【インタビュー】BACK-ON、過去に感謝しながら未来へ「やれることはまだまだある」

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メジャーデビュー15周年というアニバーサリーイヤーと迎えたBACK-ONが、アニメやゲームといったタイアップ曲や初期の楽曲を中心としたセルフカバーを収録したDisc1、2人体制になった以後に配信限定で発表した3作品をまとめたDisc2という2枚組の新作『Flip Sound』を完成させた。

◆『Flip Sound』トレーラー映像

“過去に感謝しながら未来へ進む”というテーマを掲げていることもあって、今のサウンド感でよりブラッシュアップされた既存曲は鮮明な色付けをされており、発表済みの3作品も含め、現在進行系の彼らがどういったスタンスで突き進んでいるのかがわかりやすくパッケージされている。ベストアルバム以上に名刺代わりといえる存在であり、キャッチーで間口は広いながらも、研ぎ澄まされたサウンドという彼らの真骨頂を改めて存分に味わえるだろう。

節目を迎えた現在の心境から新作への向き合い方、コロナ禍において何かを考えてきたのか。KENJI03とTEEDAの2人にじっくりと語ってもらった。

  ◆  ◆  ◆

■エネルギーの使い方に無駄がなくなった

──2020年10月19日にメジャーデビュー15周年を迎え、アニバーサリーイヤーがスタートしました。まずは、節目を迎えた率直な気持ちを教えていただけますか?

KENJI03:僕たちは長くやるというよりも、とにかくガムシャラにやってきて、気づいたら15年も経っていたという感覚なんです。だから、周りの人たちのサポートがあってこそだし、こうやってメジャーレーベルに15年いさせてもらうのは凄いことじゃないですか。ホントに感謝しかないですね。

TEEDA:僕も同じですね。結果が出なかったり、上手くいかなかったらバンドをやめて他の道を考えたりもするんでしょうけど、僕らはこれしかないんですよ。だから、必死に「何かプラスになるんじゃないか?」といろんなことに手を伸ばし、駆け抜けてきて。その間、たくさんの人にお世話になったりもしたから。

──先々のことを考えて動いてたというより、目の前にあることへ挑み続けた、と。

TEEDA:昔からそうなんですけど、「何年か後にこうなっていよう」みたいなことは一切考えてなくて。どうなるかはやってみたいとわからないし、目の前にあることへ向き合い続けてきたんですよ。

──明日の為に今日をどう生きるか、という。

KENJI03:いや、ホントにそうかも。ただただ必死でしたから。もちろん、振り返れば辛い時期やたいへんなこともありましたけど、今はそれすらも肯定できるし。ああいった経験があったからこそ、今の自分たちがいると思えますね。


──この15年で印象深い出来事をパッと挙げるとするなら?

KENJI03:個人的にはBAReeeeeeeeeeN(※GReeeeN、BACK-ON、JINによる期間限定ユニット)をやってたときですかね。プレッシャーもあったし、いろんな人からワーッと言われたりもして、自信をなくしてた時期だったんです。あのとき、やめそうになったけど、やめなかったからこそ、今がある。ひとつのターニングポイントかなと思いますね。ああいった辛いことを乗り越えたから、落ち込んでる後輩にもちゃんとアドバイスできる自分になれた気がするし。

TEEDA:あのころは、(プロジェクトに)関わった大人もホントに多くて。ああでもないこうでもないと言われるんだけど、「この人は誰なんだろう?」と思ったこともあったし(笑)。

──大きいプロジェクトでは関わる人がグッと増えますからね(笑)。

TEEDA:そうなっていくと、自分を見失っちゃうというか。「何をやりたいのか?」とか「僕じゃなくてもいいんじゃないか?」みたく考えるようにもなっちゃうし。今となってみればいい経験なんですけどね。

KENJI03:実際、自分たちだけ(の視点)じゃないサウンドを取り入れられるキッカケにもなったりして。ひとつひとつのことが今の自分たちの力になってるんですよね。

──お互いに変わってきたなと思うようなこともありますか?

TEEDA:僕、めっちゃありますね。KENJI03とはバンドを組む前からの仲なんですけど、昔はお調子者だったり、慌てん坊なイメージ。でも、ずっとBACK-ONのトップラインを作り続けてきて、僕からすると「もう追いつけない」っていうぐらいまで(音楽を)突き詰めてるんです。昔の三枚目な感じが見えないから、ちょっと突っ込みづらいところもあるぐらい(笑)。こんなにストイックだったかなと思うぐらいの変化を感じますね。頼り甲斐があるというか、頼りにしちゃうし。女だったら抱かれてますね(笑)。

KENJI03:ハハハハ(笑)。TEEDAは、素の部分というか、高校のときに戻ってるようなところを今は感じてて。周りからどう見られてるのか気にするタイプだったはずなのに、自然体でいられるようになってるな、と。そこは僕もそうなんですけど。

──いろんなことを経験してきたからこそ、自然体でも胸を張れるようになったような。

KENJI03:だと思いますね。だから、変わったいうより、また一周して戻ってきたみたいな感じ。もちろん、その分、強くなってるという。

TEEDA:以前の4人体制のときは、ひとりひとりがライバルみたいな感覚だったんですよ。お互いに勝ち気さがあったというか。でも、今は「ここは力になれるな」や「あそこは頼ろう」みたく、素直な気持ちになれていて。エネルギーの使い方に無駄がなくなったようにも感じますね。


──アニバーサリーイヤーを駆け抜けるべく、昨年は蓄える時期だったと思いますが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあって、日常生活すら制限されることが多かったと思います。そういった中でモチベーションはどうやって維持していましたか?

KENJI03:コロナの影響があって、ライヴもなかなかできない中、僕らはいつでも動き出せるようにずっと曲作りをしてたんです。先々まで予定が決まってたわけじゃないけど、それこそライヴが来週ありますと言われてもいいような心構えで過ごしてましたね。

──エンジンを完全に切ることはなく、常にアイドリング状態。

TEEDA:たぶん、凄く暇だったらちょっと怖くなってたと思うんです。KENJI03はBACK-ONの曲のみならず、作家としても活動してるし、僕もラップの提供とか、影響を受けたラップを歌ってみた動画をアップしてみたり、そうやって隙間をなくしていったことがモチベーションの維持につながったのかな、と。引き出しを増やすことにもなりましたし。

──となると、ふさぎ込むようなことはなかったんですね。

KENJI03:そうですね。もちろん、早くコロナは落ち着いて欲しいけど、それだけを考えることもなくて。過去ばかり振り返ってもしようがないじゃないですか。オンラインライヴだったり、新しいツールを僕らがどう使うのか。そうやって前を向いて、新しい扉に挑戦することがチャンスにもなるだろうし。

──できないことをどう補うかではなく、新しく開いた可能性に目を向けた。

KENJI03:そうです、そうです。どう考えても、時代の流れには逆らえないし。例えば、レコードがカセットになり、CDへと変化していったように、ライヴのスタンスや音楽の聴き方も変わっていきますからね。

TEEDA:それこそ、僕らは海外でライヴをやる機会も多く、いろんな国にファンがいるのもあって、世界中の人が一斉に観れるオンラインライヴはチャンスのひとつだと思ってるんですよ。

◆インタビュー(2)へ
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