【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】仮BAND BOHの愛機ATELIER Z 「BOH'S CUSTOM 6」をチェック

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ミュージシャンに愛用の楽器を徹底的に自慢・紹介してもらうこの企画。登場してもらうのは、幅広い音楽性と超絶テクニックで知られる仮BANDの面々。まずはベースを担当するBOHに、愛用のベース「ATELIER Z BOH'S CUSTOM 6」について解説してもらった。仮BANDのドラムの前田遊野とギターの岡聡志も途中から参加、共演者から見たBOHのベースに対する率直な印象も語ってもらった。

――BOHさんがメインで使用しているベースはオリジナルモデルですね。どんなベースですか?。

BOH:ATELIER ZのBOH'S CUSTOM 6。6弦ベースです。僕のオリジナルのベースというところが最大の特徴。最高の6弦ベースです。

――このベースと出会うことになったきっかけは?

BOH:僕も最初は4弦ベースだったんですが、音楽学校在学中に6弦ベースに転向したんです。もう20年くらい前ですけど、その頃は市販の6弦ベースだと、ちゃんと仕事で使えるようなクオリティのものがあまりなくて、色々な楽器メーカーを探しました。その中でATELIER Zに出会って、19歳のときに初めてオーダーしたんです。その最初の状態から、基本的なスペックとか形はもうずっと同じです。だから20年以上は同じベースを弾き続けていますね。

――色々なタイプの楽器を使う人もいますが、BOHさんはずっと同じモデルを使い続けてきたんですね。

BOH:そうなんです。ネックの握りを削ったりといった微調整はありますし、色が違うのもありましたけど、基本はずっと同じ。今は何本か持っていますけどみんな同じです。


――4弦から6弦に転向したきっかけは?

BOH:音楽学校時代、コードの知識とか理論を身につけるために、なにかコードが弾ける楽器をやらないと授業に追いつけないと思うことがあったんです。でも僕はピアノが弾けなかったし、ギターもそんなにうまくなかった。そこで当時のアンサンブルの先生に薦められたのが6弦ベース。今から挑戦したら6弦ベースの第一人者になれるんじゃないかってアドバイスをもらって、6弦ベースを弾くことにしたんです。

――6弦に変えてみてどうでした?

BOH:いや、めちゃくちゃ違和感ありましたよ(笑)。まともに弾けるようになるのに1年くらいかかりました。普通の4弦ベースの上と下に弦が増えるだけで、全然違う楽器になるんです。とくに難しかったのが、余計な音を出さないようにすること。弾いていない音を鳴らないように止めておく(ミュート)のって、6弦だとすごく難しい。それが自然にできるようになるまでは大変でしたね。

――ではBOH'S CUSTOM 6の仕様を教えてください。

BOH:材質はボディがアルダーで、トップにキルテッドメイプルを貼っています。ネックと指板はメイプル。ピックアップはEMGでフロントがP6、リアが45DC。プリアンプはEMGではなくアギュラーというメーカーのOBP-3。18Vで駆動するので9Vの電池を2個使っています。指板はハイポジションのところだけハーフスキャロップで、細いほうの1~3弦のところだけえぐってあります。このあたりは弦の張力が強いので、これがあるとベンドのしやすさがまるで違うんです。ビブラートやタッピングもギターより力が必要なので、こうなっているとしっかり噛んでくれるんです。あと、いきなりステージが暗くなっても大丈夫なように、ポジションマークは強力な蓄光のものを使っているとか、細かいところも結構考えてありますね。



――どんな理由からそういう仕様になったんですか?

BOH:まず材質は、当時僕は知識がなかったので、リペアマンと相談しながら決めました。ピックアップは、もともと僕が使っていた4弦ベースと同じサウンド感にしたかったので、フロントがプレベのシングル、リアがハムバッキングという組み合わせにしました。EMGにしたのは、当時はその組み合わせで6弦ベース用を探すとほかになかったから。ただ使ってみると、EMGはどんな現場に行っても安定して音が出せるし、ノイズがまったくない。だから今でもEMGを使い続けています。


――でき上がった最初の1本を手にしたときの印象は?

BOH:6弦ベースって、ジャズベとかプレベみたいなノーマルな形のものは今でも意外と少ないんですよね。僕は形が奇抜なものよりノーマルな、トラディショナルなものが欲しかったので、それを当時作っていたATELIER Zにしたんです。だから、最初に持ったときからすんなりと身体になじみましたね。6弦ベースとしては重量バランスもめちゃくちゃよかった。長時間持ってても疲れないし、ヘッドが下がってくるようなこともない。それと、多弦ベースって各弦のバランスが悪いものもあるんです。たとえば5弦ベースで5弦だけ音が大きいとか、6弦なら1弦だけ音が小さいとか。でもATELIER Zはそれも一切ない。当時のATELIER Zの市販モデルはすでに完成度が高かったから、それを基に自分のモデルにしたら絶対よくなるなと思ってたんですが、もう予想通りでした。


――6弦だと弦のテンションもかなり強いと思うんですが、トラスロッドは2本ですか?

