【フェスレポート】MINMI、Hilcrhyme、田中聖、広瀬香美など12組出演<DIAMOND FES 2021>、「コロナになんか負けてたまるか」

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ゴールデンウィーク真っ最中の5月2日、神奈川・KT Zepp Yokohamaにて<DIAMOND FES in Zepp Yokohama 2021>が開催された。本フェスは日本最大の食フェスと音楽フェスが融合したイベント<超!喰らいマックス2021>とコラボして東京・日比谷公園にれの木広場特設ステージでの開催を予定していたが、緊急事態宣言発出により、急遽会場をKT Zepp Yokohamaに変更。新型コロナウイルス対策を徹底しての有観客および配信ライブとして実現した。

◆<DIAMOND FES 2021> 画像

当日はMINMI、DOZAN11、HISATOMI、Hilcrhyme、島谷ひとみ、chay、田中聖、広瀬香美(配信ゲスト)に加え、ゲストパフォーマーとして電撃ネットワークも参戦。期待のNEXT ARTISTほか、オープニングアクトも登場するなど、バラエティ豊かな出演者たちによるステージは配信ライブを含めると全12組約6時間半におよんだ。コロナ禍が続く中、それぞれのアーティストたちのライブパフォーマンスやメッセージは、叫べなくても歌えなくても会場にいたオーディエンスや視聴者の身体を揺らせ、時には癒し、笑顔にさせてくれるものであった。


▲SIGMA [NEXT ARTIST]


▲アマアシ [NEXT ARTIST]


▲サンサーラブコールズ [NEXT ARTIST]


▲THE SAVEGE [オープニングアクト]


▲Chaos Underground Zealot [オープニングアクト]

NEXT ARTISTとして14時をまわった頃に登場したのは、日韓ボーイズグループSIGMA(当日はSHUNとR.Y.Uが参加)、スリーピースバンドのアマアシ、オルタナティブなロックバンドのサンサーラブコールズといった3組だ。続いてはオープニングアクトとして、2020年9月に結成されたダンスボーカルグループのTHE SAVEGEが華やかなステージで楽しませ、Chu-ZことChaos Underground Zealotがアイドルの枠を超えたラップもバリバリのエネルギッシュなステージを展開した。NEXT ARTISTはそれぞれ5分間、オープニングアクトはそれぞれ15分間という短い時間ながら大きなインパクトを残して本編へとつなげた。

転換時のMCを務めたのは『M-1グランプリ2020』ファイナリストの錦鯉。過去の苦労話や貧乏ネタを織り混ぜながら会場を盛り上げる。


▲錦鯉


▲島谷ひとみ

そして15時をまわり、レースがあしらわれた真っ白な衣装でステージに登場したのは2020年にデビュー20周年を迎えた島谷ひとみだ。本フェスのために“ダイアモンドから 夢を放つペルセウス”という歌詞が盛り込まれた「Perseus-ペルセウス-」で幕を開けたライブは、「パピヨン~papillon~「YUME 日和」など初期ヒット曲も満載のスペシャルなセットリストだ。伸びやかな歌声を響かせ、カメラに向かって「配信で見てるみんな、元気?」と語りかけたり、キャリアを積んだライブ力で巻き込んでいく。

島谷のダンスも楽しめる「ANGELUS-アンジェラス-」ではハンドクラップの中、歌い終わると「ああ、気持ちよかった!」と笑顔。9月からツアーが始まることも告知し、ラストは大ヒット曲「亜麻色の髪の乙女」。空気をクリーンにするようなキラキラしたステージを締めくくった。


▲chay

続いてはアコースティックギターをかまえたchayのライブ。2020年に初のベストアルバム『Heart Box』をリリースした彼女はキーボーディストとの2人編成で、風や緑の匂いが感じられるようなオーガニックなライブを届けた。オープニングは「Twinkle Days」だ。そして歌い続けていく意志を刻んだ「ずっときっと叶う」ではイントロで口笛を吹き、吸い込まれるようにその歌声に癒されていく。

「有観客ライブは1年以上ぶり」だと語り、「次はきっとみなさん、どこかで聴いたことがある曲じゃないかと思うので、心の中で歌ってくれますか?」とドラマ『デート~恋とはどんなものかしら~』主題歌として大ヒットを記録した「あなたに恋をしてみました」を披露。ラストナンバーは日常にある幸せを歌った「それでしあわせ」だ。シンプルなメッセージが今だからこそ、なおさら沁みてきた。


▲電撃ネットワーク

癒しの空気をガラッと変え、度肝を抜いたのはゲストパフォーマーの電撃ネットワークだ。結成31年目に突入した彼らの過激なステージは海外でも大人気であり、今なお健在だ。生きたサソリを口の中に入れたり、ドライアイスを口に入れて鼻から煙を出したり、リーダーの南部虎弾が醤油のデカいボトルをオデコの上に乗せて笑わせたり、仰天ネタの連続。

