【インタビュー】DIR EN GREY、「朧」に重なり合う“痛みと時代感”「メロディがはっきりわかるものがいい」

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■今の自分たちにフィットするタイム感で
■やってみた感じが「T.D.F.F.」

──個々のプレイにも聴きどころが多いと思いました。私の個人的な感想も申し上げると、コロナ禍になって、家にいることが増えたせいか、音楽に対して、よりじっくり言葉やメロディに向き合うようになって。そういった中で、今回の「朧」も含めて、DIR EN GREYの楽曲の真価が、より伝わるようになったと思っているんです。おふたり自身は、生活の変化に伴う、アーティストとしての変化、もしくはリスナーとしての変化って、感じていらっしゃいますか?

Shinya:いや、コロナ禍になる前から、家にいることが多いので(笑)。

──なるほど(笑)。その不変は強みかもしれません。薫さんはいかがですか?

薫:んー、自分も強いて言えるような変化はないですね。

──そこもDIR EN GREYらしさかもしれません。特典映像のインタビュー中では、京さんが「朧」のことを、「過去に発表した曲の続編であるような、ないような」みたいな話をされていて、そこも気になるところだったんですよね。

薫:本人から、そういう話を聞いて、まあ曲の拍子やテンポ感は似てるっちゃ似てるんで、そういうところを含めてつながりを見出したのかな、っていう気はしています。でも自分は、そこを気にして曲を掘っていこう、っていうところはなかったですね。

──Shinyaさん、そのあたりの見解はいかがでしょう。

Shinya:僕も詳細を聞いたわけではないので、いちファンと同じ目線ですね。それを踏まえて聴いて、歌詩を見たら、“関連しているなあ”とは思いましたけど。

▲Shinya(Dr)

──そして2曲目はシングルの2曲目では恒例、過去楽曲を再構築して収録するスタイルで。今回は「T.D.F.F.」として、2002年にリリースされた3rd アルバム『鬼葬』収録曲「The Domestic Fucker Family」が再構築されています。これは、どのように制作していったんでしょうか。

薫:あんまり考えずに、今、単純にやってみたらどうかなっていうところからスタートして。で、今の自分たちにフィットするタイム感でやってみた感じですね。オリジナル曲は、リズム的に曖昧にしている個所があるんですよ。きっちり収まっていないけれど、強引に持っていっちゃっているような。

──あれもカッコいいんですけどね。バンドならではのグシャッとした感じが出ていて。

薫:そうそう。でも今回は、それをキッチリやっていますっていう。

──そもそも、この楽曲が選曲されたのはなぜなんでしょうか。

薫:3曲ぐらい候補はあって。1曲目がどんな曲になるかが決まっていなかった段階で、「とりあえずカップリングを決めちゃおう」ってなって。最初の候補の中には、バラードっぽいのも入っていたんですよね。で、1曲目が「朧」に決まって、「カップリングもバラードはないか」っていうことで、2曲が残って。両方やってみたんですけど、もう1曲は今の感じにハマんなそうだったので、これにしたっていう。この曲をやるっていうアイディアは、単純に誰かがポロッと言ったっていう感じですね。

──Shinyaさんは、この楽曲に関して、どうブラッシュアップしていこうと思われましたか?

Shinya:僕はわりと原曲に忠実にしつつ、変えるところは変えてっていう感じでドラムを作ったんですけど。原曲ではイントロだったところに歌が入ったことによって構成が変わっていたので、また練り直した感じですね。

▲薫(G)

──「T.D.F.F.」は、これまでのカップリング候補にも挙がったりはしていたんですか?

薫:いや、今回が初めてです。

──こういった楽曲が入ると、なかなかライブに行けない今、溜まっているものが非常に滾るというか。いい選曲ですよね。

薫:ありがとうございます。

──そして、いつもながらエンジニアさんの人選も光っています。今回、「朧」のミックスはNeal Averon、「T.D.F.F.」のミックスはTom Lord-Algeということで、どちらも世界的に幅広く活躍されているグラミー受賞者です。どういったところを踏まえて、人選していったのでしょうか。

薫:何人かに声をかけていて、たまたま返事が来たふたりなんですけど(笑)。まあ、それぞれの楽曲に合いそうな人を選びました。仕上がりを聴いても、ハマっているんじゃないんですかね。

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