【ライブレポート】ASH DA HERO、ツアー<NEW ERA>東京公演「全部返してやるから、歌で、音楽で」

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コロナ禍になり、去年のライブスケジュールがほぼ真っ白になってしまったことで、一時はネガティブな思いでいっぱいになったというASH DA HERO。しかし自ら、HEROと名乗る男。落ち込んでいるヤツを音楽や歌で救うのが、ある種、使命のひとつでもある。2021年を迎えてからのASHは、新曲を次々に配信でリリースし、5月19日には第8弾となる新曲「DAIDARA」を発表したばかり。さらにライブも、4月から<ASH DA HERO LIVE TOUR 2021 “NEW ERA”>をスタートさせている。

◆ASH DA HERO 画像

「コロナ禍でルールがある中でも、思う存分に遊ぶのが僕のライブの信条。声を出せなくても、モッシュしなくても、汗だくになって、翌日は筋肉痛になるってライブを、僕は編み出した」──ツアースタート時に、そう自信を語ったASH。5月28日、東京公演となる恵比寿LIQUIDROOMのライブが行なわれた。もちろんルールに則って、というかそれ以上に徹底された感染予防対策が入口からフロアの隅々まで施されていた。



開演を告げるSE「NEW ERA」が流れる中、ゆっくりとステージに姿を表わしたASH。マイクスタンドに向かって歌い始めたのは「Rockstar」だった。会場にいる全てのファンを優しく抱きしめるように、歌う言葉ひとつずつに愛情も込めていく。歌うASHの横でピアノを弾くのは、マルチプレイヤーでもある宮田“レフティ”リョウ。その横にはドラムセットも並んでいるが、この曲ではシーケンサーと生ピアノでASHの歌を彩っていく。しかし、曲がエンディングを締めくくると同時に、ドラマーであるWANIが激しいフィルを叩き、ASHはおなじみのフラッグを力強く掲げた。

「よく来たな、オマエら。ド派手にいこうぜ! 座ってる場合じゃないぞ」──ASH DA HERO

その言葉は覚醒の合図だ。レフティは歪んだベースをかき鳴らし、WANIは力強いリズムを刻む。そしてASH自身も、お立ち台に片足を掛け、挑み掛かるように歌をとどろかす。トリオ編成にあるまじきヘヴィなバンドサウンドだ。ASHもレフティもステージを思う存分に使って激しいライヴパフォーム。そしてASHの歌や叫び声に、フロアのファンから自然にブチ上がるコブシ。「好きにやっちゃっていいんだぜ、オマエら」と、普段の閉塞感を強いられる生活から解放させるASHの煽り文句も、全員の気持ちを熱くさせるばかり。



「BREAK THE CHAIN」から「SOCIAL DIS DANCE」へ突入すると、「おとなしいな。ド派手にいけ!」とヘヴィなダンスグルーヴで会場を一体化させていく。そのビートに合わせハンドクラップしながら全身で曲に飛び込んでいくフロアの全員。ヒップホップテイストもある新曲「DAIDARA」のラウドっぷりも凄まじい。灼熱のライブがここにあった。

「まだ4曲しかやってないけど、超汗ビッショ。最高だね、ライブって。よく、みんな、今日、集まってくれました。集まったからには、いつも以上に、最高のライブをこの状況下でもブチ込む、その気概で立たせてもらってます。みんなも声を出せなくてストレスだと思うけど、その分、俺が代弁してやっちゃうから。みんな、全身全霊で心の中に溜まっているものを、ビートに乗せて、ちょうだい。全部、返してやるから、歌で、音楽で」──ASH DA HERO

ここからライブは、様々な側面を持つASH DA HEROと出会うことになる。ブラックミュージックにメロウなライムも持ち込んだ「BLACK SWAN」をはじめ、バンドサウンドやロックだけに捕らわれない曲の数々を披露。音楽と遊び、いろんな音楽を自由自在に乗りこなすASHがいた。ASHがギター、レフティがベースで、ニルヴァーナの曲をセッションする場面まで。そこから続く「からっぽの街」は、10代のルーツに立ち返ったようなパンクバージョンで決める。歌詞も、みんなの表情を見ながら、代弁するように今の世の中の状況や心情を即興で言葉にして歌う。曲を一方的に叩きつけるのではなく、ASH自身が救われた音楽への思いも楽しさも形にしつつ、目の前のファンと呼吸や会話をするように曲を聴かせていった。そして音楽やライブに向けた気持ちは高まり続けていくASH。



