【インタビュー】Non Stop Rabbit、ブレない軸に磨きをかけた新作「三大欲求」

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“ノンラビ”ことNon Stop Rabbitのメジャー初シングル「三大欲求」が、明日5月19日にリリースされる。本作についてメンバーが語るオフィシャルインタビューが到着した。

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昨年12月にメジャーデビューを果たしたNon Stop Rabbitが5月19日にニューシングル「三大欲求」をリリースする。メジャー1stシングルとなる今作は、初のアニメ主題歌として書き下ろしたバラード曲「静かな風」をはじめ、ガールズバンドに扮するミュージックビデオが話題となったポップソング「推しが尊いわ」、さらに目標に向かって突き進む強いメッセージを打ち出したロックな新曲「三大欲求」と「是が非でも」という4曲を収録。キャッチーな歌と反骨精神を剥き出しにした歌詞、尖った遊び心、深読みできる楽曲の仕掛け。バンド結成以来、ノンラビの貫いてきたブレない軸に磨きがかかった今作「三大欲求」で、改めてノンラビとは何かを提示する。

──初めてアニメ(『ドラゴン、家を買う。』)のエンディング主題歌に書き下ろしたバラード曲「静かな風」が収録されますね。アニメサイドから何かオーダーはありましたか?

田口達也(G&Cho):最後に包み込む感じで終わってほしいって言われたんです。で、漫画を読んだときに、あきらかに主人公のドラゴンのキャラが優しくて包み込むようなやつだったんですよね。飛べなくて弱い。それが昔の自分らみたいだなと思ったんです。本当はこうしたい、ああしたいっていうのがあるけど、路上で燻ぶってたときがあったので。その状況に似てるなっていうので、この曲は俺らをアニメ化したような感じで作っていったんです。

──「包み込む感じ」というのも、ロックなアプローチで包み込むこともできたと思いますけど、あえて深遠なサウンドで聴かせようと思ったのは?

田口:アニメを見て、わーって笑って、「おもしろかった」って見終わったあとに、こういう曲が流れることで、「あれ? これ、大事なこと言ってるのかも、本当は」って思ってもらえるんじゃないかなって思うんですよ。最終的にこのアニメはそうなっていくと思うんです。あんなに弱っちいし、恨まれてるドラゴンがなんでみんなに愛されるのかを考えさせられる。そこも俺らに似てるんですよね。俺らもずっと「バンドがYouTubeはじめた」っていう偏見で見られてきたので。俺らのいちばん下に沸々とあるものって、おらーっていう感情じゃなくて、たぶんこの曲みたいな、「なんでだろうね……」っていうもやもやした感覚というか。静かなものが流れてる。そういうのを表現したいなと思ったんです。

太我(Dr):この曲ってノンラビ感がまったくないんですよ。ノンラビを知ってる人でも、たまたまアニメを見て、エンディングのクレジットでNon Stop Rabbitって見たときに、「あ、これ、ノンラビ!?」みたいになると思うんです。オーダーがあるからこそ、こういう曲ができるのはおもしろいなと思います。



──矢野くんはボーカル録りに関してはどういったスタンスで臨みましたか?

矢野晴人(Vo&B):漫画を読んで、主人公のレティ(ドラゴン)の気持ちがわかるし、僕も自分たちに重なる部分があるなっていうのは思ったから、そこは意識して歌いました。壮大さに身を任せて、そこに乗っかったというか。いつもはオケに押されながら、うわーっていく感じですけど。これは自分も曲を聴きながら歌えましたね。

──ちなみに「静かな風」というタイトルには、どんな意味があるんですか?

