【インタビュー】杏子、新境地へ

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■いちリスナーとしても聴ける

──今回、アルバムの最後を締めくくる「調子乗ってDance」は在日ファンクの浜野謙太さんが作詞をされていますが、“ハマケン”さんと杏子さんって意外な組み合わせで驚きました。

杏子:遊び心があって、物事をぶっ壊しちゃうみたいな作詞家はいませんかねって多保さんに聞いたら、ハマケンさんはどうですかと。役者としてのハマケンさんはもちろん知っていたんですが、改めて彼の作る音楽や歌詞を見ていくと、これは面白いかもと思ったんですよね。ちょうどドラマの撮影が始まったお忙しい時期だったんですが、快諾してくださいました。私としては、やっぱりコロナ禍というのもありますから、多保さんの仮の歌詞の中にもあった「New Shoes」、つまり新しい靴を履いて外に飛び出していくっていうのがすごくいいなと思って。こういうタイプの曲はあまり歌ったことがないですが、ハマケンさんの歌詞が来た時はスタッフみんなで唸りました。お見事!って。これは歌っていてもすごく楽しかったです。

──杏子さんご自身が作詞された「“Hell, it’s me”」も、歌っていて楽しかったのでは?

杏子:これはもうね、なかなかでしたよ(笑)。

──他の曲は多保さんと作家の方のCo-writeですが、この曲だけは多保さんおひとりで作られていますよね。つまり多保さんと杏子さんがガッツリ1対1で作り上げた曲、とも言えるわけで。

杏子:そうなんです。さっきもお話ししましたが、歌詞はしばらく書いてないし、そもそも作詞はどなたかにお願いしようと思っていたし、「the days 〜幸せをどうか〜」でスルーされた経緯もあって、もう作詞に対するプライドのプの字もないみたいな状態じゃないですか(笑)。それでも多保さんが「最後の1曲ですけど、どっちがいいですか」って2曲も作ってくださって、これは私も頑張らないとなと。最終的にはこの「“Hell, it’s me”」がいいですとお伝えし、1番だけ仕上げたんです。ダメだったらすぐ作詞家の先生にお願いするつもりで送ったら、まさかの「いいんじゃないですか」と返ってきて(笑)。もうこれ以上は無理なんだけどなと思ってたら、たまたま知り合いの女の子がDVの男性と別れたという話を聞いたんですね。それで、好きになっちゃうと周りが見えなくなってるから、どんなにその恋はやめた方がいいって言われても耳に入らないし、逆に何でみんな邪魔するのっていう状態になる。そんなストーリーで書いていくことにしたんです。

──多保さんの反応はどうでした?

杏子:韻を踏むのがちょっと甘いところがあったんですね。でもそこを変えるとニュアンスも変わるからな…と思っていたら、多保さんがいくつか言葉を投げてきてくださったんです。でも、そのまま変えるのはちょっと悔しいなと思って、100万年開いていなかった逆引き辞典を開き、がんばりました(笑)。私は「これくらいいいじゃん!」と思っていても、多保さんはほんと、妥協されないんで(笑)。歌入れでも、ちっちゃく反抗したりしてたんですよ。「なんかちょっとわかんないです」とか言って(笑)。でも多保さんは全く動じない。ニコニコしてる(笑)。

──それが“多保道場”の実情ですか(笑)。

杏子:そうそう(笑)。初めは「2020多保」っていうファイル名だったんですが、「Love Like Thunder」をやっているあたりから「ゔ~!しごかれている~!」って思いながらやっていたので、「多保道場」に変えました(笑)。前半はやったことのない歌だったから頑張って歌って、後半はロックだからイェーイ!って歌っていたら、「そうじゃ無くて、もうちょっとこう」って言われたりするんですよ。「えー、それ“私”じゃ無くなっちゃうんですけど…」って思いながら歌ってみると「あぁ、こっち正解だったわ」っていう(笑)。結局そういうことだったりしたんですけどね。

──でも、どうしたって“杏子節”はにじみ出ちゃってると思います(笑)。

杏子:(笑)。そういう“クセ”でやっつけたくなっちゃうんですよね。だけど多保さんは、それをさせたくなかったんだろうなって思います。

──すみません、なんだか多保さんが猛獣使いのように思えてきました(笑)。

杏子:いや、本当に(笑)。プロデューサーとしてもやっぱりキャリアを積んでいらっしゃるから、私ひとりの多少の反抗なんて大したことないんですよね(笑)。

──(笑)。でも結果的には、ご自身の想像を上回るほどのところに着地されたんじゃないかなと思うんですが。

杏子:そう、本当によかったです。いつもは、レコーディングが終わると自分の作品ってあまり聴かなくなっちゃうんですね。これが正解だったのかな、どうかなって思うことが多かったりするから。でも今回は自分が歌ったんだって主観的にもなれるし、客観的に、いちリスナーとしても聴けるというか。すごく面白い仕組みになったなと思いましたね。



