【ライブレポート】AI、ツアー初日にAwichがサプライズ出演「未来が金色に輝きますように」

AIが2月27日、全国ツアー＜AI 20周年記念TOUR “IT’S ALL ME”＞の初日公演を東京・東京国際フォーラム ホールＡで開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆AI 画像 / 動画

ツアー＜AI 20周年記念TOUR “IT’S ALL ME”＞は2020年9月からの開催予定だったが、新型コロナウィルスの影響により延期に。感染予防の最大限の対策を講じたうえで開催された同公演で、AIは代表曲、さらに新作『IT'S ALL ME -Vol.2』収録曲など、20年のキャリアを彩る楽曲を次々と披露。R&B、ヒップホップに根差した音楽性、真摯なメッセージ性に溢れた歌詞、そして、ソウルフルかつエモーショナルな歌声をダイレクトに響かせ、観客を魅了した。



会場の照明が落とされると、まずはストリングカルテットの美しい弦の音が鳴り始める。大きな拍手が巻き起こるなか、AIがステージに登場。バンドメンバーとともにオープニングナンバーの「I Wanna Know」を放つと観客が一斉に立ち上げり、体を揺らし始める。2006年のシングル曲だが、“1人1人の力で / 変えていける この世界を”というリリックは、2021年の現状でこそリアルに響いていた。曲の冒頭、感極まって声を詰まらせたAIの姿も印象的だった。

新作『IT'S ALL ME -Vol.2』リード曲「Not So Different」で“私たちはそんなに違わない。人種や国境を超えてつながろう”というメッセージを届けた後、最初のMCへ。



「やばい、やばすぎるよ。しんみりする気はまったくないんだけど、みんなの顔を見たら、いろんな気持ちが溢れてきて……。みんな元気そうでよかった！ みんなのおかげで無事にライブが出来てます!!」──AI

という言葉の後は、新曲から懐かしい曲まで、幅広い楽曲を次々と披露。“希望だけは生かしてほしい”という思いを込めた「HOPE」(『IT'S ALL ME -Vol.2』)、“どうかあなたが幸せであるように”という真っ直ぐな祈りが大らかに広がった「ギフト」(2020年)、セクシーな雰囲気にリアレンジされた「My Friend」(2003年)、そして、“光のさしこむ方へと 今 歩き出す”というフレーズとともに、眩いばかりの光が会場全体を照らし出した「Believe」(2006年)も。さまざまな時期の曲を結び付け、“2021年のAI”が生々しく描き出すことこそが、今回のツアーの醍醐味だ。ドラム、ベース、ギター、ピアノ、そして弦カルテットによるオーガニックなサウンドも素晴らしい。


ここからは、バンドメンバーをフィーチャーした特別な編成によるステージへ。ピアノと歌で始まった「Music Is My Life」では、バイオリニストのNAOTOが登場。クラシカルな旋律を描き出し、大きな感動を生み出した。さらに「LIFE」はギターと歌、「ママへ」は、ベースと歌で披露。ミニマムなアレンジにより、歌に込められた感情がより強く伝わってきた。

強烈なドラムソロに導かれた「キラキラ」によりライブは早くも後半へ。「みんながみんな英雄」ではステージと客席の心地よい一体感を生み出し、ホイットニー・ヒューストンの名曲「I Have Nothing」ではダイナミックな歌声を響かせ、シンガーとしての際立った才能を改めて示した。そして本編ラストは「Story」。「最後は“一人じゃないから”というメッセージを届けたくて、この曲を選びました」という言葉とともに披露された「Story」はこの日のライブのハイライトであると同時に、20周年のアニバーサリーを彩る記念碑的なパフォーマンスだったと思う。


アンコールも見どころたっぷり。まずは同じマネージメントの後輩にあたるMizkiが登場し、「Into　the　Unknown」(「アナと雪の女王2」エンドソング)、デビュー曲「Crazy For You」を披露。

さらに最重要アーティストAwichがサプライズ登場し、AIとともに「Not So Different Remix」を共演。AIのソウルフルな歌声とAwichが紡ぎだすリアルなリリックで絡み合う2人のシーンは、本当に刺激的なものだった。AIが“いま最も伝えたいメッセージ”がAwichとのコラボレーションにより、より深く強く聴くもの届くステージとなった。





そして、「私達の未来が金色に輝きますように。そんな思いで歌いたいと思います」という新曲「GOOD　AS　GOLD」、“君が笑えば　この世界中に / もっともっと 幸せが広がる”というラインが会場を包み込んだ「ハピネス」でライブは終了。20年のキャリアを網羅しながら、未来に向けた前向きな思いを高らかに響かせたAI。アニバーサリーに相応しい、まさに圧巻のステージだった。

AIは、新作『IT'S ALL ME -Vol.2』と共に自身のメッセージを歌に込めて、音楽の力で少しでも人々の背中を押せるように今後も精力的に音楽活動を続けていく。

取材・文◎森朋之
撮影◎上飯坂一