【ライブレポート】eill、渋谷WWW Xでメジャーデビュー曲初歌唱「誰かの心を私の声で照らしたい」

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3月21日(日)、渋谷WWW Xにてeillがワンマンライブ<eill the show 2021>を開催した。到着したオフィシャルライブレポートをお届けする。

◆<eill the show 2021>ライブ写真

この日は北海道から九州までの広範囲で雨が降り、渋谷の歩道では傘がひっくり返っている人が散見されるほどの荒天。そんな中でも、eillの音楽を生で浴びようとするファンが全国から駆けつけた。チケットはソールドアウト。

開演の合図として会場のライトが落ちると、まずバンドメンバー(Gt. サトウカツシロ、Key. 宮田'レフティ'リョウ、Ba. 越智俊介、Dr. 菅野颯)がステージに登場。そして真っ暗な空間で、まだeillの姿も見えない中、彼女の声だけがアカペラで響き渡るという斬新な演出で幕が開けた。オーディエンスの期待感と集中力が高まっている状態で、<誰かのステップで 決まったリズムで 踊らせないで>と「踊らせないで」を丁寧に歌い上げる。その歌は、約2週間後、ついにメジャーデビューをすることになるeillが、これからも型にハマることなく自由にeillの音楽を貫いていくことを高らかに宣言しているようにも聴こえた。


2曲目「FUTURE WAVE」ではステージ上にいるeillとバンドメンバーがジャンプしてお客さんもビートに乗り、続く「HUSH」ではみんなの腕が上がる。今は新型コロナウイルスの影響でどうしてもライブには様々な制限がつきまとってしまうが、それでも、人間が音を鳴らして、それを直接浴びることで身体が自然と動いてしまう快感を、ライブ開始から10分の段階ですでに存分に思い出させてくれた。


20歳のeillが同世代へ贈るために書いた「20」を歌ったあとは、「Ma boy」、「Fly me 2」、「Succubus (Remix)」、「Into your dream」をメドレーのようにつなげて会場の景色を音でコロコロと塗り替えていく。中学生の頃は韓国でデビューすることを本気で夢見た程K-POPにのめり込み、同時にK-HIPHOP、R&B、モータウン、ジャズ、嵐やAKB 48など日本の流行歌にも触れながら生きてきたeillは、多彩なジャンルの要素を曲によって手法を変えながらアウトプットする。さらに、ルーツに根差しながらも、サウンドメイクやメロディへの日本語の乗せ方においては自由な発想で挑戦し続ける。しかし、どんなジャンルや挑戦的な手法であっても、eillの声でしっかりと「eill色」にまとめあげて統一感と自身の個性をハッキリと提示する。そんなeillの音楽は、日本、韓国、USなどあらゆる国とジャンルのヒットソングをYouTubeやストリーミングサービスで並列にして聴いている世代のリスナーの耳にフィットし、さらに飽きさせない魅力も持っているように思う。

そして、そんなeillの真骨頂とも言えるのが、4月9日(金)にリリースされるメジャーデビュー曲「ここで息をして」だ。この曲は、1曲の中でファンクからハードロック、ジャズ、ヒップホップなどのビートや音色がジェットコースターのように目まぐるしく通り過ぎていく。「ここで息をして」は、4月から放送されるアニメ「東京リベンジャーズ」(「週刊少年マガジン」で連載中。原作は「新宿スワン」などでも知られる和久井健)のエンディングテーマに決定しており、eillは初歌唱となるこの日、漫画にちなんで特攻服を着ながら歌い上げた。


次に歌った「FAKE LOVE/」も、「ここで息をして」と同じように、ただわきまえるだけではない女性像を体現している恋愛ソング。弱さや甘えたい素振りも見せるけど、圧倒的な強さとかっこよさも歌の中で示すeillは、世界中の女性たち(というか性別問わず)がBLACKPINKに憧れを抱く理由に通ずるものがある。そして「ここからは一緒に夜の街へドライブしましょう」という言葉とともに「((FULLMOON))」「Night D」を披露。続いて、ミニマルなビートとループするギターリフから壮大なサビへ広がっていく流れが最高に気持ちいい「この夜が明けるまで」に入り、夜のドライブゾーンを締めくくった。

ライブも終盤に差し掛かったタイミングで、昨年の緊急事態宣言中に曲が書けない苦しい期間を過ごし、それを経て生んだ名バラード「片っぽ」を、スポットライトの中でピアノ1本で弾き語り始める。普段ピアノから曲を作ることが多いというeillの歌と心が、何の装飾もなく丸裸の状態で届けられた。昨年2020年11月にリリースされたミニアルバム「LOVE/LIKE/HATE」完成時に「本当の自分をもっと見て欲しいという想いがあった」と語っていたeillの音楽と表現に対する向き合い方の変化が如実に表れているワンシーンだった。

本編は「SPOTLIGHT」で締めくくり、アンコールでは「special girl」、「2025」のワンコーラス、そして「MAKUAKE」を歌ってこの日のライブは終了。子どもの頃は身体が弱くて自己嫌悪も強かったeillが、音楽なら誰かを喜ばせたり恩返しできたりするかもしれないという想いを抱えながらこの道を歩み続け、ついにメジャーデビューという新たな幕開けに立った。eillはきっと、この先も音楽シーンにおいて新たなサウンドや歌の手法を提示しながら、どんどん自分のことを知って、さらに自分の深いところにあるものを音楽に昇華する方法も知って、より一層強固な表現を生み出していくアーティストになるだろう。「SPOTLIGHT」を歌う前にeillが届けた言葉には、なぜ彼女が音楽をやっているのか、その理由や原動力、そして、音楽を通してどんな自分と他者に出会いたいのかという想いが詰まっていた。このレポートを、その言葉で締めくくる。