田口:飛べないドラゴンっていうところからですね。ドラゴンって、飛ぶときはバサーッて大きく音を立てて飛ぶものだと思うんですけど、レティは飛べないから、そこに風が巻き起こらないんです。でも、レティの周りには優しい風がある。だから、いろいろな人が寄ってくるんじゃないかと思ったんです。風って言うと、「追い風」とか「向かい風」が思い浮かぶけど、実は無風のときだってあるし、そのなかで一生懸命生きてたりもする。イントロを作った段階から、そういうイメージがあったんです。

──ノンラビのイメージはむしろ「突風」だと思いますけど、そういう表面的な部分だけじゃないものをメジャー1stシングルに入れられたのは意味があるのかもしれないですね。

田口:うん。俺たちって、「後ろから来た風に乗っかれ!」とか、「どんな向かい風が吹いてきても、突き進め!」っていうイメージですよね。それがスンッてなってる。ちゃんと根っこにある静かな部分を見せてるのがこの曲ですね。



──あと、今回のシングルですでに話題になってる曲が「推しが尊いわ」です。「推し」というものをテーマに書こうと思ったのは、どうしてですか?

田口:これも実は反骨精神なんですよね。バンドのファンって、「推し」って呼ぶのを嫌うじゃないですか。で、僕らみたいなのって、YouTubeからきてくれるファンもいるし、バンドのファンもいる。ふたつのタイプのファンがいると、揉めるわけですよ。

──文化が違うところがありますからね。

田口:そう。でも、僕らはひとりでも多くの人に聴いてもらいたい、国民的バンドになりたいって言ってるのは周知の事実なわけで。って考えると、全員が大切なファンなんです。だから、ファンが揉めるのは、極論を言ってしまえば、俺らが意見を言ってやらないから悪いんだと思ったんですよ。バンドに「推し」を使うのはダメだとか、それはアイドルの言葉とか、いや、全員ちょっと待て、と。誰に決められた感性でやりとりしてるんだ?って話じゃないですか。ファンっていう単語を「推し」に変えただけ。そういう新しい文化を作っていかないと、何もならなくね?って思うから。じゃあ、俺らが全部やってやるわっていうことですよね。

──ノンラビのスタンスとしては、「推し」で全然いいよっていうことですよね。

田口:うん。何を好きでもいいと思うので。その言い方なだけですよね。

──曲調としては、かなりアップテンポなポップソングで。ボーカリストとしては歌うのが大変そうな曲だなと思いましたけど、そのあたりはどうでしたか?

矢野:難しかったです。かなり苦戦しましたね。

田口:この曲はハルのせいで作らされた曲でもあるからね。

矢野:あ、そうなんですか?

田口:俺のところにめっちゃくるんだよ。矢野晴人って、アイドルなの? バンドマンなの? どっちなんですか?って。それを見て腹が立って。いや、いいんじゃない? あいつがアイドルファンを獲得してくれれば。でも、僕はバンドマンであることは変わりませんよっていう気持ちもあったんですよ。

矢野:そうなんだ。

──矢野くん自身はどうなんですか? そう言われるのは?

矢野:いや、僕は矢野晴人なんで。

田口:その発言が許されるのはキムタクからやぞ(笑)。

矢野:あははは! その人にとってアイドルだったらそれでいい。その考え方でいいかなって。特にアンチも気にしないですし、なんでも大丈夫です。

──太我くんは、この曲に対しては、どんなふうに向き合いました?

太我:とにかく歌が聴きやすいように、バスドラの跳ねる感じを出してますね。ぴょんぴょんしやすいようにというか。そういうノリは意識してます。



──では、リード曲「三大欲求」についても聞かせてください。この曲もテーマから書きはじめたんですか?

