【インタビュー】aiko、ニューアルバム完成「どれだけ音楽が大切か改めて実感できた」

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aikoから待望のニューアルバム『どうしたって伝えられないから』が届けられた。

◆ミュージックビデオ

前作『湿った夏の始まり』以来、2年9ヶ月ぶりとなる本作には、ヒットシングル「青空」「ハニーメモリー」、FM802開局30周年キャンペーンソングとして制作された「メロンソーダ」のセルフカバーを含む全13曲を収録。ラブソングの名手として、幅広い年代のリスナーを魅了し続けているaikoのさらなる進化を感じさせるアルバムに仕上がっている。

  ◆  ◆  ◆

■私は「生きたい」って思ってた

──「『どうしたって伝えられないから』、素晴らしいです! まずはaikoさん自身の手ごたえを聞かせていただけますか?

aiko:今回のアルバムは、以前よりも自分で制作するというか、たとえばボーカルのセレクトとかも、近いスタッフにまず選んでもらって、「ここをもう1回ちゃんと歌いたい」って話ながら進めました。ミュージシャンのみなさんともしっかりコミュニケーションを取れたと思うし、今までの作品のなかでも、ちゃんと人の目を見て、会話しながら作れた気がしますね。

──なるほど。昨年からのコロナ禍で、当たり前のことが当たり前にできなくなって。そのことはaikoさんの価値観、曲作りにも影響を与えている?

aiko:それはあると思います。最初はなかなかやる気が出なかったというか、生活することで精一杯だったんですけど、曲を作っていくうちに「やっぱり私は歌うことが好きだな」とか「みんなに曲を聴いてもらいたい」と思うようになって。自分にとってどれだけ音楽が大切か、改めて実感できましたね。ただ、「元気になる曲を作ろう」とは思っていなかったし、「今のことを忘れないでおこう」という気持ちで歌詞を書いたつもりもなく、そのときに書きたい曲を書いてましたね。今回のアルバムは去年書いた曲がけっこう多いんですけど、スタッフのみんなに聴いてもらったら、「思ったより前向きな歌詞でよかった」と言ってくれて。そんなふうに言ってもらえて良かったなと思うし、私は「生きたい」って思ってたんだなって気づいて。自分では意識してなかったんですけどね。


▲『どうしたって伝えられないから』初回限定仕様盤

──今回のアルバムは、どうしようもない切なくつらい感情から始まって、後半に行くに連れ救われていくような印象を受けました。曲順構成、アルバム全体を通してのストーリーはどのように考えられましたか。

aiko:それはぜんぜん意識してなかったです(笑)。作りたい曲をバーッとレコーディングして、最後にいつも(曲順を決めるために)パズルするんだけど、1曲目の「ばいばーーい」のアレンジがトオミヨウさんから上がってきたときに、「絶対、1曲目にしたい」と思って。1曲目が決まると、「メインが決まった!」みたいな感じがあるんですよ(笑)。あと、「いつもいる」が出来たときに、スタッフが「これを最後にしよう」と言ってくれて。最初と最後が決まって、そこから流れを考えながら曲順を決めました。もしストーリーを感じてもらえたんだったら、すごく嬉しいです。1曲1曲、そのときじゃなかったら出来なかった曲ばかりなので。
 
──恋人との別れ、“私は次に向かって進んでいく”という意思を描いた「ばいばーーい」、そして“あなたの隣で笑ってる それが生活”と歌う「いつもいる」は、アルバムの軸になっていると思います。人はいつか一人になるけど、だからこそ、愛する人を大切にしようという……。

aiko:ありがとうございます。最近、本当にそういうふうに思ってます。若い頃は「永遠ってあるな」と思ってたんですけど(笑)、少しずつ「いや、そんなことない」って思い始めて。限りがあるからこそ、今をどれだけ楽しめるかが大事だなって。「たくさん笑うことが大事」とか、赤ちゃんがやることを素直にやりながら、毎日生きていきたいと思ってます。

──その他の収録曲についても、いくつか聞かせてください。まず「メロンソーダ」は、FM802開局30周年(2019年)「TSUTAYA×ACCESS」キャンペーンソングのセルフカバー。

aiko:オファーをいただいたときは、「そんなすごいこと、できないです」と思って、結局1年待ってもらったんです。取りかかったときは、キャンペーンソングを意識しないで、楽しいと感じる曲、「ラジオから流れてきたら嬉しいな」という曲を作ろうと思って、大阪の友達のことを思って書きました。ファンのみんなのことも考えてましたね。ファンのみなさんも、友達になったら毎日電話するような仲になったと思うので。しかも素晴らしいみなさんに歌っていただいて(込めキャンペーンソング「メロンソーダ」には、aiko、上白石萌歌、谷口鮪(KANA-BOON)、橋本絵莉子(チャットモンチー済)、はっとり(マカロニえんぴつ)、藤原聡(Official髭男dism)、KAN、秦基博が参加)、あんな素晴らしいみなさんに歌っていただけて。あのときから2年経ちますけど、私だけが歌っている「メロンソーダ」を聴いて、前を向いてもらえたら嬉しいなって思います。

──「愛で僕は」は、ソウルミュージック的なアレンジが印象的ナンバー。“よくある幸せなんてどこにもない”という歌詞も心に残りました。

aiko:この曲もコロナ禍のなかで書いた曲ですね。「天気が良かったら手を繋いで出かけよう」「雨が降ったら部屋で抱き合っていよう」もそうですけど、普通にできるはずのことができなくなったから、こういう歌詞が浮かんできたのかなって。

