【インタビュー】ASH DA HERO、2021年新曲連続配信やZepp Tokyo決定など無敵の爆進と理由「ネガティヴを受け入れるってこと」

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ASH DA HEROが2021年1月から新曲の連続配信リリースを実施中、現在まですでに7タイトルが発表されているという破竹の勢い。加えて先ごろ、自身初にして過去最大キャパとなるZepp Tokyo公演<ASH DA HERO LIVE 2021 “THE SHOW MUST GO ON”>を9月4日(土)に開催することも明らかとなった。コロナ禍がASHのアーティスト活動に制限を課していることは間違いないが、そのアクティヴなスタイルが我々の憂鬱や鬱憤を木っ端微塵に吹き飛ばしてくれるほど痛快だ。

◆ASH DA HERO 画像

前述した新曲連続リリースは全てミュージックビデオ付き。その多作ぶりは十分驚きに値するが、注目すべきは楽曲個々のクオリティの高さにもある。ASH DA HEROといえば、バンドサウンドを主軸としたロックスタイルが象徴的だが、リリースされた新曲にはHIP HOP、PUNKなどエクストリームにして、自身の原点に流れるサウンドを解放。ASH曰く、コロナ禍でどん底まで精神状態が落ち込んだからこそ、新たな扉を開くことができたようだ。BARKSインタビューでは、2020年のASHを振り返り、止まるところを知らない新曲リリースラッシュの理由、そしてZepp Tokyoワンマン公演の予感について、じっくりと話を訊いた。

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■自由度も純度も高くなっています
■歌詞も実は恐ろしいでしょ

──コロナ禍のため、表立った活動はなかなかできない状況ですけど、今年に入って曲を立て続けに発表するなど、音楽制作には活発ですよね。

ASH:バイオリズムの上がったり下がったりをずっと繰り返していますね。上がっている状態のときはすごく活発になって、逆に下がっているときはクリエイティビティが膨らむ感じ。コロナ禍になってから、そのバイオリズムのサイクルが早くなったんですよ。新陳代謝が上がっているような感覚もあって、それが創作意欲に直結しているようなところもありますね。アーティスト活動をしている中で、今が最もクリエイティビティが高い状態にいるような気がしているんです。

──ライブ活動ができない時期は、音楽以外のことを考えることも多かったですか?

ASH:去年1年はすごく落ち込みました。完璧に組み込んだスケジュールが全て真っ白になったんでね。もともと2020年頭にアジア遠征して、帰国してから国内ツアーを廻り、赤坂ブリッツでツアーファイナルを迎えて。これに続いてアジアツアーの真打編を実施した後は、再び帰国後に東名阪ツアーを廻って、東京公演では一発デカいライブをやろうってところまで決まっていたんですよ。そのスケジュールが全部なくなったんで、何を目標にすればいいんだろう?ってネガティヴになる時もありましたね。

▲ASH DA HERO

──ネガティヴな思考がプラスに向かうには、なにかきっかけあったと思うんですよ。

ASH:これを読んでいる方にお薦めするわけではないけど、ある種の希望を持っていただけたらと思うのが、ネガティヴな状況を全部受け入れるってことなんです。ネガティヴな状況を自分で拒絶していたから、余計にそうなっていたんですよね。“あっ、俺は弱いんだ”とか、“俺は逃げているな”とか、そういうことを全部受け入れられるようになったら、ネガティヴゾーンの底を突き破って、逆に開き直れた。ポジティヴになっていったというのがすごくあって。

──マイナス思考のどん底を0地点と考えるようにしたら、プラスしか残っていない。

ASH:そうなんです。極論まで辿り着いたとき、「今夜であなたの人生が終わるかもしれません。さあ、オマエは残りの8時間をどうする?」と自分に問いかけてみたんです。そこで“何をやるか?”となったとき、女を抱くとか、散財するとか、めちゃめちゃいい景色を観るとか、いろいろ考えたんですよ。でも、“いや、俺はやっぱ曲を作りたい。そして歌を歌いたいな”となって。“じゃあ、急いで作らなきゃダメじゃん”と。あと、断捨離じゃないんですけど、本当に必要なものだけを自分の傍らに置いておこうとしたとき、“俺はずっと何が好きだったっけ?”と考えたんです。“そうだ、俺はずっと音楽ばっかりやってきたな”って。でも音楽を生業にしてきたから、求められるものに対して、きっとこうでなくちゃいけないとか、どこかある種の型にどんどん自分がハマっていっていたことにも気づいたんです。

