【レポート】Psycho le Cému、KT Zepp Yokohama公演で「結成記念日にライブをやります」

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Psycho le Cémuが3月12日(金)、KT Zepp Yokohamaにて有観客+配信ライヴ<LIVE 2021 NEW BEGINNING>を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆Psycho le Cému (サイコ・ル・シェイム) 画像

新型コロナウイルスの感染拡大はすべての人を翻弄してきた。中でもミュージシャンは、どうすることもできない歯がゆい思いを感じてきたはずであり、それはPsycho le Cémuも同じこと。『TWENTY STORY』と題した結成20周年記念プロジェクトは止まってしまったままだ。しかし、ライヴができなくても自分たちの音楽を届ける術を模索してきた彼らは、それまでのオンラインライヴでの経験を活かして、2月5日および6日に新宿BLAZEで有観客ライヴ<NEW BEGINNING>を実施し、成功を収めた。そして3月12日、その追加公演として行われたライヴがKT Zepp Yokohama公演となる。

場内アナウンスが諸々の注意事項を告げ、客席での会話を自粛するようにうながす。静まり返った会場が開演時刻を15分ほど過ぎて、暗転。青い照明とファンの手に輝くルミカライトだけが静寂の中に光を放った。時間の経過をイメージさせる秒針の音が、コロナ禍においても時は容赦なく流れていくことを告げるようだ。だから立ち止まるのではなく、前へ進み続けることが状況に抗う方法のひとつであることを確信させる。



ゆっくりとYURAサマとseek、続いてLidaとAYAが姿を現すと、厳かな空気が会場を包み込む。そして純白の羽を広げたDAISHIが最後に登場すると、鐘の音がライヴ<NEW BEGINNING>の始まりを告げた。ピアノの調べから始まった1曲目は「あきらめないDAYS~神伝Ver.~」。イントロのギターフレーズが豊かなハーモニーを描きながら奏でられ、オープニングをドラマチックに彩る。DAISHIの歌声が丁寧に、けれども力強く会場に広がっていった。“あきらめないで 僕らはそばにいるから”と歌う「あきらめないDAYS~神伝Ver.~」が今、メンバーとファンをつなぐ。その歌声からはDAISHIの願いがひしひしと伝わってくるようだ。

「始めようか~!」というDAISHIの高らかな声を合図に、会場の空気が動き出した。笑顔を振りまくYURAサマを筆頭に、5人の輝かしいキラキラが止まらない。ファンを目の前にしてこそ、アーティストは本来持っている輝きを解き放てる。そう思わずにはいられない眩しい光景だった。2月の新宿BLAZE公演で久しぶりにファンの前に現れた際は若干の緊張も感じられたが、この日は本領発揮といわんばかり。そのまま「LOVE IS DEAD」へとなだれ込むと、客席は動き回ったり声を出すことができなくとも、それをものともせずに頭を振り乱した。「Mind Core」では曲に合わせてノリを体で楽しむ姿も。



「暗い闇の中にいました」と最初のMCでDAISHIはこれまでを振り返り、「今夜、一緒に旅立とうぜ」と声を上げた。「輝きの中へ…」のタイトルどおり、光り輝くステージから身も心も弾むようなビートが届けられ、白い照明がメンバーを照らす。神殿の柱を模したシンプルな背景に動きのあるライティングが絶品だ。特にドット状のライトを一直線に並べて吊り下げ、上下左右に動かしながらさまざまな色や形を描き出す演出が視線を引き付けるなど多彩な景色を作り出していた。

神秘的で妖しげな世界を描き出した「一億のパルチザン」からは、曲ごとに異なる光景を展開。煌めくサウンドと伸びやかなメロディが響き渡り、DAISHIはパワーで押すのだけでなく、丁寧に想いを込める。楽器陣の4人が楽器を置き、5人が並んだところで始まったのは「DANCE II HEAVEN」だ。ファンも一緒になって楽しく踊るダンスとは違い、どこまでもクールに魅せるパフォーマンス。それらが曲の世界観をさらに奥行きのあるものにした。