BOH:1本です。ATELIER Zで色々やってみたところ、2本入れると重量バランスが悪くなったり、おかしなねじれ方をしたりすることがあるらしいんです。それでしっかり木材を選定してトラスロッドを1本にするというやり方になってます。実際、ほとんどネックが動くことはないですね。


――フレットは?

BOH:フレットはジェスカーというブランドで、ステンレスの割合がちょっとだけ多いものを使ってます。

――ステンレスが多いということは、少し硬いんですか?

BOH:そうです、ちょっと硬い。それで、弦が当たったときのちょっとした金属音みたいなのが普通のフレットより安定して出せるんです。あまり硬すぎると解放弦を弾いたときにジャリジャリ鳴ってしまうので、少しだけ硬め、ですね。ナットとブリッジは、質量を上げてサスティンを延ばしたいので、ブラスを使ってます。

――つまみなどのコントロール類についても教えてください。

BOH:つまみは上からボリューム、ピックアップのバランサー、ミドルのブースト/カット、そしてトレブルとローのブースト/カットが同軸になってます。ミドルについてはスイッチで400Hzと800Hzを切り替えられるようにしてあります。


――これをどんなふうに使うんですか?

BOH:あまり大げさにいじることはないんですけど、たとえばスラップのときにトレブルをちょっと上げたり、バラードでやわらかい感じにしたいときにトレブルをカットしてローを出したり、まあほんのちょっとだけしか動かさないですね。ギタリストと成分がカブるとか、全体のアンサンブルになじみにくいときには、ミッドの周波数の切り替えで対応しています。


――ピックアップの選び方は?

BOH:基本的にはいつもセンターで使ってるんですけど、プレベの音が好きなのでフロントだけで鳴らすこともありますし、リア単体で使うこともあります。ただ、ベースだけの音がどうというより、アンサンブルの中でどう聴こえるかを考えて使い分けてます。色々な音が出せるベースなので、仮BANDからメタルまで、これ1本でカバーできてます。

――シールドケーブルをつなぐジャックはトップについているんですね。

BOH:そうなんです。ベースってたいてい側面にジャックがあるんですけど、座って弾くときに必ず足にケーブルのプラグが当たる。それがすごくイヤなんで、トップにつけてもらいました。あと細かいところでいえば、ストラップピンも普通のではなくて、ジムダンロップの埋め込み式です。着脱が確実だし、普通のピンみたいに折れたり、ネジ穴がゆるんだりとかもない。

――ピックアップフェンスがついているのも珍しい。

BOH:細かいスラップをするときにこう(と言いながら切れ味鋭い高速スラップを実演)、この上に手のひらを乗せて弾くんです。安定するから軽い力でできるのと、これがないと僕の弾き方だとほかの弦に当たって不要な音が鳴っちゃうんです。なくてもいいんですけど、あると頼りになる。PUフェンスはもっと幅があるのが普通ですけど、それだとフロントピックアップの上の一番ベースらしい音のところでピッキングできなくなっちゃうので、細めのものを作ってもらって、指弾きでピッキングできるエリアも確保してます。



岡聡志:それ、当たって痛くないんですか?

BOH:ここは全然痛くないよ、ほら(と再びスラップをプレイ)。ただ、ときどき見ないでやってるときに、このカドのところに当たっちゃうと痛い(笑)。でもここに当たるぶんには鳴らないから大丈夫。痛いけどほかの弦に当たって間違えて鳴っちゃうよりいい(笑)。

――ところで弦はどんなものを?

BOH:エリクサーのコーティング弦を使ってます。サウンドの劣化が緩やかなのがいいですね。普通の弦だと張りたてはギラギラなのに、数曲弾くだけでどんどん劣化していくのがわかる。ライブならまだ補正しながらできるんですけど、レコーディングや、イヤモニを使う現場ではすごく気になります。エリクサーのコーティング弦は、張ったときのギラギラもあまりないし、耐久性もいい。普通の弦の3倍以上は使えますね。ライブ2回くらい張り替えないこともあります。


――弦の間隔はちょっと広め?

BOH:普通の6弦ベースは弦と弦の間が狭いんですけど、これは4弦ベースと同じ間隔にしてあります。狭いとスラップがやりにくいから。ただ全部その間隔だとさすがにネックが太くて弾けないので、ネックのヘッド寄りのほうは絞ってあります。

――エフェクターやアンプはどんなものを?