田口:そうですね。「三大欲求」って、俺らと合わせると、不純に聞こえると思うんですよ。

──たしかに。(笑)

田口:けど、実はそこが出発点じゃなくて。きっかけになったのが、僕が上京して役者を目指してたときに、同期だった役者とか後輩と久しぶりに話す機会があって。そのときに、まだ何も結果を残ってないのに、下積みをやめずにがんばってるやつがけっこういたんです。僕らって、ずっとリミットを設けてやってるじゃないですか。ここまでに飯を食えなかったらやめるとか。

──25歳までにZeppでライブをやれなかったら、バンドをやめるとか。

田口:そう。でもそうじゃないところで、まだがんばり続けてる人もいて。それにはそれのよさを感じたんです。その根本にあるのは、僕らと同じ気持ちなんですよね。認められたいとか続けたいっていう。俺らは、音楽をやってるとき、時間なんか忘れるし、腹だって減らない。それは向こうも同じなんです。好きなものがあったら、三大欲求にも敵わない。っていうところで、「三大欲求」っていう言葉が出てきた。だから「食べる、寝る、セックス」からはじまった曲じゃないんです。

──生活以上に優先するものが自分たちを突き動かしているんだ、と。

田口:そういう没頭できるものが誰にでもあるんじゃないかなっていう曲ですね。

──サウンドはダンスロックっぽいアプローチで。

矢野:いままでのノンラビの良さが最大限に出た曲ですね。

──もうひとつの新曲「是が非でも」は、過去にノンラビがテーマにした「自力本願(他力本願ではなく、自分で自分の道を切り拓いていくという意味の造語)」に通じる曲です。

田口:そうですね。「是が非でも」でやりたかったのは、1stシングルで「私面想歌」(2017)っていう曲で、バンドのことを知ってもらえたので、それとまったく同じ構成の曲を作りたかったんです。「私面想歌」は頭サビではじまって、BPMが遅いところから、イントロが入った瞬間に速くなって、ギターリフがきてっていう王道の作り方をしてて。じゃあ、メジャーにきて、もう1回同じようにロックバンドらしい曲をやってみたときに、どうなるのか?っていうことですね。

──作る前にそれをメンバーとも共有したんですか?

矢野:いや、特に説明はなくて。

──じゃあ、ふたりは作りながら気づいた?

矢野:頭サビが遅い、BPMが違うっていうので、「あ!」って思いましたね。

太我:僕もドラムフレーズでわかりました。どんな感じのドラムを叩けばいいかって、デモを聴けば大体わかるんですけど、この4曲のなかでいちばん好きにやったのが「是が非でも」なんです。

──全4曲、話を聞かせてもらいましたけど。濃いシングルですね。同時に、これまでノンラビがやってきたことが凝縮された作品にもなっていて。

矢野:メジャーファーストにぴったりですよね。名刺になるというか。自分たちでも、いままでやってきたことが正しかったなって思える1枚になったと思います。

──最後に今作のタイトルを「三大欲求」にしたことにも意味があるように思ったんですけど、どうでしょう?

田口:うん、そのとおりですね。実は、曲のタイトルを「三大欲求」に決めたあと、シングルのタイトルを、「四大欲求」か、「一大欲求」か、「三大欲求」にするかで悩んでたんです。三大欲求を超えるものが、あなたにはいくつあるんですか?っていうのが、僕の本当に問いたいことだったんです。あなたは何をやってるときが、人間としての理性に勝ててるんですか?っていうことですね。

取材・文◎秦理絵

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バンドのオフィシャルサイトにはインタビューの完全版が掲載されている。



メジャー1stシングル「三大欲求」

2021年5月19日(水)発売
■初回限定盤 / PCCA.6039 / 2,750円(tax in)
■通常盤 / PCCA.6040 / 1,650円(tax in)
[CD収録曲]
01. 三大欲求
02. 静かな風
03. 是が非でも
04. 推しが尊いわ
05. 三大欲求(Inst.)
06. 静かな風(Inst.)
07. 是が非でも(Inst.)
08. 推しが尊いわ(Inst.)

[初回限定盤DVD収録内容]
Non Stop Rabbit Behind closed doors-live at harevutai
01. ALSO
02. 明るい歌
03. TABOO
04. 最後のキス
05. BIRD WITHOUT

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