトロンですか。

仲村:そう、メロトロン。本物じゃないですけど、デジタル音源で、そういうイメージも付けてみました。僕はいろんな曲を聴くので、いろんな年代からおいしいところを引っ張ってきて、さらに2021年の音楽に昇華させたいというところがあるので。そういうことをやっています。

――歌詞は「僕」の独白でありつつ、「君」のことを思っている、内省的な恋愛ソングというか。

仲村:そうですね。対象の相手が今その場にいるわけじゃなくて、たとえば休日の午後に目が覚めて、今日は休みだし、昼からビールを1本飲みながら自宅のソファーで物思いにふけっている、みたいなイメージです。“そうだよな。そういうことだよな”とか思いながら。

――結論が出るわけではないんですよね。“こんなに好きなのに思うようにいかない”とか、ひとりごとに近い。

仲村:結論が出ないことを永遠に考えちゃう。“君が好きだけど、君のことを全部知り尽くすことはできない。お互い、嫌なことが前にあったりしたけど、忘れることはできないよね。いや、でも元々は、君が好きだからこんなことを考えるんだよな俺は…”という歌なんです(笑)。レコーディングも、熱くならずに、日常の風景の中でフラットなイメージで歌いました。

――タイトルの「てこと」は、歌詞に何度も出てくる“知りつくすってこと”“できやしないってこと”“最高ってこと”という、その“てこと”を切り取っている。面白いです。

仲村:なんか、キャッチ―ですよね。それだけ見たら何のことかわからなくて、でも歌を聴けばばっちりだなと思う、“そういうこと”という曲です。言葉にするとわかりにくいかもしれないけど、会話の中のフィーリングでわかることですよね。

――ビンテージなロックが好きな人は、音色も含めて気に入ると思うので。ぜひチェックしてもらえればと。

仲村:尖った部分も要所に入れたので、聴く人にとってはそういうところも面白いんじゃないかなと思います。音楽をやっている人が聴いても“こんなに面白いことしてるんだ”と思ってもらえるようなサウンドを取り入れたいんです。誰が聴いてもいろんな部分で“いいな”と思えるものを作りたいなというのがテーマなので、この曲にもそういう部分はありますね。

◆インタビュー(2)へ
この記事をツイート

この記事の関連情報