──アウトロのフェイクも気持ちよくて。

aiko:そう、「愛で僕は」はアウトロが長いんですよ。歌ってて気持ち良かったし、ミュージシャンのみなさんも楽しそうに演奏してくれました。変拍子とか裏のリズムが入っていて、難しい曲なんですけどね。

──「しらふの夢」のクラシカルなアレンジもいいですね。

aiko:この曲は島田昌典さんにアレンジしていただいたんですが、ギターが入ってないんですよ。ベース、ドラム、ストリングス、ハープ、フルート、クラリネット。ピアノの弦にフェルトの布をかけて、くぐもった音で演奏していただきました。「しらふの夢」は最後に録った曲で、今年の1月3日に出来たんです。「新年かー」と思いながら洗濯してたら、サビの最初の歌詞(“思い出にしても忘れてしまったら全部嫌だな”)を思いついて。


▲『どうしたって伝えられないから』通常盤

──初回限定仕様盤には、初のオンラインライブ<Love Like Rock vol.9〜別枠ちゃん〜>の映像を収録。楽しそうにライブをされている姿が印象的でしたが、今後普通にライブができる時代が来ても、オンラインライブという見せ方は継続したいと思いますでしょうか。

aiko:まず、1回目のオンラインライブは急遽決めたことだったので、スタッフのみなさん、ミュージシャンのみなさん、私も「どんな感じになるのだろう」という不安があった気がして。実際のライブをやったときは、「お客さんの声がないのはこんなに寂しいのか」と痛感しました。だからこそみんなで同じ場所に向かうと決めてライブをしたように思います。2回目のオンラインライブは、スタッフやミュージシャンのみなさんと会うこと自体が久しぶりで、「楽しいな」と思っているうちに終わってました(笑)。ただ、生のお客さんが目の前にいてくれて、7時とか6時半から始まるいつものライブのドキドキ感は、(オンラインライブでは)出来ない気がしていて。やっぱり生のライブがやりたいし、今の時点では、配信ライブに意識が向いてない感じがします。

──アルバム『どうしたって伝えられないから』は、この先の活動にどんな影響を与えそうですか?

aiko:楽しもうと思いますね。「モノを作ることは自分を傷つけること。だからいいものができるんだ」ではなくて、いろんなときにたくさん曲を書いて、みなさんと楽しく生きていきたいです。

取材・文◎森朋之

14th Album『どうしたって伝えられないから』

2021年3月3日(水)発売
CD予約:https://aiko.lnk.to/14thAL

■初回限定仕様盤A(CD+LIVE Blu-ray)
品番:PCCA-15003
価格:¥4,200+税

■初回限定仕様盤B(CD+LIVE DVD)
品番:PCCA-15004
価格:¥4,200+税

■通常仕様盤(CD Only)
品番:PCCA-15014
価格:¥2,913+税
※初回限定仕様盤A、初回限定仕様盤B:カラートレイ&三方背ケース仕様

■CD収録内容
01.ばいばーーい 編曲:トオミヨウ
02.メロンソーダ 編曲:トオミヨウ
03.シャワーとコンセント 編曲:OSTER project
04.愛で僕は 編曲:島田昌典
05.ハニーメモリー 編曲:OSTER project
06.青空 編曲:トオミヨウ
07.磁石 編曲:トオミヨウ
08.しらふの夢 編曲:島田昌典
09.片想い 編曲:トオミヨウ
10.No.7 編曲:島田昌典
11.一人暮らし 編曲:トオミヨウ
12.Last 編曲:島田昌典
13.いつもいる 編曲:島田昌典

■DVD/Blu-ray収録内容
aiko online live「Love Like Rock vol.9〜別枠ちゃん〜」
01.恋をしたのは
02.あたしの向こう
03.二人
04.メロンソーダ
05.オレンジな満月
06.カブトムシ
07.青空
08.ストロー
09.beat
10.赤いランプ
11.Loveletter
12.さよなランド

■CDショップ 予約購入先着特典
TOWER RECORDS全店(オンライン含む):「伝えるノート+ピリ辛ステッカー」(TOWER RECORDS ver.)
HMV全店(HMV&BOOKS online含む):「伝えるノート+ピリ辛ステッカー」(HMV ver.)
TSUTAYA RECORDS(TSUTAYAオンライン予約分含む):「伝えるノート+ピリ辛ステッカー」(TSUTAYA ver.)
Amazon:「伝えるノート+ピリ辛ステッカー」(Amazon ver.)
楽天ブックス:「伝えるノート+ピリ辛ステッカー」(楽天ブックスver.)
その他法人+aiko online store:「伝えるノート+ピリ辛ステッカー」(応援店ver.)

※全国のCDショップにて2021年3月3日(水)発売『どうしたって伝えられないから』をご予約・ご購入のお客様に、先着で上記オリジナル特典をプレゼント。
オリジナル・ノートとステッカーがセットになった豪華先着特典となります。
各店舗でご用意している特典数量には限りがございますので、お早目のご予約をおすすめいたします。
※特典は数に限りがございますので、発売前でも特典プレゼントを終了する可能性がございます。
※一部取り扱いの無い店舗やウェブサイトがございます。ご予約・ご購入の際には、各店舗の店頭または各サイトの告知にて、特典の有無をご確認ください。
※aiko online storeは その他法人ver.の特典付で現在予約受付中です。

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