【インタビュー】Unblock、ゼロから仕切り直した最新作『窓を開けたら』

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オリジナルメンバーの脱退、新メンバーの加入・脱退、そしてコロナ禍と、激動の時間を過ごしてきたUnblock。ライブハウスを中心に熱い歌を届け、多くの人たちと出会ってきた彼らの2ndアルバム『窓を開けたら』からは、これまでとは少しだけ違った彼らの音が聴こえてくる。軽やかで、力強くて、眩しくて、それでいて優しさに満ちた曲たちは、まさにそのタイトルの如く、外に向けて自分達を解き放っていくようだ。開いた窓から彼らが外へ飛び出していくのか、それとも多くの人たちがその窓から彼らの部屋へ飛び込んでくるのか。どちらにせよ、多くの人たちに届き、響く作品になった本作について、田口卓磨(Vo&B)と中村大(G)に話を訊く。

  ◆  ◆  ◆

■いろんな人に届きやすい言葉選び

──アルバム『窓を開けたら』、まさにタイトル通りの作品になっていますね。風通しがいいといいますか、ちょっと語弊のある言い方になるかもしれませんが、明るい印象が残る曲が多くて。とはいえ、その一言では片付けられないし、ここまで積み上げてきたものを感じつつの印象ではあるんですけども。

田口卓磨:おっしゃっていただいた通り、今までよりも歌詞が明るいと思っていて。明るいというか、起承転結の「結」がちゃんと外向きになっている感じの曲が揃ったかなって。というのも、去年は今まで通りの活動がまったくできなかったから、正直、自分の気持ちとしては、書いている歌詞とは真逆で。発散できなかったものを歌詞に落とせたかなと思っています。

──その当時の鬱々としていた感情を、そのまま綴っていくのではなく、陽の形にして外に向けて放ってみようと。

田口:たぶん、暗い気持ちを暗いまま書いていたら、どんどん何もしたくなくなると思ったので(笑)。結果的にそっち向きの言葉になっているなと後で思ったんですけど、言葉自体はスラスラ出てきたほうかなと思います。

──鬱々としていた反動からこういった歌詞が出てきたとなると、相当な……。

2人:はははははははは(笑)。

──相当深刻な状況ですよね。

田口:しかも、このアルバムを作った後にドラムが抜けてしまったんですよ、加入してから1年で。本来ならば、新メンバーとアルバムを作ったらツアーを廻りたかったし、去年の4月に大阪城野外音楽堂に仲間のバンドを呼ぶ企画をやるのも挑戦やと思っていたから(※新型コロナウイルス感染症の影響により中止)、やろうと思っていたことをいつできるんやろうと思っていたら、できないまま2020年が終わってしまっていたので。

──なるほど。中村さんとしては、『窓を開けたら』はどんな1枚になったと思います?

中村大:僕は歌詞をまったく書かないので、楽曲の面だけでいうと……僕、普段は暗い曲が結構好きで。暗いというか、雰囲気がかっこよくて、ちょっとダークな感じの曲が好きなんですけど、その当時は明るい曲しか聴けなかったんですよ。世の中が暗すぎて(苦笑)。

──落ち込んでいるときに暗い曲を聴くと気持ちがスッキリすることってありますけど、そうでもなく?

中村:こういう状況になるまではわりとそういうタイプだったんですけど、なんかもう、そんなことしたら帰って来れへんくなるんちゃうかなって(笑)。

田口:出口がなかったからな。

中村:ずっとトンネルに閉じ込められているみたいな気持ちだったんです。だから、普段はあまり聴かないけど、せめて曲ぐらいは明るいものを聴いてみようかなって。それが曲にも出ているかなと思いますね。そういうものにしようって言葉にはしていなかったけど、今まではあまり挑戦していなかった曲が増えた要因にはなっているのかなと思います。

──ちなみに、今作の曲はいつ頃に作ったんですか? 2020年1月にシングルで発表した「Blue」と「未来の種」も収録されていて、この曲達は早いタイミングでできていたとは思うんですが。

中村:その2曲は、2019年の5月にレコーディングが終わっていて。そのときに「夢の入り口で」と「no title」と「また生まれ変わっても」も録ってました。他の6曲をレコーディングしたのは、2020年の6月ですね。





──「no title」もそれと同時期だったんですね。軽やかな感じもある曲なので、それこそ鬱々としていた反動で作ったのかなと思いました。

田口:歌詞は、そのときの自分の気持ちとか、落ち込んでいる状況に反発して、自分のケツを蹴りたいとか、そういう感じでいつも書いていくので、「no title」のときも……落ち込んでたのかもしれないです(笑)。

──歌詞を書く原動力みたいなものは、そこまで変わっていないんですかね。

田口:根本はそこかもしれないですね。ただ、今回のアルバムを聴いていて思ったんですけど、今までの楽曲と比べると、いろんな人に届きやすい言葉選びをするようになってきたのかなというのは、自分でも思いました。昔やったら、こういう気持ちはこういう言葉で書かんとあかんとか、こういう書き方じゃないとリアルじゃねえみたいな(笑)、そういう感じがあったと思うんですけど、そこが広くなったかなと思います。

──そういう歌詞を書こうと思ったきっかけがあったんですか? それとも活動していくにあたって徐々にそう思うようになったんでしょうか。

田口:年々、いろんな人に聴いてほしいという気持ちが単純に強くなってきているのかなとは思います。今年で10周年なんですけど、思い返してみると、もがき苦しんでいたことが多くて。バンドとして早く結果を出さないといけないとか、次のステージのキャパを広くするにはどうしたらいいんだろうとか、そういうことを考え込みながら曲を作ったり、ライブをしたりしていたことが多かったんです。でも結局、自分のことを自分のことばかりで書くスタンスで表現し続けることって、意外と届く人数が少ないというか、広くはないんだなということに気付いて。だから、もっと届くような工夫をしようという頭になっていったんですけど、その極め付けが去年だったのかもしれないです。

