【インタビュー】首振りDolls、初ホール公演でナオが見せた涙の意味と新たな決意

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■うわべじゃなくてホントに
■心から「ありがとう」って言えた

──それを、常にこのバンドが目標として掲げてきた日本武道館で実現させたいところですよね。花劇場での演奏内容の話に戻りますけど、本編の内容も新鮮でした。ガンガン押しまくってアゲていくんじゃなく、ちゃんと流れの中に山と谷が設けられていて、中盤のじっくり聴かせるパートが結果的にはむしろ山場になっていた。

ナオ:そうでしたね。ただ、実はすごく意識的にそうしたわけではなくて、単純に今、『ドラマティカ』の曲で大きな舞台に映えるものって考えた時に、やっぱりバラードだったんですよね。そういうところでの本能的な判断だったというか。

ショーン:うん。しかも今回、ジョニーさんが「アコースティック・セットをやろう」って。それが本編の中盤ですごくいい感じになって。

ジョニー:ホールでああいうことをやるのはちょっとした憧れでもあったし、自分が歌う「期待しないで」ともう1曲くらいアコースティックでやる流れだったら行けるな、と思って。

▲<2021.05.15(SAT) 浅草花やしき花劇場 nao Birthday live!! DRAMATICAL DOLLS SHOW new album“ドラマティカ”release tour final!!>

──そこで「BROWN SUGAR」のアコースティック・ヴァージョンが続くことになった。実際、すごくいい流れでしたよ。

ナオ:ジョニーはアコギ買いたてだから、あれをやりたくてたまらなかったんだと思う(笑)。

ジョニー:買ったのは今年に入ってからなんです。今回のツアー中、個展の会場とかでもアコースティック・ライヴをやってきて、「期待しないで」のアレンジがどんどん良くなってきてたんですよ。せっかくの機会だからそれをいい形で披露したかった、というのもありましたね。

ショーン:その個展とかに限らず、ここ2年ぐらいでアコースティック・ライヴをやる機会が増えてきていて。それでいい感じにこなれてきてたというのもあって。

ジョニー:うん。俺自身、ずっとエレキ・ギターしか弾いてこなかったんで、アコースティックの楽しさに目覚めたのはホントに最近になってからのことなんです。

──なんだか、90年代のMTVアンプラグドを思わせるものがありましたよ。特にグランジ系のバンドのああいう演奏をした時の雰囲気というか。

ナオ:首振りDollsが大喜びする表現ですね(笑)。

ジョニー:ああいうバンドのアンプラグド・ライヴとかって、めちゃくちゃいいですもんね。

──グッときますよね。そういうアレンジに合う曲をちゃんと持っているバンドだからこそできた事でもあったと思います。今回はツアー・ファイナルとはいえツアーらしいツアーはできていなかったわけですけど、個展でのアコースティック・パフォーマンスなども含めてのここ最近の流れというのが、ちゃんとここに結実したといえそうですね。

ナオ:まさに。もちろんこの先も『ドラマティカ』の流れは続いていくし、もっともっとみんなにも聴いてもらいたいから、この先のライヴでもこのアルバムの曲が中心になっていくとは思うんですけど、同時に、どんどん先を見せていきたいというのもあるんで、新曲とかもやっていきたいし。今日も実際こうして作ってますけど、新しい曲は常に作り続けていきたいですね。

▲<2021.05.15(SAT) 浅草花やしき花劇場 nao Birthday live!! DRAMATICAL DOLLS SHOW new album“ドラマティカ”release tour final!!>

──ナオさんにもうひとつ聞いておきたいのは、あのライヴ当日に誕生日を迎えたことについて。やはりその日にステージに立つというのは、格別だったのでは?

ナオ:そうですね。しかも自分の誕生日に立っているのが普段のようなライヴハウスじゃない初めての場所だっていうのが嬉しかったし、これまでやってきて良かったな、と思えたし。

──その気持ちが「これからも首振りDollsと一緒に夢を見てくれませんか? 一緒に夢見ようぜ!」というMCにそのまま出たわけですね?

ナオ:そうですね。ホントにあれは何を言おうかってあらかじめ考えてあったわけじゃなく、あの場で出てきた言葉で。ホントは「ついて来い!」ぐらいのことを言いたい気分だったんですけど、普通に「ありがとう」って言葉が最初に出てきてしまって(笑)。

──そんな素直な喜びの言葉とともに、涙が。

ナオ:ホントにあの日は、思い返すと恥ずかしくなるくらい泣きました(笑)。

ジョニー:涙は、武道館が実現するまでとっておいたほうが良かったんじゃないの(笑)?

ナオ:ははは! ステージ上で泣いたの、たぶん初めてなんですけどね。

ジョニー:次は、ファンが心配するくらい全員で号泣するとか。

──それは見てみたいような、見てはいけないような(笑)。ただ、涙と「ありがとう」以上に重要だったのは「一緒に夢を見よう」という言葉だったと思うんです。みんなに「見せてあげよう」というのではなく、実はこれまでも「見させてもらえてた」ところが多分にあったんだ、という改めての気付きがあったことも含めて。お客さんありき、ということを従来の通常のライヴの際以上に実感できた機会でもあったというか。

ナオ:そうなんですよ。コロナ禍がなかったら、そのへんのことって“わかってるつもりだけどそんなに実感できてない”ところがあったというか、支えられてる感みたいなものについての実感が、もうちょっと薄かった気がするんです。あの日のステージでは、目の前にお客さんがいっぱいいるのを見渡しながら“ああ、この人たちのお陰で自分は歌えてるんだな”って、改めて素直に思えたというか。わかっちゃいたけど骨身に染みた、みたいな感覚でしたね。とても大切な気付きだったと思います。だからこそ勝手に涙も出てきたし、うわべじゃなくてホントに心から「ありがとう」って言えたんだと思います。

   ◆   ◆   ◆

結果、この緊急事態宣言下でのライヴを経たことで、ナオ自身はもちろんのこと、首振りDollsの視界はいっそうクリアなものとなり、彼ら自身の目には、この先目指すべきものがよりくっきりと見えてくることになった。目標とする地点までの距離やそこに到達するまでの所要時間はまだわらないが、そこに向けて進んで行くべき道を彼らが見誤ることはないだろう。3人のさらなる飛躍を期待しながら、この先の展開にも注目したいところだ。なお、7月30日には、ギタリストであるジョニー・ダイアモンドのバースデー・ライヴが東京・下北沢CLUB 251にて開催される。またひとつ、メンバーの誕生日に新たなドラマが生まれることになるかもしれない。

取材・文◎増田勇一
撮影◎森 好弘

■<MR.ROCK ’N ROLLER 戸城ック60祭>

7月03日(土) 東京・吉祥寺ROCK JOINT GB
7月04日(日) 東京・吉祥寺ROCK JOINT GB
※首振りDollsの一連の作品のプロデューサーである戸城憲夫(THE SLUT BANKS)の還暦記念ライヴ(昨年の同時期より延期)に、首振りDollsも花を添える。なお、4日の公演については配信も決定。詳しくは各バンドのオフィシャルサイトなどを参照のこと。
https://kubihuri.com

■<PAN JAN DRUM>

7月17日(土) 東京・新宿レッドクロス
出演:忘れてモーテルズ/首振りDolls
https://www.sputniklab.com/redcloth/

■ワンマン公演<FRIDAY THE DOLLS-Johnny Ⅾiamond birthday->

7月30日(金) 東京・下北沢CLUB251
https://kubihuri.com/live/friday-the-dolls…diamond-birthday/ ‎

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