【インタビュー】塩見きら(神宿)、“なにもなかった私”から“止まってはいられない私”に

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■なんで私たちは進化するのか、考えた

──Zeppツアーでも歌っていたソロ曲「Twenty」。あれはどんな気持ちを書いたものだったんですか?

塩見:神宿の曲は歌うメンバーや聴いてくれる女の子のことを想像して書くんですが、これは自分自身を書こうと思って20歳の自分を書きました。私は20歳で神宿に加入したので、あの頃うつむいて何もできなかった自分に対して、あのとき君が手を伸ばしたからこそいまは少しの幸せをつかんでるよと。

──20歳の頃の自分に宛てた手紙みたいな?

塩見:そうです。



──20歳の頃の塩見さんといえば?

塩見:話しかけられるのが嫌で、ずっと音が流れてないイヤホンしてました(笑)。AirPodsが出る前だから、先が2つに分かれる有線イヤホンをつけて周りの雑踏や、近くにいるカップルの会話とか聞いてました(笑)。

──そんな塩見さんがこんなに成長できたんだというのが垣間見れたところで、ここからは新曲の話にいきたいと思います。先日までツアーで「MAD GIRL」をセクシーに歌ってたのに、今回はキュートな「FANTASTIC GIRL」に大変身。神宿は、いったいどっちなの?

塩見:どっちも表現できるというのが神宿のよさです。可愛らしいんですよ。今回の曲は。だから、歌詞は私と舁夫(読み:かきふ=神宿のファンの呼称)さんのことを書きました。コロナ禍で離れそうになったけど、やっと会えたね、もう離さないよという歌詞になってます。

──アルバムにあった「明日、また君に会える」と歌詞の方向性は似てますよね。

塩見:あの曲はちょうどコロナ禍の時期で、いまは会えない、でも明日こそは会えるという希望を歌っていて。今回の曲はライブを再開してみんなと会えるようになった時期で。やっと会える状況になってきたから、もうみんなのことを離さないよっていうのが今回の歌詞です。だから「FANTASTIC GIRL」は「明日〜」のアンサーソングみたいなイメージですね。

──だから「FANTASTIC GIRL」にも「明日、また君に会える」と同じようにセリフパートが入ってるんだ!

塩見:最初は実はなかったです。全体通して聞いて、レコーディングの一番最後にここセリフ入れようって話が出て。

──舁夫さんとの関係性を歌った曲でありつつ、ラブソングとしても成立する曲というところは意識したんですか?

塩見:知らない人が聴くと、自分と自分が想いを寄せてる人の歌になる。そういうものにもしたいなとは思ってました。でも、私は恋愛ソングとか書けないから。

──なんで?

塩見:興味ないから分かんないんですよ、気持ちが。こんな私に誰も恋愛ソングなんて求めてないのも分かってるし(笑)。

──あははは(笑)。

塩見:だから私は、それをファンの人の気持ちに置き換えて描いた感じです。

──なるほど。英詞パートが多いのもこの曲の特徴ですよね。

塩見:最初頂いたデモが全部英詞だったんですよ。外国の方が作って、外国人の作家さんとやりとりをしながらできたものだったので、まず私の作詞で書き換えたいという許可をもらい、そこから全部書き直したんですけど。英詞のほうが耳障りがいいんで、今回は極力日本語を控えめにして。デモで使っている英語は使えないから、それとかぶらない歌詞を探して書いていくのが結構大変でした。これまで私が書いてきた歌詞は自分の内面を書いた暗いものが多かったんですけど、今回は春から夏にかけてみんなが笑顔で歌って踊れるもの。歌ってる私たちも聴いてる人たちも笑顔になれるものがいいと思って、楽しく明るい歌詞にしてみました。

──サビ頭の“One”“Twe”“Three”のコーラスとか英詞なのにキャッチーで楽しそうだし。

塩見:あそこは振り付けも可愛いんです!