続く「AREA」ではDAISHIとYURAサマによるツインヴォーカルが、どこか懐かしさを伴う耳なじみのよいメロディを響かせる。YURAサマは声を出せない現状さえも、「こんなプレイがあってもいいんじゃない」と笑いに変え、心の声を求めては「YURAサマ、カッコいい」と自画自賛、言葉巧みに観客を盛り上げた。華ある安定の存在感は、どんな環境も自身色に染めてしまうYURAサマならでは。

「ここからブチ上げていくか! かかってこい!」というseekの雄叫びから「Liberty, babies」がスタート。seekの地を切り裂くような太く鋭い歌声がシャッフルのリズムと共に押し寄せる。続く「[feel on the dark]」は客席もその場に立ったまま頭を激しく動かしてヘドバンの嵐。DAISHIの声色はまるで別人のように攻撃性を増して襲い掛かってくる。かと思えば、「LAST EMOTION」では軽快なラップを聴かせるなど、ヴォーカリストとしての幅広さを惜しげもなく見せつけた。

パワーあふれる後半戦は、いよいよラストの「愛の唄」へ。サビの伸びやかなメロディに乗せて届けられたのは、Psycho le Cémuからのメッセージ。客席へ両手を差し伸べるAYA。じっと観客を見つめるseek。タイトルどおり、ファンへの愛が感じられるひとときだった。「みんな、愛してるよ」というDAISHIの言葉で本編ラストナンバーが終了。YURAサマのロケットバイビーでメンバーはステージを下りたが、演奏されたのはまだ12曲だ。感染拡大予防のための換気タイムをひとつの区切りにするなど、この日のライヴは構成も含め、ガイドラインに則った形で実施された。



アンコールの声が出せないもどかしさはあるものの、止まない手拍子に応えるように、まずは楽器陣が再びステージに登場。Lidaがアコースティックギターを爪弾いて始まったのは「この星に願いを…」だ。DAISHIのエモーショナルな歌声と温かいアコースティックサウンド、そして星が瞬くような照明が美しい。パブリックイメージから遠いであろうシンプルなアコースティックスタイルも彼らのたくさんの武器のうちのひとつだ。5人の音と歌でくっきりと浮かび上がらせた「この星に願いを…」は、ミュージシャンとしてのスキルの高さを物語る一幕だった。

ここからはメンバー全員によるMCコーナーへ。まずはseekからとっておきのお知らせが。「次の予定が決まりました! 5月3日、結成記念日に渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)でライヴをやります!」──昨年2020年5月3日は地元・姫路文化センター大ホールで20周年の集大成を見せるはずだった結成記念日。失われた日は取り戻せないが、新たな選択がもっと素敵な未来を描くはず。メンバーの表情にも喜びと決意がにじんだ。



「一歩ずつ前進できています。ついてきてもらえたら。日頃のマラソンが今日のライヴにも生きた(笑)」というYURAサマに続いて、「音楽を通じて少しずつ前に進むしかない。道標や灯りになれるように頑張る」と真摯に語ったLida。この日の全身真っ白な衣装について「やっと見てもらえた」と喜びを隠さなかったのはAYA。「21年目だから、色のない真っ白な衣装に統一してみたかった」とのことだ。この衣装はオンラインライヴを実施したZEPP TOKYOでも着ていたが、ライヴ会場に5人が並んだその姿には、特別な存在感があった。

「早くみんなで集まりたい。それが5月3日になればいい」と、はやる思い口にしたのはDAISHIだ。この日、「愛してる」という言葉を繰り返し口にしていた彼。観客を前にして思いがあふれてしまったように、カッコつけるわけでも、叫び声を上げるでもなく、その一言はに気持ちを込めていた。MCの最後はseek。観客を座らせて、昨年止まってしまった20周年記念ツアーのその後を振り返った。挑戦し続けて来たが故の難しさはあれども、「この一年、前に進んできた。僕らのことを信じてついてきてほしい」と力強く、誠実な言葉を届けた。