──このままライブのセットリストとしても聴いてみたいなと思っているんですが。

杏子:そうなんですよね。それもアリだなって思っています。今ってサブスクで聴く人も多いから、どこから聴かれてもいいようにと思いながらも曲順はめちゃくちゃこだわりました。どの曲も隙がないですし、本当にいいものができたなと思っているからこそ、これをライブでどう具現化するかはやはり大きな課題で。バンドメンバーとはすでにミーティングもしているんですが、スタジオで大きな音でこれを聴きながら、みんなでこの曲はああしてこうしてってアイデアを出し合っているところです。

──これまでのようにAメロ、Bメロ、サビ、間奏、アウトロっていうスタイルじゃない曲が多いから、杏子さん、ライブで思う存分回れるかな…と余計な心配もしてしまいました(笑)。

杏子:そうなんですよ!制作中も「えー、間奏ないんですか!」って多保さんに言ったら、「それが今の流れなんです」ってニコニコしながら言われました(笑)。でもそこはね、ライブならではのアレンジも考えているのできっとグルッグル回ると思いますよ(笑)。皆さんがライブを欲しているんだなっていうのは、前回ビルボードでのライブをやった時にもすごく感じました。まだすべてのことが読めない状況ではありますが、いずれにしても、皆さんによりワクワクドキドキしてもらえる時間をこれからもお届けしていきたいなと思っています。

取材・文◎山田邦子

New Album『VIOLET』

2021年4月28日(水)発売
■初回限定盤(CD+DVD):UMCA-19063 ¥4,950(税込)/¥4,500(税抜)
■通常盤(CD):UMCA-10078 ¥3,300(税込)/¥3,000(税抜)
CD収録曲:
1. VIOLET
2. The Black Knight
3. Heaven’s Door
4. the days 〜幸せをどうか〜
5. One Flame, Two Hearts
6. Why Boy
7. Love Like Thunder
8. “Hell, it’s me”
9. Welcome to the Nightmare
10. 調子乗ってDance

初回盤DVD:
「KYOKO in Billboard Live TOKYO “Welcome to the Nightmare”」
・上弦の月の下で-Under The Half Moon-
・Nobody’s Home
・秘蜜の花園
・恋するサンビスタ
・Dear Me
・炎のたからもの
・One Flame, Two Hearts
・Silly Scandals
・青猫
・Welcome to the Nightmare
・星のかけらを探しに行こう Again

■ユニバーサルミュージックストアにて予約受付中
ご予約はコチラ ⇒ http://smarturl.it/umstore_kyoko

■配信第1弾シングル「One Flame, Two Hearts」
ダウンロード/ストリーミング:https://umj.lnk.to/OneFlameTwoHears
リリックビデオ:https://youtu.be/3et5pECi-cQ

■配信第2弾シングル「Welcome to the Nightmare」
ダウンロード/ストリーミング:https://umj.lnk.to/Kyoko_WtoN
リリックビデオ:https://youtu.be/RYinyPx0FoY

■アルバム先行配信曲「the days 〜幸せをどうか〜」
ダウンロード/ストリーミング:https://Kyoko.lnk.to/thedays
ミュージックビデオ:https://youtu.be/3eY13WZ_ez4

■アルバム先行配信曲「調子乗ってDance」
ダウンロード/ストリーミング:https://Kyoko.lnk.to/ChoshinotteDance
#踊ってみた 動画:https://youtu.be/IaQeyJ_0pVQ

ライブ情報

<杏子 Kyoko Billboard Live 2021 “VIOLET”>
【ビルボードライブ大阪】
2021年5月15日(土)
1stステージ 開場15:30 開演16:30 / 2ndステージ 開場18:30 開演19:30
サービスエリア¥7,400- カジュアルエリア¥6,900-(1ドリンク付き)
[ご予約・お問い合せ] ビルボードライブ大阪 06-6342-7722
〒530-0001 大阪市北区梅田2丁目2番22号 ハービスPLAZA ENT B2

【ビルボードライブ東京】
2021年5月30日(日)
1stステージ 開場15:30 開演16:30 / 2ndステージ 開場18:30 開演19:30
サービスエリア¥7,400- カジュアルエリア¥6,900-(1ドリンク付き)
[ご予約・お問い合せ] ビルボードライブ東京 03-3405-1133
〒107-0052 東京都港区赤坂9丁目7番4号 東京ミッドタウン ガーデンテラス4F

【発売日】
チケット発売中

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