【インタビュー】上野優華、運命の糸で結んだ川崎鷹也との縁

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昨年12月には自身が作詞作曲を手掛けた切ないミディアムナンバー「好きでごめん」をリリースしたソロアーティスト・上野優華が、早くも新曲「愛しい人、赤い糸」をリリース。同曲の作詞作曲は、昨年「魔法の絨毯」で注目を集め、現在もメディア露出などに引っ張りだこのシンガーソングライター・川崎鷹也が担当している。「魔法の絨毯」に魅せられた上野が川崎へ熱烈オファーをし、川崎も上野の歌の表現力に魅せられ“最強マイメン”となったふたりが届ける、強い愛情を綴った切ないラブソング。上野が川崎の楽曲に惚れこんだ理由や、“いろんな受け取り方ができる曲”と語る「愛しい人、赤い糸」の歌に込めた想い、“赤い糸=運命”に対する考え方を訊いた。

  ◆  ◆  ◆

■“愛した時間”に浸れる曲

──上野さんがメインMCを務めるテレビ番組『上野優華の角打ちゆうか』のゲストに川崎鷹也さんがご出演されている回(2021年1月下旬放送)を観て、序盤からすごく息が合っているなあと思っていたのですが、あれは楽曲提供のお話が決まっていたからこそのグルーヴだったんですね。

上野優華:あははは。でもあれが川崎さんとの初対面だったんですよ。

──えっ、そうだったんですか。

上野:スタッフさんを通じて楽曲提供のオファーをしたのは2020年の終わりくらいで、快諾していただいた次の日にはもう「愛しい人、赤い糸」のデモをお送りいただいて。だからお会いするよりも前に楽曲をいただいてたんですよね。『角打ちゆうか』の収録後、すぐにレコーディングをしたんです。

──今回の楽曲提供は、上野さんが川崎さんの「魔法の絨毯」をSNSで見つけたことがきっかけなんですよね。

上野:そうです。切ないラブソングは細かい情景が浮かぶ曲が多いので、いままでずっと切ないラブソングを好んで聴いていたんですけど、「魔法の絨毯」は歌詞の一言一言に情景がしっかりくっついていて、1フレーズ1フレーズの持つ力の強さを感じたんですよね。あとから、当時恋人だった奥様に書かれた歌だと知って、THE実体験だからこそまっすぐな気持ちや幸せな情景が具体的に描けるんだろうなと思って。曲を聴いただけで、映画を観ているかのような感覚になれる。……本当にこんなに人を愛せる人がいるんだ!とも思いました(笑)。

──(笑)。たしかに、ここまでまっすぐ特定の誰かを愛し、尽くす人に出会うのは難しいかも。

上野:女子トーク中に理想の恋人像を語ってみるものの“こんな人いないよ”という話でまとまるような絶滅危惧種というか(笑)。少女漫画に出てくる主人公の相手役の男の子みたい。それで“なんて素敵な歌なんだろう! ぜひ曲を書いていただきたい!”と思って、すぐにお声掛けさせていただいたんです。

▲上野優華/「愛しい人、赤い糸」

──上野さんはふだんからSNSなどを通じて、素敵な音楽へのアンテナを張ってらっしゃるんですね。

上野:2020年は自粛期間も多かったので、これまで以上にいろんなバイラルチャートや、YouTubeの関連動画を観たり、TikTokで曲を聴いたりしましたね。でもこれまでもSNSを通じていろんなアーティストさんに出会っているので、当たり前のことにも感じているんです。

──たしかに。音楽がタップひとつで聴けるようになったぶん、より音楽が多くの人の生活に身近なものになっている印象があります。

上野:CDしかない頃は1曲のフルサイズを聴くまでのハードルがすごく高かったし労力が掛かったけど、今は自分が聴きたいなと思ったらいつでもどこでもすぐに聴ける。わたしも発信しているからにはいろんな人に聴いてもらいたいから、出会いやすいこの時代に歌手として活動できてるのが、すごくうれしいんです。CDというアイテムではなく、“ひとつの楽曲が届く”ことがすべてというか。SNSを見ていると“今はこういう曲がよく使われるんだな”と思ったりして。やっぱりよく使われる曲は時代や世相を表しますよね。

──今シェアされやすい楽曲の共通点を感じることはありますか?