ここからガラリと空気を変えて、5日後に控えたAYAの誕生日を祝うことに。登場したケーキにはなぜかロウソクがなかったが、頭上に吊り下げられた照明が灯り、「ハッピーバースデー」の歌が終わると、その照明を吹き消す仕草をするAYA。ステージ上でのメンバーの誕生日祝いは決して珍しいことではないが、この一年はなかなか見ることができなかった光景が微笑ましい。



観客が着席したままのアコースティックスタイルは、あと2曲。まずは「STAR TRAIN」へ。サウンドの質感が異なるのは当然のことながら、それに寄り添う歌声も変化して、5人の気持ちがストレートに伝わる。観客はゆったりと体を揺らしながらサウンドに身を任せ、会場全体が幸せな空気に包まれていた。「VISITOR」がストリングスの音色から始まるが、一転、スパニッシュなサウンドへ。Lidaはエレキ同様、華麗なアコースティックギターソロを披露した。

「さあ、皆さん暴れますよ」というDAISHIの一言より、再び荒れ狂う時間の到来だ。冷たいサウンドでスリリングに聴かせた「Revenger~暗闇の復讐者~」から、殺気に満ちた「漆黒のゲルニカ」へ。ハードであってもキャッチーさが失われないのは、Psycho le Cému本来の魅力だ。そして「Murderer・Death・Kill」とくれば、客席は勢いに任せてひたすらノるだけ。ライヴの熱量がどこまでも上昇していく。

さらなる大切なお知らせとして、5月3日のLINE CUBE SHIBUYA公演は<理想郷旅行Z 〜二十年後の僕達へ…〜>と冠されることが告げられた。20周年の締めくくりに地元姫路で行われるはずだった同公演は、安心してライヴができるときに予定どおり姫路で実施されることを心待ちにしていたファンも少なくないだろう。もちろんメンバー5人もそれを望んでいたはずだ。けれども、彼らは今、前へ進むことを決意した。音楽がしたい、バンドがしたいという正直な気持ちに従うことも、ファンのことを第一に考えた証。エンディングナンバーとして届けられた「REMEMBRANCE」を聴きながら、5人の切実なまでの思い、心からの願いが感じられたような気がした。彼らは夢を諦めない。これからも前に進み続けていく。



<LIVE 2021 NEW BEGINNING>をロケットジャンプで締めくくり、ステージがカラフルな虹色に彩られると、会場が幸福感で満たされた。もちろん状況はまだ厳しく、先が見えない。けれども、彼らの姿を追いかけていけば、もっと素晴らしい光景を見せてくれるはずだ。5月3日、LINE CUBE SHIBUYAではどんなライヴを見せてくれるのか、今から楽しみでならない。

撮影◎Sayaka Aoki

■有観客+配信ライヴ<NEW BEGINNING>2021年3月12日(金)@KT Zepp Yokohama セットリスト

01. あきらめないDAYS (神伝ver.)
02. LOVE IS DEAD
03. Mind Core
04. 輝きの中へ・・・
05. 一億のパルチザン
06. 奇跡を知る僕らは五線譜に咲く希望を唄う
07. DANCE Ⅱ HEAVEN
08. AREA
09. Liberty, babies
10.[feel on the dark]
11. LAST EMOTION
12. 愛の唄
encore
en1. この星に願いを・・・ (Acoustic ver.)
en2. STAR TRAIN (Acoustic ver.)
en3. VISTOR
en4. Revenger -暗闇の復讐者-
en5. 漆黒のゲルニカ
en6. Murderer・Death・Kill
en7. REMEMBRANCE



■<理想郷旅行Z 〜二十年後の僕たちへ・・・〜>

2021年5月3日(月祝) LINE CUBE SHIBUYA (渋谷公会堂)
open17:15 / start18:00
▼チケット
全席指定 ¥9800
一般発売:4月18日〜

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