【インタビュー】ザ・ブラック・キーズ、ダンが語る「カバーしたのは古い曲だけど、新しい感触が最高」

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■歳を重ねるごとに絆が強くなってる
■今の俺たちの関係は最高だよ

──今回のレコーディングでは多大な影響を受けた楽曲をカバーすることで、ある意味ルーツに立ち返ったわけですが、録音したものを聴き返して、バンドを始めた20年前の思い出が甦ったりしましたか?

ダン:もちろん。そして今もこれらの曲は、当時と同じ感情を俺に与えてくれる。どんな気分かを説明するのは難しいんだけど、俺は本当に、これらの音楽に繋がりを感じてた。聴いた瞬間、トランス状態になるんだ。

──ザ・ブラック・キーズは2002年のデビューアルバム『The Big Come Up』で、今作にも収録された「ドゥー・ザ・ロンプ」をカバーしました。当時のレコーディングはどんな感じだったのですか?

ダン:パットの家の地下室で、ただただ楽しみながら作ったんだよ。今回と同じように曲を演奏して、「ドゥー・ザ・ロンプ」もその中に含まれてて。本当に楽しかったよ。

──それから20年。ここまで成功したふたりの道のりを思うと、かなり感慨深かったでしょうね?

ダン:感極まるものがあるよ。自分の家族以外、こんなにも長く続いてる関係を持ってないからね。俺たちの絆は、歳を重ねるに連れて強くなってると思う。今の俺たちの関係は最高だよ。

▲The Black Keys

──『デルタ・クリーム』を聴きながら思ったことなんですが、偉大なアーティストたちが高いハードルを掲げてくれたからこそ、ザ・ブラック・キーズがビッグなアリーナバンドになっても謙虚なままでいられているのでしょうか?

ダン:彼らが高いハードルを掲げてくれたことはは間違いない。でも、俺たちの人柄は、生まれ育ったオハイオ州のおかげだと思う。俺たちは典型的な中西部の人間で、中西部の人間ってこんな感じなんだよ。

──そうなんですね。ミシシッピ・ヒル・カントリー・ブルースの曲はとてもシンプルで余分なものが削ぎ落とされていることで、魂とハートが剥き出しにされている点が非常に魅力的だと感じました。ダン自身もそういう楽曲を書くことを目指していますか?

ダン:うん。間違いなく俺はナチュラルに感じられる曲を作りたい。どんな方向に進んだとしても、そういう曲が最高だと俺は思ってる。あまり考えずに、ただやると自然な曲が生まれるんだよ。

──ザ・ブラック・キーズの曲はまさにそういうものですよね。今回のレコーディングで使用した特別なギターについても教えてください。

ダン:フレッド・マクドウェルもミシシッピ・ヒル・カントリー・ブルースの巨匠の一人なんだけど、彼のギブソンのギター(トリニ・ロペス モデル)を持ってるんだ。ケニーがそれを使ったよ。「ルイーズ」はフレッドの曲だから、このギターが入ってる。

──「クローリング・キングスネーク」と「ゴーイング・ダウン・サウス」のミュージックビデオが既に公開されていますが、どちらもミシシッピ州北部(ヒル・カントリー)の風景を織り込んだクールなライヴ映像になっていますね。

ダン:ミシシッピ州ベントニアにある最古のジュークジョイント“ブルー・フロント・カフェ”に行ってプレイしたんだ。すごくいい時間を過ごしたよ。ミュージックビデオはプレイシーンと、ジュークジョイントの周囲の風景で構成されたものなんだ。それから、ジュニア・キンブロウのジュークジョイントから、レコード店、R.L.バーンサイドの生まれ育った街まで、ミシシッピ・ヒル・カントリー・ブルースの歴史的な場所でも撮影したよ。

──ダンが常に曲作りをしているのは知っていますが、今後の予定は?

ダン:俺は今、レーベルも運営してるから、たくさんのアルバムを発表する予定だよ。さっき言ったロバート・フィンリーのニューアルバムを出すし、ヨラやトニー・ジョー・ホワイト、シャノン&ザ・クラムズのニューアルバムももうじきリリースするよ。

──レーベル経営をしていると、ビジネス面のことも考えないといけないと思いますが、このパンデミック後、音楽業界にどんな変化が起こることを望みますか?

ダン:どうなるかは分からないけど、何が起こるか楽しみなんだ。人々はライブのエネルギーを体感することを欲してると思う。ライブパフォーマンスって唯一無二のユニークなものだからね。だから、またコンサートに人々が集まるようになったら、何か特別なことが起こる気がしてる。

──私がロックダウンに入る前に観たコンサートのひとつが、ザ・ブラック・キーズの2019年のLA公演でした。本当に素晴らしいショウでした。何年も間が空いた後のツアーでしたが、ステージ上でどんな気分でしたか?ダン:最高だったよ。本当に気分が良かった。あのツアーは、昔の友人のアンディーとザックが、俺たちと一緒にプレイしたんだ。彼らはザ・シャムズっていうバンドをやってたんだけど、ザ・ブラック・キーズがオハイオ州クリーブランドでやった初めてのショウで一緒にプレイしたバンドなんだよ。だから素晴らしかったよ。

──では最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

ダン:みんなが『デルタ・クリーム』を楽しんでくれることを願ってる。そして、ジュニア・キンブロウやR.L.バーンサイドをまだ聴いたことがなかったら、チェックしてもらえるとすごく嬉しいな。いい意味で驚かされると思うよ。

取材・文◎鈴木美穂 (May 12th, 2021 収録)
撮影◎Joshua Black Wilkins



■カバーアルバム『デルタ・クリーム』

2021年5⽉26⽇(水) 日本盤リリース
WPCR-18426 2,420円(税込)
※日本盤(初回生産分)のみエクスクルーシヴ・ステッカーシート封入
ダウンロード/ストリーミング:https://Japan.lnk.to/TBK_DKPu
▼収録曲
01. Crawling Kingsnake / クロウリング・キングスネイク
02. Louise / ルイーズ
03. Poor Boy a Long Way From Home / プア・ボーイ・ア・ロング・ウェイ・フロム・ホーム
04. Stay All Night / ステイ・オール・ナイト
05. Going Down South / ゴーイング・ダウン・サウス
06. Coal Black Mattie / コール・ブラック・マティ
07. Do the Romp / ドゥ・ザ・ロンプ
08. Sad Days, Lonely Nights / サッド・デイズ、ロンリー・ナイツ
09. Walk with Me / ウォーク・ウィズ・ミー
10. Mellow Peaches / メロウ・ピーチズ
11. Come on and Go with Me / カム・オン・アンド・ゴー・ウィズ・ミー



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