【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】キーワードは“ヌメヌメ感”仮BAND岡聡志のメイワンズ「レジェンド」

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自身のソロ作や仮BANDでテクニカルなギターを披露しているSAMこと岡聡志。その岡はユニークなルックスを持つメイワンズの「レジェンド」をメインギターとして紹介してくれた。ギターに対する新しいアイデアも数多く持っているというギタークラフト科出身の彼は、この「レジェンド」の“ヌメヌメ感”が好きなのだという。同席した仮BANDのベースのBOHとドラムの前田も共感しているという“ヌメヌメ感”とはいったいどんなものなのか。岡に話を訊いてみた。

――岡さんの現在のメインギターを教えてください。

岡:メイワンズというメーカーの「レジェンド」がメインで使っているギターです。ほかにもメイワンズで「ハイドラ」というヘッドレスのモデル、「アクィラ」というディンキーシェイプのモデルを持っていますが、メインは「レジェンド」です。


――メイワンズって。ポーランドのメーカーですよね。どんなきっかけで使うようになったんですか?

岡:2014年くらいかな。当時バイトしていた楽器店で試奏企画があって、そのときがメイワンズとの出会いですね。それは多弦モデルだったんですが、ものすごく気に入ったんです。それで楽器店に置いてあった「レジェンド」も弾いてみたら、こちらは当時の自分の演奏にピッタリで、せひ使ってみたいと思いました。それで、オーダーという形で作ってもらいました。ほとんど仕様は変えてないんですけど、実際手に入れられたのはそれから1年後くらいですね。

――すごく色々な特徴のあるギターですよね。

岡:もう唯一無二だと思います。まずデザインが大きな特徴で、あまり他では見ないシェイプですよね。テレキャスのようでレスポールのようで、どちらでもない。なんだろコレ、みたいな変わったデザイン。これがものすごく好きですね。もともとはベアナックルのピックアップだったんですけど、代理店さんのおすすめもあって、ホイズルというドイツのメーカーのピックアップに乗せ換えてます。1959 P.A.F系で、それほど出力の高くないタイプのピックアップです。



――もともとの仕様からピックアップ以外に変更したところは?

岡:フレットですね。もともとニッケルのフレットだったんですけど、ステンレスのすごくデカいヤツ、ジャンボよりも背のさらに高いフレットにしています。

――高いフレットにしたのは速いフレーズのため?

岡:そうですね。それと、レガートもしやすくなる。あと、もっと大きいのは音ですね。ステンレスに替えると音が金属質になると言われていますけど、僕としては金属質というよりは、音がヌメッとしてくれると思ってます。アームを使うときも、ヌメッとしたいいネバリが出る。それが好きなところですね。




――サウンド面ではどんな特徴がありますか?

岡:あまり楽器自体があまり鳴らないんです。まずネックがそんなに鳴らない。ネックは、メイプル-マホガニー-メイプル-マホガニー-メイプルの5ピースで、その構造で鳴りを抑制していると聞いています。あえて鳴らないように作られているんですけど、それが揺れのない、濁らないサウンドになるんです。余計な鳴りがなくて、すごくきれいで伸びやかな音だと思います。

前田:ドライな音がいいってこと?

岡:いや、場面や音楽ジャンルによっては、暴れる音とかイナタいサウンドが合うこともあると思います。でも僕が普段やってるソロとか仮BANDでは、あまり音が濁らないほうが合っていると思います。鳴る楽器も好きですけど、僕のやってる音楽では、この鳴らないギターのいいところが出せていると思います。鳴る箇所を限定している、という感じ。ただ同じメイワンズでも、最近の「アクィラ」というモデルはめっちゃ鳴りますけどね。

――メイワンズの前はどんなギターを?

岡:シェクターの「エクシード」というモデルをずっと使っていました。ディンキーシェイプというか、カッタウェイが細くなった小さめのストラトタイプ。ピックアップはSSHという仕様だったんですけど、そのときからホイズルのピックアップを乗せていました。


――気に入ったモデルをずっと使い続けるタイプではないんですね。

岡:そうですね。僕はあまり楽器に100%満足したことがないんです。もちろんいつも気に入って使ってるんですけど、まだ変えられるところはあるんじゃないか、と思ったりします。最近でいえば、トラディショナルなストラップピンの位置ってカッタウェイの先っちょとボディエンドにあるじゃないですか。座っているときの構えは弾きやすくても、立ってストラップで提げると角度が変わっちゃう。それが僕の演奏スタイルにはあまり合っていないような気がしていて、ピンの位置を変えたいなと思っています。あと、指板のインレイとか触り心地とかで、どの音の位置かを判断できるようにならないか?って最近思っているんです。

――点字ポジションマークみたいな?

