【インタビュー】AI、世界標準の“HIP HOP / R&B”と今伝えたいメッセージ「心を開いて」

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AIが2月24日、20周年記念シリーズ第二弾となるミニアルバム『IT'S ALL ME -Vol.2』をリリースする。デビュー以来、ジャンル、国境を超えて数多くの魅力的なコラボレーションを実現させるなど、生み出し続けているのは世界標準の作品だ。シリーズ第一弾『IT'S ALL ME -Vol.1』に続く本作には、LAヒップホップを代表するスコット・ストーチをはじめとする海外のプロデューサーと制作した楽曲、さらに超注目のフィーメールラッパーAwichをフィーチャーした「Not So Different Remix feat. Awich」など6曲を収録。最新鋭のR&B、ヒップホップを取り入れたサウンドと、この時代に必要なメッセージがたっぷりと込められた作品に仕上がっている。

◆AI 画像 / 動画

BARKSインタビュー初登場となるAIに、『IT'S ALL ME -Vol.2』について、併行して行なっている社会活動について、たっぷり語ってもらった。その根底にあるのは、音楽の力によって、世界を少しでも良くしたいという真っ当にして純粋なモチベーションだった。

   ◆   ◆   ◆

■世界をもっと良くしたい
■人同士が仲良くできるようにしたい

──BARKSインタビュー初登場です。よろしくお願いします!

AI:よろしくお願いします! 勝手に何度もインタビューしてもらってる気になってました(笑)。

──レポートやニュース記事は何度も掲載させていただいているので、我々も初という気がしてません(笑)。さて、2020年は大変な1年でした。AIさんは音楽番組の出演、配信やSNSなどを通して、積極的に楽曲やメッセージを発信し続けていますね。

AI:それしか出来ないですからね。自分の家でやれることなら大丈夫というか、生配信とか中継とかだと「うちの子供たちがうるさかったり動き回ったりするかもしれないけど、いいですか?」という感じで(笑)。いろいろやらせてもらいました。

▲AI

──「ハピネス」「Story」といった代表曲のメッセージに励まされたリスナーも多かったと思います。そして2月24日にはミニアルバム『IT'S ALL ME -Vol.2』がリリースされます。2020年7月の『IT'S ALL ME -Vol.1』に続く、20周年記念シリーズの第二弾ですが、今回も素晴らしいですね。楽曲のクオリティ、リリックに込められた思いを含めて、AIさんにしか作れない作品だなと。

AI:うれしいです! 『Vol.1』もそうだったんですが、いろんなプロデューサーやビートメイカー、トップライナーと一緒に作った曲が入っていて。この時期に合うメッセージが込められた曲もありますけど、実はだいぶ前に作った曲もあるんですよ。埋もれそうだった曲を聴いてもらえるのは、私としてはすごく嬉しくて。私はもともと、メッセージがある曲が好きだし、自分でもよく作ってるんです。周りの人に「戦争のことを歌うってどうなの?」みたいに言われることもあったけど、実際に起きてますからね、世界中で。“食べるものがあって、着る服があって、住む家がある”というのが私たちは当たり前だと思ってるけど、そうじゃない人もいっぱいいるんですよ。そのことを伝えたいなと思うし、もっと私たちは協力し合えるはずだとも思っていて。

──去年以降、もともと存在していた問題がクローズアップされることも多かったですよね。

AI:“BLACK LIVES MATTER”もそうですよね。それも今に始まったことではなくて、ずっと以前からある問題で。マイケル・ジャクソンやマドンナも、そういう人種差別に関するメッセージを込めた曲を歌っていて、子どものときからよく聴いてました。ゴスペルにもそういう曲が多くて、ずっと“本当にそうだな”と感じていて。だから、自分がメッセージ性のある曲を作るのも、すごく自然ななことだと思うんですよ。テレビでもニュース番組ばっかり見てるし……。楽しく笑える番組も見ますけどね(笑)。最近は子供と一緒に『アンパンマン』をも観たりしてて、本当に感動しちゃいますね。

▲AI

──ピュアになれますよね(笑)。たとえばBLACK LIVES MATTER運動が注目を集めたときも、海外のアーティストはすぐに反応したり、曲を発表するじゃないですか。個人的には日本でももう少し、そういう動きがあるといいと思っていて。『IT'S ALL ME -Vol.2』の1曲目の「Not So Different」は、まさにそういうテイストの楽曲だなと。

