【ライブレポート】ベリーグッドマンの生きる場所

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およそ1年3か月ぶり、誰もが待ち望んだベリーグッドマン東京公演がついに実現した。2月20日日曜日、東京・LINE CUBE SHIBUYA、<TEPPAN TOUR 2020-2021 FINAL~改めて言うよ、出会えて良かった~>。新レーベル第一弾『TEPPAN』に乗せた新鮮な素材(楽曲)を、ライブならではの強力火力でじっくり焼き上げるパーティータイム。会場キャパ半分、マスク、声援禁止、厳密な感染対策ルールの中、音楽に何ができるのか? 飛び交うレーザー、回るライト、「ARE YOU READY?」と煽るナレーション、薄幕にシルエットで浮かぶメンバーの姿。いつもと変わらぬ、いやそれ以上に気合満点、ド派手なショータイムの幕開けだ。

「お待たせしました、ツアーファイナル、せっかく遊びに来たからには、ガチ上がりしていきましょうか!」

MOCAの威勢のいい叫びからの、1曲目はハッピーな爆音EDMチューン「No Live, No Life」。2曲目「Future」では早くもタオル回し、クラップ、ワイパーと、ゼロから時速100キロに到達するまで何秒かかるか?を測るレースのような、強烈な加速で一気に飛ばす。MOCAがジャケットを脱ぎ捨てて振り回す。Roverはセンターにどっしり構えて力強い歌を、HiDEXはいつものようにクールに決めて、エモーショナルな歌を響かせる。バックDJのMANA-Bも、笑顔で楽しそうだ。久々の東京、ツアーファイナル、万難を排して駆け付けた同志たち、これが盛り上がらずにいられるか。

3曲目で早くも飛び出す、ベリーグッドマン名曲リストのトップランカー「ライトスタンド」。少年よ大志を抱け、努力に勝る天才なし。背後のスクリーンに映る、2年前の大阪城ホールの映像とシンクロして、あの日の感動がよみがえる。「今は一緒に歌えんけど、いつか一緒に歌おうぜ」。心の中で口ずさむファンに向けた、MOCAの優しいセリフが胸に沁みる。


ここで突如ステージに飛び込んできた、ベリーキュートな4人のガールズダンサーたち。曲は「Color」から「ベリーグッド」へ、明朗快活EDMに乗り元気いっぱい飛んだり跳ねたり、おじさんたちもつられて揺れたり歩いたり。クラップ、ジャンプ、腕突き上げ、観客のアクションはほとんどエクササイズ、楽しい時間が過ぎてゆく。

「みなさん不安を持っていたと思いますけど、よくぞ決断していただきました。集まったからには、全力で楽しんでほしいと思います。僕らも、もうライブできへんのかな?と思ったこともありました。そんな時、いつも思い返すのがライブの景色でした」

自分たちの曲なのに、自分たちが励まされた曲です──。Roverが紹介したのは、ベリーグッドマン名曲リストの四番バッター「ライオン」だ。心強くあれ、絶対負けない、ここでは終われない。メロディアスなミドルバラード、エモーショナルな応援歌をあなたと、ラストを締める美しい三声アカペラコーラスが素晴らしい。続く「ダイヤモンド」も、スポーツと仲間がモチーフの青春応援歌、スクリーンに映るアスリートたちの雄姿と共に、熱い思いがこみ上げる。鮮やかな2曲連続ホームラン、ここがベリーグッドマンの絶対の得意ゾーン。


そして家族や友人、ファンに捧げるスローライフな人生賛歌「STAY GOOD」。続けてHiDEXが弾くアコースティックギターの美しい音色。そのイントロに乗せてうっかり「香水」を歌いだすMOCA、突っ込むRover、苦笑いのお客様。大事なところでボケをかます、それがベリーグッドマンの王道スタイル。万感こもる歌唱が光る1曲「おとん〜yat〜」は、メンバーそれぞれが父親への思いを綴った曲だが、曲紹介のMCはRoverが5歳の時に亡くなった父親への想いをしんみりと率直のち誠実、時々ユーモア、ところにより笑いを散りばめた、陰影の深いもの。「という歌を、次回歌いたいと思います」「今日歌えや!」──笑いと感動をバランスよく、ライブは佳境へと進んでゆく。



さあ後半だ、ダンスタイムだ、「Supernova-KSUKE Remix-」の登場だ。ド派手な七色ライト、電飾、レーザー飛び交う中、キラキラスパンコール衣装のダンサーが踊り回り、ムードは一気にパーティータイムへ。サイケデリックトランスな「Trip」を経て、今日二度目のタオルソング「TTS」では、バックDJのMANA-Bが大活躍、DJ台を駆け下り、マイクを握って最前線で大暴れ。さすがベリーグッドマン第四の男、エンタメ意識の高さは抜群だ。そして、どこか懐かしいソウル&ポップなビートを持つ「友達の歌」では、スクリーンに懐かしい昔のメンバー写真が映し出される。ロン毛のMOCA、若すぎる。変わったものと変わらぬ思いが交錯し、そして今日もベリーグッドマンはステージの上で歌い続けている。


「これからも応援歌、負けずくじけず作っていきます。ツアーが終わっても、ハッピーなニュースを届けられるように。マスクはしていても心は朗らかに、2021年、お互い頑張っていきましょう」

ラストチューンは、『TEPPAN』収録の壮大なミドルバラード「Dreamer」。僕たちは今日も夢がある。主語はIではなくWE、それは彼らの歌を日々の支えにしてきたすべてのファンを含む大きな「僕たち」だ。「心の中で叫んでくれ!」とMOCAが叫ぶ。美しい三声のコーラスの向こうにある「僕たち」の壮大なコーラスが、3人の心にはきっと聴こえていただろう。



たとえ録音されたものでも、「コンパス」に乗せた手拍子と大合唱がなければ、ベリーグッドマンのアンコールは始まらない。細やかな演出で気分を盛り上げ、ステージに戻ってきたメンバーたち、ハッピーヴァイブス満タンで歌うは「Good Time」。そしてツアー恒例の記念写真撮影、からの「#みんなと作った卒業ソング」は、スクリーンに全国各地から寄せられた卒業写真を映しながら、甘酸っぱい思い出と共に。「ファンファーレ」は、♪フレーフレーの掛け声も勇ましく、応援団風に堂々と。ここで突如アカペラで、セットリストにない「ミクロコスモス」を歌いだしたと思ったら、MOCAのアドリブとHiDEXの謎の動きにRoverが突っ込みを入れ、あっという間に大笑いのエンディング。予測不能の自然体パフォーマンス、これがベリーグッドマンのリアルライブ。

「みなさん、ベリーグッドマンをみつけてくれてありがとうございます。感謝の気持ちを伝えます。僕らは本当に幸せ者だと思います」

真面目な挨拶、大事なアンコールラスト曲、にも関わらず「曲名を間違えるボケ」を繰り出すRoverに、「違うやろ!それも大事やけど」と、優しく突っ込むMOCA。ずっとこの空気にひたっていたい、あったかいムードの中で聴くラストチューン「アイカタ」は、メンバーとファンとの固い絆を象徴する最高のアンセムだ。今日だって一緒に、同じ夢を生きてる──。歌い終えた3人とMANA-B、ダンサーズが全員集合で、総立ちの観客の拍手に応えている。2021年2月20日の最新型ベリーグッドマン、そのすべてを出し尽くした1時間50分のショータイム。ベリーグッドマンの生きる場所はやはりライブだと、しみじみ感じた一夜だった。

取材・文◎宮本英夫

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