──今作でファッション誌『NYLON JAPAN』とコラボしたアートワーク、ミュージックビデオも、ただ可愛いだけじゃないファッショナブルに振り切った神宿に驚かされましたよ。

塩見:私たちのいつもの感じではないから、みんなの反応も気にはなったけど、これはこれで楽しんで欲しいなと。毎回同じだと私はつまんないと思う。あのときの衣装がよかったとか、いろいろみんなあると思うけど“カメレオン”なんですよ、私たちは。急にいろんな色に変わって変化し続けるんです。そこを楽しんで欲しいから、みんなをかき乱してるんです。恋愛って、かき乱されるぐらいのほうが楽しいんじゃないですか? 知らないけど(笑)。(コロナ禍で)会えない時間があったなか、私たちも考えたんです。なんで私たちは進化するのかを。それは、“ずっとアイドルでいたい”それだけなんですよ。なぜ神宿を長く応援してくださってる方々がこんなにいるかというと、日々私たちが進化していろんなことに挑戦して、飽きさせないものを提供しているからだなと思うんです。そう考えたら、私たちは止まってはいられない。急な進化に戸惑う人がいるのも理解できるけど、可能なら一緒に成長して欲しいし、ついてきて欲しいなと思います。

──カメレオンのように変化し続ける神宿に、ね。

塩見:でも、私たちがなにをやっても付いてきてくれるとはまったく思ってはいないですよ。根っこにあることをちゃんとやらないと、みんなはついてこないと思ってるから。なにに挑戦しようが、根っこの部分は変わらずに持ち続けよう、というのは5人全員が思ってることですね。


──そのなかの一つに塩見さんの作詞への挑戦もあるわけですけど。神宿がすごいのは、一番最後に入ったメンバーが最初に歌詞を書き始めたというところで。そこについて、塩見さんはどう思ってるんですか?

塩見:それは、みんなが見つけてくれたものだと私は思ってる。私が入る前からみんなには各々のキャラクターがあって。そのなかで、私の良さとして“歌詞”を見つけ出してくれたんですよ、メンバーとファンの方が。

──それを認めたメンバーも凄いと思うんですよ。自分よりも後から入ったのに歌詞を書いて、名前までクレジットに載ってるとなるとちょっとしたジェラシーを抱きかねないじゃないですか。だけど、彼女たちは塩見さんが書いた歌詞について、インタビューでも自分のことのように嬉しそうに語ってくれる。

塩見:素晴らしい人間性ですよね。おっしゃてることは分かります。だから“私でいいのかな?”って正直思っちゃうこともあるんですよ。例えば「明日、また君に会える」で自分の見せ場、“僕らには明日がある”というセリフを言った瞬間、“私じゃなくて他のメンバーが言ってるのを聞きたい人もいるだろうな”と思うと、苦しくなってファンの顔が見えなくなることもある。そういう根の暗さが出てしまうときもあるけど(笑)。でも、それを「いいよ」といってくれるメンバーがいて、「頑張っていこうよ」といってくれるメンバーがいるから、私は表現を続けてられるんです。私が逆の立場だったらどうなんだろうって本当に思う。嫉妬心とかプライドとかが出ちゃうのかなって。そこは私自身の課題でもあるんですよね。“プライドを捨てる”というのが。

──そこを、成長しなきゃいけない部分だと思っているんですね。

塩見:そうなんですよ。誰かができることが自分はできないのって、悔しいじゃないですか。だけど、そんな思いにかられるぐらいなら、プライドを捨てて“これ、どうやったら上手くできるの?”ってメンバーに相談してみる。それはグループが成長する、メンバーが成長する上で大事なことだなと思ったので、Zeppツアーのときみんなで話したんですよ。ダンスが上手なメンバーはダンスが苦手なメンバーに教えてあげて、歌が苦手なメンバーは歌が上手いメンバーに教えてもらって。互いに自分の“良さ”を5人のなかで認め合って、共有し、5人が成長していかなきゃこの先やっていけないというのはみんなで話しました」

──互いの才能をシェアすることで個々のレベルアップを図り、それを神宿の進化につなげていこうということですね?

塩見:そうですね。5人だからこういうことができるんですよ。10人、20人もメンバーがいるグループだったら難しいと思う。


──たしかに。神宿の進化の裏側にこんな話し合いがあったとは。

塩見:みんなは知らないと思うんですよ。メンバーが葛藤しながら、お互いを認め合って一生懸命話し合いながらこのグループを進めていること。ファンの方にも知っていただきたいですね。

──そして神宿は現在グループ最大規模の全国ツアー<KAMIYADO THIS IS THE DREAM TOUR>を開催中で、このツアーで、嫌で飛び出したという地元・愛媛にも神宿として初上陸する訳ですが。いまの心境は?