後半ではDOZAN 11もステージに呼び込まれ、人間打楽器パフォーマンスで「Lifetime Respect 」を一緒にやることになったりと、嵐のようなアクトで盛り上げた。


▲田中聖

そして、エナジーほとばしるアクトで会場の空気を熱くさせたのは田中聖。ひとりステージに登場して高速ラップで惹きつけ、「ルールを決めよう! クラップは頭の上」と場内を煽ってヒップホップとロックの境界線を超えるハイブリッドなナンバーを立て続けに投下した。「Oh yeah -Chapter 3-」ではダンサー2人とセクシーなパフォーマンスを繰り広げる華やかなシーンも。

「ライブハウスから来ました。田中聖です」と自己紹介し、「いろんなことが難しくなってる時代だと思うけど、エンタメは不要不急なものじゃないし、こんな時代だからこそ必要なものだと信じてやっています」と宣言。そのMCの通り、スキルを磨いたラップと熱量マックスのライブで圧倒した。ラストに「今日、歌うから意味がある」と告げた「ピンクスパイダー」(※この日はhideの命日だった)のカバーを持ってきたことにも、田中聖の心意気が感じられた。


▲DOZAN11 × HISATOMI

エッジの効いたパフォーマンスの後はDOZAN11(ex.三木道三)とHISATOMIによるスペシャルコラボ。レゲエのハッピーなバイブスで会場を笑顔にした。先輩後輩関係にある2人の仲の良さが伝わる息の合ったパフォーマンスで楽しませ、今年春にHISATOMIがリリースしたコラボシングル「楽園 feat. DOZAN11」も披露。さらにDOZAN11の「I say –my goodness–」をHISATOMIがオマージュした「I say –Remember–」が立て続けに歌われるあたりは、コラボならではのセットリストだ。

中盤では日本のレゲエアーティストとして初のオリコン1位を獲得した三木道三時代の「Lifetime Respect」のカップリング収録曲「明日の風」が、「当初はこの曲がA面になる予定だった」という知る人ぞ知るエピソードとともに盛り込まれた。後半は新しい未来に向かっていこうとの想いを込めて書いたDOZAN11のナンバー「新しい未来」が観客や視聴者にエールを送り、ラストはリスナーそれぞれの思い出が蘇るほど大ヒットした曲「Lifetime Respect」を2人のコラボで。歌詞も“尊敬しあえるHISATOMIと成長したいねん”など、この日の全出演者の名前をアドリブで入れて盛り上げた。


▲Hilcrhyme

メッセージがダイレクトに伝わってくるステージで魅了したのは、今年結成15周年を迎えたHilcrhymeだ。2018年からはTOCのソロプロジェクトとして精力的な活動を展開しているが、本フェスでは懐かしい曲もふんだんに取り入れた構成で魅せた。オープニングの4つ打ちのナンバー「トラヴェルマシン」では“コロナ禍でも君の期待に応える”とアドリブを混じえてアグレッシヴなパフォーマンス。リリックをグルーヴ感たっぷりに伝えてヒット曲「ルーズリーフ」へと繋げるMC運びも見事である。

「去年に引き続き、なかなか厳しいゴールデンウィークです。でも、大事なのは恋をすることだと思っています。みなさん、恋してますか?」と問いかけ、挙手したカップルに「その恋、失わないようにね」と女性目線の「Lost love song [II]」(※「Lost love song [III]」を5月5日発売)、ドラマ『わたし旦那をシェアしてた』主題歌「事実愛 feat. 仲宗根泉(HY)」といったラブソングを立て続けに披露。本フェスが今年に入って初のライブだと伝え、「来年こそは四季を楽しめる年になればいいなと思っています」と大ヒット曲「春夏秋冬」を届けた。ラストはアカペラで始まった「大丈夫」だ。“魔法の言葉を君に贈ろう”と歌うこの曲で、遠く離れた場所から配信で参加している人たちにもエールを送った。


▲MINMI

そしてKT Zepp Yokohamaのステージのトリを飾ったのはレゲエ/ヒップホップ界に旋風を巻き起こしたMINMI。全身ピンクゴールドの衣装に身を包んで登場し、ダンサーたちと華やかなステージを繰り広げた。自由奔放な「#ヤッチャイタイ」ではじけ、「この大変な時期を“なにか新しいこと始めよっか”みたいな気持ちで一緒にポジティブな時間を過ごしたいと思います」と話し、「コロナになんか負けてたまるか!」と想いを届ける。開放的なチューン「Lotta Love」ではアドリブで“コロナ開けにビーチに行こうよ”と歌い、夏の太陽が降り注ぐような景色からセクシーなナンバーへ。

