【インタビュー】vivid undressが愛を歌う。色彩鮮やかな新作ミニAL『愛のゲイン』

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vivid undressが2ndミニアルバム『愛のゲイン』を6月23日(水)にリリースする。一つ一つの楽曲が独特のひねりと共に耳に残る本アルバムのテーマは“愛と色彩”。コロナ禍とそれに伴う環境の変化を経て、vivid undressは何を希求しているのか。今回、メンバー5人にサウンド面から詳しく話を聞いた。

  ◆  ◆  ◆

■“愛”というのは恋愛に限らない

──『愛のゲイン』の制作に入る前は、どんなことを考えていましたか?

kiila:今回は“愛”をテーマにした作品にしようと、制作に入る前から決めていました。前回のアルバムを作った段階で、次はそういうものにしようと思ったんです。今までの私はvivid undressの楽曲に対して自分の中から自然と湧き出るもの……自分が生きていくうえでの葛藤だったり、どうやって生きていったら幸せになれるのかなといったことを歌詞にすることが多くて、愛情とか、ラブソングみたいなものはあまり形にしたことがなかったんですね。なので、そこに特化したものに挑戦することにしました。“愛”というのは恋愛に限らず、家族への愛だったり、友達への愛、ペットへの愛、自己愛…というふうに、いろんな愛がありますよね。それを6曲の中で表現できたらいいなと思って作ったのが『愛のゲイン』です。

▲kiila(Vo)

──今回も新しいところにいきたいという思いがあったんですね。『愛のゲイン』はテイストの異なる6曲が揃っていることも注目です。

kiila:私達は毎回幅が広い作品を作っているんですよね。1枚通して聴いたときに飽きなくて、エンドレスでループしてもらえるような作品にしたいという気持ちがあるんです。幅が広い作品を作れるのは私達の長所だとも思っているので、『愛のゲイン』も自ずとそういうアルバムになりました。

yu-ya:今回も幅広さを出せて良かったと思うし、どの曲も自信がある。そんな中でも僕が一番いいなと思っているのは、リード曲の「オリジナルカラー」です。今まで僕が作ってきた曲は内にこもるようなもの……大雑把にいうと暗いものが多かったんですけど、コロナ禍になったことを受けて、前向きな面を出していこうと思いまして。そういう気持ちで作った結果、「オリジナルカラー」は自分の中では、かなり開けた曲になりました。そういう意味で、印象深いですね。間奏からいい感じに転調して、さらに半音上がる最後のサビにつながる流れが聴きどころかなと思います。


──華やかかつ洗練感のある曲に仕上がっていますね。適度にダンサブルという独特のテイストも心地いいですし。

yu-ya:最初は4つ打ちではなくて、全編8ビートだったんです。でも、プロデューサーの方から4つ打ちを採り入れるといいんじゃないかというアドバイスをいただいて、今の形になりました。そのお陰で、とてもいい作品になったなと思いますね。

tomoki:僕も今回の作品で一番好きなのは「オリジナルカラー」です。この曲はちょっと不安定な感じから始まって、真っすぐなサビがきて、エンディングに向かってどんどん上がっていくという流れがすごくいいなと思って。ドラムも曲の流れに合わせて4つ打ちの中でちょっとずつ変化をつけていて、16分(音符)のハイハットを入れてみたりしているんですよ。ドラムも含めて、みんなのエンディングに向かってクレッシェンドしていく演奏がうまくいって、曲の頭のほうを聴いている印象と後半の印象がいい意味で大きく違う曲になったんですよね。そういう曲を作れたことに手応えを感じてるし、「オリジナルカラー」は歌詞も好きです。

kiila:ありがとう(笑)。この曲は《君だけのカラーで生きていけばいい》といいことを歌っています。歌詞に“君”という主語が出てきますけど、それは相手に対する“君”ではなくて、自分に対して“君”と言っているんです。私の中には、過去の自分というのはもはや違う人みたいな感覚があって。自分が生きてきて、過去の自分がいろいろ学んでくれたことで、今の私があるという認識の仕方で歌詞を書きました。過去の私は自分に刃物を刺すように追い込んだ歌詞の書き方ばかりをしてきたけど、メジャーにきてからは受け取ってくれる人を意識して書くようになったというのがあるんですね。そういうふうに今の自分に昇華してくれたのは過去の自分だなというところで、過去の自分に対する感謝とか愛を表現した歌詞になっています。

rio:自分は、この曲の歌詞がすごく好きなんですよ。《物語の続きはずっと真っ白で 先走って汚していた私に綺麗な色をくれた だから君のことを描いた》というところが、もうめっちゃ好きです。《先走って汚していく》という表現は、今のコロナと重なるところがあると思うんですよね。コロナ禍で先行きが見えない状態になって不安を感じていたり、家族や友達に会えなくて孤独を感じている人とかが沢山いる。でも、そうなったときに手を差し伸べて、綺麗な色をくれる人がいるという。そして、《だから君のことを描いた》ということで、お互いに思いやっているじゃないですか。kiilaの意図とは違う解釈かもしれないけど、本当にいい歌詞だなと思いますね。

kiila:そういうふうに解釈してもらっても、私は全然構わないです。曲というのは世に出ると、その時点で作り手だけのものではなくなるので。聴いてくれた人がそれぞれの解釈で、それぞれの思いを重ねて聴いてもらえるといいなと思っています。