上野:やっぱり、人に言えないようなひとりで抱えている気持ちを歌詞にしている楽曲かな。Adoさんの「うっせぇわ」然り、優里さんの「ドライフラワー」然り、ひとつの感情にめちゃくちゃ深く入り込める曲が多いと思うんです。コロナ禍の影響で“会ったら話すけど、わざわざ電話するほどじゃない話題”を発散できる機会がないから、ひとりで聴くことで“わかるわかる。それな〜!”って感覚が味わえてストレス発散になっているところも大きいんじゃないかなって。

──「愛しい人、赤い糸」もそういう位置づけの曲になると感じました。こちらは川崎さんが“上野さんの表現力の奥行きと力強さ、そのなかにある繊細さに感銘を受けて完成した楽曲”という公式コメントを寄せています。

上野:とにかく“川崎さんが描くラブソングの世界を歌いたい”と思ったので、曲調や歌詞の内容は川崎さんに一任しました。これまでの川崎さんの楽曲にはまっすぐ愛を伝えるものが多いので、“愛してる”というメッセージが詰まった曲が上がってくるのかなー……それをどう歌でどう表現できるかが楽しみだな、と思っていたところにこんな切ない曲が届いたので衝撃的で。わたしの声から受けたイメージで作ってくださったと知って、“やっぱりわたしは幸せな曲じゃないんだな”とも思いました(笑)。

──(笑)。サビだけだと強い愛にフォーカスしたラブソングで、全部通して聴くとその背景を知ることができるという構造で。サビだけのサイズを先に聴いていた身からすると、まさかの超絶片想いに驚きました。

上野:たしかに、部分部分で聴くと全然受ける印象が変わりますよね。でも全部通して聴いたとしても、手が届かない人に想いを馳せる超絶片想いだと感じる方もいらっしゃれば、ものすごく愛に溢れた曲だと感じる方もいらっしゃるだろうし。“誰かを想えたことの喜び”だったり、“付き合う前はこんなふうに感じてたな”と懐かしんだり、いろんな受け取り方ができる、答えがたくさんある曲だとも思いますね。そういう曲をわたしの声から受けたイメージで作っていただけたことは、すごくうれしいんです。恋人だけでなく家族、愛するペットにも重ねられる、いろんな広がり方ができる曲なのかなと思います。



──“推し”に対してこういう気持ちを持っている人もいらっしゃるだろうなと思いました。“あなた”の対象は聴く人それぞれで当てはめられますが、直球の言葉の一つひとつに込められた想いの強さは、川崎鷹也節だなと。

上野:切ないんだけど、決して光がないわけではない、寧ろ輝いているところが“川崎さん”って感じがしますよね。川崎さんから歌詞の説明を受けたわけではないので、わたしなりの解釈ではあるんですけど……“話したことがない相手だし、この先仲良くなれるのか、付き合えるのかもわからないふたりだけど、それでも赤い糸でつながっていると信じたい”と思うことって、あると思うんですよね。

──そうですね。

上野:それだけ誰かのことを一途に思えるのは素晴らしいし、素敵なことだと思うけど……それ以上に切ないことってないなとも思うんですよ。たぶんこの曲の主人公の女の子は強い愛を持っているけれど、そのために行動を起こせるような女の子でもないと思うし、たぶんそんな自分を“だめだな”とも思っていると思う。そういう儚さも大事にしたかったんですよね。自分に自信はないけれど、この人とはどうか赤い糸がつながっていてほしい──その想いだけでなんとか立っていられる女の子を想像して歌いました。

▲「愛しい人、赤い糸」ミュージックビデオより

──《愛しい人 あなたの隣には/私じゃない人 なんて似合わないよ》は、文字だけだとすごく気が強く見えるけど、この気持ちは“あなた”にはもちろん友達にも打ち明けられてないんだろうなと……。それこそ先ほど上野さんのおっしゃっていた、“人に言えないような気持ちが描かれた曲”だと思います。

上野:《理想の彼女になれたなら》という歌詞は、すごく強く“女”を感じさせますよね。これを川崎さんが書いていると思うと萌えますね(笑)。でもこの《理想の彼女》は、自分のなかの理想の彼女なのか、あなたにとっての理想の彼女なのか……どっちの意味で川崎さんが書いたのか気になってて聞けていないんですけど。でも“理想の”という言葉に、想いの強さやリアリティが詰まっていると思うんです。

──そうですね。ここまで好きという気持ちに没頭できるのは、片想いだからなのだろうなとも思ったりして。

上野:「愛しい人、赤い糸」はこのふたりがどうなるのかわからない、結果が出ていないから、どんな人も“愛した時間”に浸れる曲だと思うんですよね。恋をするうえで誰もが経験することだと思うし、しかもここまで接したことがない相手に対して強い運命を信じているのは、わたしでは描けなかった世界だし、川崎さんの楽曲の幸せな世界はこういう強い気持ちが呼び起こすものなんだろうなと思いました。言葉が強いぶん、言葉を際立たせるためにも、歌のテンションはこの主人公の“想いを伝えられない”というキャラクターに合わせて、ソフトな歌い方にしてみました。

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