塩見:<神宿全国ツアー 2019−2020“GREATFUL TO YOU”>のとき、愛媛を提案されたときは「いいです」と断ったんです。いまのこの状態で親が観にきたとしても「成長したね」とは言ってくれないと思ったから。

──入りたてて中途半端な状態の自分は見せられない、というプライドが発動して?

塩見:あはは。そうです(笑)。 “帰るのはいまじゃない”と思ってました。

──今回まで先延ばししてた訳ですね。

塩見:はい。私は半年ぐらい前から両親と連絡を取ってなかったんですよ。それまでずっときていた連絡がうっとおしくなっちゃって「もう連絡しないで」って私が言っちゃったんです。それからいろいろ考えて。両親にもいろいろ助けてもらったという感謝の気持ちとか、でも両親から離れたからこそ自分は成長できたなと思ったり、もっと恩返しをしたいなと思ったりとか、いろんな思いがでてきて……。自分がもっと成長して大きくなったら、私が両親にいろんなことをしてあげたいと思った。その想いを伝えに帰りたいと思ったんですよ。このツアーで愛媛に帰ることを発表したぐらいからまた連絡をとるようになったから、ライブには両親を呼ぼうと思ってて。そのときのMCで、両親への想いは伝えようと思ってます。

──確実に泣いちゃうやつじゃないですか。

塩見:泣かないようにしなきゃ(笑)。本当に両親にはすごい感謝してるんです。両親の強い想い、愛情に私は縛られまくってたんですよね。例えば私がSNSで言われたことに対して両親が傷ついて、そのたびに「辛くて寝れない」って連絡がきたりしてたんです。私のせいでそうなってる両親を想像すると、私もめちゃくちゃ辛くなる。だけど、いまの私はそこで立ち止まる時間はない。ここはトントン拍子でうまくいくような世界じゃなくて、悩んだり苦しんだり、そういうことをなんとか切り抜けながら頑張っていかなきゃいけない世界だから、私は強くいなきゃいけない訳で。ここで1回ちゃんといわないと、自分も両親も辛いままで何も変わらないと思ったから「もう連絡しないで」ってキツイことを言ってしまったんです。

──愛媛のライブで、いまの自分の想いを伝えられるといいですね。

塩見:はい。緊張するけど楽しみです。


──そんな塩見さんが加入し、現体制になっての2周年記念ライブ<『神が宿る場所〜ここが私の生きる場所〜KAMIYADO 2ND ANNIVERSARY LIVE』>が4月29日、LINE CUBE SHIBUYAで行われますが。(取材日は緊急事態宣言前)

塩見:神宿にとっては9月の周年がお祝いの日なんですけど、私にとっては4月29日がアイドルになった日、人生が変わった日なんですよ。だから、絶対にいいライブをしなきゃいけない。2019年、豊洲ピットで観たのとは全然違う成長した姿で、5人の集大成を見せたいです。
──そして、その後も全国ツアーのほうはライブハウスを細かく回って7月まで続いていく。

塩見:ツアータイトルは私の大好きな映画『ララランド』のセリフからとったんです。私の夢だった地元に帰るという個人的なDREAM。それとは別に、夢にいるような空間をライブで作りたいという意味でのDREAMですね。DREAMって聞くとセットもキラキラで、すごく壮大なものをイメージしがちですけど、今回のツアーはZeppツアーと比べるとハコも照明の規模も小さいし、スクリーンもない。それでもDREAMとつけたのは、Zeppツアーと並行してやった関西ツアーで、ライブはハコの大きさやセットではないというのを実感したからです。

──何かきっかけが?

塩見:最終日の1部の「Action!」で音が急に止まるというアクシデントがあったんです。でも私たちは歌い続けなきゃいけないから、アカペラで歌って。その次の「明日、また君に会える」が最後の曲だったんですけど、私は泣いてこの曲の冒頭が歌えなかったんです。みんなは一生懸命手拍子でリズムをとってくれてるのに、私は音が止まった時点で“もうダメだ”と思ってしまって、いろんな感情に振り回されて歌えなくてしまった。それでもみんなは手拍子で、笑顔で泣きながら応援し続けてくれた。だからこそ、私たちはライブを最後までやりきることができた。そのときに思ったんです。ライブというのは自分たちの思いとみんなの思いが合わされば、夢のような世界が生まれるんだと。このツアーは距離の近いライブハウスで、そういう夢のような世界をみんなでつかみにいくものになります。ツアーが終わる7月に自分がどうなっているのか、いまはまだ全然想像がつかないんだけど、めちゃくちゃ成長していたい。私は。最後にそういう姿を見せるから、みんなも安心して付いてきてほしいなと思います。

