【インタビュー】[Alexandros]、新メンバー加入により生まれた膨大な熱量「手探りだからこそ面白い」

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[Alexandros]がニューシングル「閃光」のフィジカル・リリースを5月5日(水)に迎えた。本作は5月21日(金)に公開される映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の主題歌でもあり、またバンドにとってはリアド偉武(Dr)の正式メンバー加入後、初となるリリース作品だ。

◆[Alexandros] 画像

刻々と変わりゆく状況の中、“今の4人で出せる音の究極形、名刺代わり”とも言えるレベルまで研ぎ澄まされた本楽曲から、インタビューでは[Alexandros]の現在に迫った。

  ◆  ◆  ◆

■新しい、今だからこその初期衝動

──庄村さんがライブ活動を休止している間、サポートメンバーとしてドラムを叩いていたのがリアドさんだったんですよね。

川上洋平:ライブも決まっていて、時間に余裕がなかったので、“こういうドラマーがいい”とかでもなく、曲を覚えられて、叩けて、2時間のライブを2DAYSこなすことができる人であればいいという感じでした。

磯部寛之:ギリギリだったからね。

川上:そう。リアドは同じ事務所なので、「叩ける?」と聞いてみたら「うん、大丈夫だよ」って。なので、お願いしました。

リアド偉武:自分としても「自分でいいなら、できることはやります」という感じでした。

▲リアド偉武

──リアドさんはめちゃくちゃ練習してライブに臨んだ感じだったんですかね。

リアド:いや、正直に言えば、練習する間もなかったです。最初にサポートに入ったのが2年前(2019年)の4月なんですけど、確かライブが4月29日(<FM802 30PARTY SPECIAL LIVE 紀陽銀行 presents REQUESTAGE 2019>)で、電話が鳴ったのが直前だった気がします。だから練習するというよりも、まずはちゃんと曲を覚えようという感じでした。

──[Alexandros]の曲はリズムが独特な印象がありますが、実際叩いてみてどうでしたか?

リアド:面白かったですね。すごく新鮮でした。“難しいだろうなあ”と思っていたんですけど、やってみたら意外とできたというか。このバンドは、ドラムがリズムを作ってみんながそれに合わせるという感じではなく、みんなでひとつのリズムを作っていく感じなんですよ。みんなも踊っているので、自分も一緒に踊る気持ちでドラムを叩くというか。洋平の身体の動きやヒロくん(磯部)の足の動き、まーくん(白井眞輝)のギターの流れに集中して、自分もそこに溶け込むようにやったらいいのかなと徐々に感覚を掴んでいきました。だから“自分が全てを作るんだ”という気負いよりも、“みんなとどう合わせよう”というシンプルなところに集中するほうが大事。もう2年ぐらい叩かせてもらっているので、もちろん新しい発見もありますけど、根本はそういうところなのかなと思います。

磯部:最初はサトヤス(庄村聡泰)の代わりということで頼んだんですけど、サトヤスがあんなふうなので、いい意味で同じようにはならないというか。

川上:リアドも別に“自分らしさを出そう”という感じではなかったと思うけど、むしろだからこそ、出ていたものがあったのかもしれないですね。

磯部:うちらにとってはそれがすごく新鮮だったし、“違いを楽しむ”じゃないですけど、最初の時期はそういう気概でやっていました。

川上:最初は単にサポートとしてこなしてくれていた感じだったんですけど、ツアーが終わったと思いきや、すぐにアジアツアーが始まって、今度はフェスがあって、レコーディングがあって……。休むことなく、振り返ることなく、リアドがうちらの曲をどんどん叩くようになっていったんです。その中で自然と“あ、いいな”と思ったりもしたし、リアドもそう思ってくれたのかなと思うし。自然な流れでこうなりました。

▲「閃光」通常盤

──「閃光」はいつ頃に作った曲でしょうか?

川上:まず、イントロのリフは3~4年ぐらい前にまーくんが作っていたもので。それを僕がいいなあと思っていたんですけど、その時は曲にせず、とりあえずストックとして取っておきました。で、今回主題歌(映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』)のお話をいただいてから、“このリフで1曲作れそうだな”と引っ張り出して、そこからメロディが出てきた感じですね。曲自体ができはじめたのは、2019年の暮れか2020年の始めぐらいだったと思います。そのあと2020年の2~3月ぐらいにメンバーだけでスタジオに入って、軽くプリプロ的なものを録って、“よし、じゃあ来月はレコーディングだな”と思っていたら、ステイホームになっちゃって。だからそこで一旦止まっちゃいました。