後半は拠点をL.Aに移しているMINMIが、ロックダウンの体験を経て、葛藤もありつつ人々の仕事や楽しむことも大事にしたいと思ったという今の心境を語りかける場面もあり、孤独な心に光を照らすバラード「向日葵」を熱唱。大ヒット曲「シャナナ☆ 」で締めくくり、大好きな先輩だという広瀬香美の曲のサビをアカペラで歌って、オンライン限定ライブとなる広瀬香美にバトンを繋いだ。


▲広瀬香美

ピアノのある真っ白な部屋の中から広瀬香美が届けた配信ライブもスペシャルだった。来年デビュー30周年を迎える広瀬がオープニングに選んだのがデビューシングル「愛があれば大丈夫」だ。ダイナミックなピアノプレイと歌唱力はさすが。MINMIがMCで言っていたようにポジティヴなバイブスに溢れまくっている。会場に行けなかったことを謝り、「残念ですけど、私はここにて燃えるような熱量を音楽に込めてお届けしようと思います」と懐かしいナンバー「DEAR...again」からアダルトなアプローチで生まれ変わった「promise」を披露した。

昔からいち早くTwitter発信するなどチャレンジ精神旺盛な彼女だが、コロナ禍ではYouTuberとしても人気爆発。そこから派生したニューアルバム『歌ってみた 歌われてみた』もおなじみだが、この日も米津玄師の「Lemon」やOfficial髭男dismの「pretender」などを“歌ってみたメドレー”で弾き語りしてみせた。「こういう時期だからこそ大好きな音楽をたくさん聴いたり、歌ったり、踊ったり、音楽を活用してこの時代を共に生き抜きましょう」とメッセージして、最後の曲は“冬の女王”として君臨する引き金になった大ヒット曲「ロマンスの神様」へ。突き抜けたアクトで部屋の中から楽しむことの大切さを全身で表現した。

ジャンルのボーダーラインを超えて音楽という共通項で多くの人たちが幸せな時間を共有した<DIAMOND FES in Zepp Yokohama 2021>。このような機会が今後、徐々に増えていくことを心から祈りたい。

取材・文◎山本弘子
撮影◎青木早霞

■<DIAMOND FES in HIBIYAKOEN2021>5月2日(日)@神奈川・KT Zepp Yokohama セットリスト

▼NEXT ARTIST
【SIGMA】
01. HIGHER(JPver.)
【アマアシ】
01. 連鎖
02. lost summer
【サンサーラブコールズ】
01. Who I Am
02. 第三惑星

▼オープニングアクト
【THE SAVAGE】
01. SunLight Yellow
02. GreenShade
03. Cobalt Half Moon
04. Gray Wall Distance
【Chaos Underground Zealot】
01. ブンブンタオル
02. HIGHER
03. サマーゲイサー

▼本編
【島谷ひとみ】
01. Perseus-ペ ルセウス -
02. パピヨン ~papillon~
03. YUME日和
04. NGELUS-アンジェラス -
05. 亜麻色の髪の乙女
【chay】
01. Twinkle Days
02. 運命のアイラブユー
03. ずっときっと叶う
04. Together
05. あなたに恋をしてみました
06. それでしあわせ
〜電撃ネットワーク (ゲストパフォーマー)〜
【田中聖】
01. 王のFlow
02. 2U
03. Bad Girl
04. ヒトリースタイルダンジョン
05. Oh yeah -Chapter 3-
06. Kill da Survivor
07. Round and Round
08. HIPHOP DREAM
09. ピンクスパイダー
【DOZAN11 × HISATOMI】
01. Rising Sun
02. 楽園
03. THINK ABOUT U
04. I say – my goodness ~
05. I say – Remember ~
06. 明日の風
07. My Dream
08. 新しい未来
09. Lifetime Respect
【Hilcrhyme】
01. トラヴェルマシン
02. LAZY HOLIDAY
03. パーソナルCOLOR
04. ルーズリーフ
05. Lost love song [II]
06. 事実愛 feat. 仲宗根泉 (HY)
07. 春夏秋冬
08. 大丈夫
【MINMI】
01. Rock City
02. #ヤッチャイタイ
03. Lotta Love
04. BAD→ハイビスカス
05. Passionately in Love
06. 四季ノ唄
07. イマガイイ
08. 向日葵
09. シャナナ☆
【広瀬香美 〜配信のみ〜】
01. 愛があれば大丈夫
02. DEAR...again
03. promise
04. 歌ってみたメドレー
  (Lemon / pretender / WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント)
05. ロマンスの神様

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