岡:そうです。たとえばですけど、ネックの裏にちょっとした段差のようなものがあれば、さわっただけで位置を判断できる。それなら急にステージが真っ暗になっても大丈夫ですよね。いや、もっと練習しろって話かもしれませんけど(笑)。ポジションマークのインレイとかも、今の3フレット、5フレットとかじゃなくて、ピアノの白鍵の音に対応するところにあれば、一般的な五線の譜面と対応させやすくなるんじゃないかと。

――色々アイデアが出てきますね。

岡:僕、もともとギタークラフト科出身なので(笑)。だからそういうことを思いついちゃうのかな。もっとこうしたらギターにとっつきやすくなるのにとか、もっとよくなるのにって思っちゃう。そういうのもあって、いつも100%満足ということはあまりない。もちろん使っているギターはいつも基本的なところには満足していますし大好きなんですよ。でもさらによくなる余地があるなと思うんです。

――ではそのアイデアを詰め込んだすごいオリジナルギターが今後できるかも?

岡:好き放題やらせてくれるなら、色々できそうですね(笑)。ただ今の僕はクラフトマンではなくてプレイヤーなので、クラフトマンの方と相談しながら、僕はプレイヤーとしての意見を出すという形になると思います。


――「レジェンド」のもっとも気に入っているポイントは?

岡:アームのかかり方ですね。音程の変化のカーブがすごく好きです。きれいというか、なめらかというか。普通のシンクロタイプにくらべて、ヌメヌメ感がよく出るという。そう、ヌメヌメしたギターの音ってすごく好きなんですよ。ヌメヌメ感、わかります?

――そのヌメヌメした「レジェンド」の音がとくにハマったな、という曲はありますか?

岡:僕の楽曲全般にそう言えると思います。僕の楽曲は、このギターのサウンドのイメージのもとで作られていることが多いので。

――このギターありき、の楽曲ということなんですね。

岡:それが多いですね。「レジェンド」じゃないと出せないリードサウンドがあるから、今の自分の楽曲が構成されていると言えます。仮BANDもそうです。僕の先生に当たる藤岡幹大さんも、僕とはちょっと違いますけどアームを使ってヌメヌメさせてる要素もあるんで、仮BANDにもこのサウンドは映えるというか、仮BANDのギターとしてイメージしやすい音ですね。



――先日メイワンズの「ハイドラ・エリート」も入手されたということですが、今後こちらがメインになっていくんですか?

岡:ヘッドレスは好きですし、ビジュアル的にはヘッドレスのほうが僕のスタイルに合っているとは思います。でも、ヘッドありのギターとはまったく違う音がするので、使える場面が限定されるんです。サウンドもミッドに寄りがちで、歌モノとかではちょっと使いにくいかもしれない。まだまだ僕の中で改良できるポイントがたくさんあるかなと思っているので、今のところはメインギターというよりは、楽曲に応じてハマる場合にだけ使うという感じですね。

――ではBOHさん、岡さんのギターの印象は?

BOH:ヌメヌメしてますね(笑)。それがいいフックになっているんです。僕は、ただうまくても特徴がないギターはあまり面白くないんですよ。なにかクセがあってほしい。だから僕らは毎回SAMを呼んでるんです。彼のクセがほしいから。藤岡先生のプレイに似た部分ももちろんあるし、藤岡先生の持つヌメヌメ感みたいなのもある。それが、仮BANDのアイデンティティの大きな部分をギターとしては占めているのかなと思うし、それを聞きたいというファンの方もいらっしゃると思います。そういうのをしっかりやれるギタリストを探したときに、もうSAMしかいないので。

岡:クセしかないようなギタリストなのに、ありがとうございます(笑)。

取材・文●田澤仁

リリース情報

『仮BAND with Friends.-Live at Streaming-』
BZCS-1193/1194 ¥3,000 +税(UHQCD)
2021.03.10 release
DISC1
(Streaming Live@2020.11.08)
1.侍Groove Written by KARI BAND
2.Pleasure (original artist:増崎 孝司) Written by Takashi Masuzaki
3.Some Skunk Funk (original artist:ブレッカー・ブラザーズ) Written by Randy E. Brecke c1975 by Bowery Music Publishing
4.Song of my heart (original artist:DIMENSION) Written by kazuki Katsuta
5.Dancing Baloney Written by KARI BAND
6.Jamrika Written by KARI BAND
DISC2
(Streaming Live@2020.06.20, 8.23, 11.08)
1.U-yeah !!!! Written by KARI BAND & Tatsuya Nishiwaki
2.Chuku Written by KARI BAND
3.Shinjuku (original artist:岡 聡志) Written by Satoshi Oka
4.Hungarian Amburance (original artist:西脇辰弥) Written by Tatsuya Nishiwaki
5.IMPRESSIONS (original artist:DIMENSION) Written by DIMENSION
6.Snowflakes Written by KARI BAND
7.Common times’s logic Written by KARI BAND
8.Hair Style (original artist:ユッコ・ミラー) Written by Yucco Miller
9.Clock Up (original artist:岡 聡志) Written by Satoshi Oka
10.愛の重力 (original artist:中島 愛) Written by Tatsuya Nishiwaki
【Guest Musician】
増崎孝司(Gt)
西脇辰弥(Keyboard, Harmonica)
ユッコ・ミラー(Sax)
岡 聡志(Gt)
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