──スケジュールの変動もあって、最終的にこの時期に落ち着いたのかと思いますが、ベスト盤のあとにこの曲が出るのは、腑に落ちるなあと思いました。

川上:ああ、俺もそう思いましたね。

──衝動が乗っている曲だけど、若さや青さとはまた違う、新しい地平に立ったうえでの衝動というか。

川上:そうですね。原点回帰じゃなくて、新しい、今だからこその初期衝動という感じがします。ステイホームの時、なぜこの曲をリモートやオンラインでやらなかったのかというと、俺が出して、それに対してみんながリアクションして……というふうに共鳴しながら構築していく曲だと分かっていたからなんですよ。バンドで膝を突き合わせて、顔を見ながら、表情を見ながら、息遣いを感じながら作っていく曲だなと思ったし、だからこそクリックやエレクトロな音は全く要らないとも思った。ベストアルバムのあとに出す曲としても素晴らしいスタートだと思います。

白井:狙ってこの時期のリリースになったわけではないし、コロナの影響で『ガンダム』の公開日が遅れたりしてこの時期になったんですけど、結果、いいタイミングに出せたなと思います。すごくフィジカルな曲、マッチョな曲だと思うんですよ。今の4人で出せる音の究極形のような、この4人の名刺代わりのような。本当にいい曲ができたなと思いますし、今出せたのはすごくタイミングが合ったなという感じはします。

▲白井眞輝

磯部:衝動という意味で言うと、ライブに対する衝動も結構あるというか。あんなにライブができなかった年って初めてだったじゃないですか。そんな中で、スタジオにも入れなくなって、制作も一旦中断して……という時期を経て、久しぶりにメンバーとドカーンと音を鳴らしながら作ったのがこの曲で。あれはやっぱり衝動の解放だったし、それが乗っている曲だと思うんですよね。ライブというものが愛おしく思える曲だなと思います。間奏にシンガロングみたいなパートもあるんですけど、こんなご時世だからこそ感じるものがあるんですよ。あのエネルギーをまた感じたいな、あれは気持ちいいよな、って。

──昨年6月の配信ライブ(<Party in ur Bedroom>)にも、ライブバンドとして、そこは諦めたくないというメッセージが込められていましたね。

磯部:やっぱりライブでオーディエンスが大声で歌っている景色を諦めたくないんですよね。今はできないけど本当はそうしたいという渇望感は、バンドとしても、もちろん個人的にも強くあって。この曲は幕張(3月20日〜21日に行われたワンマンライブ<[Alexandros] 10th ANNIVERSARY LIVE at 国立代々木競技場 第一体育館 “Where’s My Yoyogi?”>)でも披露したんですけど、やっぱりライブでどんどんやっていきたいですね。今年はこれからツアーも決まっていて、やれたらいいなって本当に思ってますけど、そこでもこの曲をどんどんやっていきたい。ステージに上がって照明を浴びながら演奏するということに対する渇望感が今すごくあります。

──ドラムに関しては、クライマックスに向かってどんどん熱量上げつつも、細かくいろいろなことをやっている印象がありました。

リアド:作っている時に洋平から「普通な感じにはしたくない」「逸脱してほしい」と言われて。レコーディング当時は自分が立場上サポートだったこともあって、収めにいくというか、“こうしたらまとまるよね”というところに着地させるマインドだったと思うんですよ。100点を狙いにいくというか。だけど、そうじゃないよねという意味で、きっとそう言ってくれたんじゃないかと。

川上:リアドの中の100点があるとしたら、0点か150点を目指してほしいなというのが僕の中にあって。0点というか、落第するぐらいの感じでおかしくなってほしいなと思ってました。サポートであろうが何だろうが、曲を一緒に作っている時点で彼のクリエイティビティが大事になってくるというか。というか、僕はその時点でもう仲間だと思っていたし、サポートというよりも[Alexandros]のドラムとして作ってほしかったんですよね。リアドが持っているものも持っていないものも全部そこに出してほしい、そのうえで今までの[Alexandros]ではないものを探そう、という意味でそう言ったんだと思います。

──曲自体がそういうテンションを求めている感じがありますしね。

川上:この曲って、Aメロ→Bメロ→サビという何となくのフォーマットにはまった構成だけど、そうじゃない瞬間があるとしたら、そこでは思いきり遊んでほしいなと思ったんですよね。特に最後のサビ前の部分では加速がピークに差し掛かっているので、人間の感情のピークもそこに出るべきだと思うし、音という形のないもので表現するんだから、“こういう感じのもので”とかじゃなくて、とにかく何か揺さぶられるものを出すべきであって。そのためにはケンカしてもいいと思っていうし、メンバーを引っ張り回してでも、そういうものを引き出さなきゃと思う。それがミュージシャンの在るべき姿だし、アートの素晴らしさ、一番の醍醐味だと思うんですよね。

◆インタビュー(2)へ
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