BOH:アンプはマークベース。エフェクターは、バッファーと、そこからコンプレッサー、ボリュームペダル、あと自分のモデルのディストーション。足元に必ずあるのはそのくらいです。曲によってディレイとかオクターバーとか使うこともありますけど、あまりたくさん使うことはない。ベーシストとしてはエフェクターの個数がかなり少ないほうだと思いますね。

――よく共演されている岡さんや前田さんは、BOHさんのこのベース、どんな印象ですか?

岡聡志:BOHさんの音って特徴的というか、BOHさんの音だってすぐわかるじゃないですか。もちろんセッティングとかもあるんでしょうけど、このベースはもう見るだけで“あの音が出るな”って想像できる。なんか謎の安心感がある(笑)。

BOH:日によって音が違うってことはないよね。


▲前田遊野


▲岡聡志

岡:ないですね。今日は調子悪そう、とか思ったことはない。安定感がすごい。

BOH:安定感は重要ですね。楽器として色々なツアーに持って行ったりすると、音が安定しているとか作りが丈夫とか、すごく大事です。ちょっとぶつけただけですぐ外れちゃうものがあったりするのは信用できないんで。そういう意味でもこれは信頼感がありますね。

前田遊野:この色はどうなの?このチャラい色(笑)。

BOH:いやいや(笑)。最初は普通の黒とかを使ってたんだけど、これを作ってもらうとき、ATELIER Zの社長が勝手にウッキウキなピンクで作ってきちゃって(笑)。もうちょっと色を抑えてくれないかな、ってことでこの赤になったんです。


――BOHさんが指定した色ではなかったんですね。

BOH:色に関してはお任せで。個人的に青い楽器って好きじゃないんで、それ以外であれば、まあヤバい絵とかが描かれてなければいいんで(笑)。

前田:BOHさんが黄色いベース使ってたら絶対ウケるよね(笑)。

岡:工事現場の感じが出ちゃう(笑)。

BOH:いや、次やるとしたら、もう杢目とか関係なく金箔を張ってもらう(笑)。

前田:それ、音に影響が出るんじゃない。

BOH:たぶん出る(笑)。でも黒い楽器って見るにはカッコいいけど、ステージに出たら地味でしょ。白なら照明映えもするからすごくカッコいいけど。

岡:楽器の色って、服装にも影響しますよね。衣装にも気を遣わなきゃいけない。

BOH:そうそう、衣装との兼ね合いも大事だよね。

――今のベースにそれほど満足しているなら、次の1本を作るとしてもやはり同じタイプになりそうですね。

BOH:ピックアップを違うタイプにするとか、プリアンプを変えるとか、やれることはあると思うんですけど、今はこれで満足しているので、次の具体的なアイデアはとくにないですね。あとは自分の腕を磨けってことで(笑)。もっと軽いといいな、とは思いますけど、軽くなると音にも影響するので難しいところですね。

――違うタイプのベースにはホントに興味がないんですね。

BOH:まったくないですね。たまにフライングVモデルとか持ってみたりしますけど、どうにもバランスが悪い。腕の置き場所もないし、どうやって弾くんだろうと(笑)。もう今のモデルに慣れちゃってるので、ほかのタイプはまったく考えてないです。

取材・文●田澤仁


リリース情報

『仮BAND with Friends.-Live at Streaming-』
BZCS-1193/1194 ¥3,000 +税(UHQCD)
2021.03.10 release
DISC1
(Streaming Live@2020.11.08)
1.侍Groove Written by KARI BAND
2.Pleasure (original artist:増崎 孝司) Written by Takashi Masuzaki
3.Some Skunk Funk (original artist:ブレッカー・ブラザーズ) Written by Randy E. Brecke c1975 by Bowery Music Publishing
4.Song of my heart (original artist:DIMENSION) Written by kazuki Katsuta
5.Dancing Baloney Written by KARI BAND
6.Jamrika Written by KARI BAND
DISC2
(Streaming Live@2020.06.20, 8.23, 11.08)
1.U-yeah !!!! Written by KARI BAND & Tatsuya Nishiwaki
2.Chuku Written by KARI BAND
3.Shinjuku (original artist:岡 聡志) Written by Satoshi Oka
4.Hungarian Amburance (original artist:西脇辰弥) Written by Tatsuya Nishiwaki
5.IMPRESSIONS (original artist:DIMENSION) Written by DIMENSION
6.Snowflakes Written by KARI BAND
7.Common times’s logic Written by KARI BAND
8.Hair Style (original artist:ユッコ・ミラー) Written by Yucco Miller
9.Clock Up (original artist:岡 聡志) Written by Satoshi Oka
10.愛の重力 (original artist:中島 愛) Written by Tatsuya Nishiwaki
【Guest Musician】
増崎孝司(Gt)
西脇辰弥(Keyboard, Harmonica)
ユッコ・ミラー(Sax)
岡 聡志(Gt)
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