AI:そうですね。この曲はスコット・ストーチさんがプロデューサーなんです。もしかしたら日本ではそこまで知られてないかもしれないけど、ドクター・ドレーやスヌープ・ドッグもそうだし、2000年代初めのウエストコーストのサウンドを作り上げた人なんです。特に鍵盤の音が独特で、私もすごく好き。スタッフのみなさんと「次はどんな人とやりたい?」という話をしたときに、スコット・ストーチさんの名前が挙がって、「もしできるんだったら、やってみたい」と。そのときはまさか一緒に作れるとは思ってなかったし、そもそも向こうも“やりたい”と思ってくれないとイヤだなっていうのもあって。私の音楽を聴いて、“いいね”と思ってくれないと一緒にやってもしょうがないというか。お金だけ出してやってもらうんじゃなくて、お互いに敬意を持って、“おもしろいものが作れそうだな”と思わないとね。あと、向こうのプロデューサーと一緒にやるときは、どうしても慎重になっちゃうんですよ。時間にルーズな人は嫌だな、とか。

──大事なことですよね。

AI:我々もこの20年間、いろんな経験をしてますからね。「マネージャーだ」って言ってる人と話をしてたら、実はただの友達だったとか(苦笑)。せっかく制作が始まっても、いつの間にか連絡が取れなくなったことがあったり。でも、スコットさんは真っ当に活動されている方だし、チームもしっかりしていて。実際、話もポンポンと進んで、すごくいい感じで制作できました。作業はLAの彼の家でやったんですよ。

──え、そうなんですか!?

AI:そうなんですよ! すごかったですよ、スコットさんの家。ハリウッドの豪邸でドアの前にピットブルが2頭いて、それが「俺たちを跨いでいくのか?」みたいな顔してるんですよ(笑)。スコットさん自身が家の中を案内してくれたんですけど、「すごいですね」しか言えなかった(笑)。今まででいちばん緊張しましたけど、スコットさんはすごく優しかったですね。ごついサングラスしてるんだけど、目がすごく可愛いんですよ(笑)。奥さんが妊娠されてることもあって、すごくヘルシーな生活をしてるみたいでした。



──曲作りはどんなふうに進められたんですか?

AI:いきなりスコットさんが鍵盤を弾き始めて、「どういう曲にしたい?」っていう話から。私のなかには“スコットさんとやるなら、こういう内容にしたい”というイメージがあったので、そのことを話しました。スコットさんの家に行ったのは2019年夏のことで、2020年に開催予定だった東京オリンピックを意識していたんですよね。世界中からたくさんの人が東京に来るはずだったし、チャンスだと思ってたんですよ。“世界をもっと良くしたい、人同士が仲良くできるようにしたい”というメッセージを海外の人達にも音楽で伝えたいと思ったので、英語の歌詞を入れて。“We're not so different / All the same the inside”という歌詞もそうですね。

──“私たちはそんなに違わない/中身は一緒だ”ですね。

AI:はい。日本の人たちにも、“海外の人たちは私たちと何も違わない。心を開いて接しよう”と伝えたくて。そうすれば、海外の人たちにも“日本、最高だな”というイメージを持ってもらえるだろうし、音楽を通して、そのきっかけを作れたらなって。そういう話をスコットさんにしたら、すぐに「いいね」って共感してくれて。Bメロのコードを弾いた瞬間に「最高!」と思ったし、制作もすごくスムーズでした。口数は多くないんですけど、分かり合えたという感じがありました。

──すごく密接なセッションだったんですね。

AI:そう、何もない状態から作ったので。スコットさんは大御所プロデューサーだし、実際に会うまではどんな感じがわからなかったんですけど、すごくいい体験になりました。彼はもともとギャングスタだし、我々には想像できないようなこともたくさん経験していると思うんです。撃たれた仲間、逮捕されている仲間もいるだろうし、人を信用できなくなったこともあるだろうし。でも、今は初めての子どもを授かって、ヘルシーな生活をしている。そんな彼が「Not So Different」という曲に加わってくれたことで、リアリティが増して、それがすごくいいなと思ってます。一緒にこの曲を作れたことには、本当に感謝ですね。

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