ACIDMAN、10年目の福島ライブ「かけがえのない時間を共有していけたら」

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ACIDMANが3月11日、福島・いわき芸術文化交流館アリオス 中劇場で<ACIDMAN LIVE in FUKUSHIMA 2021>を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けする。

◆ACIDMAN画像

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2011年3月11日東日本大震災当日、ACIDMANは<LIVE TOUR "ALMA">の真っ最中だった。2本のライブが延期になったが、ライブ自粛のムードが流れる中、こんな時こそライブをという大木(Vo,G)の強い意志のもと、ツアーを続行。以来、震災と向き合い、毎年3月11日には被災地を訪れ、福島県にてライブを開催、収益を全額寄付している。

昨年は新型コロナウイルス感染防止対策のため、有観客での開催こそ断念したものの、南相馬市のライブハウスBACK BEATよりサプライズでライブを生配信。そして、10年目となる今年2021年3月11日。<ACIDMAN LIVE in FUKUSHIMA 2021>が、いわき芸術文化交流館アリオス 中劇場にて行われた。

もはや恒例行事となり、里帰りした家族のように、メンバー、スタッフそしておそらくファンも、この地で年に1度の再会を喜ぶ様子がみえる。この日、この場所で観るACIDMANのライブは特別。そんな期待感に包まれる中、<ACIDMAN LIVE in FUKUSHIMA 2021>はスタートした。

SE「最後の国」で、キャパシティ50%・満員のオーディエンスによるハンドクラップ。静かに優しく語りかけるような大木の歌から始まった1曲目は「リピート」。祈りのような曲調と、繰り返しリピートされる、《何を手に入れた》という言葉に、会場は深遠な空気に染まっていく。

「10年目も最高のライブにしましょう!」大木の叫びと共に、一転、激しい鼓動のような浦山(Dr)のビートから2曲目「to live」へ。佐藤(B)の疾走感溢れるベース、ソリッドなギターカッティングリフに捲し立てるようなボーカル。沢山の拳が突き上がり会場のボルテージは一気に上がっていく。そして畳み掛けるように初期のライブ定番曲「swayed」を披露し、更にオーディエンスを引き込んでいく。




その後のMCでは、「(東日本大)震災以降、原子力発電の危険性も知らずに、福島で作られた電気を東京で使い続けていたことを反省し、そしてこの3.11が皆にとって少しでも楽しい日になっていったらいいなという気持ちで、2012年から毎年続けております」と、このライブへの思いを語り、昨年9月に発売された新曲「Rebirth」へ。この曲はアニメ『あひるの空』の主題歌に起用された軽快なナンバーだ。

そしてミラーボールの演出が象徴的なライブ定番曲「FREE STAR」。“たった1秒で世界は変わる” 大木の言葉が響く。

さらに間髪入れずにACIDMAN屈指の人気曲「式日」。《悲しみを溶かし また出会えるように》《世界が終わって全てが消えて、それでも僕ら繋がっているだろう》 まさにこの地への祈りのようだ。

爽やかでノリのいい楽曲が続いたところで、一転、幻想的でアンビエンスなギターソロが始まり、会場は一気に神聖な空気に包まれる。バラードの名曲「世界が終わる夜」だ。たっぷりと余韻を残しながら重ねられていくギターの音色が美しく、先程までの爽やかな流れから違和感なくその世界観に引き込まれていく。この緩急の振り幅こそが、ACIDMANである。

《消えてしまうなんて》 人間の儚さを嘆き、受け入れ、最後には《また生まれてまた此処で笑い合おう》と希望を歌う、この曲もまたまさにこの地に届けたい楽曲だ。

「コロナのおかげで気付かせてもらった事も沢山ある」と語る大木。「生きてるっていうのは当たり前じゃない、1分1秒がとてもラッキーな事。だから、ネガティブな事は思ったり話したり1秒もいらない。かけがえのない時間を皆さんと共有していけたらと思います」

そして後半戦1曲目は「灰色の街」。《明けてゆく夜空を信じたなら世界は歌に成ってゆく》という言葉と共に、クライマックスへの口火を切ると、「世界がどんなに灰色になったとしても、僕らの思い次第で、考え方次第で、行動次第で世界は美しく彩っていけると僕は信じています。だから、皆さんも信じていきましょう!」という大木の言葉に会場のボルテージは一気に上がり、続いて、過ぎ去る日々の儚さをエモーショナルに歌うロックナンバー「MEMORIES」、さらにACIDMANのライブでは欠かせない鉄板ソング「ある証明」でグルーヴを最大値まで加速させ、ラストは、“You're O.K.!”の連呼と共に、困難に立ち向かう人全てを肯定して鼓舞する、「Your Song」へ繋げ、興奮と感動の中、本編が終了。





アンコールのクラップに応えて再び登場したメンバー。そこで、大木から告知として、ACIDMANが2020年にコロナ禍のもと行った配信ライブ、3月11日<生配信ドキュメントLIVE in FUKUSHIMA 2020>、7月11日<「灰色の街」リリース記念プレミアムワンマンライブ “ THE STREAM ”>、9月11日<ACIDMAN LIVE “ This is instrumental ”>、この3本をまとめた3枚組DVD『ELEVEN』をリリースするという嬉しいお知らせが。

そして、この日、最後の楽曲に選ばれたのは、「この日のために作ったかのような曲」と大木が語る、「OVER」。《目を閉じて 心の奥に小さな、小さな歌を見つけてそうやって人は悲しみを一歩ずつ乗り越えて行くのだろう》

被災地に寄り添ってきたACIDMANの、祈りのようなライブが今年も幕を閉じた。


撮影◎Taka"nekoze_photo"

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■<ACIDMAN LIVE in FUKUSHIMA 2021>2021年3月11日(木)@福島・いわき芸術文化交流館アリオス 中劇場 セットリスト

SE. 最後の国
01. リピート
02. to live
03. swayed
04. Rebirth
05. FREESTAR
06. 式日
07. 世界が終わる夜
08. 灰色の街
09. MEMORIES
10. ある証明
11. Your Song
En. OVER

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