──商売的なね。本当に好きなら純粋であるべきなのに。

ASH:そう。もっと純粋で、楽しかったはずの音楽が、少し苦しくなっていたことにも気づいて。“もともと俺はなぜ音楽を始めたんだっけ? なぜ好きになったんだっけ?”って、全部をシンプルに考えていったんですよ。例えば、“初期のCDジャケットって誰が描いていたんだっけ?。あっ、俺がスケッチブックにボールペンで描いてたな。最近はそういうことやってなかったな”と。“じゃあ曲は? オマエはどんなこと歌いたいんだっけ? 歌いたいこといっぱいあるだろ? こういう状況すら音楽や芸術に変えられる才能あるだろ? それでオマエはやってきたんじゃないの?”って。素の自分が、ASH DA HEROにめっちゃくちゃ言われた気がして、“あっ、そうだったよな”と。そこから巻き返せた感じでした。半年ぐらい掛かったんじゃないですか。僕は誕生日が9月なんですけど、誕生日を境に急に思考が好転した感じでした。

──年齢をひとつ重ねると、そのことだけで考えることもありますからね。歳を食っても、自分はネガティビティに走るだけなのかとか、いろいろと。

ASH:うん。ちょっと前の自分だったら、こうやって話せてないでしょうね。そこまでを受け入れる許容量も自分にはなかったんで。でも今は、平気で話せるぐらい抜けきっているというか。むしろ誰にだって、そういう弱気の虫が出てきてしまったり、自分の弱さと向き合わなきゃいけないときが、生きてればあると思っていて。僕はそこの部分すら音楽や歌に変えて、みんなの心を震わせるようなビートやサウンドにしようってモードになったんです。アーティストとしては大事な期間だったし、そういう時期を過ごしたからひとつ突き抜けた感じが自分でもしてますね。

▲ASH DA HERO

──2021年1月以降、配信をしてきた「Get Away」から「DAIDARA」(5月19日リリース)までの8曲を聴かせていただいたんですが、バンドサウンドだけに捉われず、そしてロックであることだけに縛られず、自由奔放に音楽をやっている感じがしました。

ASH:そうです、ロックだけしているんじゃなくて、音楽してる感じ。自分の好きだったものに素直になったというか。求められるものに応えるのはプロとして絶対必要なんだけど、示すべきアティテュードや表現したいことを形にすることは、アーティストにとっての呼吸だと思う。それに対して素直にやれているというか。例えば流行りとか廃りとか、僕はもう気にしていなくて。そういうせせこましい話は、小さいなと思うようになってきちゃって。

──流行りというのは、時代にマッチしたものがブームになるということでね。マッチしていないものがダメなのかと言われると、そうではないですから。

ASH:そういうことを気にするのは専門職の人というか、そこすらも気にしていないんです。音楽って、パッと聴いたときに、カッコいいか? そうでないか?じゃないですか。そこに理屈もへったくれもない。僕が初めてメロディックパンクを聴いたとき、メロディックパンクのルーツがどうこう思いながら聴いたわけじゃなくて、オフスプリングとかグリーン・デイを聴いて「カッケー!」みたいな、ただそれだけ。音楽ってそういうものだなって、僕はまた気づかされたところに戻ってきているんで。純粋に自分が聴いて、超アガルもの。あと自分が表現したいものをクロスオーバーさせて、今、曲を作ってる感じですね。リアルタイムの心情だったり、世の中に対する社会風刺ってのは全曲に入れてます。そこはやっぱ昔から変わらないですね。ポップソングに見えるかもしれないけど、歌詞をよくかみ砕いてみてほしい。実は恐ろしい歌でしょ。トキシック(※有毒/中毒性)なリリックになっているし、そこで自分の伝えたいことも表現してます。だから自由度も高くなったし、純度も高くなっていますよ、とても。

──谷底を傷ついたままふらついていたASHが、今は山を乗り越えて、意気揚々と歩いている感覚?

ASH:今、めちゃめちゃ楽しい状態です。どんどんいい曲ができてくるんじゃないかなって感じがしてます。今も現在進行形で曲を書いているんですよ。

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