──極め付け、ですか。

田口:本来ならば、このアルバムをもっと早くリリースして、ツアーを廻って、いろんなハコをパンパンにして……とか、もう一個上に行くために計画していたことを、全部持って行かれてしまったんですよ。だけど、曲を作ることとか、歌詞を書くこととか、ライブをすることとか、その意味を考えていたら、投げやりに何万人に届けようとするんじゃなくて、聴いてくれる人、ライブに来てくれる人がいるという状況があって、その人ら全員ぐらいには持って帰ってほしいものがあるし、感じてほしいものもあるなって。だから、何万人に届け!って投げつけるように考えていたときとは、またちょっと違うかなと思います。

──感覚的な表現になってしまうんですけど、相手に届けるために「刺す」というよりは「響かせる」みたいな感じなんですかね。

田口:ああ。そんな感じかもしれないです。横並びで一緒にやっていたのがMy Hair is Badの椎木(知仁)だったりとか、僕としては、一言のセンスがすごい人に憧れていたので、そういうことを真似したこともあったんですけど。でも、自分に向いているものってなんだろうとか、いろいろ考えていたら、そっちではない気もするなとか。

──なるほど。僕、「no title」のサビ、めちゃくちゃ好きでしたよ。〈愚痴吐いてたって リタイアしてないぜ〉とか。

田口:なんか生々しいですよね。

──そうですよね(笑)。うだうだ言ってるけど、結局やめねえんだろうなって自分で思っている感じというか。

田口:僕もここ好きです(笑)。

──またこの曲調にも合ってますよね。シャッフルビートの跳ねている感じとすごくマッチしてます。

中村:この曲は田口が弾き語りで作ってきたんですけど、僕、Cの音がめちゃくちゃ苦手で。なんか、甘いし、俺はこのコードから曲を作れないっていう話をしていたら、じゃあCから始まる曲で作ってくるわって、持ってきたのがこの曲なんですよ。作っているときにいいなと思ったのが、タイトルどうする?っていう話をしていたときに、田口が「no title」がいいって。俺らはまだ目に見えるような王冠とか、賞を獲ったこともないからって。

田口:無冠の帝王みたいな感じで、自分らを皮肉っているっていう。

中村:それ、ええやん!って。曲はもちろんなんですけど、タイトルが結構好きですね。

──ただの「no title=無題」というわけでもないんですね、MVを公開されている「ハートビート」は、今作を物語っている感じもありますね。瑞々しくて、突き抜けていく感じがありますけど、この曲は2020年の6月にレコーディングされたと。作っていたのも同時期でした?

中村:そうですね。コロナのタイミングで家にいるときに作った曲です。自然と作っていたというか、こういう曲があったら嬉しい、みたいな感じでしたね。めっちゃぼんやりしていた中で作っていた感じではありました。



──この歌詞も、それこそ「結」が外向きですよね。〈僕らではじめよう〉という言葉で締め括っていて。

田口:そこまで意識はしていなかったんですけど、あの時期って、“誰か頼みの何か”がすべて止まってしまっていたから、曲を作ることが“僕らではじめている”という状態だったのかもしれないです。

──ああ、なるほど。

田口:基本的に僕らは、誰かがイベントに誘ってくれたり、CDのリリースもレーベルといろいろ話したりして、誰かとの関わりの中でバンド活動ができていると思っているんですけど。今でこそやれることが少しずつ増えてきてはいるけど、その当時は、もともとやれたはずのことが絞られていった時期だったから、なくなっていくイメージのほうが強かったんですよ。だから、それこそ売れたいとか広げたいみたいな気持ちは一旦なしで、曲を作りたい、歌詞を書きたい、バンドをやりたいっていうすごくシンプルなところで作っていたから、この言葉が出てきたのかもしれないです。

中村:この曲はすごい昔に作ったような曲な気がする。それぐらい2020年は長かった(苦笑)。

──なんか、このアルバムって、1stアルバムのような質感がちょっとありますよね。

中村:僕もそれはなんとなく思いました。なんか、決定版みたいな感じがしたんで、アルバムタイトルを相談しているときに『Unblock』がいいって言ったんですよ。でも、「ドラムおらんからあかんやろ」って。

田口:ははははは(笑)。

中村:却下でした(笑)。

──(笑)。田口さんも、1stアルバム的な雰囲気を感じたりします?

田口:全体的に明るいし、歌詞の道筋もはっきりしていて、新しいUnblockに出会えたし、新しい田口にも出会えた気分というか(笑)。そういう意味では、確かに1stアルバム的というか。仕切り直しじゃないですけど、そんな感じはありますね。

──それこそ窓を開けて、新しい自分を外に出してみたときに、自分って意外とこういう人間だったんだなという発見みたいなものってありました?

田口:そこまで派手に変わった感覚はないんですけど、サビとかケツに持ってくる言葉が今までよりも力強い感じがしていて。基本的に自分を過大評価することってあまりないんですけど、意外と頼り甲斐あるやんって思いました。

──確かに、歌詞が刺さってくるというよりは響いてくる感じがあるから、聴いていて優しい気持ちになれるところがあったんですよ。だから、頼り甲斐があるというのは、まさにそうだなって思いました。

田口:ありがとうございます。なんか、懐の深い歌詞とか、アルバムを通して聴いたときのそういう感じって、結構憧れていたので、こういうアルバムができて嬉しいなって思いますね。

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