「大変な時代になっちゃったな、と俺も感じてます。でも、俺はこんなところで終わるわけないし、終わるわけがないと。こんな状況だからこそ、みんなが心の中に抱えているカオスだったり、いろんなもんを現実にして、音楽にして、みんなの声を代弁して、歌っていくことこそがロックスターのあり方なんじゃないかなと思ってます。もちろん大変な状況は続くと思うし、その中でいろんな憤り、いろんな悲しみ、苦しみ、断言しておくけど、絶対あるよ。それでも踏ん張ろうぜってこと。それでも頑張ろうぜってこと。どんな状況であれ、俺はここに立ち続けるし、歌い続けるし、オマエらを招き入れるし、誰だって大歓迎だよ。自粛、自粛って大事だけど、オマエら、心の中まで自粛すんなよ」──ASH DA HERO

「いつかの街で」では勇気の湧くメッセージをファンの一人ひとりに突きつけていった。音楽的にはいろいろな面を見せつけるASHだが、やはり芯は熱く頼りがいある男だ。それこそがASH DA HEROである。

ヒップホップの即興ライムと共にライブは後半へ突入。WANIの生ドラムをバックに、ASHとレフティの2MCで決めるのは「Nonfiction」。ノリは楽しいが、ライムに込めたメッセージはみんなを前向きにさせるものばかり。伸びやかで力強いボーカルで「PARADE」では新たな感動も作り出し、「Get Away」では“ここが解放区 もう大丈夫”とみんなを救いながら情熱的にハジけていった。


「みんなの熱量もすごい高くて。こういう状況の中でもライブを開催させてもらえることに、心から感謝しています。ありがとうございます。いっぱいライブ、やりたいな。家の中でセコセコ音楽作っていても、誰が聴いてくれているかってのが、ライブだとダイレクトに伝わるから。ライブやれたこと良かったなと思う。こうやってみんなの顔がよく見える場所で…、やっと会えたね、本当にね。ありがとうね。またこうやって当たり前のようにライブ会場で会える日を楽しみに待ってます、なんて無責任なこと言いたくないから、この状況の中でも作っていこうと思っています。みんなの心が自粛してしまいそうな状況だけれども、そういうものを少しでも楽しませたり、豊かにできたりすることが、音楽や芸術の使命だと思っています。また必ず、笑顔でライブハウスで会いましょう」──ASH DA HERO

この日のラスト、会場に集まった一人ひとりに贈られた曲は「Everything(Refine ver.)」。最大限の感謝と愛情が再びみんなを包み込んでいった。


このツアーを経て、ASHが次に実施する東京ワンマンは9月4日のZepp Tokyo公演<ASH DA HERO LIVE 2021 “THE SHOW MUST GO ON”>だ。自身最大規模の会場でのワンマンライブとなる。孤独も不安も乗り越えてポジティブに突き進む男が、ド派手に未来を輝かせるステージになるだろう。また、新曲「DAIDARA」のミュージックビデオが6月1日21:00、ASH DA HEROオフィシャルYouTubeチャンネルにてプレミア公開されることも明らかとなっている。

取材・文◎長谷川幸信
撮影◎堅田ひとみ

■<ASH DA HERO LIVE TOUR 2021 “NEW ERA”>5月28日(金)@恵比寿 LIQUIDROOMセットリスト

SE. NEW ERA
01. Rockstar
02. BREAK THE CHAIN
03. SOCIAL DIS DANCE
04. DAIDARA
-MC-
05. Black Swan
06. NO WAY
-PUNK JAM SESSION-
07. からっぽの街 (Punk ver.)
08. いつかの街で
-HIPHOP JAM SESSION-
09. Nonfiction
10. PARADE
11. Get Away
12. Everything (Refine ver.)


■<ASH DA HERO LIVE TOUR 2021 "NEW ERA">大阪振替公演

7月17日(土) 大阪・OSAKA MUSE
1部 open16:30 / start17:00
2部 open19::00 / start19::30
※チケットSOLD OUT
https://ashdahero.com/contents/8608


■<ASH DA HERO× MARUHA RESORT 「SUMMER RESORT PARTY」>

7月23日(金/祝) 愛知・マルハリゾート 野外特設会場
open16:30 / start18:00
https://ashdahero.com/contents/8684

■<ASH DA HERO LIVE 2021 “THE SHOW MUST GO ON”>

9月4日(土) Zepp Tokyo
open17:00 / start18:00
▼チケット(税込)
前売り ¥4,500 / 当日 ¥5,000
※全席指定
https://ashdahero.com/contents/8639


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