【ライブレポート】0.1gの誤算、5周年ワンマンで見せた“新世界の始まり”

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0.1gの誤算が3月26日、新宿BLAZEにて<5th Anniversary ONEMAN 運命の特異点-それでも俺たちは止まらない->を開催した。

◆ライブ画像(14枚)

温かみのある光に包まれた場内で、そっと耳を澄ませる。丁寧にしっかりと語りかけるような音、“おかえり。ようやくここへ来たね”という詞から、5周年記念ライブは穏やかに幕を開けた。セットリスト後半に組み込まれることの多い「アストライアの転生」が一曲目に披露されるという斬新な幕開けだ。高揚感と緊張感が漂う開演前の空気は、懐かしさや安心感へと変わっていく。


しかし、そんな和やかな空気も束の間。1曲目が終わると、「5周年、ぶち上がる準備はできてるか」という、緑川裕宇(Vo)の太い声が響き渡る。現在、新型コロナウイルスの影響で“声出し禁止”となっているライブ会場。そのためファンは、鈴やタンバリンなど、音が出る様々なアイテムを駆使し、緑川へ返事を送る。それを合図に「必殺!からくり七変化!」が始まると、会場の熱気は瞬く間に高まっていった。


そこから一気にテンポの良い楽曲を畳み掛け、いつもの迫力あるライブを展開。たとえライブの楽しみ方に制限がかけられようとも、変わることのない熱量が、ここにはある。「嬉しいよ、今日は。誤算が戻ってきた感あるよ。今ぱっと見える景色が懐かしい」と、緑川。コロナ禍でなかなかライブに来られなかったファンが、この場所に“帰ってきた”喜びを伝えた。そこから再び「フルニトラゼパム」、「【L】1126【悲劇】」など全8曲を披露し、本編は終了した。


しかし、誤算のライブがこんなにさらっと終わるわけがないと、誰もが思っていたはず。その予想は見事に的中。スクリーンに新曲「救済バタフライ」のミュージックビデオが映し出された。しかし、この日のライブには、更なるサプライズが用意されていたのだ。それが、もう一つの新曲「桜花爛漫!天晴サムライ応援歌」と新アー写の公開。


煌びやかな新衣装を身に纏ったメンバーが、新しいSEに合わせて再びステージへ。「新しい世界へようこそ」という緑川の言葉とともに、「桜花爛漫!天晴サムライ応援歌」が今度は生演奏で届けられた。衣装に負けない派手な演奏とパフォーマンスでオーディエンスを魅了。会場の熱を上げていく。


また、同じくスクリーンで公開された「救済バタフライ」も披露。神崎流空(Dr)がプロデュースするメンズアイドルグループ・双極スペクトラムのメンバーがダンサーとして登場し、会場を盛り上げた。

MCでは、2つの新曲について語られる場面も。「救済バタフライ」は、もともと双極スペクトラムの楽曲として緑川が作詞、弟の拓が作曲を手掛けたが、楽曲提供だけでなく誤算の曲としても演奏されることや、「桜花爛漫!天晴サムライ応援歌」はオリンピックをイメージして作った楽曲で、5月辺りにミュージックビデオの撮影が予定されていることなどの情報を届けてくれた。



さらに、新衣装のこだわりポイントも。和と洋が融合した派手な衣装をよく見ると、メンバー各々の過去のアー写がプリントされており、どこを見ても飽きないデザインだ。5年間の軌跡、成長を大切にしながら、次のステップへ進もうとするメンバーの思いが込められているようにも感じる。

さらに、頭を振ったりスクワットをしたりと、緑川の誘導で様々な動きをファンがループする「男闘魂戦争卍燃えよ誤算光殺砲卍」も5周年バージョンにパワーアップ。この日のために構成された動き(ビリーズブートキャンプを参考にしたエクササイズ)をファンだけでなく、誤算と双極のメンバーも一緒に行い、会場を盛り上げる。


ヴィジュアル系バンドとアイドルグループのメンバーが曲に合わせて必死にエクササイズを行う様子は、冷静に考えるとかなりシュールな光景なのだが、誤算のライブに限っては、最高の景色だ。その後も、ノリの良い「オオカミ男と月兎」やドラマチックに展開する「この声が届くまで」など、多彩な楽曲を続けざまに披露。予定になかったラストナンバー「21gの感傷」まで、本編合わせて20曲、熱のこもった2時間半となった。


前回の周年ライブは、コロナの影響で延期を余儀なくされた。約5ヶ月遅れで開催されたものの、誤算特有の自由なライブに制限がかかり、過去最高を記録するはずだった動員数が振り出しに戻り、悔しい思いをした0.1gの誤算。しかし、彼らはライブ活動が思うように行えない時期を耐えるどころか、楽曲制作やアイドルプロデュースなど積極的に行動を起こし、5周年の舞台で新しい姿を披露した。

最後のMCで掲げられた「もう一度、一からやり直して上を目指す」という言葉の通り、この先も止まることなく進み続けるバンド、0.1gの誤算にとって、挫けそうな心や壊れかけた世界を隠すための一次的なリペア作業は意味がない。未来を見据える彼らが5周年ライブで示してくれたのは、音楽に対する揺るぎない思いと、一から創り上げる新世界の始まりだった。

文◎藤代冬馬
写真◎堅田ひとみ(nonfixcreative)

セットリスト

01.アストライアの転生
02.必殺!からくり七変化!
03.アストライアの入滅
04.敵刺す、テキサス
05.フルニトラゼパム
06.【L】1126【悲劇】
07.NEVER ENDING
08.【S】0723【終焉】
-encore-
01.桜花爛漫!天晴サムライ応援歌
02. 混沌的極悪暴曲-ヴィジュアロックパロディウス-
03. 超旋律的疾走暴曲ネオヴィジュアロックパロディウス
04.救済バタフライ
05.【K】0626【渇望】
06.月詠センチメンタル
07.男闘魂戦争卍燃えよ誤算光殺砲卍
08.オオカミ男と月兎
09.この声が届くまで
10.廃課金式ラブストーリー
11.絶望メンブレガール
12.21gの感傷

<5th Anniversary ONEMAN 運命の特異点ーそれでも俺たちは止まらないー>再配信情報

公演日:2021年3月29日(月)
時間:開演20:00~
チケット:¥3,000
https://twitcasting.tv/0153_official/shopcart/64471

◆0.1gの誤算 オフィシャルサイト
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