取材・文◎東條祥恵
写真◎TOYO


塩見きら サイン入りチェキ プレゼントキャンペーン概要

【応募資格】
・日本国内にお住まいの方
・Twitterアカウントをお持ちの方
・BARKS編集部 Twitterアカウントから投稿される応募用のツイートをキャンペーン期間内にリツイートした方
※必ずご自身のアカウントを“公開”にした状態でご参加ください。アカウントが非公開の場合は参加とみなされません。
※ダイレクトメッセージを受信拒否設定している場合、参加とみなされません。

【賞品名・当選人数】
塩見きら サイン入りチェキ
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2021年4月28日(水)~2021年5月31日(月)23:59まで
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詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。

<神が宿る場所〜ここが私の生きる場所〜 KAMIYADO 2ND ANNIVERSARY LIVE>

2021年4月29日(木・祝)東京・LINE CUBE SHIBUYA
OPEN 17:30/START 18:30

神宿オフィシャルYouTubeにて無料生配信
(17:30より過去のライブ映像を放映する予定です。)
詳細:https://kamiyado.jp/news/114582766/

<KAMIYADO THIS IS THE DREAM TOUR>

※すでに終了した公演は割愛
※*の公演はファンクラブ「舁夫会」公演となります。(お連れさま非会員可)

2021年5月1日(土)大阪・なんばhatch ※中止
13:30/14:15*
17:00/17:45

2021年
5月2日(日)大阪・なんばhatch ※中止<
13:30/14:15*
17:00/17:45

2021年5月4日(火/祝)熊本・熊本B.9 V1
15:30/16:00

2021年5月5日(水/祝)福岡・福岡DRUM LOGOS
14:00/14:30*
17:00/17:30

2021年5月9日(日)静岡・SOUND SHOWER ark
14:30/15:00*
17:30/18:00

2021年5月15日(土)北海道・cube garden
13:30/14:00*
16:30/17:00

2021年5月22日(土)群馬・高崎clubFLEEZ
14:30/15:00*
17:30/18:00

2021年5月30日(日)愛媛・松山サロンキティ
14:30/15:00*
17:30/18:00

2021年6月5日(土)埼玉・HEAVEN'S ROCK さいたま新都心VJ-314:30/15:00*
17:30/18:00

2021年6月6日(日)茨城・水戸LIGHT HOUSE
14:30/15:00*
17:30/18:00

2021年6月12日(土)香川・高松MONSTER
15:15/15:45

2021年6月13日(日)千葉・柏PALOOZA
14:30/15:00*
17:30/18:00

2021年6月19日(土)福島・club SONIC iwaki
16:00/16:30

2021年6月20日(日)宮城・仙台darwi
14:30/15:00*
17:30/18:00

2021年6月26日(土)新潟・柳都SHOW CASE!!!
14:30/15:00*
17:30/18:00

2021年6月27日(日)長野・長野 LIVE HOUSE J
14:30/15:00*
17:30/18:00

2021年7月4日(日)沖縄・桜坂セントラ
14:00/14:30*
17:15/17:45

■チケット代
1部公演(名古屋初日/京都/岡山/熊本/香川/福島なし)
●舁夫会公演:3,500円
※お連れさま非会員可
※代表者の舁夫会マイページ確認必須(下記案内参照)

2部公演
・Sチケット:15,000円 ※記念品付き
・Aチケット:5,000円
・女性・高校生以下:3,500円 ※プレイガイド先行以降販売

※入場順 Sチケット→Aチケット→女性・高校生以下
※全自由
※未就学児入場不可
※ドリンク代別途必要
※高校生以下席をご利用の方は当日高校生以下であることを確認させていただくことがございますので、学生証などの持参をお願い致します。
※女性・高校生以下チケットは女性または高校生以下の方のみお買い求めいただけます。

詳細:https://kamiyado.jp/tour/thisisthedream_tour/

◆神宿 オフィシャルサイト
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365日、アイドルが作るアイドルメディア Pop'n'Roll 準備号創刊

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