──いろいろな解釈があるとは思いますが、「オリジナルカラー」が多くの人に寄り添う曲だということは間違いないです。もうひとつ、この曲は今作の中では最もキーボードの音数が多くて、なおかつ重要な役割を担っていますね。

rio:気づいてもらえて嬉しいです(笑)。「オリジナルカラー」は最初に曲をパッと聴いたときに、これを入れたい、これも入れたい…というのが結構出てきたんですよね。それで、もう没頭して作業しました。この曲のキーボードはすごくいいものになったことを感じていて、ちょっと引くかもしれないけど、オケ・バージョンを何回も聴いています(笑)。

一同:ハハハッ! でも、それわかる(笑)。

rio:わかってもらえる?(笑) この曲はコードとかもものすごく好きだし、ラストの鍵盤が上がっていくところとかは前からやってみたいなと思っていたアプローチが見事にハマったんです。もう、聴くたびにエクスタシーですね(笑)。「オリジナルカラー」は本当にいい曲だし、自分は「R-15 ~愛のゲイン~」もすごく好きです。この曲はもうここ最近で一番というくらいにやりたいことがブワッと出てきて、結果キーボードのトラック数が多くなりました(笑)。自分は論理的に考えたりすることが多くて、yu-yaのギターを聴いて、それに対してキーボードはこういう感じかなという流れでアプローチを決めることが多いんですね。でも、「R-15 ~愛のゲイン~」はもう先陣を切って、これを弾きたい、これを弾きたいと言いました。これも没頭して作れたし、自分が思い描いていた世界を表現することができて、すごく気に入っています。

──「R-15 ~愛のゲイン~」も含めて感じたことですが、vivid undressはキーボードとギターが喧嘩していることがないんですよね。ギタリストは我が強い人が多い印象がありますが、yu-yaさんは全体を見れる人という印象です。

yu-ya:普段はキーボードが抑えてくれるんですよ、rioさんは大人なので(笑)。それに、自分も最近は引くべきところは引こうと思っているんです。前々作くらいからrioさんが結構シンセのフレーズを入れるようになってきて、それが楽曲をよりいい方向に持っていくことが多いので活かしたいなと思って。なので、ギターがうるさいと言われたら、「はい、わかりました」と(笑)。「R-15 ~愛のゲイン~」のギターに関していえば、僕がコードをつけたんですけど、思った以上のシンセが入りましたね。その結果ひとつステージが上がった感覚があって、すごくいいものになったなと思います。

kiila:「R-15 ~愛のゲイン~」は、冒頭のウィスパー・ボイスで歌っている部分を活かした違う曲を私が4~5年前に作っていたんです。その曲を聴いたディレクターさんに冒頭の部分はすごくいいけど、後の部分がちょっと…と言われたんです。そのときはもうちょっとシティポップみたいな感じの曲調だったんですよ。それを崩して4つ打ちにして、ダークでファンタジーな感じの世界観に作り直しました。中間でキーが半音ずつどんどん上がっていくところは時空を歪めたかったんです。狂っていく感じを表現したかったんですよね。

syunn:あの展開は、すごくいいよね。

yu-ya:うん。ただ、あのパートはメロディーだけ送られてきたんですよ。

▲yu-ya(G)

──えっ、そうなんですか?

yu-ya:はい(笑)。

kiila:いつも私はメロディーだけ考えて、コードはyu-yaかrioさんにつけてもらうので。

yu-ya:だから、最初は意味がわからなかった(笑)。自分でもよくコードをつけられたなと思いますね。もう、めちゃくちゃ頭を捻りました。自分で作った後にsyunnと話して、さらに精査して今の形に持っていったんです。僕の中では、そこは『AKIRA』の世界観のイメージです(笑)。

一同:そうなんだ(笑)。

──ああいうことを思いつくkiilaさんも、それを理論づけて形にされたyu-yaさんも凄いです。それに、この曲はギター・ソロも超絶的にカッコいいですね。

yu-ya:このソロ、いいですよね(笑)。kiilaちゃんから攻めてみようよという声があったんですよ。ぶっ壊れた感じのソロにしてほしいと。

kiila:破滅的なギターを弾いてほしかったんです。

yu-ya:それで、BOSSのハーモニストというエフェクターを使ったんです。ペダルを踏むと2オクターブ上の音になるセッティングにして、さらにワウを微妙に踏みながら弾いている。そうやって、ブラックホールのような雰囲気を出せて満足しています。

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