「自分の夢とかやりたいことがなかった私が、今は誰かの心を私の声で照らしたいと本気で思ってる。そう思わせてくれたのは、ここにいるみんなです。ありがとう! 頑張れない自分に腹が立った。自分のことを大嫌いになる日もある。今もある。でもね、そんなダメな私でも、あなたでも、どうしたってこの人生の主人公なんだ。みんなの人生はあなただけのものってことを忘れないで欲しい。これから先、ひとりぼっちだって思ったとき、誰かに助けてもらいたいって思ったとき、前を向けなくなったとき、自分のことを信じられなくなったとき、そんなときはいつでも私に会いにきて欲しい。私を呼んで欲しい。イヤフォン越しでも、画面越しでも、こうやってライブでも、みんなの日々の中で私はいつもみんなのそばにいるよ。みんなのことを照らしてるよ。だから大丈夫。私はね、大きな世界を変えたいんじゃない。ここにいるみんなのこと、一人ひとりのことを照らしていきたいの。これから先も、ずっと、照らし続けます」

eillは4月9日(金)にTVアニメ『東京リベンジャーズ』のエンディング主題歌となる、メジャー1stデジタルシングル「ここで息をして」を配信リリースする。

Text by 矢島由佳子
Photo by 吉場正和

■セットリスト<eill the show 2021>

2021年3月21日(日)渋谷WWW X
M1. 踊らせないで
M2. FUTURE WAVE
M3. HUSH
M4. 20
M5. Ma boy
M6. Fly me 2
M7. Succubus
M8. Into your dream
M9. ここで息をして
M10. FAKE LOVE/
M11. ((FULLMOON))
M12. Night D
M13. この夜が明けるまで
M14. 片っぽ
M15. SPOTLIGHT
EC1. 2025
EC2. MAKUAKE


■eill 「ここで息をして」
2021年4月9日(金)配信リリース
配信URL:https://lnk.to/Kokodeikiwoshite
※2021年4月9日(金)AM0:00まではApple Music「Pre-add」、Spotify「Pre-save」のみご利用いただけます。

■TVアニメ『東京リベンジャーズ』作品情報

■イントロダクション
人生どん底のダメフリーター花垣武道(タケミチ)。中学時代に付き合っていた人生唯一の恋人・橘日向(ヒナタ)が、最凶最悪の悪党連合”東京卍會”に殺されたことを知る。事件を知った翌日、駅のホームにいたタケミチは何者かに背中を押され線路に転落し死を覚悟したが、目を開けると何故か12年前にタイムリープしていた。人生のピークだった12年前の中学時代にタイムリープし、恋人を救うため、逃げ続けた自分を変えるため、人生のリベンジを開始する!

『東京卍リベンジャーズ』とは──。
2017年より「週刊少年マガジン」で連載開始、累計800万部を突破した本作は、『新宿スワン』の作者・和久井健が贈る最新巨編。

■放送情報
MBS毎日放送  4月10日より毎週土曜日26:08~
テレビ東京  4月11日より毎週日曜日25:35~
テレビ愛知  4月11日より毎週日曜日25:35~
テレビ北海道  4月11日より毎週日曜日25:35~
TVQ九州放送  4月11日より毎週日曜日26:35~
BS朝日  4月18日より毎週日曜日23:00~
AT-X  4月12日より毎週月曜日21:30~ 
※リピート放送:毎週水曜日9:30~/毎週金曜日15:30~
山陰中央テレビ 4月14日より毎週水曜日25:25~
琉球朝日放送 4月15日より毎週木曜日26:15~
RKK熊本放送 4月23日より毎週金曜日26:55~

※放送開始日・放送日時は変更となる場合がございます。予めご了承ください。

■スタッフ
原作:和久井健『東京卍リベンジャーズ』(講談社「週刊少年マガジン」連載)
監督:初見浩一
シリーズ構成:むとうやすゆき
キャラクターデザイン:大貫健一/太田恵子
音響監督:飯田里樹
音楽:堤 博明
エンディング主題歌:「ここで息をして」eill
アニメーション制作:ライデンフィルム

■キャスト
花垣武道(タケミチ):新 祐樹
橘 日向(ヒナタ・ヒナ):和氣あず未
橘 直人(ナオト):逢坂良太
佐野万次郎(マイキー):林 勇
龍宮寺 堅(ドラケン):鈴木達央
場地 圭介:水中雅章
三ツ谷 隆:松岡禎丞
林田春樹(パーちん):木村昴
林 良平(ぺーやん):野津山幸宏
河田ナホヤ(スマイリー):河西健吾
武藤泰宏(ムーチョ):小野大輔
千堂 敦(アッくん):寺島拓篤
山本タクヤ:広瀬裕也
鈴木マコト:武内駿輔
山岸一司:葉山翔太
清水将貴(キヨマサ):日野聡
長内信高:竹内栄治

(c)和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会

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